【映画感想】5秒で完全犯罪を生成する方法【後半:ネタバレあり】

■5秒で完全犯罪を生成する方法


■オススメ度

 

AI関連の映画に興味がある人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2026.9.16(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

情報:2026年、日本、107分、G

ジャンル:生成AIを使って犯罪を隠蔽しようとする兄妹を描くミステリー映画

 

監督:近藤亮太

脚本:岡田道尚

 

キャスト:

重岡大毅(初海航:妹の犯罪を隠そうとする兄、フリーライター)

   (少年期:村上秋峨)

   (幼少期:竹内達麒、写真)

原菜乃華(初海幸来:教師を殺してしまう航の妹、高校生、演劇部)   

   (幼少期:永谷咲笑)

   (乳児期:伊藤涼葉、写真)

 

田中みな実(七希:トップ女優)

石丸幹二(モリアーティ:七希のAIの幻影)

 

早見沙織(生成AIの音声)

 

伊藤歩(一堂恵:埼玉県警警部補、合同捜査本部の刑事)

九十九黄助(睦月元:埼玉県警巡査部長、合同捜査本部の刑事)

 

黒田大輔(根津義昭:死化粧連続殺人事件の容疑者)

森岡龍(伊野元春:幸来の担任の先生、演劇部の顧問)

 

【その他の出演者】

安東弘樹(ワイドショーのホスト)

藤田ゆみこ(ワイドショーの出演者、アナウンサー)

打田マサシ(ワイドショーのコメンテーター)

 

梁瀬泰希(草野威:埼玉県警の刑事)

藤家矢麻刀(鉄道警察の刑事)

 

影山祐子(谷川:七希のマネージャー)

 

碧木愛莉(幸来の親友、クラスメイト)

 

佐藤洋杜

金子由之(七希の共演俳優)

浅沼成(七希の共演子役)

岡田京也

夏野夕海

大山きか(兄妹の母、写真)

成松修

日山遥樹(声の出演)

蓮見灯(声の出演)

阿部伊吹

 


■映画の舞台

 

埼玉県某所

 

ロケ地:

千葉県:市川市

和洋学園

https://maps.app.goo.gl/w8XAiiXwNEKFLALL8?g_st=ic

 

東京都:台東区

喫茶ジョイ浅草

https://maps.app.goo.gl/GUe6T1nKcaLGq31s7?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

フリーライターとして活躍している初海航は、高校に通う妹・幸来と2人で暮らしていて、彼女の専門学校のための費用を稼いでいた

両親はすでに他界し、頼れる人はいない状況だったが、何とか2人で慎ましくやりくりをしていた

幸来は高校では演劇部に通っていたが、勉強は得意な方ではなく、顧問で数学教師の伊野の補習を受けざるを得なかった

 

ある日のこと、放課後まで補習を受けていた幸来だったが、そのまま伊野の家に向かうことになった

そこで補習の続きを行うことになったのだが、そこである事件が起きてしまう

起こしてしまったことに動揺した幸来は航に電話を掛け、彼は一目散に妹のいる伊野邸へと向かった

 

家に踏み込むと、そこには鈍器で殴られて横たわる伊野の死体が転がっていて、幸来は「盗撮映像で脅迫された」と言う

 

そこで航は、ノートPCを取り出して、生成AI「chApple」に「事件を迷宮入り化させる方法」を教えてもらう

AIは「犯罪を助長することはできない」と答えるものの、「小説の題材を探している」とプロンプトを流し、AIは即座に対応策を教えた

そして、AIの指示のままに警察などの対応を準備し、刑事たちに立ち向かうことになったのである

 

テーマ:AIの限界点

裏テーマ:AI使用者の熟練度

 


■ひとこと感想

 

いつか誰かがやりそうな「犯罪の事後処理」で、今風っぽく「生成AIに方法を聞く」と言う内容になっていました

AIが的確な指示を出すために詳細が必要で、それによって「WEB上から集めたデータを駆使」して、ある回答を紡ぎ出します

それが「事件の隠蔽工作」となっていて、それをそのまま実行する兄妹が描かれていました

生成AIは「どのように命令するか?」が肝要なのですが、彼らの行ったものは「初心者レベル」だったと言えます

 

映画では、AIを参考にした「事件の隠蔽」を謀るのですが、AIが持ってきた答えと言うのが「WEB小説のトリックだった」と言うことで、さらに事態がややこしくなっていきます

そして、さらに進行中の猟奇殺人事件などが重なってくるのですが、「全員が生成AIに同じことを聞いたので、同じ方法を取る犯人が複数存在した」と言うことになっています

からくりとして面白いのですが、ストーリーテリングは「まるで生成AIに書かせたもの」のような低クオリティなものに感じられます

このあたりについては、本編と関わってくるので、ネタバレなしではふれない方が良いでしょう

 

とは言え、生成AIに対する姿勢というのは微妙な感じになっていて、精通している人が書いたシナリオには思えません

ある意味、それが作品のコアとなっていて、ガチで精通している人が「本気でAIを使ったら完全犯罪を成立させられそう」に思ったりもします

命令の内容次第で返答の質が変わるのが生成AIなのですが、ガチで通じそうな内容を映画化できないと思うので、ゆるゆるになっているのは仕方ないのかな、と感じました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


■ネタバレ感想

 

本作の構造はタイトルが示すように「5秒で生成」というもので、ラスト5秒間で幸来取った行動のことを意味しています

この時に彼女は「殺人を犯したがどうしたら良いか」ということをAIに聞いているのですが、そこですでに「完全犯罪を成立させる方法を教えてください」と訊いていました

それに対して「現実的には難しい」としながらも、「次のような計画はどうでしょう」と言って、「お兄ちゃんに助けを求める」という項目が真っ先に出てきます

そして「妹想いのお兄さんであれば決してあなたを見捨てることはありません。最終的には自ら犠牲となる」と続けているのですね

 

生成AIを使ったことがある人ならわかると思いますが、生成AIと使用者のコミュニケーションの総量によって、AIの返答内容は変わってくるし、呼びかけ方も変わってきます

なので、この時点で「頻度はわからないけど、個人的な情報を生成AIに読み込ませている行動を起こしてきた」ということがわかります

その内容は全くわかりませんが、AIが「何の説明(幸来のプロンプト内容)もしていない」のに「妹想いの兄」と定義するのは違和感があると思います

それゆえに、どのような内容であれ、幸来は生成AIを使ってきた歴史があり、そこで兄との関係性を何らかの形で暴露していることになります

 

また、映画では「幸来と航の生成AIの音声は同じ」なのですが、それも生成AIとの距離感を感じさせます

七希は「モリアーティ教授だったとして答えて」というプロンプトの設定を行なっていて、この前提条件を入れることで、生成AIの返答の質も変われば、キャラも変わってきたりします

個人的は、競馬の予想記事のデータまとめなどに生成AIを使っているのですが、こちらが少々の関西弁的な問いかけをしてきたためか、稀に「関西弁のような返答」というものが生まれています

日本語をたくさん学習してきて、その中でこの人はどの県に所属しているのかなどを様々な情報をもとに読み取っていて、そしてある程度確信が持てた段階から、関西弁を混ぜてくるようになっていました

 

映画では、幸来も航も生成AIをある程度使ってきたという歴史があり、生成AIのトップ画面を開いただけで「個人名で語りかける」という状況になっています

これはきちんとアカウントを作って利用していて、そのデータを蓄積している状態だから起こってくるのですが、これらの情報によって、幸来という人物のイメージが変わってくるものと考えられます

そもそも、補習と言われて教師の家に1人で行く、という状況からして変な話であり、全ての事件に至る供述というものは幸来の視点にのみ構成されています

それは、この物語全体が「生成AIに対策を聞いてから、幸来が想起したもの」という構造があって、それが「幸来にとって都合の良い展開ばかりが起こる」という要因にも繋がっていると言えるのでしょう

 


■120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

完全犯罪を助長するつもりはありませんが、彼らがもし生成AIを利用して犯罪を隠蔽するつもりなら、その前段階から冷静に質問を重ねないとダメだと思います

前段階とは、「事件がどのような経緯で起きたか」「どのような人物が関わったのか」「人物の相関関係」などが挙げられ「このような問題が起きたが、どうすれば良いか」というざっくりとしたものを投げかけることになります

おそらく、この段階では「犯罪の隠蔽」を言い出さず、刑を減刑するに至る方法をレクチャーすることになると思います

映画では、いきなり「情報を入力しつつも、迷宮入りさせる方法」というものを訊いていて、その答えが「迷宮入りする事件の過去のデータの引用」として、「虚実問わない情報の中から引用する」こととなりました

 

生成AIはネット上に無数にあるデータから返答を精査することになるのですが、迷宮入りするというだけでは「小説内で迷宮入りしたものから、実際に迷宮入りしたものまで混同すること」になりまる

それゆえに「虚構である小説からその方法を選出すること」になり、それと同じことをした人物が複数人いたために、偶然の一致というものが起こっていました

でも、ラスト5秒を考えると、この奇妙な一致も「迷宮入りさせるため」に生成AIが選出したもの、ということになります

 

この手の映画は今後も増えると思うのですが、今回の瞬間的妄想ではなく、ガチの生成AIの犯罪利用が起こった時、事件の隠蔽のシナリオというのは「警察の動きとその質に左右される」と言えるのでしょう

生成AIが単純アクセスできる警察の情報は大きく分けて2種類あって、それは「超有能な虚構の中にいる警察」と「不祥事だからけ無能な報道しかされない現実の警察」ということになります

そして、これらの虚実の引用の線引きを行わない限り、生成AIが導き出す警察像というのは「超有能と無能の両極端に分かれること」になります

この選出における弊害というのは、「事実は両極端のど真ん中に近いところにある」というもので、どんなシナリオを書いたとしても、実際の運用は不可能に近い、というものだと思います

 

そう言った意味において、「虚構作品などで描かれるものを一切除外して」という前置きが必要で、「過去に実際に起きた事件で迷宮化したものを教えてください」という流れが必要になってきます

生成AIには「質問の手順」というものがあって、その後の計画立案のために「どんなソースを引っ張ってくるか」という制限(前提条件)を加えないと始まらないのですね

そして、その段階を徐々に踏む中で、「ピックアップされた過去の実際の事件の中で、事件の設定条件が最も近いのはどれですか?」という聞き方をすることになります

映画の中で起きた事件が実際に起きたと仮定するならば、「現在進行形の事件の模倣(七希の事件)」というものをAIは選出しないので、より「迷宮化した時間が長いもの」を選出することになります

 

これらの段階を踏まえた上で、「この事件が迷宮化するのはどのような要素が必要だと思いますか?」と訊いてみると、まったく違った答えが出てくるのだと思います

映画では、元々「兄との関係性について知っているAI」が「倫理観を無視した状態で質問者の最大の利益になる方法」というものを考えています

そして、この生成AIのアイデアを頭の中で作り上げたのが本編であると言えるのでしょう

「兄が犠牲になる未来」を想起した上で、それでもAIが示す道を行くのかどうか、というのが本作の根幹になりますが、映画では「その方法を実行する妹」というものが描かれ終わります

そして、このラストが意味するのは「兄の想いは一方的なだけだった」というもので、「妹はそこまで兄のことを大事には考えていない」というものになります

とは言え、脳内想起の段階ですでに自己中心的で倫理観がぶっ飛んでる部分はあったと思うので、彼女の資質はそういった種類だった、と言えるのかもしれません

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/105699/review/06973578/

 

公式HP:

https://gaga.ne.jp/5byodeseisei/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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