■パルテノぺ ナポリの宝石
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■オススメ度
観念的かつ哲学的な話が好きな人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2025.8.28(MOVIX京都)
■映画情報
原題:Parthenope(人魚の名前、ナポリの別名)
情報:2024年、フランス&イタリア、136分、R15+
ジャンル:人魚の名をつけられた女性の一生を描いたヒューマンドラマ
監督&脚本:パオロ・ソレンティーノ
キャスト:
セレステ・ダッラ・ポルタ/Celeste Dalla Porta(パルテノぺ・ディ・サングロ/Parthenope:人魚の名をつけられた美しき女性)
(73歳時:ステファニア・サンドレッリ/Stefania Sandrelli)
ダニエレ・リエンツォ/Daniele Rienzo(ライモンド・ディ・サングロ/Raimondo:パルテノぺの兄)
(10歳時:Antonio Annina)
シルビア・デグランディ/Silvia Degrandi(マギー・ディ・サングロ/Maggie:パルテノぺの母)
ロレンツォ・グレイジェセス/Lorenzo Gleijeses(ササ・ディ・サングロ/Sasá:パルテノぺの父、提督の息子)
ダリオ・アイタ/Dario Aita(サンドリーノ/Sandrino:パルテノぺとライモンドの幼馴染、家政婦の息子)
(10歳時:Riccardo Coppola)
Francesca Romana Bergamo(サンドリーノの母、提督の家の家政婦)
Alfonso Santagata(アキレ・ラウロ/提督/Comandante:パルテノぺの名付け親)
Teresa del Vecchio(ララ・デ・ドミニシス/Rara de Dominicis:提督の妻)
シルビオ・オルランド/Silvio Orlando(デヴォト・マロッタ教授/Devoto Marotta:人類学の教授、パルテノぺの師匠)
アルフォンソ・サンタガータ/Alessandro Paniccia(ステファン・マロッタ/Stefano Marotta:デヴォトの障害を持った息子)
ゲイリー・オールドマン/Gary Oldman(ジョン・チーヴァー/John Cheever:アメリカ人の小説家)
ルイーザ・ラニエリ/Luisa Ranieri(グレタ・クール/Greta Cool:ナポリ出身の女優)
イザベラ・フェラーリ/Isabella Ferrari(フローラ・マルヴァ/Flora Malva:演技指導の教師)
Emanuela Villagrossi(リディア・ロッカ/Lidia Rocca:フローラの代理人)
マーロン・ジュペール/Marlon Joubert(ロベルト・クリスクオロ/Roberto Criscuolo:ナポリのマフィア)
ペッペ・ランツェッタ/Peppe Lanzetta(テゾローネ/Vescovo:ナポリの枢機卿)
【1950年:パルテノぺ誕生】
【1968年:ナポリの大学】
Luigi Bruno(ナポリの路上の青年/Ragazzo meraviglioso)
Mariacarla Casillo(バスケットを持った女性/Ragazza panieri)
Tonia De Micco(バスケットを持った女性/Ragazza panieri)
Antinea Curatolo(目配せをする女性/Ragazza occhiolino)
Biagio Musella(試験の助教授/Assistente professore)
Irene Ciavalini(女学生/Studentessa)
Teresa Picozzi(女学生/Studentessa)
Roberto Urbani(男子学生/Studente)
【1973年:チーヴァーとの出会い】
Michele Del Viscovo(フランコ・アシオーネ/Franco Ascione:レストランの客)
Concetta Di Grazia(年配の女性/Donna anziana)
Germana di Marino(パーティーの女性/Ragazza festa)
Antonio Intorcia(注意するホテルの支配人/Responsabile hotel)
Maurizio Sella(口添えするホテルの顧客/Cliente hotel)
Paolo Mazzarelli(ウォモ・プリゾーラト/Uomo brizzolato:あの方と呼ばれる富豪の男)
Cristiano Scotto di Galletta(庭師の青年/Giardiniere)
Daphne Morelli(アルバ・ナルデッラ・ジョヴァネ/Alba Nardella giovane:ライモンドの行きずりの女)
【1974年:フローラ&グレタとの出会い】
Franco Pinelli(エルネスト/Ernesto:フローラの召使)
Alfonso Postiglione(アルチデ・リポジト/Alcide Riposito:船主の息子、グレタのクライアント)
Nello Mascia(リッカルド・マッキア/Riccardo Macchia:式典に参加する紳士)
【1974年:ロベルトとの出会い】
Ciro Capano(カパッソ/Capasso:ロベルトの手下)
Giovanni Buselli(ジェンナーロ・クリスクオロ/Gennaro Criscuolo:ロベルトの兄)
Francesco Ferrante(チーロ・クリスクオロ/Ciro Criscuolo:ロベルトの弟)
Marianna Mercurio(ズズ/Zuzù:チーロの母)
Margherita Aresti(ヴィットリア・ダ・カザミッチェラ/Vittoria da Casamicciola:チーロの恋人)
Martina Attanasio(デビー・ダ・カザミッチェラ/Debbie da Casamicciola:ヴィットリアの姉)
Gianluca Pugliese(デビーの恋人)
Loredana Di Martino(大柄の女性/Donna gigantesca)
Riccardo Lai(路地裏の背が高くて痩せた人/Spilungone)
Francesco Russo(救世主の格好をした路地裏の男/Pippo messia)
Francesco Tortora(融合の神父/Prete)
ビアッジョ・イッツォ/Biagio Izzo(トニー/Tonino Messia:産婦人科医)
Marisa Carluccio(婦人科の看護師/Infermiera)
【1974年:助手時代】
Liliana Bottone(ルチア・エスジポート/Lucia Esposito:助手時代の身重の学生)
Emilio Salvatore(サルトル・レステリ教授/Prof. Restelli:女学生をナンパする大学の教授)
【1982年:聖ジェンナーロ】
Alessandro Cucca(祭りの男性/Uomo festa、写真を撮る男)
Anna Maria Teresa Ricci(テゾローネの知人の貴婦人/Nobildonna)
Simona Capozzi(奇跡を起こす女性/Ragazza miracolo)
Peppe Miale(奇跡を目撃する下院議員/Onorevole)
【1982年:帰郷後】
Maria Rosaria Bozzon(手を振る老婆/Vecchia megera)
Brando Improta(イタリア国家憲兵隊/Carabiniere)
【2023年:トレント大学教授時代】
Paola Calliari(ジョヴァンネ/Giovane:妊娠中のアシスタント、2023年)
Elena Gigliotti(パルテノぺのアシスタント/Assistente 35enne)
■映画の舞台
1950年~2023年、
イタリア:ナポリ
ポジッリポ湖畔
https://maps.app.goo.gl/3JzTiqHafxBCMs4w9?g_st=ic
イタリア:カプリ島
https://maps.app.goo.gl/RM6bBbBq1nTwUYLH9?g_st=ic
ロケ地:
イタリア:ナポリ
イタリア:カプリ島
■簡単なあらすじ
1950年、イタリアのカプリ島にて生まれたパルテノぺは、兄ライモンド、家政婦の息子サンドリーノと一緒に育った
ライモンドはパルテノぺにあらぬ恋心を抱き、サンドリーノも身分を超えた気持ちを抱え続けた
その後パルテノぺは、ナポリの大学に進学し、そこで人類学を専攻していく
マロッタ教授の指導のもと、人類学とは何かを追求し始めたパルテノぺは、次第にナポリの色に染まっていった
あるパーティーで小説家のジョン・チーヴァーと出会ったパルテノぺは、彼に恋をしたいと告げるものの、やんわりと断られてしまう
ライモンドも当てつけのように女をナンパするものの、それが実ることもない
やがて、サンドリーノの気持ちに応えるパルテノぺだったが、それはライモンドの心をより複雑にしてしまった
そして、その心は良からぬ行動を呼び起こしてしまうのである
テーマ:思考の先にあるもの
裏テーマ:過去の美化と行為の正当化
■ひとこと感想
ナポリの風景を堪能する作品で、裕福な家族のもとに生まれたパルテノぺの人生を描いていきます
18歳になった頃からライモンドとサンドリーノとの三角関係のようになっていきますが、ライモンドとは実らぬ恋だし、その気持ちに気づいているサンドリーノもなかなか思うように動けません
そんな中、ジョン・チーヴァーにフラれたパルテノぺは、ライモンドの見ている前でサンドリーノと関係を持ち、それが原因で悲劇が起こってしまいました
映画は、この事件から物語が動くという内容で、その美しさで2人の男性を拐かした罪を背負っているように描かれていきます
また、「何を考えてる?」と聞かれまくるパルテノぺですが、その答えが最後に描かれていきます
彼女は人類学を専攻し、そこで「人類学とは何か」という根本を考えていくのですが、マロッタ教授は「あなたなりの答えを」とはぐらかしていきます
結局のところ、人生を生き抜いた先にしか人類学の真髄はわからないのですが、それは「人を見る側に立つこと」でようやく見えてくるもののようにも思います
物語は、パルテノぺを中心として、多くの男性が登場しますが、それらがどのように彼女を形成したのか、というのが描かれていきます
ジョン・チーヴァーとの会話、女優になれると言われて本気になるものの、冒頭のナレーションにあるように「目に輝きがない」と女優のグレタに言われてしまいます
グレタも演技指導のフローラも目を覆い隠しているのですが、彼女たちに輝きがあるのかはわかりません
冒頭にて、フランスの作家ルイ=フェルディナン・セリーヌ(Louis-Ferdinand Céline)の著書『Guerra』に登場する言葉「Certo che é enorme la vita. Ti ci perdi dappertutto.(人生は巨大で すぐ迷う)」が引用されていました
パルテノぺの迷いを単純化するならば「愛とは何かがわからない」というものなのですが、その答えを持っていたのはマロッタ教授ということになります
彼女が彼の息子ステファンと会った時にこぼすセリフがありましたが、それこそが彼女が追い求めていたもののように思えました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
映画レビューを散見していると「よくわからない話だった」という言葉がチラホラ見かけるのですが、そこまで難しく考える内容ではないと思います
ライモンドの偏愛を受け止められないパルテノぺが、彼にとって一番残酷であるサンドリーノと関係を持つというシークエンスがあり、それが物語の転機となっていました
そのシーンでちょうどコレラが来たという消毒車登場があり、そこから教授と共に論文を作っていく流れへと向かっていきます
そこで教授は「奇跡の文化的境界」というものを提案することになりますが、その論文を書くに至るまでにかなりの遠回りをしていくことになります
女優に会って断念し、マフィアに会って堕胎し、という感じになり、父親からは「孫が見れれば家族も復活する」みたいなことを言われてしまいます
ライモンドが自殺をした瞬間に家族は崩壊していて、サンドリーノとの関係というものも消滅してしまいました
そうした人生を積み重ねていく中で、パルテノぺは自分自身が何も変わっていないことを悟っていきます
若き日にサンドリーノに聞かれた時と同じ答えが彼女の中にあるのですが、それすらも「違うのかも」と自己否定していきます
その時に彼女は笑うのですが、これが一連の「何も考えていない」というところに繋がっているのだと思います
多くの人に「何を考えているの?」と訊かれるというのは、いわゆる「心はここにはない(目の前の相手に興味がない)」ということを見透かされているのでしょう
それを思うと、パルテノぺは「深く考えることなく人生を歩み、そのまま朽ちていった」ようにも思えてしまいます
■L=F・セリーヌについて
ただいま、鋭意考察中にて、今しばらくお待ちください
■人類学とは何か
ただいま、鋭意考察中にて、今しばらくお待ちください
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
ただいま、鋭意考察中にて、今しばらくお待ちください
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/101599/review/05499720/
公式HP:
https://gaga.ne.jp/parthenope/
