■主人公ビーの正式な名前の意味を知っていますか?


■オススメ度

 

イマジナリーフレンドのお話が好きな人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.6.14(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

原題:IF(イマジナリーフレンド)

情報:2024年、アメリカ、104分、G

ジャンル:子どもにだけ見えるイマジナリーフレンドが見えてしまう12歳の少女を描いたファンタジー映画

 

監督&脚本:ジョン・クラシンスキー

 

キャスト:

ケイリー・フレミング/Cailey Fleming(ビー:イマジナリーが見える12歳の少女)

   (3~5歳時:Audrey Hoffman

ライアン・レイノルズ/Ryan Reynolds(カル:ビーと同じマンションに住むイマジナリーを連れた男性)

 

ジョン・クラシンスキー/John Krasinski(ビーのお父さん)

Catharine Daddario(ビーのお母さん)

フィオナ・ショウ/Fiona Shaw(マーガレット:ビーのおばあちゃん)

 

アラン・キム/Alan Kim(ベンジャミン:病院の少年)

 

Liza Colón-Zayas(ジャネット:父の主治医)

 

Bobby Moynihan(ジェレミー・グリフィス:商談に向かう男性)

   (幼少期:David Weissmann

 

【その他の人間】

Laquet Sharnell Pringle(企業の受付)

Ed Herbstman(ダニー:ショップ店員)

Barbara Andres(上の階の住人)

Alexander Rivero(マンションの管理者)

Shauna Pinkett(病院の受付)

Sa’Raya Paris Johnson(7歳の少女)

Marta Siteiya Moipei(コーヒーショップのバリスタ)

 

【イマジナリーたちの声】

スティーヴ・カレル/Steve Carell(ブルー:紫のモフモフのイマジナリー)

フィービー・ウォーラー=ブリッジ/Phoebe Waller-Bridge(ブロッサム:ビーが街角で見かけるてんとう虫のイマジナリー)

ルイス・ゴセット・ジュニア/Louis Gossett Jr.(ルイス:年老いたクマのイマジナリー、施設の責任者)

 

ジョン・クラシンスキー/John Krasinski(マシュマロ:頭が燃えているイマジナリー)

オークワフィナ/Awkwafina(石けんバブル:泡のイマジナリー)

エミリー・ブラント/Emily Blunt(ユニ:カラフルなユニコーンのイマジナリー)

ジョージ・クルーニー/George Clooney(スペースマン:宇宙飛行士のイマジナリー)

ブラッドリー・クーパー/Bradley Cooper(アイス:アイスクリームの箱のイマジナリー)

マット・デイモン/Matt Damon(サニー:ひまわりのイマジナリー)

ビル・ヘイダー/Bill Hader(バナナ:バナナのイマジナリー)

リチャード・ジェンキンス/Richard Jenkins(美術教師のイマジナリー)

キーガン=ミシェル・キー/Keegan-Michael Key(スライムボール:緑のスライムのイマジナリー)

ブレイク・ライヴリー/Blake Lively(オクト・キャット:ネコとタコが合体したイマジナリー)

セバスチャン・マニスカルロ/Sebastian Maniscalco(マジシャン・マウス:魔法使いのネズミのイマジナリー)

クリストファー・メロニー/Christopher Meloni(コスモ:コートと帽子で身を隠すイマジナリー)

マシュー・リス/Matthew Rhys(ゴースト:アンドロメダス3世のイマジナリー)

サム・ロックウェル/Sam Rockwell(スーパードッグ:マントを靡かせるイヌのイマジナリー)

マヤ・ルドルフ/Maya Rudolph(アリー:ピンク色のワニのイマジナリー)

エイミー・シャルマー/Amy Schumer(ガミー・ベアー:赤いグミでできたクマのイマジナリー)

アリソン・シーガー/Allyson Seeger(ヴィオラ:サングラスをかけた擬人化されたヴィオラのイマジナリー)

ジョン・スチュアート/Jon Stewart(ロボット:ロボットのイマジナリー)

ブラット・ピット/Brad Pitt(キース:透明のイマジナリー)

 

【日本語吹替キャスト】

稲垣来泉(ビー)

加瀬康之(カル)

浪川大輔(ビーのパパ)

高島雅羅(ビーのおばあちゃん)

佐藤みゆ希(ベンジャミン)

伊倉一恵(ジャネット)

遠藤純一(ジェレミー)

 

宮田俊哉(ブルー)

三森すずこ(ブロッサム)

麦人(ルイス)

園崎未恵(ユニ)

平田広明(サニー)

高乃麗(アリー)

津田健次郎(ロボット)

神谷浩史(スーパードッグ)

島﨑信長(マジシャン・マウス)

大塚明夫(コスモ)

諏訪部順一(美術教師)

甲斐田裕子(オクト・キャット)

本名陽子(石けんバブル)

下野紘(スライムボール)

早見沙織(ガミー・ベア)

桐本拓哉(アイス)

上田燿司(アンドロメダス3世)

小山力也(スペースマン)

森川智之(バナナ)

 


■映画の舞台

 

アメリカ:ニューヨーク州

ニューヨーク

 

ロケ地:

アメリカ:ニューヨーク州

ニューヨーク

コニーアイランド/Coney Island

https://maps.app.goo.gl/R4z9mwTe3TEHH8PBA?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

12歳の少女ビーは、母を幼い頃に癌で亡くし、今度は父が難病で苦しんでいた

祖母の家に来ることになったビーは、そこで不思議なてんとう虫の格好をした動く人形を見つけてしまう

彼女がそれを追いかけると、てんとう虫は同じマンションの最上階で消えてしまった

 

その後、その部屋の住人を確認したビーは、彼と一緒に同行するてんとう虫を追っていく

すると、ある家に侵入し、大きなもふもふの怪物ブルーが一緒に出てきた

彼らはイマジナリーフレンドと言って、子どもの頃にだけ見えるものだという

 

ビーは、カルと名乗る住人とイマジナリーたちと共に、「必要とされなくなったイマジナリーの新しい相手探し」を手伝うことになった

だが、そのマッチングはうまくいかず、そんな折、祖母の古い写真にてんとう虫のブロッサムが写っていることに気づく

 

そこでビーは、かつてイマジナリーだった人の元に彼らを届けようと考え始めるのである

 

テーマ:イマジナリーは生涯の友だち

裏テーマ:イマジナリーの使命

 


■ひとこと感想

 

思いっきり子ども向けの作品ですが、大人でないとわからない部分が多いように思えます

大人になると見えなくなるイマジナリーが見えてしまう12歳という微妙な年齢を描いていて、大人になりたいビーは「自分が子どもであること」を否定したがっていました

 

ビーはある使命を持っているという感じで描かれるのですが、彼女はそんなものには巻き込まれたくないのですね

でも、それらが片付かないと元の生活には戻れないジレンマがありました

 

ビーはカルと協力して、イマジナリーの老人ホームに向かい、そこでイマジナリーがどうなるのかを知ることになります

パラダイムシフトが起こることでビーの人生が変わっていくのですが、最後にサプライズがある、という感じになっています

このあたりの伏線の回収の仕方は見事でしたね

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

ビーは大人と子どもの間という年齢ですが、イマジナリーは卒業しているはずの年頃だと思います

それなのに、見えてはいけないものが見えてしまっているのですが、そこには彼女のイマジナリーがいないのですね

これが冒頭の仕掛けになっていて、後半にサプライズがありました

 

お見合い相談所のようなことを始める時に、イマジナリーの面接をするのですが、その時のビーとカルの仕草がリンクするなど、細かな伏線が多かったですね

イマジナリーは生み出した人にか見えないもので、それがわかっている大人からすれば、物語の結末というものは見えると思います

 

少年ベンジャミンにイマジナリーを与えてあげたくてもダメで、彼自身の中から生まれてこないと見えないのですね

そんな中で、祖母由来でイマジナリーの意味を理解するようになっていくのは良かったと思います

 

そこからは、ブルーの元友だちを探しにいくという流れになるのですが、邦題は思いっきりブルーが主役のようになっているので、ビーのイマジナリーと違うのかい!とツッコンで突っ込んでしまいました

 


イマジナリーとは何か

 

イマジナリーとは、イマジナリーフレンドのことで「幼少期に現れる架空の(想像上の)友だち」のことを言います

この概念は世界共通のもので、この映画のように具現化された個体が現れるものもあれば、普段はぬいぐるみのふりをしていて、子どもが寝静まると動き出すと言ったものまであります

この場合は夢に出てくることが多く、そこで対象の子どもに寄り添うことになります

 

イマジナリーは移行対象の延長線上にあって、子ども時代の潜在意識などが見せている場合があります

子どもたちはイマジナリーと対話をしていますが、厳密に言えば「自分が作り出したもの」と話しているので、傍から見れば「一人で喋っている」ように見えます

自問自答になっていて、自分の悩みを掘り下げたり、感情に寄り添うような問答を繰り返すことになります

そこにいる対象を慰める場合もあれば、対象に慰められる場合もあって、その時の状況によって変わってくるものだと言えます

 

個人的には映画のようなイマジナリーはいませんでしたが、人形などに話かけたりというのは普通にありました

当時家にあったビニール製の人形などと遊びながら語るというものですが、弟と妹がいたので、そう言った時間は少なかったですね

統計的にどうかは分かりませんが、一人になる時間が多いほど、イマジナリーを生み出すことが多いように思えます

 

移行対象というのは誰にでも訪れるもので、母親の代わりになるものとして、タオルや毛布などの「自分の体温で人肌になるもの」に執着するイメージがあります

これらは「ライナスの毛布(安心毛布)」と呼ばれ、漫画『ピーナッツ』に登場するキャラクター・ライナスがいつも肌身離さずに持っていることが由来となっています

『ピーナッツ』と言ってもピンと来ないと思いますが、日本では『スヌーピー』として親しまれているアニメになります

このアニメの中に登場する幼児のキャラクターで、いつもブルーの毛布を持っているのですね

映画でモフモフがブルーと呼ばれているのも、もしかしたらここに由来があるのかもしれません(どこかに解説ないですかねえ)

 


大人にイマジナリーが必要な理由

 

本作では、子ども以上に大人にイマジナリーが必要であると描いていて、後半ではイマジナリーを忘れた大人に帰そうと奮闘する様子が描かれていきます

ブルーはジェレミーという会社員のイマジナリーで、彼には幼少期に夢がありました

それを思い出させるのがパンの匂いで、これは聴覚に作用する記憶ということになります

初心を思い出すのに五感と結びついた記憶というところが本作の面白いところで、本人はその記憶が薄くなっているために、それを呼び起こす五感というものにたどり着けません

 

祖母が音楽(聴覚)で蘇ったように、映画内のエピソードはそれぞれの五感に付随するイマジナリーが描かれていました

ビーはカルが自分のイマジナリーであるカルヴィンであることを思い出すのですが、この時は彼女が描いた絵を見るという視覚によって想起されています

他のイマジナリーと当人の間は描かれませんが、嗅覚、聴覚、視覚という分かりやすい五感を選んでいるのにも意味があるのでしょう

 

これらの五感は大人になっても無くならないのに、奥底の記憶を呼び起こす一致というものが起こらないのですね

ジェレミーにしても、何度もクロワッサンの匂いを嗅ぎ、その都度記憶を呼び起こしていたと思いますが、それが実ってはいません

それが起こるのは、かつての自分を否定して、そして「今」があるからなのですね

幼少期の頃の夢に立ち返るのは、現実の自分とこれまでの選択を否定することになってしまいます

それがストッパーとなって、蘇った記憶を再度封印することになって、だんだんと深いところに追いやってしまいます

ここまで来ると外的要因でしかこじ開けられず、それをできる人間は数少ない存在であることがわかります

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、全てのイマジナリーが見えるビーという存在がいて、彼女は自分の本名を語らない子どもでした

ビーと呼ばれる場合は「ベアトリス(Beatrice)」であることが一般的で、由来としては「喜びをもたらす人」いうものがあります

彼女はみんなのイマジナリーが見えて、再会させることができる存在で、彼女の名前にその能力が含まれていたことになります

これが偶然なのかはわかりませんが、映画では「あえて隠すこと」で、彼女がどんな運命を背負っているのかを隠していたのかもしれません

 

ちなみに「カル」は「カルヴィン(Calvin)」でこちらは「小さな禿頭」という意味がありますね

これは悪口ではなく、頭に裸の王冠があるという意味になっています

精神的な再生、新しいものを迎えるために古いものを脱ぎ捨てるという意味もあります

 

この二人が組み合わさって、「新しい人生」というものを歩むことになり、それは「喜びに満ちたものになる」ということになります

ここで言う古い人生とは、これまでに歩んできた人生そのものであり、イマジナリーが消えてしまっている人生ということなのですね

なので、それを捨て去って、イマジナリーを思い出して、心の底から本当にやりたいことをする、という意味になります

 

映画は、何気ないところに驚きがある作品で、これらのノイズを嗅ぎ取れるかどうかで評価が変わるかもしれません

本作の場合は、わざわざ「ママはビーとしか呼ばないの」というセリフを登場させ、ビーが本名ではないことを示唆しています

そして、カルは本当の名前がカルヴィンであることがわかり、それによってビーは自分のイマジナリーに気づくことができます

ここまで仕掛けを施している親切設定なので、彼女の名前がビーであることに違和感を持った人が多かったかもしれません

 

自分の名前を正しく呼ぶことは、自分が生まれ持った運命と対話することになるので、たまには思い出すのも良いかもしれません

ちなみに私の名前は「弘法大師の志」だそうです

めちゃ名前負けしてますが、何かあるたびに命名の意味を思い出していますよ

良い名前だと思います

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/100914/review/03929208/

 

公式HP:

https://blue-movie.jp/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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