■FUJIKO
Contents
■オススメ度
昭和のシングルマザーの生き様を体感したい人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2026.6.8(アップリンク京都)
■映画情報
情報:2026年、日本、95分、G
ジャンル:理不尽な仕打ちに晒されるシングルマザーの奮闘を描いたヒューマンドラマ
監督:木村太一
脚本:我人祥太&國吉咲貴
キャスト:
片山友希(菅波富士子:停電した病院で娘を出産した母親)
渡辺友那(麻理:富士子の一人娘、幼少期)
(幼児期:寺田楓)
諏訪珠理(古宮次郎:富士子の夫)
YOU(古宮敏子:富士子の姑)
瀬戸さおり(古宮悦子:次郎の姉)
リリー・フランキー(佐々岡誠:富士子の話を聞く料理人)
うじきつよし(菅波昭正:富士子の父)
岸本加世子(菅波千代:富士子の母)
竹下景子(畑山:麻里を預かる施設の園長)
イッセー尾形(大石清:富士子を手助けする蕎麦屋の店主、昭正の飲み友達)
馬場園梓(大石の娘)
ミズモトカナコ(大石の娘)
橋本淳(下田敏雄:生命保険の営業マン)
MEGUMI(奈倉瞳:喫茶店「フォレスト」のママ)
成松修(イサム:怪しい仕事を紹介する喫茶店の客)
関口アナン(アキラ:喫茶店の常連客)
樋井明日香(紅緒:賭場の賄い係の先輩)
田中佑弥(富士子の兄)
仁科貴(タクシーの運転手?)
渡邊聡
Jin Dogg(賭場でチップをくれる客)
深澤しほ(産婆)
澤奈央(活動家)
野々川杏奈
長谷川愛美(市役所の職員)
沖なつ芽(幼稚園の職員)
末永唯子
直井忠道(保育園の職員)
冨井桂子
橋野純平(交番の警察官)
奥田啓介
荒岡龍星(賭場の客)
須森隆文(賭場の客)
藤本タケ(賭場の親、花札)
黒木敬太朗
宮川飛鳥
佐藤五郎(富士子の親族)
イシイジュン
結城さなえ(兄の妻)
蒲田哲
横山涼
ちこ
杉山未央(富士子の親族)
伊藤白馬(保険会社の同僚)
花戸祐介(保険会社の同僚)
太田望織
國場葵
■映画の舞台
1977年&1982年~
静岡
ロケ地:
東京都:台東区
佐竹商店街
https://maps.app.goo.gl/ZHwKAkMyVKrjDG8F6?g_st=ic
千葉県:浦安市
喫茶さくら
https://maps.app.goo.gl/Jf8yMcvRZt1qzNdB9?g_st=ic
東京都:板橋区
みその幼稚園
https://maps.app.goo.gl/D7aFQ3uN1dzQykCN9?g_st=ipc
埼玉県:吉川市
吉川あさひ幼稚園
https://maps.app.goo.gl/qfC3iM1bVtsuTbdv7?g_st=ic
東京都:台東区
まえ田食堂
https://maps.app.goo.gl/mBdkQ5LsxXNP4aPGA?g_st=ic
静岡県:静岡市
太陽生命保険株式会社 静岡支社
https://maps.app.goo.gl/ejGQRGTb1dMUoKpm6?g_st=ic
■簡単なあらすじ
1997年に停電の中で娘・麻理を出産した富士子は、夫・次郎の経営しているクリーニング店を休んで育児に専念しようと考えていた
だが、夫の姉・悦子から「年寄りを働かせるのか」と罵声を浴び、その赤ん坊を取り上げられてしまう
母・千代に泣きついた富士子だったが、母は激昂し、姑に対して「離婚」を突きつけ、大げんかになってしまった
その後、実家で不甲斐ない生活を続けていたが、行きつけの喫茶店のママ・奈倉から「女性解放運動」への参加を促され、そこで富士子は夫の実家に乗り込んで、半ば実力行使のような感じに赤ん坊を奪い返した
そして、実家を飛び出し、奈倉が用意してくれた住処で育児を始めるものの、喫茶店での賃金だけでは立ち行かず、客のイサムから「ある仕事」を紹介されることになった
その後、紆余曲折を経て保険の営業を始めることになった富士子は、とある料理店の裏口で休んでいた料理人・佐々岡に声を掛けた
そこでこれまでの身の上話を語り、佐々岡もそれに興味を持って傾聴するようになった
富士子は女手ひとつで麻理を育てていくのだが、そこには大石という父の友人の存在が大きかった
麻理もじいじと呼ぶようになり、家族同然の生活を初めていく
そんな折、大石の蕎麦屋に保険のセールスマンがやってきたのである
テーマ:人生で頼りにできるもの
裏テーマ:母親を突き動かす衝動
■ひとこと感想
ほぼほぼ事前予習をしている間もなく、各種映画サイトでは「主人公の名前ぐらいしかわからない」感じになっていて、監督の母親の実体験がベースになっている、という裏話だけは入ってきました
昭和50年代の静岡が舞台となっていて、そこで嫁いだ最悪な環境で、勢い任せの生活を送ってきたことがわかります
映画の構成は、保険のセールスをしている富士子が、とある料理人に人生を語るという内容で、それを傾聴するのがリリー・フランキー演じる料理人となっていました
脇を固めるキャストが豪華で、モブキャラに至るまで個性的な人物が多かったですね
どこまでが本当の話かはわかりませんが、ちょうど親が私を育てていた頃の時代でもあり、麻理目線で世界を見ている感覚にもなってしまいます
関東圏で起こっていた学生運動などは知る由もありませんが、今よりも劣悪な環境で、さらに女性に対して厳しいというのは体感できるものだと思います
映画では、富士子が料理人に語る中で「過去」が暴露される展開になりますが、かなりディープな世界になっていましたね
キャスト欄を作っていて思ったのですが、取り調べの刑事が監督だったんじゃないかな、と思いましたね
あっているかわかりませんが、妙にしっくりハマっていたなあと思ってしまいました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
本作のネタバレは、この一連の語りの目的だと思います
これが判明するときに場内は爆笑の渦に包まれていましたね
さりげなく通り過ぎた同じビルのOLたちの言葉と、それを聞いて「サッとパンフを出す富士子」「してやられた顔をする佐々岡」は素晴らしい瞬間だったと思います
さらに富士子の母と姑の喧嘩も面白くて、めっちゃリアリティあるなあと思ってしまいました
夫も残念なことになっていましたが、このシーンはホラーっぽくて緊張感が漲っていましたね
映画は、富士子が家族にブチ切れて実家を出ていき、そこで喫茶店、賭場の賄い、大石家に転がり込んでからの急展開となっていました
会社の炊事場で内緒で社内恋愛をしているとか、女性がセールスのトップだったら「枕をしている」みたいなトークも昭和ならではのように思います
それでも、ラストの富士子の決断は「そうですよね」と思わせてくれるものがありました
富士子が彼との人生を歩まなかったのは、彼の内向きの未来に夢を持てなかったことが要因だと思います
それを言って良い相手と悪い相手がいるのですが、彼にはその判別がつかなかったのでしょう
時代背景もあると思いますが、安定を求めることで安定に繋がった試しはないと思います
あくまでもがむしゃらに人生を生きてきた人は、自分の過去を振り返って語るような戯言にも思えてしまいます
喫茶店のママを演じていたMEGUMIがプロデュースしていましたが、演じてきた側が作る映画って面白いですね
演じる側とまとめる側で必要なものが両方見えていると思うのですが、それ以上にいかにして観客に届けるかという部分で実践的に妥協がないのは素晴らしいと思いました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、激動の時代を歩んだシングルマザーが人生を語るという内容で、それが実は保険のセールストークだったということになっていました
「一番安いやつでいいんだよね」と料理人が言った後に通行人の「娘さんの話聞いたら」という声が入って、そこからパンフレットを出す動きが瞬速すぎて笑ってしまいました
このシーンをはじめとして、ユーモアに溢れるシーンが多くて、ほっこりする部分もあるかと思えば、ヤバすぎる賭場のシーンなどではひりつくような緊張感が漲っていました
富士子の作る料理が好評で、賭場のリズムを崩すほどにみんなが食べていたのは笑ってしまいましたね
さらに賭場の親がそれを見て眉を顰めるとか、最初にチップをくれた客が引っ越しのシーンで麻理と仲良く遊んでいたりしました
その引っ越しのシーンで手伝いをしているイサムの手下がいましたが、おそらく彼が一連の強盗の犯人だと思いました
説明という説明を言葉でするのではなく、それぞれのキャラの挙動を見せていくので、演者としてもやりがいを感じた作品じゃないかな、と感じました
登場する食べ物もとても美味しそうだったし、それを食べるシーンもどことなく美しさを感じてしまいます
人と人の繋がりの先に幸福はあると思いますが、それでもそれを維持するためには安定は一番の敵なのですね
なので、富士子は彼と一緒にならないほうが良いと思うし、家庭の中で自分を押し殺すような未来しか見えませんでした
富士子の兄はその判断に悪態をついていましたが、母の方は理解していましたね
時代の流れもあったと思いますが、男性社会で生きてきた母親としても、自分を投影していた部分もあったのだと思います
その判断を尊重して送り出した彼も本当に良い人だと思うのですが、その優しさは来るべき未来(私たちの歩んできた過去)では通用しなかったんじゃないかな、と感じました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/103625/review/06604931/
公式HP:
