■子どもと大人が感じる怖さに違いがあるが、子ども向けに作るならば、その怖さをもっと際立たせた方が良かったように思えました


■オススメ度

 

原作ゲームのファンの人(★★★)

原作ゲームを知らない人(★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.2.9(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

原題:Five Nights at Freddy’s

情報:2023年、アメリカ、109分、G

ジャンル:廃墟のゲームセンターの警備員が未曾有の出来事に巻き込まれる様子を描いたホラー映画

 

監督:エマ・タミ

脚本:スコット・カートン&クリス・リー・ヒル&タイラー・マッキンタイア

原作:スコット・カーソン『Five Nights at Freddy’s(ソフト原案)』

 

キャスト:

ジョシュ・ハッチャーソン/Josh Hutcherson(マイク・シュミット:廃墟となった「Freddy Fazbear‘s Pizzaria」の夜間警備員)

   (少年期:Wyatt Parker

パイパー・ルビオ/Piper Rubio(アビー:マイクの妹、10歳)

 

エリザベス・レイル/Elizabeth Lail(ヴァネッサ・シェリー:マイクを助ける警官)

 

マシュー・リラード/Matthew Lillard(スティーヴ・ラグラン:薄情な職業相談員)

 

メアリー・スチュアート・マスターソン/Mary Stuart Masterson(ジェーン:アビーの親権を狙う叔母)

Michael P. Sullivan(ダグ:ジェーンの弁護士)

 

キャット・コナー・スターリング/Kat Conner Sterling(マックス:アビーのベビーシッター)

David Lind(ジェフ:マックスの兄)

Christian Stokes(ハンク:ジェフの友人)

Joseph Poliquin(カール:ジェフの友人)

 

Grant Feely(金髪の少年、ゴールデンフレディ/イエローベアーの中身)

Asher Colton Spence(ホックをつけた少年、フォクシーの中身)

David Huston Doty(ウサギ耳をつけた少年、ボニーの中身)

Liam Hendrix(シルクハットを被った少年、フレディの中身)

Jophielle Love(青い瞳の少女、チカの中身)

 

Lucas Grant(ギャレッド:マイクの行方不明になった弟)

Jessica Blackmore(マイクの母)

Garrett Hines(マイクの父)

 

Ryan Reinike(冒頭で逃げようとする警備員)

Theodus Crane(ジェレミー:マイクの前職の同僚)

Julia Belanova(シンディ:マイクの行きつけのケータリングの店員)

Lisa Mackel Smith(アイスクリーム店の女)

Matthew Patrick(「Sparky’s Diner」のウェイター)

Bailey Winston(キム:テレビの解説者)

Gralen Bryant Banks(薬剤師)

Cory Williams(タクシー運転手)

Tadasay Young(リリアン:精神科医)

Victoria Patenaude(ソーシャルワーカー)

Xander Mateo(怖がって叫ぶ少年)

Michael W. Hoban(誘拐犯と間違われる男)

 


■映画の舞台

 

アメリカ:

ある地方都市の廃墟となった家族向けエンターテイメントセンター「FreedyFazubear‘s Pizzaria」

 

ロケ地:

アメリカ:ルイジアナ州

オックスフォードセンター/Oakwood Center(マイクの前職)

https://maps.app.goo.gl/UtAz3NAx7Zr8oprZA?g_st=ic

 

ラプレイス/Laplace

https://maps.app.goo.gl/CwQFYd8wYEurN6u46?g_st=ic

 

コヴィングトン/Convington

https://maps.app.goo.gl/R8EUiedNTuAKCsVb9?g_st=ic

 

メテリー/Metairie

https://maps.app.goo.gl/k3vidnXQhR878MfB8?g_st=ic

 

シャルメット/Chalmette

https://maps.app.goo.gl/kHhNqq36jGZDqkMv5?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

ショッピングモールの警備員をしていたマイクは、精神的に参っていて、妹アビーとの生活を守るのに苦慮していた

叔母のジェーンは弁護士を立てて親権を奪おうと躍起になっていて、ベビシッターを装うスパイまで仕向ける始末だった

 

モールにて騒いでいた少年を連れて行った男を誘拐犯だと思い込んでボッコボコにしてしまう

結局、その二人は単なる親子で、それによってマイクは職を失ってしまう

マイクは職業相談所に駆け込み、そこで「廃墟となったゲームセンター」の夜間警備員を始めることになった

 

マイクは極度の神経症状に悩まされていて、弟ギャレットが誘拐された少年時代の夢をなん度も見ていた

また、謎の少年少女が見えるようになり、それによって、センター内でも奇妙なものを見てしまうことになった

 

ある日、ベビーシッターのマックスが休むとのことで、やむを得なく職場に連れてきたマイクだったが、アビーもセンターから何かを感じ取るという

そして、二人はあり得ない事態へと巻き込まれてしまうのである

 

テーマ:家族の絆

裏テーマ:トラウマからの脱却方法

 


■ひとこと感想

 

原作のゲームを全く知らないので、薗キャラが持つイメージが浮かびませんでした

とは言え、そこまで必要な情報かはわからないのですが、パンフレットを読む限り、ゲームをやりこんでいる人向けのイースターエッグが死ぬほど隠されているという感じでしたね

なので、解説を読んでもほとんど意味不明という感じになっていました

 

映画は、あるゲーセンの人形に襲われる系で、それには忌まわしき過去の事件があったというもので、その過去の事件に主人公が絡んでいるというパターンでした

なので、彼の幼少期に行方不明になった弟が絡んでくるというもので、連続児童誘拐事件が絡んでいる、という内容でした

これは何となく読めるパターンで、その被害者たちの精神的なものがあの人形に込められている、というパターンのように思えます

 

物語は、ホラー要素よりも、主人公の過去の葛藤がメインになっていて、犯人と関係している人物がキーポイントになっています

そのキャラがなぜここにいるのか、を考えると明白で、そこまで難しく考えるものではありません

とは言え、結構退屈で、ゲームを知らないとどこで盛り上がれば良いのかわからなくなってしまいますね

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

2014年にリリースされたホラーゲームが原作で、その世界観を映像化したものになっていました

廃墟と化した「ピザレストラン」が舞台のようですが、見た印象だとどこかの場末のゲーセンのようなイメージがありました

そのセンターにいる人形(機械?)が動き出す系ということで、それをしている犯人は誰?みたいな感じになっています

 

映画は、ホラー映画を手掛けるブラムハウスが制作を担当していますが、子ども向けに作られているので、そこまで怖くはありません

とは言え、子ども目線だと、慣れ親しんだキャラが襲ってくるというものなので、本当のところは怖いのでしょう

ディズニーのドナルドとかミッキーが襲ってくると考えると、イメージがつきやすいのかもしれません(ゲーム由来だとマリオとかが襲ってくるイメージなのかな)

 

物語は、前半でしつこいぐらいにマイクの悪夢が登場し、失踪した弟というものが登場します

てっきり弟の霊が犯人!みたいな流れかと思いましたが、まさかの人物が犯人という感じになっています

リークすればすぐに捕まりそうですが、娘は何やってたんだろうか、とよくわからない部分が多かったように思えました

 


原作ゲームについて

 

原作は、『Five Nights at Freddy‘s』というPC&スマホ用のホラーゲームで、略称はFNAF(FNaF)で「フナフ」と呼ばれています

続編として、『Five Nights at Freddy‘s 2』『Five Nights at Freddy‘s 3』『Five Nights at Freddy‘s 4』『Five Nights at Freddy‘s Sister Location』『FreddyFazbear‘s Pizzeria Simulator』『Ultimate Custom Night』『Five Nights at Freddy‘s VR:Help Wanted』『Five Nights at Freddy‘s:Security Breach』の9シリーズ、スピンオフ作品として『Fnaf World』『Ultimate Custom Night』『Five Nights at Freddy‘s VR:Help Wanted』というものがあります

 

本作の主人公マイク・シュミットは1作目の主人公で、容姿は一人称視点のゲームなのでわかっておらず、ゲーム画面で瞳の色が青いことだけがわかっています

フレディーズピザの夜間警備員に志願し、週給120.50$という低賃金で、命懸けの勤務に当たっています

その後も、様々な人物が夜間警備員に応募して出勤することになっていて、基本的には警備室から出ないキャラクターとなっています

 

このキャラ以外には、オーナーが登場し、2日目まで電話でアドバイスをくれるキャラがいて、FNaFのそれぞれのシリーズに付随するキャラがいたりします

本作のアビーはどうやらオリジナルのキャラとして設定されています

映画にも登場する「ロボットキャラ」は「アニマトロニクス」と呼ばれるキャラで、着ぐるみのガウを着ているロボットのことを言います

クマのキャラが「Freddy Fazbear(フレディ)」で、ウサギが「Bonnie(ボニー)」、ヒヨコが「Chika(チカ)」、キツネが「Foxy(フォクシー)」で、フレディとボニー、チカの3体はバンドを組んでいるという設定になっています

この他に「Golden Freddy(ゴールデンフレディ」という金色のキャラが稀に登場します

この他ににシリーズでたくさんのアニマトロニクスがいますが、このベースのキャラに色をつけたものになっています

 


勝手にスクリプトドクター

 

映画は、原作をそのまま映像化したものではなく、マイクは施設内を動くキャラになっていて、弟ギャレッド、妹アビーがいる設定になっています

物語のメインは「ギャレッドへの後悔」が主体となっていて、その過去のトラウマとアニマトロニクスに幽閉されている子どもたちの霊というものが存在するようになっていました

これらを絡ませて、いわゆる「スピリチュアルホラー」に仕立てあげていて、因果を絡める閉鎖空間ホラーとして制作されています

 

閉鎖空間ホラーは、その場所に主人公が立ち入ることになった理由を知ることで解放されるという流れがあり、それが稀に出現するゴールデンフレディの正体と、この施設を牛耳っている存在の発見となっていました

この場所にマイクを引き込んだのは、職業斡旋のスティーヴ・ラグランですが、彼の正体は連続して起きた児童誘拐の犯人ウィリアム・アフロンだったのですね

そして、マイクを監視する役目を担っていたのが、警官でもある娘のヴァネッサということになっていました

彼女の不自然な登場、廃墟なのに電飾がつきまくって夜は派手なテーマパークになったりします

 

この映画の日本での失敗の致命的な理由は、ゲームが浸透していないからで、その世界観や細かな伏線、オマージュなどがまったくわからないからだと言えます

それによって、単純にホラー映画として面白いか?が問われることになるのですね

映画では、キャラに独特な色付けをする必要がありますが、それができるのは人間のキャラだけなので限界があります

本作では、それをマイクに集中させているのですが、彼の目線での怖さというのは、映画鑑賞の場合だと大人の目線になるのですね

 

無論、製作者側も大人目線になるのですが、子どもを取り込むために映倫区分のレートを下げることになっていて、これがホラー表現の物足りなさに繋がっています

マイクが来るまでの警備員であるとか、昼間に登場する強盗団などが惨殺されるシーンは、この映画のホラー要素の醍醐味だと思うのですね

なので、マイクによる大人目線を採択するならば、ホラー表現もR15+にならないと何一つ怖くない表現になってしまいます

グロを増やせば良いというものではありませんが、大人でも怖いと思わせるぐらいでないと、主人公のマイクが怖いはずもないので、このあたりのバランスをもっと精査したほうが良かったのではないか、と感じました

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、ロボットに霊的なものが乗り移って人を襲う系で、かつ制作がブラムハウスということで、否応なしに『M3GUN』と比較されてしまいます

『M3GUN』にも大人キャラが登場しますが、あくまでも子どもがミーガンと絡むという映画なので、本作の場合だとアビーがどれだけアニマトロニクスと絡むかというのが命題になっています

舞台は廃墟同然なので、そこのマスコットキャラたちをアビーが知るよしもないのですが、現代風にアップデートするならば、懐古的なブームの到来に便乗して、かつてのアニマトロニクスたちの栄華がネット上にあって知っているという流れでも良かったでしょう

 

アビーがあの場所に来るために強盗団の惨殺が必要で、シッターがいないから仕方なく連れてくるのですが、それよりも兄の職場に興味を持って能動的に来たがる方が良いのだと思います

マイクはアビーの親権争いをしていますが、アビーが誰と暮らしたいかというのを明確にする上でも、マイクとの仲の良さを強調する必要があります

なので、シッターが必要な年齢だけど、ブラコン気質が強くて、それゆえにアビーは積極的にマイクの全てに関わってくるのですね

その先に「新しい職場への興味」を示すことになり、マイクは「誰にも言えない状態」で、彼女をあの場所に連れてくることになる、という流れになると思います

 

そこからは、アビー視点のホラー劇場の開幕で、彼女のパートでは子ども目線での怖さというものが存分に発揮されるパートになります

彼女はアニマトロニクスの中にいるものに気づいている節があるので、その体験をマイクに話すことによって、彼自身のトラウマというものが再認識される流れになります

映画では、何度も悪夢を見るという流れになっていますが、ぶっちゃけるとクドいのですね

なので、その悪夢は強烈なものが1回で、それがアビーの行動によって再燃される方が効果的であるように思えます

 

映画は、年齢制限なしのホラー映画なのですが、子ども目線で感じる怖さは見た目とかではなく、見知らぬ大人たちに取り囲まれることのように思います

それを踏まえると、マイクがギャレッドの夢を怖がるのと同じように、自分の前からマイクが消える夢を見る方が効果的なのですね

そして、それがアニマトロニクスの仕業にように思えて、実際には叔母のジェーンであるように仕向けていき、彼女は二人を引き裂くためにキャリアカウンセラーと結託しているという込み入ったものを持ち込んでも良かったように思えました

ここまで複雑にすると理解が難しいかもしれませんが、ジェーンと犯人が親族である、もしくは共犯である、という設定を作って、小児性愛への結託が起こっているというものに作り込んだ方が子ども目線の現実的な怖さとリンクしたのではないでしょうか

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/100533/review/03465016/

 

公式HP:

https://fnaf-movie.jp/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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