■私はあなたをしらない、
■オススメ度
歪な愛の形を描いたドラマが好きな人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2026.8.28(イオンシネマ京都桂川)
■映画情報
情報:2026年、日本&フランス、126分、G
ジャンル:幼い頃に世話になった青年と再会する大学生が自身の過去をたぐる様子を描いたヒューマンミステリー
監督&脚本:中野量太
キャスト:
坂口健太郎(西山夕平:天涯孤独の青年、ビニール手袋工場の派遣社員)
堀田真由(東浜紗月:夕平の職場に来る新人パート)
早瀬憩(東浜朝子:紗月の娘、高校~大学時代)
(幼少期:倉田瑛茉、5歳時)
原田美枝子(東浜道代:紗月の母、朝子の祖母)
滝藤賢一(町村善一:夕平の担当弁護士)
稲垣来泉(川上真子:町村の一人娘)
和田光沙(米田:夕平の会社のおにぎりをくれるパート従業員)
片山友希(梅田:花屋の店員)
田牧そら(日和:朝子の大学の友人)
黒川大聖(朝子の大学時代の学友)
渡辺真起子(保育園の副園長)
足立智充(高山:紗月の新しい職場の上司)
黒田大輔(道代の主治医)
三宅りむ(美和:朝子の高校時代の友人)
竹中友紀子(美和の母)
【その他の出演者】
畦田ひとみ
フランク景虎(工場長)
鈴木士
橋本隆祐
泉光典
山田健人(警官)
高橋佑太朗(警官)
清水香帆
木下瑠音
瀬良俊
久場音葉
宇納佑(世話人)
桐野安生(タクシーの客)
谷遼(タクシーの客)
白鳥絢子(タクシーの客)
吉牟田眞奈(タクシーの客)
池田カシージャス
亀田けん
五十嵐はじめ
杉山椰
天凰
澤井孝子(夕平の祖母、写真)
花沢朔
小沢雄志
■映画の舞台
都内某所
ロケ地:
東京都:荒川区
あらかわ遊園
https://maps.app.goo.gl/17R5DXaq15A4DTWN8?g_st=ic
東京都:江東区
サンロード中の橋商店街
https://maps.app.goo.gl/ijY2ZrupLgtLSXkX8?g_st=ic
東京都:台東区
小島公園
https://maps.app.goo.gl/PgHPxSe3ENfchBAC7?g_st=ic
東京都:板橋区
みその幼稚園
https://maps.app.goo.gl/chznDNPamhDzod9V9?g_st=ic
■簡単なあらすじ
都内某所のビニール手袋の製作工場で働いている西山夕平は、決まった時間に置き、決まったルーティンをこなす若者だった
アルバイトから契約社員になったものの、その先のことは特に考えておらず、ただ好きなパンを食べ、好きなテレビ番組などを見て過ごしていた
なんの不自由もない生活を送っていた彼だったが、彼の職場に新入りのパート東浜紗月が入ってきて、彼の教育係を任されることになった
同僚の半田がくれたおにぎりを川に捨てているのを見た紗月は、そのことをきっかけに距離を縮めていく
夕平は近所の商店街で高級パンを買うのを日課としていて、紗月は「味は想像するけど食べたことがない」という
そして、それを食べるために夕平の家に行くことになったが、パン切り包丁がないことをきっかけとして、さらに関係を深めていくことになった
ある日のこと、夕平が紗月の部屋にいくことになったが、彼女は用事で約束の時間に遅れてしまう
「先に入って待ってて」とメッセージをもらった夕平は、彼女から鍵のありかを聞いて中に入った
するとそこには見知らぬ5歳の少女がいて、紗月がシングルマザーであることを知ることになったのである
テーマ:償えない罪
裏テーマ:語らぬとも伝わる本心
■ひとこと感想
予告編が見せすぎな感じの作品で、本編では「夕平が朝子に会うまで」と「現在パートの朝子が夕平と再会するまで」を同時進行で描いていく構成になっていました
2人のルーティンが重なるところでタイトルコールがあり、2人が出会い&再開を果たすところで物語が重なるという演出になっています
どうして夕平はそこにいるのか、というのが前半のミステリーで、後半は「どうしてそれを行なったのか」というものになります
何も知らずに見た方が良いタイプの作品で、できれば予告編などもスルーした方が良いと思います
本作は、ある事件を主軸として、まるで家族のようだった3人が関係を断つという物語になっていて、それがどうして起こったのかというミステリーになっていました
朝子が祖母から聞かされた情報を元に夕平に会いにいくことになり、彼女は夕平のことを覚えていない、という設定になっています
5歳の時に半年間一緒だった相手を完全に忘れるというのがなんとも言えないのですが、あの時点であの事件が起きて生活が激変したことを考えると、なくはないのかなと思ってしまいます
その後、祖母に育てられた朝子は、高校卒業の後に夕平の存在を知らされることになり、朝子は13年前に起きたことを調べるようになります
母親が死んだ理由を探ることになり、それは物心ついた頃から模索していたものでしょう
いつしか祖母との生活が普通になって、祖母も母の死因については隠して育ててきたと思います
それを18歳になってから知らされる中で、朝子の中で「記憶にない人間を恨むべきかどうか」という命題が生まれて行ったように思いました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
本作は、朝子が母親を殺した夕平の真意を知るというもので、母親に聞かされ、弁護士に会うことで「自分の知らなかった母親の最後」というものをたぐることになりました
そこで客観的な資料などから事件を追うことになりますが、当時の夕平は「動機」に関して完全黙秘のまま、殺人罪を受け入れるという流れを汲んでいました
映画の中で「明確にあった」とまでは説明されませんが、朝子は夕平が「語らないこと」で彼の真意を言うものを理解していきます
それでも、ほとんど記憶にない人、ほとんど記憶にない事件に対してどう向き合うかという流れにおいて、朝子が取った行動が「知らないこととする」と言うものになっていました
その後、2人は同じ東京の空の下で生活をし、どこかで会うかもしれません
それを匂わせるようなラストになっていましたが、そこでひと工夫されていたように思います
ラストで彼がタクシーに乗せるのが弁護士の娘と言うのがスパイスが効いていて、しかも「彼女が父親との食事に遅れるから急いで」と言うものでした
これいよって、弁護士の父娘の関係の変化というものが生まれていて、面白い伏線の回収だなあと思いました
実際の親子である弁護士と娘、親子のような関係になった朝子と夕平という構図になっていて、親子とは何があればその関係を担保できるのか、ということになります
事件は殺意はあったけど故意ではないというもので、あの時にすぐに救急車を呼んでいたら紗月がどうなったのかはわかりません
彼女から酷い仕打ちを受けたこと、思わぬ事故が起きたこと、瞬間的に保身に走ってしまったことに対する罪というものが夕平の中で大きく育ち、可能な限りの刑罰を受けたがったというふうにも見て取ることができるのではないでしょうか
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作では、夕平が朝子の父親になれるか試験を受けて、それには合格したけど、紗月の夫にはなれなかったという感じに描かれています
ここに紗月の本性的な部分があって、彼女が前の夫と別れることになった原因もあると考えられます
彼女がシングルマザーになった経緯は一切語られないところが話の妙味になっていて、彼女のキャリア志向というものが朝子のためだったのか、自身の承認欲求の賜物だったのかは不透明な感じになっていました
運動会にてそれが露呈することになり、あの事実から目を背けて恥ずかしがるというのが彼女の本性を表していると言えるのでしょう
家族のいない夕平が考える家族像と紗月の考える家族像には違いがあって、さらに「家族を語る資格がない」とまで口走ってしまうところも彼女の本性が見えていると言えます
それは夕平と紗月の母親だけが知っているもので、朝子はその本性知らぬままに育っていました
夕平の回想で事件は回顧されますが、原因を作ったのは紗月の方であるという認識も夕平の見ていた景色の映像化にも感じられます
結局のところ、紗月の望む人生と夕平の望む人生が決定的に違っていた、というところが問題の本質であり、その価値観のすり合わせを全くしなかったことが原因とも言えます
何かが違うと思った段階で言葉でその違和感を払拭する瞬間がなかったのですが、それはわずか5ヶ月の間に2人に何もなかったことにも起因していると言えます
あくまでも、朝子の世話役を探してしまった紗月が夕平という人間を見誤ったのだと思いますが、夕平があのような状態になった一旦も担っていました
あの状況で殺意が湧かない男もそうそういないと思いますが、瞬間的に沸いたとしても、その後の行動を考えると、夕平は紗月の夫になりたかったのではなく、朝子の父親になりたかったという意識の方が強かったのかな、と感じました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/105511/review/06892266/
公式HP:
