【映画感想】ワンオペレーション【後半:ネタバレあり】

■ワンオペレーション


■オススメ度

 

視野狭窄に陥る女性を描く映画に興味がある人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2026.9.24(アップリンク京都)


■映画情報

 

原題:If I Had Legs I’d Kick You(あなたには立つための足がない:主張や立場を支えるものが何もない)

情報:2025年、アメリカ、113分、PG12

ジャンル:子育て中のカウンセラーに訪れる理不尽の連鎖を描いたヒューマンスリラー

 

監督&脚本:メアリー・ブロンスタイン

 

キャスト:

ローズ・バーン/Rose Byrne(リンダ/Linda:摂食障害の娘を育てる心理療法士)

ディレイニー・クイン/Delaney Quinn(リンダの娘、小児摂食障害)

クリスチャン・スレイター/Christian Slater(チャールズ/Charles:リンダの夫、船員)

 

メアリー・ブロンスタイン/Mary Bronstein(スプリング医師/Dr. Spring:娘の主治医)

 

エイサップ・ロッキー/A$AP Rock(ジェイミー/James:モーテルの管理人)

アイビー・ウォルク/Ivy Wolk(ダイアナ/Diana:横柄なモーテルの従業員)

 

Mark Stolzenberg(小児医療センターの駐車場の係員)

 

コナン・オブライエン/Conan O’Brien(リンダのセラピスト、同僚)

 

ダニエル・マクドナルド/Danielle Macdonald(キャロライン/Caroline:新米ママ、リンダのクライアント)

Ronald Bronstein(キャロラインの夫)

演者不明(ライリー:キャロラインの赤ん坊)

 

Ella Beatty(ケイト/Kate:リンダのクライアント、Z世代)

Daniel Zolghadri(スティーヴン/Stephen:リンダのクライアント、青年)

 

Manu Narayan(家主の声)

Eva Kornet(呼吸法の実践者、ビデオ)

Helen Hong(エヴァ/Eva:リンダのママ友)

演者不明(アディ:エヴァの娘)

Josh Pais(ブラッド/Brad:追突事故の相手)

Laurence Blum(警官)

Lark White(ヴァネッサ/Vanessa:小児医療センターの患者の母)

Amy Judd Lieberman(メラニー/Melanie:小児医療センターの患者の母)

Char Sidney(看護師)

Jodi Pynn Gabree(看護師)

 

Alan Scott(人形使い)

Jason Matthews(人形使い)

Victor Broadley(人形使い)

 


■映画の舞台

 

アメリカ:ニューヨーク州

 

ロケ地:

アメリカ:ニューヨーク州

モントーク/Montauk

https://maps.app.goo.gl/4gwPP9CKFYpkNT2D8?g_st=ic

 

ブルックリン/Brooklyn

https://maps.app.goo.gl/8NfKD3Yz1ooT2kzi8?g_st=ic

 

ロング・ビーチ/Long Beach

https://maps.app.goo.gl/xZ6a8RkGYCu5zQsy6?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

セラピストとして複数の患者を受け持っているリンダは、船員で数ヶ月家を空ける夫チャールズとの間に、摂食障害を患っている娘を授かっていた

今では胃瘻にてチューブを差し込んで、栄養を投与しているものの、なかなか目標の体重には届いていなかった

経口での食事を嫌がる娘に苛立ちを隠せないリンダは、自身の同僚セラピストに相談をするものの、「解決」への道は遠ざかるばかりだった

 

ある日のこと、天井から水が漏れ出し、天井が崩落する事件が起きてしまう

修理をする間、近くの安いモーテルに移り住むことになったが、そこの店員に態度の悪さに苛立ち、管理人のジェイミーは怪しい話ばかりしていた

娘が寝付いてからようやく自由な時間が取れるものの、夜は酒類の販売は禁止されていると言い、さらにタバコも切れて、苛立ちは募るばかりだった

 

そんな折、患者のキャロラインが目を離した隙に赤ん坊を置いて失踪し、さらに他の患者からも無理難題を言われてしまう

同僚が助け舟を出すものの、キャロラインの夫からはなじられ、さらにチャールズは事態が分からないのに好き勝手言い出してしまう

リンダは精神的に限界を迎え、患者の母親の会合で悪態をつき、さらに疲弊したまま、モーテルに戻ってしまうのである

 

テーマ:解決と共感

裏テーマ:閉塞の先にある行動

 


■ひとこと感想

 

邦題は『ワンオペレーション』ということで、てっきり「ファストフードのワンオペでやばいことが起きる系」かと思っていました

主人公がセラピストということは分かったので、どういうワンオペになるのかと思いましたが、斜め上のワンオペになっていたと思います

幼い子どもを抱える「出産初めての女性」だと共感性が高いと思うのですが、子育てを終えた世代、男性などの視点だと「もっとできることがあるだろう」と思ってしまいます

それでも、これは第三者的な視点だからそう見えるだけで、「子どもの顔もまともに見れないほどに疲弊している母親」からすれば、これでも生ぬるいという感じなのかもしれません

 

映画では、理不尽で起こっていること、リンダが感情的になった故に起こっていることなどが絡まっていて、余裕がないと段々と視野も思考も狭くなっていくことがわかります

セラピストとの会話でも、「解決方法が欲しい」と明言しているのですが、セラピストは「助言を行う」というのが仕事だったりします

自身がセラピストだから職域を分かっているのだと思いますが、それすら頭から消えてしまっている状況であると言えます

 

この状況をワンオペというのかはわかりませんが、キャパ以上のことを行なっているという意味では通じるのでしょう

そして、理想系だと動いていくものも、ひとつのアクシデントで連鎖的に状況が悪化していくのもリアルでしたね

それでも、第三者的に見てしまうと「ここが分岐点だな」とわかるが残酷であるようにも思えました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


■ネタバレ感想

 

映画は、ほぼラストまで娘の様子がわからないという構成になっていて、声だけだと何歳ぐらいなのかもわかりにくかったですね

当初は夫も、家主も声だけの登場で、その声だけでは伝わるものも伝わらないという感じになっています

リンダが感情的になりすぎという部分もありますが、日頃、人の話ばかり聞きすぎていることも、これらのフラストレーションを貯める要因になっていました

 

映画では、何かしらの「穴」というのが強調され、娘の胃瘻の穴、天井の穴がリンダの心を蝕む要因として描かれています

その穴の向こうには何があるのかわからないという感じで、当初は胃瘻の除去ですら手術が必要だと思い込んでいて、状況の正確な把握ができていないことがわかります

娘の病状、その治療方法などを周知できていないのですが、これが医師の説明不足なのか、リンダの理解不足なのかはわかりません

それでも、医師の立場から見れば、母親がちゃんと向き合っていないように見えているという部分がありました

 

同じ病を抱える親御さんの前で「私たちが悪い」と断罪するのですが、この際に「私」ではなく、「私たち」と主語を変えているところがリンダの精神状態を如実に表していると言えます

自分だけの課題ではなく、周りもみんなそうなんだと思い込むことで、自分自身に降りかかっている難題というものから目を背けているようにも見えるのですね

でも、ここで「呼吸を整えて」周囲を隈なく観察することができれば、事態は変わっていたのかもしれません

 


■120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

視野狭窄が起こるというのは、余裕がない状態でアクシンデントが起こるとたちまち陥ってしまうものだと思います

怒りだけでなく、様々な感情がそれを起こさせるのですが、この対人に起こる感情を抱えているうちは、それがどんどんと狭まっていくだけのように思えます

この理想的な状況というものは、意外と奇跡的なバランスに支えられていることが多く、それを支えているものに余裕があるかどうかは考慮されていない場合が多いでしょう

劇中では「ママは伸びる(=忍耐強い)」という表現がありますが、この伸縮性の強さというものが、いわゆるワンオペを理想以上に可能にさせてしまう要因のように思います

 

本来ならば、80%に満たないくらいでバランスを取る方が良くて、たるみ過ぎることへの恐怖感から、もう少し引っ張った方が良いかもと思ってしまいがちなのですね

また、若い頃だと「自分の可能性を信じている」という部分があって、それがあるときに想定外によって一気に崩されることもあります

このような崩壊を学ぶことで、「自分は万能ではない」という感覚が醸成され、やがては「80%ぐらい」というものへと向かっていくと考えられます

 

リンダの場合は、かつて中絶したことがあるという過去があって、それを含めて「娘が摂食障害になったのは自分のせいだ」と感じている部分がありました

さらに踏み込んで、「中絶をしなければ、今の状況にはなかったかも(=健康な子どもを授かっていたかも)」という救いようのない方向へと向かってしまいます

実際に、中絶せずに生まれた子どもが健康優良児だったのかもわからず、自暴から来る暴走になっているのですね

この状況になると、セラピストもお手上げとなっていて、それは「自分の解決策を放棄しない限りは付き合えるのだが」というところに行き着いてしまいます

 

リンダがここまで追い詰められる要因は様々ではありますが、最も効果的なのは「育児に専念」なのでしょう

それができない環境にある理由は定かではありませんが、夫の協力なくしては難しいと思います

そう言った意味において、リンダの言う「私たち」には「ママ友ではなく夫が含まれている」と言えるのかな、と感じました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/103469/review/07014084/

 

公式HP:

https://synca.jp/oneoperation/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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