■祝山


■オススメ度

 

オカルト系ホラーが好きな人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2026.6.16(MOVIX京都)


■映画情報

 

情報:2026年、日本、97分、G

ジャンル:中学時代の同級生のトラブルに巻き込まれるホラー作家を描いたホラー映画

 

監督&脚本:武田真悟

原作:加門七海『祝山』

 

キャスト:

橋本愛(鹿角南/藤原みなみ:スランプに陥っているホラー小説家)

   (中学生時代:玲旺菜

石川恋(矢口朝子:南の中学生時代の同級生、手紙の送り主、「ガイア・バザール」の店員)

   (中学生時代:岡本望来

 

久保田紗友(若尾木綿子:カレー酒場「スワミ」の店員)

松浦祐也(田崎正人:朝子の勤務先の食料品雑貨店「ガイア・バザール」の店長)

草川拓弥(小野寺淳:「ガイア・バザール」の店員)

 

船ヶ山哲(高田晃:南の担当編集者、尤玄社出版の社員)

鈴木志音(佐藤詩織:津穂書店の店員、サイン会の企画者)

 

利重剛(吉村司:山岳ライター、南の先輩)

(しょうたろう:吉村の亡き息子)

(ゆりこ:吉村の亡き妻)

 

坡山久恵(カフェの店員)

小池光政

 


■映画の舞台

 

東京都内

群馬の廃墟

栃木県の某所

 

祝山&山神社

 

ロケ地:

埼玉県:川口市

洋風居酒屋ぽてと

https://maps.app.goo.gl/VVry4j6d5nHak5NM7?g_st=ic

 

千葉県:市川市

葛飾八幡宮

https://maps.app.goo.gl/ca6qYnghZDssMq3e7?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

ホラー小説家として活躍している鹿角南は、新作の執筆に取り掛かっていたが、なかなか前に進まなかった

題材を「肝試し」にしたものの、「自ら呪われに行っている浅い人物を魅力的には書けない」と考えていた

そんな折、担当編集者からファンレターの束を渡され、何かヒントがあるかも、と言われてしまった

 

先輩の山岳ライターの吉村にそれを見せると、彼はその中から「中学校時代の同級生らしき人物」からの手紙を見つけ出した

差出人の「矢口朝子」を見ても思い出せなかったが、その中身は「肝試しに行ってから何かがおかしい」というものだった

南は小説のネタになれば良いと思って会いに行くものの、その内容はありきたりなもので、何ひとつ足しになるようなものはなかった

 

だが、朝子の働いている雑貨店の隣にあるカレー屋の店員の木綿子は異常に怖がっていて、トイレにて連絡先を交換して欲しいと言われてしまう

そして、数日後、木綿子から連絡が入り、肝試しに行ったみんなの様子がおかしいと言う

さらに、どこで知り得たのか、肝試しメンバーの一人・小野寺が突然道端で声を掛け、さらに自宅にまで押しかけてくる

会うことを拒むと、彼は奇妙な資料の入った箱を自宅前に置き去りにし、さらにはプレゼントと称して、謎の木彫りの人形が封入されていたのである

 

テーマ:不浄の罰

裏テーマ:不幸の利用

 


■ひとこと感想

 

何かしらの民族伝承が元ネタなのかはわかりませんが、いわゆる「禁足地」と言うところに足を踏み入れたことによって、異常を持ち帰る人々が描かれていました

映画では、ただ立ち入っただけではないことがわかりますが、これがネタバレになりそうなので、ここでは控えておきましょう

スランプのホラー小説家がネタ探しをすると言う邪な心があるのですが、これらは原作者の体験ベースということになっています

 

どこからが体験ベースかはわかりませんが、後半のムシャムシャは流石に違うのだろうと思います

旧友から相談があったとか、禁足地に入ってしまったみたいなところかもしれませんが、まあ、危ない橋を渡って要るよね~と思ってしまいます

物語としては、色々と気になるところがありますが、一番ノイズだったのは「吉村が何の先輩なんだろう」というところでしたね

明らかに親子ぐらいの歳の差になっていて、大学で先輩後輩というのはイメージが湧きません

 

元作家の先輩なのかもしれませんが、彼の山岳ライターという職業を考えると、南はもともとライターだった、ということになるのかもしれません

かなりプライベートにも入り込んでいるし、先輩とは言え、男性の部屋に普通に入っていくので、余計なことを想像してしまいそうな距離感になっていました

大学時代にお世話になった恩師だとライターになっているはずもないと思うので、最もリアルな路線だと「オカルト雑誌で一緒に取材をしていた」というものでしょうが、そういった説明が排除させていたのは気になってしまいましたねえ

 

肝試しに関しては、南同様に「アホじゃね?」と思ってしまうタイプで、それは「誰かの不幸で遊ぶな」という感覚があるからなのですね

なので、そう言った不幸と向き合って、真摯にお参りをするとか、供養するという行動なら理解できるのですが、遊びで行うという感覚は理解できません

廃墟の跡を面白がっていくYouTuberなどもいますが、それを面白がって見ている方もどうなの?と思ってしまいますねえ(好きな人には悪いけど)

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

本作は、神聖な山だと思ったら実は忌み山だったというもので、その場所は禁足地となっていました

実際には禁足地に足を踏み入れたからだけではなく、そこであるもの(位牌)を見てしまった人には何かが起こるという感じになっています

唯一、それが見えなかった木綿子には何も起こらないのですが、彼らに取り憑いている何かは見えているように思えます

 

映画のラストには「禁足地」として超有名な「八幡の藪知らず」が登場し、南はその前で不吉な笑みを浮かべていました

この笑顔の正体はなんぞやということになっていて、彼女自身も祝山の何かに取り憑かれたのだ、みたいな感じになっていました

個人的な感覚だと、「良いネタが見つかった(ネタ元知っている人は全員いない)」ということが確定して思わず溢れたんだと思っていました

 

作家の本能的な部分のしかも負の部分が露出したみたいな感じで、生きてる人間が一番悍ましいという印象を与えたかったように思います

劇中の小野寺と田崎は罰当たりなことをしでかしていて、朝子と南も位牌を食うということをしているのですが、南に何も起こらないのは不思議だと思います

とは言え、朝子も行方しれずというだけで、何が起きたのかは明言されていなかったりしますね

 

南が怨霊か何かに取り憑かれたのかはわかりませんが、彼女自身は「語り部」として機能する存在のように思います

怨霊からすれば、自身の悲劇などを語り続ける存在として必要で、それが「あの場所に誰かを誘き寄せるため」でもあるし、「警告を発してほしい」というどちらの意味もあるのでしょう

どちらにしても、怨霊的に利用価値があるから生かされているのですが、それ自身が南の生きていく糧にもなっていたりします

ある意味、Win-Winにも見えるのですが、そう考えるのは歪んだ受け止め方なのかもしれませんね

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、幽霊が出てこないホラー映画で、確かに何らかの怨霊のようなものがいるように感じられます

超常的な何かにふれたことが遠因としてあるように見えますが、実際には「神様に唾を吐いた」とか、敷地内の神聖なものを雑に扱ったというものでしょう

あの行動に至る心理的変化はわかりませんが、それをさせていたのが怨霊的な何かなのか、彼らの本性なのかは何とも言えない部分がありましたね

 

バチが当たるというのは良く言いますが、これは日本的宗教観に由来する道徳のようなものだと思います

それは八百万信仰、すなわち自然信仰の根幹とも言え、自分が手にふれるもの全てに神様が宿っているという考え方なのですね

なので、どんな些細なものであっても粗末には扱わないし、それが何らかの手段で手元に来た時には、それらに対する感謝の念を持っているという概念になります

八百万(やおよろず)というのは「無限に近いほどに非常に数が多い」という意味の例えであり、道端に転がっている石ころにすら神様が宿っていると考えます

 

この感覚はかなりしっくりくるもので、幼少期の頃にそこまで強烈に植え付けられた価値観ではなかったりします

うちの実家は仏教徒で、月イチでとある寺院にお参りをするし、教徒たちの集会などにも参加させられました

そこで習ったということもなく、その宗教で覚えているのは「繰り返される念仏」だけでした

その後、食事の際に手を合わせるとか、与えられたものを丁寧にするなどの所作の末に、八百万信仰というものがいつの間にか体の中に入っていったように思います

 

その観点からすれば、禁足地に関わらず、あの場所であのような行為をすることは御法度だし、南が「なんてことを」と言うのも自然のように思います

また、肝試しそのものがそう言った信仰などからかけ離れたところにあるし、その行為自体が信仰を蔑ろにしているように思います

 

それでも、本作の根幹となる罪は「他人の不幸を嘲る」と言うところにあって、それは肝試しもそうだし、肝試しの被害者を小説のネタにする、と言うのも同等の行為に思えます

この小説家の業と言うものが彼女を取り込んでいるようにも思え、それは神木を切り刻んで糧にしてきた製作所の人間と大差ないように見えてしまいます

対象が自然なのか、人間なのかと言う違いがあり、人間も自然の一部であると考えれば、その罪の深さに変わりはないのでしょう

映画はそこまで描いているかはわかりませんが、あの笑みを解釈するなら、それは彼女自身の本性だった、と言うことになるのかな、と感じました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/105741/review/06635362/

 

公式HP:

https://iwaiyama.com/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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