■未来において、自分を豊かにするものに囲まれていたいと思いませんか?
Contents
■オススメ度
人生の転換系映画に興味がある人(★★★)
ゴミ屋敷のリアルが大丈夫な人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2023.7.5(T・JOY京都)
■映画情報
情報:2023年、日本、101分、G
ジャンル:健康問題で進路変更を余儀なくされたピアニストが、ゴミ屋敷の清掃員として働く様子を描いた社会派ヒューマンコメディ
監督&脚本:萱野孝幸
キャスト:
篠田諒(白高律稀:手の震えでキャリアを断たれるピアニスト)
北山雅康(市木八吉:律稀を雇う清掃会社「断捨離パラダイス」の社長)
荒木民雄(石冨道則:スキンヘッドの従業員)
原岡梨絵子(中森百恵:ベテラン従業員)
北島タツロウ(生麦次郎:ベテラン従業員)
長谷川テツ(工藤新太郎:赤髪の若い従業員)
加藤志津子(水野ミツコ:事務方の従業員)
豊永阿紀(井護美弘:ネコを見つけてしまう従業員)
北田祥太郎(ガタイの良い従業員)
中山理愛(茸田凛:新人の従業員)
賀来千晶(金髪の女性従業員)
テシマケント(メガネの男性従業員)
栗原高広(従業員)
中村祐美子(青原明日華:ゴミを溜め込むシングルマザー)
古賀迅人(青原天雫:明日華の息子)
関岡マーク(ボン・デ・グレスマン:ゴミを溜め込むフィリピンからの技能実習生)
木村健二(久米坂真:グレスマンの上司の介護士)
長洲次郎(山本文太:施設の利用者)
泉谷しげる(金田繁男:ゴミを溜め込むゴミ屋敷の頑固な老人)
福澤究(金田湖太郎:繁男の息子、広告屋)
塚嵜マキコ(金田梢:繁男の亡き妻)
福田菜月(金田麗華:繁男の孫娘)
大國千緒奈(黒田サチエ:繁男の近隣住民)
万丈(稲本勇武:繁男の近隣住民)
あべとしき(飯島徳:古物商)
武藤十夢(岸田万莉子:ゴミを溜め込む小学校の教諭、天雫の担任)
髙橋佳成(近藤涼介:潔癖症の万莉子の彼氏)
田中一文(教頭先生)
青山フォール勝ち(溝長弘隆:学年主任の先生)
にこにこぷんぷん(鹿島:万莉子に想いを寄せる先生)
八隅六(万莉子の同僚)
廣瀬伸子(万莉子の同僚)
串田洋一郎(万莉子の同僚)
倉田旺(河本:クレーム家族の子ども)
水田恵弓(クレームを入れる河本の母)
轟明日良(クレームを入れる河本の父)
天希衣絵菜(大島冴楽:別れ話を切り出す律稀の彼女)
伊藤由紀(律稀のファン)
紫尾田菜月(律稀のファン)
田島芽瑠(種咲伊代:TVのリポーター)
三戸雄太(TV局のスタッフ)
田島潤(TV局のスタッフ)
サッシャ(TVの解説専門家)
吉村志保(律稀の母)
山本楓人(律稀が想起するドッチボール少年)
髙橋凛人(律稀の生徒)
■映画の舞台
日本のどこか(ロケ地は福岡県福岡市)
ロケ地:
福岡県:那珂川市
八洲学園福岡女子商業高校
https://maps.app.goo.gl/9VSWzBDaYoKR8utC9?g_st=ic
福岡県:福岡市
デュークホテル中洲
https://maps.app.goo.gl/N4MhC5mRvwdphGmM6?g_st=ic
カノビアーノ福岡
https://maps.app.goo.gl/kNSUTsLZNZvq1pDz9?g_st=ic
唐八
https://maps.app.goo.gl/HwSrwwPVYEKnL45o7?g_st=ic
特別養護老人ホーム・マナハウス
https://maps.app.goo.gl/brnBSgW1HmHxHvbCA?g_st=ic
屋台の味 鬼多郎
https://maps.app.goo.gl/72pCjYZQgDnR8CCx9?g_st=ic
■簡単なあらすじ
ピアニストとして英才教育を受けてきた律稀は、あるコンクールの日に両手が震えて自由に動かせなくなってしまった
母の助言でピアノの個別指導をするものの、律稀は他に何かやりたいことはないのかと模索する
そして、偶然手元にあったチラシの「断捨離パラダイス」という清掃業者に興味を持ち、そこで働くことになった
社長の市木は一風変わった男で、素人の律稀を即採用して、翌日から働かせ始める
仕事内容はかなりハードなもので、初日から凄まじいゴミ屋敷の処分に同行させられてしまう
気持ち悪さで全てリバースしてしまうものの、社長は「大丈夫だと思うよ」と律稀を励ました
母の反対を押し切って仕事を続けることになった律稀は、片付けられないシングルマザー、潔癖症の彼氏を持つ小学校教諭、ゴミ屋敷の頑固ジジイ、フィリピンに帰る技能実習生などの「お片付け」を担当することになった
やがて、後輩もできて、仕事をそつなくこなすようになり、律稀はさまざまな人生にふれていくことで、少しずつ変わり始めていた
テーマ:ためこみ症の背景
裏テーマ:環境を壊していく心理
■ひとこと感想
断捨離という言葉に惹かれて鑑賞しましたが、まさかのゴミ屋敷の片付け映画に気分が悪くなってしまいました
潔癖症ではありませんが、度を超えたゴミ屋敷は、それが美術で作られているとしても精神的にキツイものがありました
なので、潔癖症まで行かなくても、ゴミが散乱しているのがダメな人、付随する虫などがダメな人はスルーした方が良いと思われます
映画は、オムニバスのような感じになっていて、清掃業者として働く律稀の日常が描かれていきますピアニストとして、優雅な生活が一変して、長年付き合ってきた彼女にもフラれてしまう
記号的な幸福感が崩れた先にあったのは、カオスとしか思えない世界でした
濃いキャラばかりで飽きませんが、やはりゴミ散乱の映像は作り物とわかっていてもしんどいですね
私の部屋も綺麗とは言いませんが、生ゴミを貯めるのは大嫌いなので、散乱しているのは無機物だけだったりします
断捨離というよりは、特殊清掃に近い印象があって、かつて働いていた職場のことを思い出してしまいますね
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
個人的には、かつて所属していた会社の一部門が「遺品整理処理班」でした
たまに呼ばれて、人が住まなくなった住居の片付けをすることがあったのですが、さすがに精神的にキツくて、それも辞めた原因の一つになっていました
断捨離は「残しておいて幸福に思えるものを選ぶ」という言葉があって、これはなるほどなと思ってしまいます
あまり断捨離ノウハウが出てくる作品ではありませんが、おおまかに分けてスペースを確保していく中で色んなものが整理整頓されていきます
かつて出演したAVに固執するシングルマザーは、その時代の裕福さが忘れられないのかもしれませんし、ゴミ屋敷の爺さんのこだわりも「息子に渡したくないものがあるから」という理由で片付けをしていないのですね
それぞれの行動に意味があるのですが、他人に迷惑をかけないレベルのためこみで留めておかないと、色々と大変なことになるのだなあと思い知らされます
■ためこみ症とは何か
「ためこみ症」とは、実際の価値とは無関係に所有物を捨てたり、手放すことができない特徴がある人のことを言います
英語で「Compulisive Hoarding(強迫的な買いだめ)」とされる「強迫性ホーディング」「プリーシュキン障害」は、海外では精神疾患の一つと捉えられています
実際の価値とは関係なく、過剰な所得や廃棄の困難による所有物の蓄積という特徴があり、個人や家族、社会や教育、職業などの機能分野における臨床的な苦痛や障害を引き起こします
収入や購入は反復的な衝動によってなされ、廃棄困難は「捨てることによる苦痛」「保存の必要性の認識の欠如」という特徴があるとされています
有病率に関しては、成人の場合2〜5%程度と推定され、典型的には小児などで出現し、高齢になって悪化するとされています
本来ならば、家族などの介入によって維持管理がなされますが、そうではない場合に悪化傾向に進むと言われています
ホーディング障害を持つ人には、うつ病、不安、強迫性障害(OCD)及び注意欠陥多動性障害(ADHD)などの他の障害及び心理的障害を抱えています
この他にも、アルコール依存症、偏執症、統合失調症、回避特性などの併発も挙げられます
個人的な話だと、母方の兄弟にこの症状の人がいて、この人の場合は「アルコール依存症メインのためこみ症(廃棄困難)」がありました
ワンカップの日本酒の瓶が部屋中に転がっていて、その数は数百本では効かず、彼の死後に部屋に入った時(それまでは誰も入れなかったそうです)にその惨状を目にしました
弁当などのゴミはほとんどなく、本当にワンカップぐらいしかなかったのですね
このケースはためこみ症とまでは言えませんが、廃棄困難と収集過剰(同じ酒瓶ばかり)という特徴があって驚いてしまいました
■断捨離の効能
とは言え、私自身もためこみ症の気がないこともなく、主に溜まってしまうのは領収書や検査結果などの書類関係が放置されています
映画のブログ用の資料、パンフレットなどは綺麗に収納されているので、優先順位の低いものから順番に溜まっていく感じですね
生ごみ系だけは後が大変なことがわかっているのと、効率を重視するので「使った食器は使い終えた直後に洗う」というところまではします
どうでも良いと自分で考えているものが貯まる傾向にあるので、そういったものをルーティン化することで改善されると思われるので、ためこみ症というものではないのでしょう
断捨離については概念は理解できますが、行動に移すとなると難しいところがありますね
置けるスペースを工夫して整理してしまう傾向があり、PCの箱とか、歴代のケータイ電話などが箱に眠っていたり、かつて起業していた時の書類関係が箱の中にあったりします
今では、競馬ブログ(Noteで予想公開)の資料(予想に使う出馬表を印字したもの)とか、かつてプリントアウトした小説原稿などの個人情報があるものの始末に困っています
とりあえず用紙を箱で購入しているので、その箱に綺麗に収めていますが、ぶっちゃけいらないものだったりします
シュレッダーを購入して捨てようかと思っても、安いシュレッダーだと効率が悪く、とりあえず放置ということになっています
「断捨離」はヨガの「断行」「捨行」「離行」という3つの考え方が合わさって提唱されたもので、出自は冲正弘の著書『ヨガの考え方と修行法 上巻』に由来します
「断業」とは、「新たに手に入りそうな不要なものを断る」
「捨業」とは、「家にずっとある不要なものを捨てる」
「離業」とは、「物への執着から離れる」
という意味になります
いわゆる「もったいない精神」の真逆を行くもので、ヨーガの行法の一つと考えられています
断捨離は同居家族の所有物に波及することでトラブルになりますが、基本的には「自分の所有物に対して行うもの」であり、同居人がいる場合などは価値観のすり合わせをしていくか、それが無理なら居住空間を分けるしかないと思われます
間違っても、自分の価値観を押し付ける形になって、他人の所有物を無断で廃棄するのはやめるようにしましょう
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
個人的には断捨離をしたいと思ってはいますが、何をどう手をつけていいのか悩んでしまいます
映画の中では、「どう見てもいらないもの」を業者が行い、必要か不要かを本人が分けるという流れになっていました
迷ったものはとりあえず「残す」ということでしたが、この際に「残すもの=未来にそれがあって幸せをもたらすもの」というような基準を定めていました
要は、断捨離後の世界を想像させることで、その未来において必要なもの以外は捨てるという価値観になると言えます
具体的な未来像がなくても、部屋をどうしたいかというイメージを持つことも良いと思います
個人的な感覚だと「ルンバを使える部屋にする」というもので、これは「床に物を置かない状況にする」という意味合いになります
あとは「捨てる作業を簡単にする」というもので、配達物などを即座に仕分けるために「不要紙ごみの捨て場所を入り口付近に設置する」などがあります
帰宅後の動線の中で習慣づけることで、後回しにするのを極力避けるということになります
同居人がいる場合だと、その動線が複雑になると思うのですが、個室がある場合はその中にうまく配置すると良いと思います
共用スペースにそれを作れて、同じような動線を共有できるなら良いと思いますが、それが難しい場合は「自分の空間だけは維持する」というのをやる方が健全だと思うのですね
共用スペースは「どんな部屋にしたいか」ということを話し合うしかないのですが、習慣化させることを念頭に置いておけばトラブルも少なくなるのではないかなと思います
一番難しいと思うのは、居住地の基準に沿った分別だと思います
地域によっては、環境ゴミを一般ゴミに混ぜるところもあれば、数十種類の分別がある自治体もあります
いつも行くスーパーで回収してくれるトレイとか、家電店の前にあるインクなどのリサイクル、電池などの回収など、自宅で完結させずに楽に捨てる方法もあったりするので、そういったゴミの捨て場所を自分の生活圏の中で見つけておくのも有用だと思います
結局のところ、捨てることを後回しにするとだんだん億劫になってしまい、精神的な苛立ちがあって、そのうち環境に慣れてしまうのだと思います
個人的にも、あまりにも物が増えてくると癇癪を起こしてところ構わず捨てに走るのですが、個人情報関連のものの捨てるハードルが高くて萎えてしまうのですね
そうした「戦い」に敗れると一直線という感じがするので、「捨てることでその後の行動や精神性の維持につながる」と考えて、習慣化するしかないのかなと思ってしまいます
■関連リンク
Yahoo!映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://movies.yahoo.co.jp/movie/388721/review/81688951-86ff-4282-882f-dffd98203291/
公式HP: