【映画感想】家族という病【後半:ネタバレあり】

■家族という病


■オススメ度

 

一風変わった群像劇に興味のある人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2026.7.15(アップリンク京都)


■映画情報

 

情報:2026年、日本、96分、G

ジャンル:複数の歪な家族を描いた群像劇

 

監督&脚本:大山千賀子

原作:下重暁子『家族という病』

 

キャスト:

【エピソード1:エロ小説家】

小出恵介(藤田森:薮木賞受賞作家、受賞作『裸体の神秘』の原作者)

廣井若葉(黒木玲子:AV女優&キャバクラのホステス、まりあの母)

 

永島あゆみ(木村留美:藤田森のインタビュアー)

 

【エピソード2:蝶々網の男】

寺泉憲(松原雄二:退職後も出勤する元重役)

服部妙子(雄二の妻)

田村翔子(雄二の娘)

風間晋之介(松原幸生:雄二の息子、引きこもり)

門井美枝子(雄二の祖母)

 

鈴木桂一郎(テレビのキャスター)

若井尚子(テレビのお天気キャスター)

 

【エピソード3:ニセお嬢様】

椿原愛(黒木まりあ:母の仕事でいじめられる白百合学園の女子高生)

 

谷川功(パパさん:仕事熱心なホームレス)

豊島心桜(坂脇恵里奈:まりあのクラスメイト)

 

【エピソード4:マンネリ小説家】

藤本隆宏(田原純一郎:ミステリー小説『刑事コンロン』の小説家)

友近(田原麻里子:純一郎の妻)

斎藤さらら(田原優花:純一郎の娘)

 

岡慶吾(歯医者)

小夏いっこ(歯科助手)

 

外園ゆう(松原涼子:純一郎の担当編集者)

松本博之(出版社の編集者)

土屋良太(出版社の編集者)

塚本耕司(出版社の編集者)

 

【エピソード5:ホームレス】

渡辺えり(ホームレス)

 

小山蒼海(公園の少年)

戸部結彩(公園の少女)

海野久美子(公園の母)

 

【その他の出演者】

中西悠綺

五島龍之介

萩原朔美(ホームレス)

植松洋(小銭を探す男)

市山貴章(掃除をしている男)

藤家矢麻刀(自販機のリーマン)

神野実奈実

加藤明子

梅村真樹子

坂部吉昭

杉昇真

田島智也

庄司浩之

 

藤本桃子(まりあのクラスメイト)

中崎花音(まりあのクラスメイト)

本條杏実(まりあのクラスメイト)

倉本光

伊藤こうこ(「J  Vogue」のママ)

レイミンク

(「J  Vogue」のホステス)

古瀬りいら(「J  Vogue」のホステス)

まほ(「J  Vogue」のホステス)

タマダセイダン

 

カリブ(犬)

さつき(犬)

アロ(プードル)

 


■映画の舞台

 

関東圏某所(東京&神奈川)

 

ロケ地:

東京都:町田市

沢谷戸自然公園

https://maps.app.goo.gl/cni4EXZXTJ5Sw94P9?g_st=ic

 

東京都:中央区

銀座 J-Vogue

https://maps.app.goo.gl/EyBeJnPvTmKaMMJA7?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

都内某所には、いくつかの形をした「家族」がいた

退職後も出勤を装って蝶々集めに苦心する夫とそれを支える家族、マンネリ小説をバカにされながらも家族の生活のために書き続ける小説家一家は、彼に敬意を払っていない

母親がAV女優ということがバレた女子高生は、母親との衝突が絶えず、逃避行動を繰り返している

そして、家族を持たずに、ひたすら女体に興味だけ抱く小説家のモノローグにて、物語は始まりを迎える

 

エロ小説家と揶揄されながらも、藪木賞を受賞した藤田森は、テレビのインタビューにて「幸せな家族などいない」と豪語し、裸体に込められた神秘的なものについて語り出す

インタビュアーがこれまでの人生、家族のことを訊いても、壮絶さを語るだけで、具体的なことを語ることはなかった

そんなインタビュー番組を見ていた重役のふり夫の家族は、祖母の急変によって、家族の形を変えてしまう

一家のお荷物的な存在の長男は、そんな家族を横目で見ながら、ある動画に傾倒するようになっていた

 

その動画を撮影していたのは、母がAV女優として有名な女子高生で、彼女はそれが周囲にバレて、悲惨な高校生活を送っていた

母は自分の仕事にプライドを持っていて、それなりの生活ができていたが、娘はそれを嫌い、ある行動に出てしまうのである

 

テーマ:家族の中心となるもの

裏テーマ:家族を繋ぎ止めているもの

 


■ひとこと感想

 

5章から成るオムニバス形式で、第1章「エロ小説家」、第2章「蝶々網の男」、第3章「ニセお嬢様」、第4章「マンネリ小説家」、第5章「ホームレス」というふうに続いていきます

冒頭では、ある森の大木の写真を撮るまりあが描かれ、その動画を見ているのが引きこもりの幸生でした

まりあは母・玲子がAV女優とキャバクラで大金を稼いでいることを知っていて、それを嫌悪していました

クラスメイトの恵里奈からいじめを受けていたまりあは、そのことを苦にしていて、どこか知らない街で暮らそうというものの、それが叶わないためにある行動に出てしまいます

そのニュースを知った幸生が呆然とするシーンなどがあり、意外なところで人物関係が構築されているように描かれていました

 

エロ小説家とマンネリ小説家は、受賞者と大衆作家という対象的な関係にあり、後半ではキャバクラで鉢合わせた結果、事件が起きてしまいます

マンネリ小説かもベストセラーで稼いでいるものの、それだけでは満足しておらず、家族は尊敬の念を持っていないことが起点としてありました

どのような方法で家族を幸せにするかというところがあって、両親との関係から歪んだ作風になったエロ小説家と、マンネリ打破のために路線を変える小説家がいて、そのきっかけとなるのが衝突というのは面白いところだと思います

 

全体的に何を描いているのか分かりにくいところがあり、人間関係が繋がっていくところを楽しめるかどうかだと思います

これらの関係性が微妙に繋がったことで、それぞれの家族というものが変化する、という構造があるものの、その変化は実に分かりにくいようにも思えます

象徴的に描かれる大木は「家族の大黒柱」のメタファーだと思いますが、それを「ファインダー越しに見るまりあ」「映像として見る幸生」があって、「縋りつくマンネリ小説家」までは理解できますが、エロ小説家との絡みはあまりないし、蝶々男も別の物語になっているので、一貫性がないように見えてしまいますね

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

映画は、どんな家族にも知られざる面があるとか、家族というコミュニティを支えているものは何だったのかを描いているのだと思います

家族そのものを否定するエロ小説家、家族のために書きたくないものを書いているマンネリ小説家は対比構造となっていました

蝶々男の家族は、男が家族の中心に見えて、実際には祖母だったということがわかり、その生活に終止符を打つことになります

母親の思う息子でありたいと願う夫を支えるという構図になっていて、その状況に反発しているのが幸生ということになるのでしょう

 

面白いかと言われれば微妙な作品で、ホームレスという家族を持たない人が登場して去っていっても、「おばあちゃんは孤独だったんだね」と少年が言って終わってしまうし、どうして無関係の人間と子どもを遊ばせるのかわからなかったりします

そんなホームレスとマンネリ小説家が出会って変化が起こると言えば起こるのですが、マンネリ小説家の内面というものにそこまで寄与したようにも思えないのですね

ある意味、何があっても、マンネリ小説家は自己解釈をして、その狂った精神を大木に委ねることになったように思います

 

ここで描かれている家庭というものが、あまり一般的ではないところが面白いのですが、この映画の登場によって、今更世間が騒ぎ立てるということもないのでしょう

原作が出版された頃に蔓延していた家族像は打破されたと思いますが、今では「超個人主義」のようなところがあって、SNSの発展によって、まりあ的存在も幸生的存在も違った方向性になっていると言えます

定年後に母親の見栄のために働き続ける父親とかも、高度成長期に落ちこぼれた家族が装うというのがあるかもしれませんが、そもそも「家族」というものの繋がりが、ここ10年ぐらいで一気に変化しているようにも思えます

繋ぐものは「尊敬」であることは変わらないと思いますが、それを担保するのが「金銭」という時代は終わりを告げたように思えました

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、オムニバス形式で描かれる「人間関係のつながりの妙」と、それによって変化する家族というものが描かれていました

その中で劇的なのは、まりあが母と心中するシーンで、そのニュースを見た幸生が全く変化しないところが興味深かったと思います

彼は動画を通じて大木でまりあと出会い、運命的なものを感じていました

でも、彼女が死んでしまったことで彼の中で何かが変わるのかと思えば、まるで他人事のようにニュースを見ているだけで、その後の行動に変化がないように見えます

彼自身を動かしたのが家族以外の誰かだとして、それにふれあったとしても、それが絶たれたことが間接的に分かっただけで無関心になっていくのはすごいことのように思えます

 

エロ小説家のモノローグで始まり、マンネリ小説家のモノローグで終わるのですが、この独りよがり感もなかなかのものでしたね

何かを悟ったように語りますが、実際にところ家族には何も伝わっていないし、家庭を維持するために行動を変えているだけのように思えます

口腔の癌を発症して、なぜか車椅子生活になっているのは意味不明でしたが、彼が書いた「番外編」のような小説は結局売れたのかどうかわからなかったですね

担当編集者はお気に入りだったようですが、受賞作の意識高い系も売れていたのかどうかはわからなかったりします

 

結局のところ、繋がりがある間だけ関心が残るということになっていて、家族というのはその繋がりを消せないというジレンマがあると思います

そんな中で、社会を突き放せれば保てる精神というものも、まりあの時代とその環境ではできなかったということになります

彼女の母親との関係も今のネット状況だともっと悲惨なものになっているでしょうねえ

あんな感じに「直接嫌がらせ」というのもなさそうで、インターネットミーム化して、まりあもAV嬢みたいなコラ画像がクラスで出回って楽しまれている、みたいなことになりそうに思いました

この辺りが反映されないのは、原作当時の時代感が設定の中にあるからなのかな、と感じました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/99520/review/06738467/

 

公式HP:

https://www.kazokutoiuyamai.com/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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