■遺愛
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■オススメ度
サイコホラーが好きな人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2026.6.25(アップリンク京都)
■映画情報
情報:2026年、日本、90分、G
ジャンル:要介護の母親の異変を感じる娘を描いたホラー映画
監督:酒井善三
脚本:酒井善三&宮崎圭祐
キャスト:
山下リオ(藤井佳奈:母の介護で疲弊する娘)
小川あん(松永杏里:佳奈の妹)
藤井京子(藤井晶子:佳奈と杏里の母)
山下ケイジ(佳奈の父)
瀬戸さおり(岡安恵理子:佳奈の高校の同級生)
関口アナン(松永大地:杏里の夫)
市野叶(松永勇太:杏里の息子)
マキタスポーツ(熊谷太一:精神科医、佳奈たちの相談役)
一ノ瀬竜(肥後寛太:恵理子の不倫相手)
清瀬やえこ(寛太の妻)
小島叶誉(肥後カオル:寛太の娘)
【その他の出演者】
本多摂(警官?)
はやしだみき(更生施設職員)
松本高士(こども園の職員)
長部努(警官)
吉川柳太
小柴みら(カオルの友だち)
中屋湧心(カオルの友だち)
三浦なるみ
小木唯愛
田代立花
光永紘基
宮城桜虎
小嶋蓮
野田貴之
今拓二
酒井勇二
山崎昇
野口香織
高梨聡美
小嶋みさ
恒次洋子
清水彩加
小島眞人
佐藤秀紀
大依勉
福島暁
黒江あゆみ
松下桃代
小峰梨奈
植松美貴
東原一成
水原恵理(ニュースの声)
矢内雄一郎(ニュースの声)
■映画の舞台
関東圏某所
ロケ地:
東京都:町田市
鶴川記念病院
https://maps.app.goo.gl/SFF7Eph7Y3mbHi9C9?g_st=ic
埼玉県:越谷市
越谷市斎場
https://maps.app.goo.gl/Kz1rCho9mbxKYJD36?g_st=ic
埼玉県:戸田市
オネスト北戸田
https://maps.app.goo.gl/NmsvwKCiDminYDpa9?g_st=ic
■簡単なあらすじ
父の死をきっかけに家族のもとに帰ってきた長女の佳奈は、認知症を患っている母の介護を引き受けることになった
妹の杏里には家庭があることもあり、当初は実家を売ったお金で施設に入れようと考えていたが、それでも佳奈は頑なに母の世話をすると譲らなかった
その後も、入浴などの生活介助を続けていたが、ある日のこと、血相を変えて杏里の自宅を訪れた
佳奈は母親の中に何かがいると言い出し、母の中にいる何かは恐ろしいことを始めていると言い出す
杏里は困惑するものの、鬼気迫る訴えを信じ、とりあえず外出している夫と息子を家に呼び戻すことになった
佳奈が言うには、母は粘土細工を始めてから落ち着くようになったが、その粘土細工に人の写真を貼り付けていると言う
そこには高校時代の友人・恵理子の顔写真もあり、佳奈は不吉な夢を見ることになった
そこで恵理子に忠告をしようとするものの、彼女は肥後と言う男と不倫関係にあり、彼の妻によって殺害されてしまうのである
テーマ:空洞に棲むもの
裏テーマ:風が連れてくる何か
■ひとこと感想
母の介護を始めたら、様子が少しおかしいと言う感じで、奇妙な夢が現実となってしまったことで「何かがいる」と確信していく様子が描かれていきます
母の中に何かがいるのか、介護疲れから佳奈が何かを見てしまっているのかが曖昧で、その因果を紐解くことになっていきました
最終的には答えらしきものがあるように思えますが、それに関しては人それぞれに違うようにも思えてしまう
自分の周りで奇妙な出来事が続き、それらに意味づけをしようとしているのですが、繋がりようのないものを無理やり繋げてしまっていたりします
自分の知り得ない因果が後に提示されたりするのですが、その事と向き合わずに、自説のようなものに没頭している様子が描かれていました
狂気的な展開を迎えますが、直接描写はそこまでではないのでグロさと言うものはありません
基本的にはサイコスリラーの部類になりますが、妄想の部分と現実の部分が曖昧に思えたりします
一応は「ここからは夢」と言う感じには区別がつきますが、母親の呪いと言うものが本物なのかはわからないと思います
あくまでも、偶然の結果として起こったことを無理やり関連づけている節があるのですが、それにしても重なり過ぎと言うふうにも思えてしまいましたね
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
粘土で人形を作って、そこに人の顔写真を埋め込んでいくと言うもので、それが壊れたりすることによって、その対象者が非業の死を遂げると言う感じになっています
その人にとって不条理かどうかはわからず、高校時代の友人に関しては「不倫相手が堂々と葬式に来たので殺めた」みたいな感じに見えますが、これが母の呪いであるとは思えません
一応は、母親が対象者に会うことで何かを感じ取ると言うのが先にあって、不幸の前には母親と会っている事がわかります
その対象者が母親に何を見たのかはわかりませんが、そこで生じたものが「呪い」のようなものとして、不幸な出来事を引き寄せているようにも思えます
それでも、この状況を作っていったのは誰かといえば、それは佳奈本人であり、彼女が望んだ世界であると言えます
映画の後半にて、佳奈が介護をすることになった本音を杏里が言い当てるようなシーンがあり、いわゆる被害者意識を自我だと勘違いしている佳奈の本性が見えてくると言えます
彼女が見ている夢は母親の中にある何かが見せているのではなく、佳奈自身の潜在意識の中に潜んでいるものが見せていて、それは彼女自身の願望であると思います
高校時代の同級生は不倫の末に相手の妻に殺されるのですが、この恋愛観に対する嫌悪感があると思うし、佳奈自身が結婚どころか男の気配すらないところに歪んだものが生まれてしまっているように思えます
彼女が強く願うことが実際に起きてしまうのですが、そのひとつの事象というものが連鎖的な妄想を生み出しています
彼女の書いたノートにはターゲットが書かれていて、そこに書かれている人は佳奈にとって「劣等感を感じさせるもの」だったと言えます
そして、不幸を呪うことになっても、それは自分の意思ではないというふうに防衛してしまうのですね
なので、母の中にいる何かとは、人間ではなくなった佳奈自身だったように思えました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
時代を反映しているのか、週に1本は介護系の映画にあたってしまうのですが、さまざまなアプローチがあるなあと感心してしまいます
今回は、母親が悪魔に取り憑かれた!みたいな感じのホラーなのですが、最後まで「悪魔的なもの」というものは登場しません
ラストも「どうなったの?」という感じなのですが、おそらくは佳奈が思い描いた事が起こったんだろうなあ、と思わされるものになっていました
佳奈は母の介護をする中で、彼女の不穏な行動に感化されるのですが、妹が指摘したように「母親の介護を押し付けられている自分が可哀想だ」みたいに思うことで存在価値を見出しているように見えます
そして、不幸の対象者は「自分自身が望んで手に入れられなかったものを持っている人」という感じで、それを「自分の手は汚さない」という感じに呪っていくことになりました
結果として、呪いが成就したように見えるのですが、実際には不条理が重なっただけで、彼女が何かを念じたから起きたというものではないと思います
母親は粘土人形を作り、そこに写真を貼り付けるのですが、この写真を貼り付けるという行為は他のガジェットにもありましたね
それが家族の集合写真であり、あの写真はパッチワークされた奇妙なものになっていました
特に何かの写真に顔の部分だけを貼り付けているように見えていて、最後には「熊谷の顔だけ剥がしている(裏面は『宝』という文字を破っている」という状態になっていました
それを姉に突きつける妹が描かれて終わるのですが、母親が作った土粘土に熊谷の顔をあてがって呪いが継続しているように見せかけている、ということになるのだと思います
佳奈の行為は犯罪としては扱われないとは思いますが、彼女が見る「彼女にとっての最高の夢」というものはとても歪でしたね
ノートには「肥後くん(元カレか何か)」「エリコ(元カレと関係を持った女)」「勇太(自分には縁のなかった子どもという存在)」「熊谷おじ(おそらく偽善者)」という書かれ方をしていました
最後の一人は「自分自身だったら良いのに」という感じの夢を見ていましたが、実際には佳奈自身には何も起こりません
それは、呪いと言うものは存在せず、起きたことは単なる偶然だからなのでしょう
それを考えると、ラストで勇太に何かあったと言うのは、杏里自身が呼び込んだ不幸だった、と言えるのかな、と思いました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/105509/review/06673365/
公式HP:
