【映画感想】プライベート・ケース【後半:ネタバレあり】

■プライベート・ケース


■オススメ度

 

精神分析医が主役のミステリーに興味のある人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2026.7.28(アップリンク京都)


■映画情報

 

原題:Vie privée(私生活)、英題:A Private Life(私生活)

情報:2025年、フランス、107分、PG12

ジャンル:クライアントの死に直面する精神分析医を描いたミステリー映画

 

監督:レベッカ・ズブロトブスキ

脚本:アンヌ・ベレスト&レベッカ・ズブロトブスキ&ガエル・マーセ

 

キャスト:

ジョディ・フォスター/Jodie Foster(リリアン・シュタイナー/Lilian Steiner:パリ在住のユダヤ系精神分析医)

 

ダニエル・オートゥイユ/Daniel Auteuil(ギャビー/ガブリエル・アダット/Gabriel Haddad:リリアンの元夫、眼科医)

イレーヌ・ジャコブ/Irène Jacob(ヴェラ/Vera:ギャビーの2番目の妻)

 

バンサン・ラコスト/Vincent Lacoste(ジュリアン・アダッド=パーク/Julien Haddad-Park:リリアンとギャビーの息子)

パク・ジミン/Park Ji-min(ヴァネッサ・アダッド=パーク/Vanessa Haddad-Park:ジュリアンの妻)

Yun Sok(ジョセフ/Joseph:ジュリアンとヴァネッサの赤ん坊)

 

ヴィルジニー・エフィラ/Virginie Efira(ポーラ・コエン=ソラル/Paula Cohen-Solal:死亡するリリアンの患者)

   (20代:Emma Ravier

マチュー・アルマリック/Mathieu Amalric(シモン・コエン=ソラル/Simon Cohen-Solal:ポーラの夫)

ルアナ・バイアミ/Luàna Bajrami(ヴァレリー・コエン=ソラル/Valérie Cohen-Solal:リリアンの娘)

Aurore Clément(ペール・フリードマン/Perle Friedman:ポーラの伯母)

Evan Paturel(シモンの息子)

 

ノーム・モルゲンステルン/Noam Morgensztern(ピエール・ハラン/Pierre Hallan:ヘビースモーカーのリリアンの患者)

Virginie Acariès(ピエール・ハランの妻)

 

ソフィー・ギルマン/Sophie Guillemin(ジェシカ・グランジュ/Jessica Grangé:ピエールを治す催眠術師)

 

フレデリック・ワイズマン/Frederick Wiseman(ゴールドシュタイン博士/Dr. Goldstein:リリアンの指導医、精神分析医)

 

Sandra Albert(レイチェル/Rachel:シモンの不倫相手)

Lucas Bléger(ジャッキー・ティフー/Jacky Tiffou: 夜中に起きてくる少年、レイチェルの息子)

 

【その他の出演者】

Scott Agnesi Delpapierre(騒ぎ立てる上の階の若者)

Jérôme Lenôtre(バスで席を譲ろうとする男性)

Marlise Bété(ギャビーの病院の主任看護師)

Marin Judas(リリアンの事件を担当する警察官)

Abdoul Bamba(事件担当の同僚の警察官)

Antonia Buresi(ナディア/Nadia:ポーラに薬を処方した薬剤師)

Danielle Chinsky(黒人の女性)

Lucie Carrasco(フランス学士院の職員)

Michel Zlotowski(ラビ/Le rabbin)

Austin Tétard(オペラの舞台監督)

Jean Chevalier(キャメロン/Cameron:夢の中に登場する男)

Sophie Letourneur(リリアンの患者)

Zahia Dehar(リリアンの患者)

Mélo Lauret(リリアンの患者)

Olivier Nicklaus(リリアンの患者)

Derek Strick(リリアンの患者)

Valia Boulay(リリアンの患者)

Rafika Fethoune(若い薬剤師)

Frédéric Cardon(シモンの別荘の隣人)

Tania Tsikounas(イタリアンレストランのウェイター)

Gabriel Elfassi(パリのカフェのウェイター)

Victor Obry(墓地の少年)

 

【Silhouette(群衆)】

Daniel Gross

Olivier Halberstam

Frédérique Moszkowicz

Eloi Durand

Julien Lecannelier

Théodore De Andrees

Loïc Gautelier

Jean Pierre Rochet

Alan Brethaud

Nils Quirot

Diana Stewart

Brigitte Belle

Geneviève Emanuelli

Erika Kuttner

 


■映画の舞台

 

フランス:パリ

フランス:シュランス

 

ロケ地:

上に同じ

 


■簡単なあらすじ

 

パリ在住の精神分析医のリリアンは、自宅にて患者を招いて診察を行なっていた

これまで9年間にわたって関係を築いてきた患者のポーラと連絡が取れず不安になっていたが、そんな中、禁煙したい患者ピエールが予約外に訪れてきた

彼は友人から紹介された催眠術師によって禁煙できたと言い、これまでに費やした金は無駄だったと吐き捨てて去っていった

 

その診察の最中にポーラから電話が掛かっていて、リリアンの留守電に「ポーラが亡くなった」と娘のヴァレリーより伝言が入っていた

リリアンは彼女の自宅に駆けつけるものの、そこで彼女の夫シモンに見つかり、「家から出ていけ!」と追い返されてしまった

リリアンは想定内の反応だと言い聞かせるものの、なぜか涙が止まらなくなってしまった

 

リリアンは元夫の眼科医ギャビーを訪れるものの、眼には異常がないと診断される

それでも涙が止まらないリリアンは、ピエールを治したという催眠術師グランジュの元を訪れた

彼女は催眠療法を行い、その中で金髪の女性と恋愛関係にあったかと訊く

リリアンにはそんな感情はなかったものの、療法の中でポーラと出会い、戦時中にオーケストラの一員として一緒に楽器を演奏していた夢を見てしまう

そして、その夢の中にポーラの夫シモンが登場し、彼の手には銃が握られていたことに気づくのである

 

テーマ:深層に堕ちる謎

裏テーマ:話を聴くことの難しさ

 


■ひとこと感想

 

ジュディ・フォスターが精神分析医を演じる作品で、彼女の患者が亡くなるという物語になっていました

予告編でも「自殺ではなく殺人では?」というニュアンスで展開されていて、患者のプライベートに立ち入るような描写がありましたね

独自に探偵ごっこを始めるような内容で、その謎解きがメインのように思っていました

 

実際にはミステリー様子はあるものの、どちらかと言えば「精神分析医リリアンが次のステップに進むためのアクシデント」という感じになっていましたね

彼女は自分を有能だと思っているけど、実際にはそうではないということが突きつけられる内容になっていて、彼女の深層心理に眠っているものが暴かれるという内容になっています

タイトルは「私生活」という意味ですが、これが患者のことではなく、リリアンのことだった、みたいな感じになっていましたね

 

映画は、ミステリーとして面白いかは微妙で、精神分析とか催眠療法に興味があると面白いのかもしれません

催眠療法を通じてリリアンが見る自分の深層心理とは何か、という物語なので、この構造に興味を持てるかどうかという作品だったように思います

逆に言えば、そう言った方面に強すぎると、若干退屈に感じる作品のようにも思えるので、対象がなかなか難しい作品だったなあ、と思ってしまいました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

本作は、ある患者の死の真相を探ろうとする主治医を描いていて、その過程にて自身の深層に眠っているものを呼び起こすこととなりました

複数の事件が同時に並行しているのですが、それを一連だと結びつけてしまう愚かさを描いています

ミステリー映画的にはミスリードたくさんという内容ですが、実際には起こり得ることの延長線上でしたね

いかに「あること」が心を支配すると、視野が狭くなることを表していたと思います

 

映画では、モブっぽい感じで登場するヘビースモーカーのピエールがいて、彼が一連の部屋荒らしや嫌がらせの犯人だったことがわかります

彼自身はリリアンと喧嘩別れのようなことになっていて、それゆえに自分のプライベートがバラされるのではないかと恐れることになります

この時点でのリリアンはピエールのことは眼中になく、彼のMDが無くなっていたことに気づいていません

でも、実際にポーラのMDも無くなっていたことから、完全に見誤っていたことがわかります

 

それらを見透かしたかのようなシモンの訪問があり、彼は「やましいことがあるからそう思うんだ」というような物言いでリリアンに迫ります

そして、彼女自身が自分を妻殺しだと決めつけていることを断罪することになり、彼は「罪ではないが責任はある」と言い放ちました

この際に「リリアンは法的な自己弁護をする」のですが、シモンは「人の話を聞いていない!」とリリアン自身の姿勢を批判することになりました

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

映画は、誰よりも人の話を聞いてその解決策を見出す精神分析医という前提を覆し、彼女自身が患者との会話を録音しつつも、その内容をほとんど覚えていない様子を描いていきます

ポーラがリリアンに対して何を言ったかを知らなくても、シモンはその日の診察で何かを語ったことは理解していて、それは結婚生活が破綻した夫婦でもわかる、というふうに示されています

なのに、彼女の最もそばにいたはずのリリアンがポーラが何を考えていたのかにたどり着いておらず、シモンから真実を突きつけられ、ようやく録音を聴いてから、彼女が何を考えて行動したのかを理解するようになっていました

 

これが起こるのは、「一言一句聞き逃したくない」ということと、「冷静になって聴くことで違った意味を見出せる」という起点があり、リリアン自身もそれを踏まえた上で録音を通じて、それを成そうと考えていました

録音という安全策に思えるものが、ファーストインプレッションを消していて、その瞬間に集中すべきものをおざなりにしていたと言えます

対話において、音声情報のみならず、視覚から得られるものを全て駆使して吸収する必要があり、それが機器などの発展によって妨げられているわかりやすい例のように思います

 

受験勉強などを振り返るとわかると思いますが、板書をノートにしっかりと書き込んだり、綺麗なノートを作ろうとする人がいますが、それらは裏目に出ることがほとんどなのですね

なので「一言一句」ではなく、呼吸や強弱に細心の注意を払いながら「音が途切れる前後」を観察する必要があります

人は何かしらの強調ポイントにおいて、一呼吸を置いたり、自身を制御しづらく「揺らぎ」を発することがあります

劇中のポーラの告白にしても、普段の流暢さとは違ったタイミングのずれなどがありました

 

夫のシモンは「患者が全て本当のことを言っていると思っているのか?」とか、「それを演技だと思わないのか?」とリリアンに問いただしていました

演技というのは着地点のある行動であり、そこに向けての確実な一歩というものが存在します

でも、実際に起こる会話というのは、スムーズなものではないし、発する言葉一つでも慎重になるし、どう受け止められるかを考えながら紡いでいきます

そう言った行間を読むことが対話術の基本であると言え、それができてこそ、本物の精神分析医になれると言えるのではないでしょうか

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/105612/review/06781449/

 

公式HP:

https://cinema.starcat.co.jp/private-case/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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