■チルド
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■オススメ度
日常系ホラーに興味がある人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2026.7.21(TOHOシネマズ二条)
■映画情報
情報:2026年、日本、88分、R15+
ジャンル:とあるコンビニの関係者が変質していく様子を描いたホラー映画
監督&脚本:岩崎裕介
キャスト:
染谷翔太(堺:やる気のないコンビニ店員、オーナーの息子)
西村まさ彦(コンビニのオーナー、堺の父)
中村まゆみ(ゲーセンの女、堺の母)
唐田えりか(小河:堺の同僚、新入バイト、美容師志望)
くるま(室田:堺の同僚、軽いノリのバンドマン)
長島竜也(今井:雇われ店長)
正木佐和(芳賀:堺の同僚、廃棄ロス)
Samir(マダブ:堺の後輩)
BreezaA(ドミニク:新入バイト)
黒川千聖(千田:堺の同僚、卒業)
溝口雄大(青木:堺の同僚)
江原パジャマ(半澤:本部社員)
千葉誠一郎(中森:「Quiche et Moi」の店長)
市丸綾乃(中森の妻)
松本響(柳:堺の大学時代の友人、意識高い系)
門田宗大(高梨:堺の大学時代の友人)
安西慎太郎(飯島:堺の大学時代の友人)
清宮レイ(りな:マッチングアプリの相手、猫)
大河原恵(花枝:マッチングアプリの相手、看護師)
イトウハルヒ(都筑:マッチングアプリの相手、幻覚)
松永百合乃(マッチングアプリの女、カフェの話相手)
山本章博(袋不要のリーマン客)
厚木拓郎(女装男)
Pecori(小林:応募に来るバンドマン)
白畑真逸(万引き)
黒田武士(1時間うろつく老人客)
千代田修平(公共料金でキレる客)
赤間洸介(ファミレスの店長)
池村匡紀(ファミレスで殺される客)
政修二郎(ファミレスのシェフ)
高木珠里(倉田:美容学校の先生)
恩田健也(電力会社の営業)
東康仁(エニーマートの本部の講師)
■映画の舞台
東京のコンビニ
エニマート倉冨町7丁目店
ロケ地:
神奈川県:藤沢市
フードショップ鈴野
https://maps.app.goo.gl/tqjGSwigf7otuUGh8
東京都大田区
GiGO池上
https://maps.app.goo.gl/AFa9251rV9Cd4AE68
東京都:新宿区
東京美容専門学校
https://maps.app.goo.gl/Jhy9F9dGh3ieyNpD8
■簡単なあらすじ
東京の倉富町にあるコンビニ・チェーン店「エニーマート」では、店長の今井を筆頭に、古参の堺、芳賀、室田たちで店を切り盛りしていた
オーナーは寡黙な男で、出勤すると「誓いの言葉」を読ませて、マニュアル通りの接客を心がけさせていた
堺は普段からやる気のない男で、客のクレームにもマニアルのような対応をするだけだったが、今井からは目をつけられていた
ある日のこと、小河と言う専門学校生が働くことになり、室田は色めき立つ
堺は我関せずだったが、教育係に任命されたことで、彼女に仕事を教えることになった
一連の仕事を教え、商品の廃棄方法を伝える
彼女は「もったいない」と言うものの、堺は「すぐに慣れますよ」と言う
だが、芳賀は「大事にしなければ」と言って、廃棄商品をくすねてしまう
翌日、芳賀は仕事を休み、オーナーは彼女が辞めたことを告げる
動揺するスタッフたちだったが、小河は納得がいかずに理由を問いただす
オーナーはこの半年間の芳賀の廃棄商品の窃盗について言及し、その被害額の請求を行なったと言う
そして、それを払えないために、芳賀は責任を取って辞めることになった
小河はオーナーの方針に納得がいかないと言うものの、オーナーは「私が雇用主で、あなたたちは従業員だ」と言って、「言うとおりに働くように」と命じる
だが小河は「自分で考えて自分で動く」と言い、オーナーの方針に従わないことを明言してしまうのである
テーマ:社会の片隅にあるリアル
裏テーマ:暴走のトリガー
■ひとこと感想
コンビニで事件が起こる系のホラー映画で、少し前に同じようなシチュエーションの映画がありましたね
その作品とはかなりテイストが違う感じで、本当に「日常で起こっていく事の延長線上にありそうなもの」と言うものが描かれていました
コンビニのオーナーの息子である堺は、普段からやる気はなく、店長も別の人間がやっていて、その店長からは「素行の悪さ」が指摘されていました
おそらく店の人は堺がオーナーの息子であると言うことは知らないようで、もし知っていたら店長の態度はもっと媚び諂ったようなものだったと思います
そんな「やる気のない青年」の元に「やる気のある年下」が来ると言う感じで、少しばかり気があるのか、彼女と会っている時の堺は別人のように見えます
堺は交友関係は少なめで、おそらく大学時代のサークル仲間のような人たち(ゼミが一緒かも)と飲みにいくぐらいでしたね
店長を中心として、数人で食事に行くこともあるようですが、男女関係に関してはマッチングアプリを利用して相手と会っている、と言う感じになっていました
映画では、よく観察しないと「オーナーの息子であること」がわかりにくくて、廃棄弁当を一緒に食べているシーンでタメ口ぐらいしかヒントがありません
後半になってから、堺が「どうして父さんはこの仕事をしているの?」と訊く場面があって、ようやくはっきりとわかる感じになっています
ゲーセンの女性が母親というのも非常にわかりづらく、さらに彼女がどうしてああなったのかはわからなかったりします
背景はヒント的なものを会話から手繰るタイプの作品なので、前半はホラーっぽくはなかったりします
あくまでもコンビニの変な日常を切り取っているブラックコメディのイメージが強かったのではないでしょうか
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
中盤になって、隣のスイーツ店らしき店が閉店し、そこの店長が自殺をするのですが、この時に不謹慎な撮影をしようとした室田が巻き込まれていました
ここからようやくホラー映画っぽくなる感じで、その直前の対話と言うものも不穏さを感じさせるものになっています
さらに、店長が堺に聞かせる「過去の録音」みたいなものとか、辞めていった同僚の送迎パーティーのような飲食でも店長の不穏さを言うものが現れています
映画では、自分の立ち位置を振り返らされると言うポイントがあって、店長は「自分の給料の少なさ」に現実を感じるようになり、その日常に疑問を生じることになります
これまで「その日を生きていれば良い」という感じで日常の波に漂っていた人たちが、急に「今、ここどこ?」みたいな感じになって、そこから精神的なバランスを崩していくことになります
堺の場合も、小河という「やりたいことが明確な人」の登場によって日常に疑問を抱くようになり、やがては店長として「レベルアップをする」という心意気を抱くようになっていました
それらの変化を唐突に終わらせるのがオーナーの蛮行なのですが、これらの起点になっているのも小河という存在でしたね
彼女が「自分の意思で行動する」と宣言したとき、オーナーの中で何かが壊れたように思えます
元々、店長の今井の名前すら「誰だっけ?」というレベルで「道具扱い」だったので、意思ある道具の反発に対する彼なりの反応だったようにも思えます
それによって、堺の新しい日常は引き戻され、再び別のコンビニのいちスタッフとして働かざるを得なくなっています
まさしく「オーナー次第の未来」だったことがわかり、この不条理に思えるものをどう捉えるか、というのが作品の本質のように思えました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
映画のタイトルは「チルド」というもので、一般的には「食品を凍らせないぎりぎりの温度帯(0~10℃)で冷却保存すること」を意味しています
それによって食品は少しだけ長持ちしますが、永久保存させることができるものではないと言えます
これは「日常を凍らせてはいないけど延命させている状態」の暗喩のようなもので、冒頭とラストでサラダチキンを眺めている堺を表しているように思えます
映画は不条理系ホラーというところですが、後半の殺戮シーンは「それで人が死ぬか?」と思える程度のものになっていました
それゆえに「堺の見た妄想」のようにも思えますが、ラストの「制服が変わった無気力な堺」を見るからに現実だったということになるのだと思います
殺戮の影で外国人スタッフが普通にゴミ出しをしているなど、シュールだけど考えさせるシーンなどはありましたね
物語は、前半の顔芸をどれだけ許容できるかというところですが、これぐらいぎりぎりで腐りかけている人が溢れているというのも現実的のように思います
それらがどのようにして「無敵になるのか」が描かれていると言えますが、その予兆を見つけられたとしても防ぐことは難しいように思います
第三者的に見ていれば、映画が意図する起点は見えると思いますが、実社会でこれが起こると見抜くのも困難だし、そもそもそこまで他人を細かくは観察しないと言えます
そう言った意味も踏まえると、不条理には起因と過程が存在するので、自己防衛しましょうね、というメッセージがあるようにも思えてきますね
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/105408/review/06762241/
公式HP:
https://nothingnew.film/chilled_anymart/
