■新しき時代の支配者は、尊敬によって支えられるものへの変化していく
Contents
■オススメ度
大怪獣が暴れている映画が好きな人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2024.4.26(MOVIX京都 ドルビーシネマ)
■映画情報
原題:Godzilla x Kong : The New Empire(ゴジラとコング:新たなる帝国)
情報:2024年、アメリカ、117分、G
ジャンル:謎の生命体の鳴動によって、ゴジラとコングが手を合わせて戦う様子を描いた怪獣映画
監督:アダム・ウィンガード
脚本:テリー・ロッシオ&サイモン・バレット&ジェレミー・フォースター
キャスト:
レベッカ・ホール/Rebecca Hall(アイリーン・アンドリューズ:未確認生物特務機関「モナーク」の人類言語学者)
ブライアン・タイリー・ヘンリー/Brian Tyree Henry(バーニー・ヘイズ:アイリーンの知人、ポッフォキャストにてえ陰謀論を配信する男)
ダン・スティーブンス/Dan Stevens(トラッパー・ビーズリー:アイリーンの友人、モナークの獣医)
ケイリー・ホトル/Kaylee Hottle(ジア:髑髏島のイーウェス族の唯一の生き残り、アイリーンの養女)
アレックス・ファーンズ/Alex Ferns(ミカル:モナークのヒーヴ・パイロット)
レイチェル・ハウス/Rachel House(ハンプトン:モナークの長官)
Sophia Emberson-Bain(ローリエ:ハンプトンの助手)
Ron Smyck(ハリス:モナークの技術者)
Chantelle Jamieson(ジェイン:モナークの技術者)
Greg Hatton(ルイス:モナークの技術者)
Tim Carroll(ウィルコックス:アイリーンの助手)
Vincent B. Gorce(モナークの技術者)
Robert Clavero(モナークの技術者)
Kevin Copeland(潜水艦の司令官)
Tess Dobré(潜水艦の乗組員)
ファラ・チェン/Fala Chen(イーウィスの女王)
Yeye Zhou(イーウィスの戦士)
Jamaliah Othman(イーウィスの賢者)
Nick Lawler(イーウィスの学者)
Anthony Brandon(トークショーのアナウンサー)
Chika Ikogwe(カドガン先生:ジアの通う学校の先生)
Patrick Moroney(アイリーンの講演会の受講者)
【怪獣たち】
ゴジラ/Godzilla(地上を制圧する大怪獣)
コング/Kong(地下空洞に住む髑髏島の生き残り)
スキュラ/Scylla(ローマを襲う蟹型の怪獣)
ティアマット/Tiamat(北極に生息する怪獣)
ヴァータシーン/Vertacine(地下空洞に棲む翼竜)
ワートドッグ/Wart Dog(地下空洞に棲む獰猛な犬型怪獣)
ドラワンヴァイパー/Drawn Viper(地下空洞に棲む巨大なウツボ)
スーコ/Suko(グレイトエイブスの若者)
スカーキング/Skar King(グレイトエイブスを支配する猿)
シーモ/Shimo(スカーキングに支配されている氷の獣)
モスラ/Mothra(イーウィス族を護る伝説の怪獣)
■映画の舞台
地球:地下空洞
イタリア:ローマ
フランス:パリ
北極
エジプト:カイロ
スペイン:カディス
ブラジル:リオデジャネイロ
ロケ地:
オーストラリア:クイーンズランド
ゴールド・コーストGold Coast
https://maps.app.goo.gl/nCFgWu2TpP5pj73i6?g_st=ic
モロッコ
ジブラルタル
ブラジル:リオデジャネイロ
イタリア:ローマ
アメリカ:ハワイ
スペイン
アイスランド
■簡単なあらすじ
前作から3年、ゴジラは地上の怪獣たちを抑え込み、コングは故郷の地下空洞に戻っていた
ある日、地下空洞から謎のシグナルをキャッチした「モナーク」のアイリーン博士は、その解析のために、ポッドキャスト配信者のバーニーの元を訪ねる
彼は、自分がモナークから外れたことでファンが減ったと嘆いていたが、アイリーンに見せられたシグナルを見て顔色を変えた
それは、かつて大怪獣が出現する前に完治されたシグナルで、何らかの存在による「SOS」だと言う
そこでアイリーンは、ハンプトン長官の指示の下、獣医トラッパー、バーニー、養女ジア、バイロットのミケルを連れて地下空洞へと向かった
一方その頃、ローマでひと暴れしていたゴジラは、何かを感知してフランスの原子力発電所に向かっていた
そこで放射能を浴びたゴジラは、何かに備えて充電をしていると考えられた
そして、そのまま北極の怪獣の棲家へと向かってしまうのである
テーマ:真の支配者
裏テーマ:隷属と従属の違い
■ひとこと感想
前作の記憶はほとんどなく、謎の少女がコングと話せたと言う設定だけを覚えていました
おそらく物語がスッカスカで、ど迫力映像を堪能する映画だと思ったので、迷わずにドルビー最前列のリクライニングにて鑑賞
怪獣が吠えるたびに椅子が唸っていましたね
物語は、謎のシグナルを受信した人類がコングの棲む世界へと足を踏み入れるのですが、冒頭の「紹介VTRのCGの雑さ」は許容できても、本編の背景もCGにしか見えないのは何とも言えない感じになっています
ドルビー最前列は「迫力があるけど、あれだけ入り乱れると何と何が戦っているのかわからない」と言う感じになってしまいます
時折、字幕が右上に出て見逃してしまうのですが、それで話がわからなくなると言うことはありません
映画は、本当にアトラクションムービーのような仕上がりで、物語性を求めたらアウトの映画になっています
人類はコングたちの世界へ誘うだけの役割で、簡単なエピソード以外はかなり端折られている印象がありましたね
前作からの続投キャラもいますが、ほとんど存在感がないと言っても過言ではありません
4DXなどで動き回るシアターだと楽しめそうですが、デバイスで配信だと面白さを微塵にも感じないと思います
それぐらい、物語性は皆無に等しかったと感じました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
この映画にネタバレがあるのかは分かりませんが、未知の敵が出てきたと思ったら、実はコングと同じ種族が生き残っていたと言う感じになっています
コングとしては、シーモを隷属にして支配構造を作っているスカーキングとの戦いと言う意味はありますが、ゴジラとモスラの出番はあってないようなものでしたね
地上で放射能を浴びまくって放出しているのですが、あそこまで強烈だとブラジル壊滅してるんじゃないでしょうか
そういったツッコミをしてはダメな映画で、ローマのコロッセオで丸まって寝ているゴジラ可愛い、みたいなノリで楽しむのが良いと思います
ドルビー最前列で鑑賞しましたが、流石に近すぎて、最後の乱闘試合は訳がわかりませんでした
とにかく殴り合ってるなあと言うことは分かるのですが、至近距離すぎて失敗しましたね
音圧は感じられますが、あれだけ入り乱れて動きが早いと、かなり動体視力の高い人じゃないと無理じゃないかと思いました
バッティングセンターで120キロぐらいしか当たらない私の動体視力では、「コング、殴った」「モスラ、飛んでる」ぐらいの語彙でしか表現できないのは残念でなりません
■地下空洞のロマン
映画は、地上にて「地下空洞からのシグナル」を受信した人類が、コングと共に潜る様子が描かれています
冒頭にてアイリーンが講義をしている様子が描かれ、地球には新たな世界があることを伝えていました
地下空洞には特別な装置で入る必要があり、アイリーンたちはヒーヴと呼ばれる飛行機にて、海の裂け目を突入することになります
地下空洞の世界では、ほぼ地上と変わらない光景になっていますが、そこに住んでいる生物は地上とはスケールの違うものになっていました
コングは人類の守護神で、ゴジラは地上の守護神のような存在で、地下空洞にはモスラという存在がいます
モスラは地下空洞に逃げ込んだイーウィス族の伝説の守り神のような存在で、それを復活させるのがジナでした
地下空洞にて、イーウィス族の住処を守っている繭のようなものをモスラが作っていたようで、それがある種の結界のような機能を持っていましたね
地下は危険な空間ではありますが、神の加護によって、人類でも住める場所があったということになります
人間は地球を支配しているように見えて、実際には未開の場所が多く存在します
衛星で全てを見通せても、実は「地上から最も遠い海域の調査はできていない」と言われています
人類の歴史はまだ浅い方なのですが、この短い歴史でも「ロストテクノロジーは再現できない」とさえ言われてしまいます
ロストテクノロジーと言えば、東京タワーをもう一回同じように作れないみたいなもので、技術の進歩によって、その時代に作れるものは変わってくるという不思議な現象が起きていたりします
地下空洞が太陽に照らされているのはお約束のようなものですが、実際にはそんな空間は見つかっていないので、何でもありの世界だと思います
地球の内部のことを理科で学んだりしますが、実際にところは誰にもわからないものなので、否定することもできないでしょう
本作の場合は、科学的考証というものを考えてはダメな素材なので、現代科学ではわからない世界があるし、それはそれで面白いじゃん!というスタンスで、怪獣同士(相手は猿だけど)の戦いを楽しめれば良いのかな、と思いました
■勝手にスクリプトドクター
本作は、怪獣映画としては面白いのですが、無駄な人間パートが多くて、もっと削ったら良いのになあと思ってしまいました
特に「陰謀論絡み」がかなりどうでもよくて、あのシグナルに関してモナークが解明できず、バーニーが解明できるというのは無茶な流れのように思います
また、シグナルを感知した時に、モナークの技術者たちが「PCのバグ」と軽く見ている部分がありましたが、実際に「地下空洞を管理するセクター」があれほど杜撰でポンコツということもないでしょう
この辺りがノイズになっていて、バーニーが単なる人間パートの冷やかし的な存在にしかなっておらず、植物に食べられたのか彼でもよかったくらいに思えました
地下空洞にはイーウィス族がいるのですが、ジナが彼らと出会ったことで、アイリーンの子離れが突きつけられるというのも何とも言えない感じになっています
それは、ほぼアイリーンの中の話になっていて、ジナの気持ちとか完全無視して「あの子がここに止まるのなら何も言えない」みたいな感じになっていましたね
そこまで「母娘の関係だったっけ?」という違和感があって、むしろ「ジナの居場所を見つけるまでの雨宿り的な存在だった」ように思っていました
なので、そこでアイリーンは「別れを惜しむ」よりも、「ジナにとっての生きる世界が見つかった」と喜ぶところだったように思います
でも、アイリーンがそう思っても、ジアの中では逆のことが起こるというのがデフォで、アイリーンは年頃の女の子の気持ちに反した行動をしてしまうものだと思います
このあたりの「育児経験の有無」とか、人間関係の拙さみたいなものを描こうとはしていますが、ぶっちゃけ「必要なの?」という部分が多かったと思います
全ての戦いが終わった後に、ジアはどっちに行くの?みたいなやり取りがあるのですが、そこは「予言に従う」という感じにまとめてもよかったように思います
今回のジアは「イーウィス族の救世主」という立場で、彼女が次期女王になるという感じにはなっていません
なので、イーウィスの言葉(予言)を読めるアイリーンが「ジアがどのような立場なのかを理解していないわけはない」ので、一連のパートが必要だったようには思えませんでした
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、ゴジラとコングが登場する映画のシリーズになっていて、今回は「コングの世界」が重点的に描かれることになりました
地下空洞にはコングの世界があって、それは第二の故郷のような感じになっています
グレートエイブスの一族はスカーキングという支配者に治められている集団で、それを可能にしていたのがシーモを隷属的にして武器にしていたからだと言えます
スカーキングには鞭のような武器があり、その先にあるクリスタルでシーモを服従させていました
そんなスカーキングとの戦いは地上戦へともつれこむことになり、そこで「大地の守護神」であるゴジラが登場することになりました
スカーキングはゴジラの漁場に入ったために逆鱗にふれることになっていて、勝機を焦って、自分の得意なフィールドから離れてしまうのですね
それによって、不利な戦いを強いられ、ゴジラとコングのタッグによって成敗されるに至っています
その後、グレートエイブスとシーモはコングの配下に入るのですが、そこで「隷属から従属」へと変わっているのですね
力で支配するという構図は変わっていないように思えるのですが、その支配構造に対して「尊敬があるかどうか」というのが重要で、コングは「スカーキングからの解放者」として崇められるようになります
コング自身がグレートエイブスたちを支配したいとは考えていなくても、「兄貴にはついていきます」という感じになっていて、シーモもその背中を差し出すことになっています
見た目はそこまで変わっていなくても、関係性としては逆転しているので、それゆえに未来が明るく見えるのではないか、と思いました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/98575/review/03754368/
公式HP: