【映画感想】私たちは、ちょうどいい。【後半:ネタバレあり】

■私たちは、ちょうどいい。


■オススメ度

 

実体験ベースの物語に興味がある人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2026.9.15(アップリンク京都)


■映画情報

 

原題:Bob Trevino Likes It(ボブ・トレヴィノのお気に入り)

情報:2025年、アメリカ、102分、G

ジャンル:SNSを通じて知り合った父と同姓同名の中年と関わりを持った女性を描いたヒューマンドラマ

 

監督&脚本:トレイシー・レイモン

 

キャスト:

バービー・フェレイラ/Barbie Ferreira(リリー・トレヴィノ/Lily Trevino:父と同姓同名の中年男性を見つける住み込みの介護士)

 

ジョン・レグザイモ/John Leguizamo(ボブ・トレヴィノ/Bob Trevino:父と同姓同名の男、インディアナ在住の建設業の男)

レイチェル・ベイ・ジョーンズ/Rachel Bay Jones(ジニー・トレヴィノ/Jeanie:ボブの妻、スクラップブックが趣味)

 

フレンチ・スチュワート/French Stewart(ロバート・トレヴィノ/Robert Trevino:リリーの実の父親、オークの里の住人)

 

ローレン・”ロロ”・スペンサー/Lauren ‘Lolo’ Spencer(ダフニー/Daphne:車椅子の利用者、リリーのルームメイト)

 

Debra Stipe(へリーン/Helene:ロバートのデート相手)

Ted Welch(ハーラン/Harlan:ボブの上司)

Tony Milder(調査官)

Allora Nutter(オスカー工具店のレジ係)

Abigail Esmena(警官)

Dale Holdren(「Shady Oaks」の住民)

Takayla Williams(「Shady Oaks」の警備員)

Phil Elam(カウンセリングの受付)

Ashlyn Moore(インターンのカウンセラー)

Tristan Thompson(「Rage Room」の店員)

Kristy Calman(「Rage Room」の女性客)

Terrance Tocantins(「Rage Room」の男性客)

 

Savio Carvalho(ダイナー「エル・キャポテール」のウェイター)

Victor Keye(ダイナーの客)

Olivia McBride(家族連れの娘)

Sean McBride(家族連れの父親)

Joanne Tinnell(レストランのウェイトレス)

Ezell Willis(レストランの客)

Victoria Edgar(カウンセリングルームで泣く女)

Mike Fallin(臨時のヘルパー)

Payton Shae Taylor(犬の保護施設の職員)

 


■映画の舞台

 

アメリカ:コロラド州

デンバー

 

アメリカ:インディアナ州

 

ロケ地:

アメリカ:ケンタッキー州

ルイビル/Louisville

https://maps.app.goo.gl/kPKHpLCoNr3CQ6228?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

コロラド州デンバーにて、脚の不自由な女性・ダフニーの住み込みで介助を行なっているリリーは、彼氏の誤送信メールにて浮気を知り、関係を終わらせることになった

失意のまま、父ロバートと会った彼女は、父から「グループホームの女性とデートをする」と言われ、彼女は家族に会いたがっていると言って、強引にデートの日に来させることになった

リリーは何とか父の力になろうとするものの、会話の中で別の女性のことを話してしまい、その女性は怒って出ていってしまった

 

父はそのことに激怒し、リリーと絶縁宣言をしてしまう

リリーの言い分を全く聞かない父に呆れつつも、彼氏と別れたことで精神的に不安定になった

そこでカウンセリングを受けに行くものの、相手として出てきたのはまだ2ヶ月しか実地を積んでいないインターンだった

それでもリリーは自分のことを話しまくり、その凄惨な過去にカウンセラーは泣き出してしまった

 

父との関係を修復したいリリーは、Facebookにて父の名前を検索し、同じの名前の「ボブ・トレヴィノ」という男性を友だちに追加してしまう

だが、彼は全くの別人で、別の州に住んでいる建設関係の男だった

だが、何度かのやり取りをしていくうちに親近感が湧き、一緒にコーヒーを飲もうという話になる

ボブの妻ジニーは「なりすましだ」と断定するものの、ボブは「そんな感じはしない。力になってやりたい」と言い出す

そして、リリーの元を訪れることになったのだが、その日は最悪の日で、トイレ詰まりによって部屋は大パニックになってしまっていたのである

 

テーマ:支えになれる存在

裏テーマ:人生は一度きり(YOLO)

 


■ひとこと感想

 

監督の体験がベースとなっている作品で、あるミステイクから交流をもつことになった父親と同世代の男性との交流が描かれていました

リリーは介護士として住み込みで働きながらも、クライアントのダフニーとはそれ以上の関係にはならず、元カレの浮気発覚によって、相手の言い分を聞く間もなく、別れを規定事実のように扱っていきます

この性格は父親譲りのもので、彼も人の話をほとんど聞かない人物として描かれていました

 

映画は、SNSを通じて父と同姓同名の男性ボブと出会い、ネット上で関係を築き上げていく様子を描いていきます

ボブの妻ジニーは「なりすまし」だと警告をするものの、この段階でボブはかなりのレベルでリリーを守るべき存在であると位置付けています

その関係性はリリーからすれば頼れる父であり、ボブからすれば悩める友人のように映っています

でも、「父だと思っているわけではない」のですが、ダフニーに関係性を問われた際に嘘をついてしまっているのですね

その嘘を維持する行動に出ますが、そう言ったものはあっさりとばれてしまいます

 

ボブは幼い息子を亡くした過去を持ち、妻との関係性も変わったと言います

でも、彼自身も妻のこだわりを避けている部分があって、歩み寄りたくても歩み寄れない存在となっていました

そんなところに何でも話せそうなリリーがいて、彼女が全てを曝け出すから、ボブも心を許していくようになります

ジニー自身も言葉には出さずに行動に醸し出すタイプで、肝心な言葉が足りない人たちが奇跡的に繋がっているように思えました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


■ネタバレ感想

 

近くにいたら面倒くさそうな感じのリリーですが、抱えているものを発散するのが苦手なタイプで、どうしても内側に矢印が向いてしまう女性でした

劇中にて「Rage Room」という施設が出てきて、そこでは怒りなどを発散させる場所で、普段はできないようなことができる感じになっていました

いわゆる廃品を力任せに殴ってもOKみたいな場所で、防護服を着て、目の前にある電化製品などをバットで殴り潰す、というような施設になっています

 

当初は行動に移せないリリーでしたが、やがては思いっきりバットを振れるようになるのですが、彼女のSOSを周囲の人間が汲み取ってくれる環境があったとも言えます

本当に孤独で、ネットの世界でも出会いがなく、内側に閉じこもるしかない人も多くいて、本音を語れる相手がいない人もいます

そんな孤独感とか、何かしらの怒りを発散する場所は意外に少なくて、日本だと「カラオケに行って大声で歌う」はできても、「Rage Room」のような場所はあまり聞いたことがありません

 

前の職場にて、家や事務所などを引き払う人、夜逃げされてテナントにものが残って困った人などから物品を引き取るという仕事をしていました

そこでは「金になりそうなものは売る」のですが、どうしようもないものは「地元のクリーンセンターに持ち込んで廃棄する」ことになります

おそらく住んでいる地域にはあると思うので、そこは一般の粗大ゴミの持ち込みなどが許されている場所になっています

 

その設備では、大きな溝があって、そこにベルトコンベアが動いていました

その溝に向かって家財道具などを投げ入れることになるのですが、それはもう爽快の一言でしたね

溝を転げながらバラバラになる家具とかオフィス用品などを見下ろす感じになるのですが、かなりのストレス発散になると思います

他にも「山中にある陶器の廃棄場所」みたいなところがあって、そこには食器などを投げ捨てる場所があったりします

この場所がどこにでもあるのかは分かりませんが、必要なくなったものを誰かに譲るというのもありですが、このような場所で然るべき使い方をする、というのもありなんじゃないかな、と思っています

 


■120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

行きつけのミニシアターでパンフレットを買うことになったのですが、前日あたりに監督が来日し、東京に寄った後に関西にも来られたと行っていました

滞在時間はわずか数十分ほどだったそうですが、その際に数冊のパンフレットに直筆のサインをされたそうで、それをゲットすることになりました

「Arigatou XOXO」って書いてあったんですが、「XOXO」ってなんだろうとググったら、「ハグとキスを意味する親愛の表現」とのこと

「X=Kiss」で「O=Hug」だそうで、またひとつ勉強になってしまいました

 

映画では、ラストで監督自身がやりとりしたメッセージが映し出されるのですが、このような奇妙なやり取りは実話がベースとなっています

家族の誰にも話せず、周囲に友だちもいないという人はたくさんいると思いますが、そういった人たちの心の逃げ場というのが今ではSNSなんだと思います

助けになることもあれば、顔が見えない場所ゆえに思ってもいない言葉をぶつけられることもある

自分がそういうスタンスでネットに向き合っている=同じような人が多数いて、そこには寄り添ってもらえないと思っている人たちが渦巻いている場所であるとも言えます

 

そう言った環境の中でボブのような存在に出会えることは稀であり、かなりの幸運であったように思います

リリーと出会った中で、裏表のない人間で、感情の発露や制御が未熟であることがわかり、そう言った人の支えになりたいという人は本当に稀なことでしょう

ほとんどの人は関わりを避け、無言で立ち去るか、場合によっては酷い言葉を浴びせてくるように思えます

 

リリーがボブの心を動かしたのは、彼女の不遇とか、ボブ自身の問題だけではなかったように思います

それを理屈で説明するのは難しくて、ボブ自身も妻にはうまく説明できていません

その関係性を妻は危ぶみ、そんな渦中で彼は他界するのですが、最後の病床において、ボブはリリーのことを全て打ち明けたのだと思います

その思いが妻を動かしてスクラップブックという形になったのですが、彼自身も妻と同じように、リリーとの関わりの中で得たものを全て遺していました

ある意味、ボブがリリーを通じて「ジニーのこだわりを理解した瞬間」でもあり、それは「ジニーにとってもかけがえのない時間だった」とも言えます

 

彼は臨終の間際に妻の心に最も近づくことになったのですが、それが直接行われなかったのは後悔でもあったと思います

そして、この夫婦のわだかまりのようなものを打ち消すのがダフニーのラストの行動であり、彼女は最もそばにいながら、最も遠くにいると感じていた人物でもあります

そう言ったものが複雑に絡み合う人間関係が描かれていたので、とてもリアルでハートフルに感じられるのかな、と思いました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/106388/review/06970963/

 

公式HP:

https://bobtrevinolikesit-movie.com/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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