■ロバート・フロストの「Fire and Ice」の背景を知ってから鑑賞すると良いかもしれません


■オススメ度

 

シリーズのファンの人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.4.3(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

原題:Ghostbusters:Frozen Empire(ゴーストバスターズ:凍てつく帝国)

情報:2024年、アメリカ、115分、G

ジャンル:謎のオーパーツの影響で氷漬けになるNYで奮闘するゴーストバスターズを描いたSFアクション映画

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監督:ギル・キーナン

脚本:ギル・キーナン&ジェイソン・ライトマン

原作:ダン・エイクロイド&ハロルド・ライミス

 

キャスト:

マッケンナ・グレイス/Mckenna Grace(フィービー・スペングラー:新生ゴーストバスターズのゴーストオタクの15歳)

フィン・ウルフハード/Finn Wolfhard(トレヴァー・スペングラー:フィービーの兄)

キャリー・クーン/Carrie Coon(キャリー・スペングラー:フィービーの母)

ポール・ラッド/Paul Rudd(ゲイリー・グルーバーソン:キャリーの恋人)

 

ダン・エンクロイド/Dan Aykroyd(レイモンド・スタンツ:初代のリーダー、オカルト古書店経営)

ビル・マーレイ/Bill Murray(ピーター・ベンクマン:行方不明の初代のメンバー、元心理学者)

アーニー・ハドソン/Ernie Hudson(ウィストン・ゼドモア:初代のメンバー、ゴースト研究所設立の実業家)

アニー・ポッツ/Annie Potts(ジャニーン・メルニッツ:ゴーストバスターズ社の元受付嬢)

 

セレステ・オコナー/Celeste O’Connor(ラッキー・ドミンゴ:トレヴァーの恋人、ゴースト研究所のインターン)

ローガン・キム/Logan Kim(ポッドキャスト:フィービーの友人、古書店手伝い)

 

William Atherton(ウォルター・ペック:市長、元連邦環境保護局の支局長)

 

クメイル・ナンジアニ/Kumail Nanjiani(ナディーム・ラズマディ:骨董品を持ち込む男)

ジェームズ・アカスター/James Acaster(ラーズ・ピンフィールド:ゴースト研究所のエリート研究員)

 

パットン・オズワルド/Patton Oswalt(ヒューバート・ワルツキー:古代言語に詳しい博士、NY市立図書館の司書、民俗学専門家)

John Rothman(図書館の館長)

 

エミリー・アリン・リンド/Emily Alyn Lind(メロディー:少女のゴースト)

 

Shelley Williams(調査官)

Chris Tummings(警察署長)

 

Stephen Whitfield(1904年の消防隊長)

Samuel Greco(1904年の消防士)

Chris Ginesi(1904年の消防士)

Brandon Burke(1904年の消防士)

Karack Osborn(1904年の消防士)

 

Kevin Mangold(スライマーの人形使い)

Ian Whyte(ガラッカの人形使い)

 

Natalie Cousteau(ダディ:ナディームの祖母)

Allison McKay(ミコウスキ夫人:時計持ち込む老女)

Adam Speers(人形の持ち主)

 

Claire Titelman(ニュース特派員)

Evelyn Edwards(レポーター)

Andrew Goddard(レポーター)

Deeivya Meir(レポーター)

 

Maria Teresa Creasey(メロディ・ダイナーのウェイトレス)

 

Megan Robinson(コーヒーショップの母親)

Evelyn Anne Bulls(コーヒーショップの子ども)

Damian Muziani(道路上のタクシードライバー)

Remy Germinario(地図を見る旅行カップル)

Michael Kushner(地図を見る旅行カップル)

 

Sophia Lucia Parola(ビーチの女)

Camari Brown(ビーチを走る男)

Claudia Nell McCoy(ビーチを走る女)

Deisy Patiño(ビーチの女友達)

Victoria Giler(ビーチの女友達)

Cassidy Goron(ビーチの少女)

Erik Kandefer(ビーチの男)

Nyah Williams(海を見る女)

 

Georgia Aaron(ポッドキャストのファン)

Jesse Gallegos(VAPEショップ店員)

Jonathan Mercedes(NYの警官)

Vinnie Coppola(NYの警官)

Robert Smith(NY市警の警官)

 

A.J. Voliton(NYCの傍観者)

Adam Murray(トラックの運転手)

Pat Kiernan(ニュースアンカー)

Kalisha A. Johnson(レポーター)

Ethan Keaton(NYのジャーナリスト)

 

Holden Goodman( NYの歩行者)

Bern Collaço(NYの歩行者)

Rafael Piamolini(NYの歩行者)

Ross Donnelly(電話する男)

Bella Glanville(インフルエンサー)

Alan Mechem(大道芸人)

Suki Úna Rae(深夜の少女)

 


■映画の舞台

 

アメリカ:ニューヨーク

 

ロケ地:

イギリス:ロンドン

 

アメリカ:ニューヨーク

 


■簡単なあらすじ

 

前作にて、オクラホマ・サマーヴィルで活躍したゴーストバスターズたちは、それから2年後も変わりなく、ニューヨークのゴースト退治に明け暮れていた

フィービーは15歳になり、銃座からゴーストを捕獲する任務を任され、母キャリー、兄のトレヴァー、そして母の恋人ゲイリーとともに「家族」になりつつあった

 

ある日、ゴーストドラゴンを捕まえるのに街を破壊してしまった彼らは、市長から未成年者の活動は禁止だと言われてしまう

やむを得ずにフィービー抜きでゴースト退治に向かう彼ら

フィービーは疎外感を感じたまま、深夜の公園にて一人チェスを興じていた

 

だが、駒が勝手に動き、彼女の前にメロディという名の焼死した少女のゴーストがやってきた

フィービーは怖がることもなく、彼女と接しているうちにある絆が芽生えてくる

 

一方その頃、初代ゴーストバスターズのレイの元に「ある骨董品」が持ち込まれた

それは祖母のコレクションだというものの、金に困った売主は二束三文でそれを売り払ってしまう

その骨董品は象形文字が刻まれた真鍮でできた球体で、そこには恐ろしいゴーストが封印されていたのである

 

テーマ:大人の階段

裏テーマ:家族として抱き合う喜び

 


■ひとこと感想

 

初代はほとんど記憶になく、前作『ゴーストバスターズ:アフターライフ』からきちんと参戦のにわかですが、前作を忘れていても問題ない話だったと思います

前作では、12歳のフィービーたちがゴーストバスターズとして活躍し、強敵を前にして初代が助けてくるという流れになっていました

今回も初代は登場しますが、前回ほどアガる感じにはなっていませんでしたね

 

映画は、擬似家族的な状態(父親の交代)から家族になれるのかどうかというところがメインテーマで、フィービーがゴーストバスターズから阻害されてしまう様子を描いていきます

それが未成年は働いたらダメという真っ当なものではありますが、ゴーストバスターズって職業ではないのでセーフのような気もします

 

物語は、疎外感を感じるフィービーの元に理解者が現れるという感じになっていますが、その背景で「めっちゃ強い敵が復活しそう」という王道展開を迎えています

そして、その復活に意図せずして関わってしまうことで、さらに疎外感が自分の中で育っていくという展開になっていました

そこからの展開は読めてしまうけど、そうなって欲しいをそのまま叶えてくれる展開になっていましたね

そう言った意味では、裏切らずに安心して観ることができる作品だったと思います

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

前作が近々地上波でやるとのことで、その予告を見ると「子役がみんな大人になったなあ」と思ってしまいましたね

逆に初代の面々はあの機械抱えられんやろというぐらいにお年を召してこられたように思います

 

本作は王道展開なので、前半で「家族」がテーマだとわかった瞬間にオチは見えてくると思います

でも、この家族云々の流れに関しては、前作を観ていないとちょっと関係性が分かりにくいように思えます

特にフィービーだけが疎外感を感じているというところが、彼女だけ里子なの?と勘違いさせてしまうように思えました

実際には、父親の代わりになるゲイリーを父と呼べるかどうかという問題なのですが、本作だけでそれを感じるのが少し難しいかもしれません

 

映画は、4DXとかで楽しめそうな感じで、字幕の小箱でも半分以上埋まっていましたね

春休みももうすぐ終わるので、新学期に向けてアガりたいならちょうど良いかもしれません

次作があるとしたら青春期真っ盛りで、トレヴァーが女にうつつを抜かしてやってらんねえ反抗期で、フィービーのブラコンっぽさが出てきやしないかと心配になってしまいます

 


冒頭の引用句について

 

映画の冒頭では、ロバート・フロストRobert Frost)の言葉が引用されていました

その出自とネタ元をちょこっと掘り下げてみたいと思います

 

【Fire and Ice(1923年)】

Some say the will end in fire,(世界は火で終わるという者がいる)

Some say in ice.(氷で、という者もいる)

From what I’ve tasted of desire(私は欲望を知ったから)

I hold with those who favor fire.(火だという人の気持ちがよくわかる)

But if it had to perish twice,(でも、世界が2度滅ぶなら)

I think I khow enough of hate(氷による破滅もある)

To say that for destruction ice(氷が破壊するというなら)

Is also great(それは素晴らしく)

And would suffice(十分なことなのだろう)

※( )内の役は字幕と同じではなく、筆者によるグーグル翻訳さんアレンジバージョンになっています

 

1920年のハーパーズマガジンに掲載された詩で、炎の要素を持つ力を感情、氷を憎しみに例えて、「世界の終わり」について書いたものでした

なので、上の詩を要約すると、「世界が滅ぶのは感情(炎)だが、2度滅ぶとしたら憎しみ(氷)ではないか」ということになります

感情の中に憎しみがあるのですが、本当の破滅は「憎しみ」によって齎されるということになります

 

この詩はダンテの『地獄篇』の一節からインスピレーションを受けたというもので、「地獄にいる最悪の裏切り者は最下層で凍らされる」「それは水ではなく、氷、ガラスのようにも見えた」「罪人は氷の中に囚われている」というあたりがネタ元とされています

映画におけるガラッガは地上にいる人々を憎み、自分と同じように「氷漬け」にしようとしているので、それに対抗するには「憎しみ」の逆の要素で戦うことになります

それを端的に言えば「愛」ということになりますが、映画ではその中でも親子愛、家族愛というものを強調しているように思えました

 


親子の絆はいかにして生まれるか

 

本作は、父が他界した後に「父親的存在」が加入した家族を描いていて、その男性が父親になれるのかどうかというところを描いていました

家族内の経緯に関しては前作を観た方が理解が早いのですが、ざっくりとした流れだと、前作にてゲイリーは「フィービーとポッドキャストの科学の先生」という設定でした

彼はゴーストバスターズのファンで、フィービーたちをサポートすることになり、それがきっかけでフィービーの母キャシーと付き合うようになっています

フィービーは母が先生と付き合っているという状態を快く思っていませんでしたが、前作のラストではその関係を受け入れるようになっていました

 

映画は、その前提の上で「父親として認めるか」というステージに入っているのですね

映画の冒頭では、ゲイリーの方がパパになれるかを試されている感じになっていて、後半ではフィービーが「パパ」と呼べるようになっていました

バランスとして「フィービーが受け入れられるか」というのが命題になっているように思えます

とは言え、覚悟を示すのはゲイリーが先で、前半部分の戸惑いと躊躇がフィービーの枷になっている部分があったように思います

 

この関係性がどうなるかというのは、大人側が子どもとの距離感をどう感じ取れるかにかかっています

詰め寄りすぎても引くし、引きすぎるとさらに引いてしまうので、その距離感を見極める必要があります

フィービーは15歳という多感な年頃なのと、父親と娘という普通でも難しい関係というところがネックになっていましたね

でも、力を合わせて何かをするというイベント的なものは、戸惑いを粉砕させる力があります

フィービーは早い時点で受け入れをしていますが、それを素直に表現するためには勢いが必要だったのですね

それがガラッガとの戦いにおいて、フィービーをバスターズの一員として認め、彼女を市長から守ったことで、その弾みをつけることができたのではないでしょうか

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、ゴーストバスターズのシリーズとして世代交代をした続編になっていて、前作では旧メンバーが助けに来るという流れになっていました

前作ではフィービーが12歳、トレヴァーが15歳だったので大人の手助けが必要ですが、本作では家族がチームとなった状態から始まり、旧メンバーが知恵を貸すという感じになっていました

なので、次作があるとしたら、ゲイリーもキャリーも退いて、子どもたちが成人して戦うという完全な第3世代の幕開けになると思います

 

人物相関では、トレヴァーとラッキーは恋人のようなもので、フィービーとポッドキャストが同世代になっています

この世界線だと激しい恋愛事情にはならないので、その気になればトレヴァーとラッキーが結婚するという流れになりがちでしょう

でも、感覚としては、ラッキーはインターンから就職という路線が濃厚で、結婚よりも仕事を選ぶために、トレヴァーが路頭に迷うという感じになりそうに思います

また、ポッドキャストがフィービーを好きになっても、彼女は年上好きの傾向があるので相手にしないかもしれません(おそらくブラコン)

 

このあたりは妄想の世界なので今後どうなるかを見守ることになりますが、ドロドロの世界にはならないし、味方側が無惨な死を遂げるということもない世界なのですね

あるとしたら、シニア世代が完全に撤退するために「有終の美を飾るパターン」ですが、その筆頭はピーターの死をどう扱うのか、ということになると思います

現時点では具体的な話は持ち上がっていませんが、監督には複数の映画のアイデアがあるということなので、続編はあると思います

その時にどのような物語になるかはわかりませんが、年齢的にもフィービーが青春真っ盛りになるので、早く撮影開始しないと、演じたマッケナ・グレースは完全な大人になってしまうでしょう

本作でも、15歳の割には既に色気が滲み出ているので、髪型とダサめのメガネで演出して誤魔化していたように思えました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/100683/review/03677062/

 

公式HP:

https://www.ghostbusters.jp/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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