■平行と垂直
■オススメ度
自閉症を抱える家族の葛藤を描いたヒューマンドラマ(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2026.9.3(イオンシネマ京都桂川)
■映画情報
情報:2026年、日本、118分、G
ジャンル:自閉症の兄を取り巻く環境を描いたヒューマンドラマ
監督:小林聖太郎
脚本:山野海
キャスト:
安田章大(日向大貴:自閉症スペクトラムの兄、清掃員)
(幼少期:髙田幸季)
のん(日向希:大貴の妹、カウンセラー)
(幼少期:武藤凪)
伊島空(田澤雅也:希の恋人)
神野三鈴(田澤芳子:雅也の父)
菅原大吉(田澤茂一:雅也の母)
林英世(矢島静子:大貴と希の祖母)
高山トモヒロ(日向義孝:大貴と希の父)
谷村美月(日向咲子:大貴と希の母)
福田転球(吉川武雄:グループホームの代表)
浮貝明典(グループホームの職員)
長佑多朗(グループホームの利用者)
芦川誠(須賀:大貴の同僚、清掃班のリーダー)
ゆかわたかし(大貴の同僚)
久保田直樹(大貴の同僚)
金平武蔵(大貴の同僚)
中野綾琉(大貴の同僚)
奥井隆一(中崎:新しく赴任する課長)
河野咲良(安藤紗奈:待機児童の少女)
早織(安藤靖子:紗奈の母、居酒屋の店員)
佐渡山順久(居酒屋の大将)
久保田磨希(内田悦子:希のクライアント)
真生(希のクライアント)
畦田ひとみ(君川:希の同僚)
北田聖(希の同僚)
内田周作(私服警官)
高村竜馬(制服警官)
浜田道彦(徳治:肉屋さん)
野田佳代(美枝子:八百屋さん)
福田ユミ(式場のスタッフ)
石田まり(式場のスタッフ)
■映画の舞台
大阪府:堺市
堺区綾ノ町&七道
東京都内
ロケ地:
大阪府:堺市
綾ノ町東商店街
https://maps.app.goo.gl/5uP8m8JH692ak9t48?g_st=ic
東京都:品川区
香龍園
https://maps.app.goo.gl/xtasLVMmshrXwjXk8?g_st=ic
東京都:練馬区
酒蔵あっけし
https://maps.app.goo.gl/gyizxG9YKMRDhfbg9?g_st=ic
埼玉県:越谷市
浜丁寿司
https://maps.app.goo.gl/Yd3U7bV4k4feRDss6?g_st=ic
東京都:町田市
パトリック・キソ・ガーデン
https://maps.app.goo.gl/WrUhV8ThtrYMAkyM7?g_st=ic
■簡単なあらすじ
大阪の堺にて清掃員の仕事をしている日向大貴は、幼い頃から自閉症スペクトラムを抱えて生活し、これまではグループホームの世話になっていた
今では自立して仕事をこなし、週に一度はカウンセラーをしている妹・希と食事会を開いていた
大貴はまっすぐ歩いて、曲がる時は直角に曲がるという癖があり、きちんと並んでいないとパニックを引き起こす性質を持っていた
ある日のこと、希は恋人の雅也から結婚を前提として、両親に会ってほしいと言われる
そして、彼の両親には大貴のことも話していて、希と一緒に兄も連れて来てほしいと言う
希はロマンスのかけらもないプロポーズに怒りを見せるものの、内心はウキウキ状態で「兄に来てみる」と答えた
希は食事会にて結婚することを報告し、12月に東京にいる相手の両親に会いに行けるかどうかを聞く
大貴は頷いてスケジュールボードに予定を書き込み、その準備をしていくことになった
だが、職場の新しい責任者の顔合わせの飲み会にて事件が起きてしまう
それによって、兄を連れていくべきではないと感じた希は、単身で東京に向かうことを決意するのである
テーマ:自閉症との向き合い方
裏テーマ:感情のサイン
■ひとこと感想
自閉症を抱える兄と暮らしてきた妹が、結婚を機にその両立ができるかを問う物語となっていました
それぞれが一人暮らしをしているので、兄は自分で生活ができていて、それでも奇妙に見えるこだわりというものを見せていきます
また、自分が思っていることを言葉にはできないので、多くの場面で誤解を生んだまま話が進んでいたりします
そんな中で、妹は自分の人生を第一に考え、自分の環境をも受け入れてくれる相手と結婚することになり、それを知る両親が「最終確認をする」という段階になっていました
その場所に連れていくべきかどうかという物語になっていて、兄の存在によって結婚が破談になってしまう恐れというものを抱えていました
話で聞いていることと実際に会って感じることには大きな差異がありますが、自閉症を理解することよりも、体感することで慣れていくものかな、と思いました
実際に自閉症の人と接したことがないのでわからない部分も多いのですが、話せる話せないに関わらずに、意思疎通がうまくいかないことはよくあると思います
そういう場合は「表情、仕草」などから情報を得ていくことになり、その観察眼というものも試されると言えます
そこまで配慮して対話をしなければならないのか?という疑問があるかもしれませんが、普通の対話でも同じことを無意識にしているので、その延長線上だと思えば、そこまで苦になることはないように思います
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
映画では、人の言葉を理解しているけど、そのレスポンスが悪くて発信者側が不安になる様子というものが描かれます
人は「明確に返答がないと不安になる生き物」でもあり、曖昧な返事をされた時に関係が悪化するというのは普通でも起こり得ることだと言えます
自閉症の人を相手にした場合はそれが起こりやすいように思いますが、実社会でも情報の伝達量に反応が追いつかないということは多々あると思います
実際に対応したことがないので想像でしか話せませんが、話すこと以外で察する能力が高い人、相手のペースに合わせられる人は大丈夫かなあと思います
自分ができるのかはなんとも言えませんが、必要に応じて努力はできるかな、という感じに捉えています
病院勤務なので、色んな状態で意思疎通に難がある相手との対話というのは多々あります
そう言った場合は「こちら側の前提を変える」ということで解決する場合があります
基準をどのように設けるかにもよりますが、それ以上にどちらにも目指すゴールというものがあって、その方向に向かうために欠けているものを埋めていくことになります
そうすることによって、相手との理解の差が少なくなり、さらに踏み込んだ話ができるようになります
繰り返し対応していくことで、相手のことを理解できてスムーズになっていくのですが、こればかりは場数を踏むしかないと思います
そうなっていく上で大切なのは、対話そのものを楽しむ姿勢を持つこと、相手に興味を持つことが前提のように感じています
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
自閉症に限らず、あまりふれる機会の少ない病気に相対した時にどうしたら良いか悩む機会はあると思います
対話と言うのは個人間のコミュニケーションであると同時に、それぞれが所属しているコミュニティ同士の対話である場合もあります
またコミュニティに限らず、属性や立場と言ったものがベースになる場合もあり、本作における大貴と雅也の両親の関係性は「新婦の家族と新郎の家族」と言う属性がベースになっている対話であると言えます
雅也の家族が前提として考えていたのは、「大貴とうまく関係性が築けるか」と言うものではなく、「自分の息子にどこまでの覚悟があるのか」と言うものになっていました
同時に希が前提に考えていたのは、「大貴を受け入れてくれるかどうか」と言うものと、「自身の人生がどのようになるか」と言うものが同居していました
うまくいかなければそれは自分のせいではない、と言う部分があって、それに気づいた希は「私が一番偽善者だった」と言ってしまいます
この時に大貴が何かしらの言葉を掛けて上げられれば良いのですが、彼はそれができない代わりに「動き、歌を歌う」と言う行動に出ていました
その反応が希の言葉を肯定しているのか否定しているのかは分かりませんが、「楽しい時に歌おう」と言う希の中にあった前提というものを変えることになりました
これによって、大貴は自分の感情の発露の方法を一つ覚えることになり、それは希が受け取れるものが増えたとも言えます
このようにして、対話におけるルールというものを増やしていくこと、それを理解し合うことで、対話と言うものは徐々に広がっていくと思うのですね
それでも、そのルールを浸透させるためには時間もかかるし、それが一般的でないと怖がられたりもします
でも、自閉症の対話にはルールを設けた方がうまくゆくと言う思考さえ持っていれば、「これは何らかのルールかな」と思うことができるので、相互理解というものも深まっていくのではないか、と感じました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/105571/review/06917969/
公式HP:
https://www.toei-video.co.jp/heikoutosuichoku/
