■左利きの少女
■オススメ度
貧困家族の諍いのドラマに興味がある人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2026.8.20(アップリンク京都)
■映画情報
原題:左撇子女孩(左利きの女の子)、英題:Left-Handed Girl(左利きの少女)
情報:2025年、台湾&フランス&アメリカ&イギリス、108分、G
ジャンル:5歳児が家族の諍いに巻き込まれる様子を描いたヒューマンドラマ
監督:ツォウ・シーチン/鄒時擎
脚本:ツォウ・シーチン&ショーン・ベイカー
キャスト:
マー・シーユエン/馬士媛(ジョン・イーアン/鄭宜安:母と仲の悪い娘)
ジャネル・ツァイ/蔡淑臻(ジョン・シューフェン/鄭淑芬:イーアンの母)
ニーナ・イエ/葉子綺(ジョン・イージン/鄭宜静:イーアンの妹、5歳の少女)
ファン・テンフイ/黃鐙輝(ジョニー/强尼:隣の雑貨店の店主)
チェン・チュウリュウ/陳秋柳(アリ/阿莉:シューフェンの麺屋の店員)
リウ・ミンシュン/劉明勳(ヨウ/楊:夜市の管理委員)
アキオ・チェン/陳慕义(ツェン・ウェンシオン/鄭文雄:シューフェンの父)
チャオ・シンヤン/趙心妍(ウー・ショエメイ/吴雪梅:シューフェンの母)
ステファニー・チャン/張允曦(シャオホン/曉紅:シューフェンの妹)
チェン・ヤンルー/陳衍儒(メイリン/美玲:シャオホンの娘、アイドル志望)
クリスタル・ハン/韓亜熙(シャオホー/暁荷:シューフェンの妹)
オードリー・シェイ/謝涵羽(フェイリン/斐琳:シャオホーの娘)
ウェイ・ウェンジュン/魏汶駿(シェンシン/振興:シューフェンの弟)
フランコ・チャン/江国賓(ジョン・チャンシン/鄭江清:シューフェンの元夫、イーアンの父)
シア・テンホン/夏謄宏(アミン/阿明:イーアンのバイト先の店長、檳榔店)
リン・ヤン/林嫣(チェン・ペンラン/陳沛蘭:アミンの妻)
チェン・ユーツェン/陳妤蓁(シャオピン/小萍:アミンの店の新入り)
ティファニー・アナイス・リン/林宴慈(シエ・ムーシー/謝慕晰:イーアンの高校時代の同級生)
オースティン・ツェン/鄭永岳(シンロン/青龍:アミンの友人、ポーカー仲間)
レイ・チン/雷擎(ディンシン/丁星:移民のブローカー)
ニアン・シーカイ/黏詩楷(リ/李:ナイトクラブのオーナー)
シュルン・ダイ/戴叔伦(ウェンビン/文氷:移民の女)
ゼン・ワンユン/曾琬芸(ウェンビンの友人、移民)
ヤオ・シャオユー/姚曉鈺(犬のオーナー)
シエ・ジャオミン/謝昭明(ゲーム屋さん)
チョウ・インシオ/周盈秀(100円ショップの店長)
ツォウ・オズトゥルク・クビライ/鄒孟姬(イージンの友だち)
シェ・ハンイー/謝宏立(質屋の店長)
ワン・ハイピン/王海平(バイクの運転手)
リン・メンロン/林孟蓉(ニュースレポーター)
ヤン・グオミン/楊国民(占い師)
チャン・ジンジエ/張晋宜(幼稚園の先生)
チャン・ジャイユー/張佳艺(看護師)
シェン・シンヤオ/沈欣瑤(看護師)
シャオ・シンユン/鄒忻芸(移民局の職員)
マー・ジーファ/馬志華(男性警官)
ヤン・ユージェン/曾宥臻(女性警官)
リリー・チェン/陳菁(「Mountain Cafe」の店主)
■映画の舞台
台湾:台北
夜市・麺屋台
ロケ地:
台湾:台北
通化街夜市(臨江街夜市)
■簡単なあらすじ
台東から台北に移住してきたシューフェンたちは、小さなアパートを借りて、近くの夜市に店を構える事になったシューフェンには20歳過ぎの娘イーアンと5歳になるイージンを抱えていて、イーアンとの仲はいつも喧嘩腰だった
シューフェンには、シャオホン、シャオホーという妹がいて、弟のジェンシンは外国で事業を立ち上げていた
シューフェンはイーアンとイージンを両親の元に連れていくと、父は「イージンの左利きはダメだ」と躾がなっていないと怒り出す
母はそれを宥めつつも、シューフェンは聞く耳を持たなかった
イージンも何が悪いのかわからなかったが、ある時祖父母の家に預けられた際に「左手は悪魔の手だから使うな」と言われてしまった
ある日のこと、シューフェンの元にとある連絡が入った
それは元夫のジアンテンが危篤というもので、イーアンの反対を振り切って、彼のところに見舞いに行ってしまう
イージンはジアンテンが誰なのかわからず、シューフェンもイーアンも説明はしない
そして、ジアンテンはそのまま亡くなってしまい、シューフェンは彼の葬式のためにお金を出すことになった
だが、夜市の収入はわずかで、場代を払えないほど追い詰められていくのである
テーマ:困窮の果て
裏テーマ:真実を知る権利
■ひとこと感想
台北の夜市が舞台となっていて、そこで麺屋を営んでいるシューフェンが描かれ、娘のイーアンは自由人でヤバめの商売をしているし、何も知らないイージンは奔放に生きていました
イージンの祖父は「左利きは悪魔の手」と言ってイージンを右利きに強制させようとしますが、誰もそれに賛同することもありません
それでもイージンは「ミーアキャットの事件」によって、本当に左手は悪魔の手なんだと思い込む事になります
シューフェンは元夫の借金を抱えていて、彼が死んだ時も葬式代を出したりしていて、借金さえなければ別れることはなかったように描かれています
彼女には妹が2人、弟が1人いて、彼らはそれなりに裕福な暮らしをしているし、母親は「移民ブローカーの手伝い」みたいなことをしていました
母親は移民と一緒に海外に行ってモノを買うのが趣味のようですが、この一家は全員がどこかおかしい、みたいな感じになっていました
映画は、イージンの目線のようにも思いますが、トップクレジットはイーアンなので、彼女の目線も並行して描かれていきます
後半にある事実が判明するのですが、思わず声が出そうになりましたね
振り返ると「なるほど」という感じになっていて、蓄積された僅かな違和感が伏線になっているのも良かったと思います
左利きがダメというのは台湾の古い風習なのかもしれませんが、その左手が起こしたことが後半に意外な展開を呼ぶのは面白い構成だなあと感じました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
映画は、イージンの父親は誰?という疑問を抱えながら、シューフェンには台東にいた時に新しい男がいたという誤魔化しになっていました
それを父に伝えるのがイーアンであり、それはせめてもの復讐のように思います
そして、彼女自身も檳榔店の店長とヤることはやっていて、これまた後半に強烈な展開を生み出していました
檳榔は日本では禁止されていませんが、今では発がん性が指摘されているので、健康に良いとは言えないと思います
シューフェンは自分の力で子どもたちを立派に育てたいと努力をしてきましたが、学業優秀だったイーアンを大学に入れることはできず、それは父親が原因とされていました
イーアンの年齢は20歳前後なので、イージンが5歳ということは高校生の初期に誰かと関係を持っていたのだと思います
同窓会のような場所で元クラスメイトが行っていたのは、そう言ったことを同級生相手にしていたのでしょう
その延長線上なのかはわかりませんが、イージンを産むことになり、シューフェンはイーアンの将来を案じて、自分の2番目の子どもとして育ててきました
シューフェンにとっては、娘の後始末をしなければならないと考えていて、それでも自分の子どもではないから、無関心な部分がありました
中盤になって、それが露骨になってきた頃からイーアンの行動(イージンとの接し方)が変わっていきます
この段階でもまだ、厳しいお姉ちゃんだなという感じなのですが、半ば育児放棄に見えるシューフェンのイージンへの接し方に我慢ができなくなっていきます
そして、真実の暴露を行うことになったのですが、あの場所でそれを行うのは祖父母への当てつけなんだと思いました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、イージンの存在がミステリーとなっていて、シューフェンは随分と歳を取ってから第二子を授かったんだなあと思って見ていました
娘のイーアンは「台東の新しい男の間の子」みたいな適当な説明を実父にしていましたが、実際にはイーアンと高校時代の誰かの子どもということになっていました
高校時代に「売り」のようなことをやっていたようで、その果てに出来てしまった子どものように思います
シューフェンはイーアンの将来を考えて、自分の第二子として認知をしたのかわかりませんが、表向きはそれで通そうと考えていたのでしょう
でも、イーアンからすれば「自分が産んだ子なのに母親として接することができない」というもどかしさがあり、その関係性は母親から一方的に押し付けられていたことがわかります
シューフェンはイージンを娘として接しているように見えて、実際には孫なわけで、でも可愛がっているという感じには見えません
ある意味、邪魔な存在に感じている部分があって、イーアンはその接し方にも我慢ができなかったのだと思います
イージンが左手で悪さをした背景には、自身の祖父母の価値観というものがあって、そこで迷信のようなものには強く言えない部分がありました
それは関係性を隠してきたこともあると思いますが、自身の過去を決して受け入れようとしないだろうという決め付けもあったのでしょう
叔父には財産を残すのに、自分たちには何も施しを与えない
そんな中で、イージンの左手が彼らを救ったことで、恩を売ることになりました
端金で修復できるようなものではないと思いますが、ある意味、手切れ金のようにも見えます
そうして、イージンと母親として向き合うスタート地点に立つことができ、それはこれまでの時間を取り戻す旅の始まりのようにも思えました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/104898/review/06864759/
公式HP:
https://cinema.starcat.co.jp/left-handed-girl/
