■隣人たち


■オススメ度

 

狂った歯車系スリラーが好きな人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2026.7.29(京都シネマ)


■映画情報

 

原題:Mother‘s Instinct(母親の本能)

情報:2024年、アメリカ&ベルギー&フランス&イギリス、94分、G

ジャンル:ある裕福そうな隣人家族を描いたサイコスリラー映画

 

監督:ブノワ・ドゥローム

脚本:サラ・コンラット

原作:バーバラ・アベル『Derrière la haine』

 

キャスト:

ジェシカ・チャスティン/Jessica Chastain(アリス・ブラッドフォード/Alice:仕事に復帰したい母親)

アン・ハサウェイ/Anne Hathaway(セリーヌ・ジェニングス/Céline:不妊治療の末に子どもを授かった母親)

 

アンデルシュ・ダニエルセン・リー/Anders Danielsen Lie(サイモン/Simon:アリスの夫)

イーモン・オコンネル/Eamon Patrick O’Connell(テオ/Theo:アリスの息子、ピーナッツアレルギー)

キャロライン・ラガーフェルト/Caroline Lagerfelt(ジーンおばあちゃん/Granny Jean:サイモンの母)

 

ジュシュ・チャールズ/Josh Charles(ダミアン/Damian:セリーヌの夫、製薬会社の社員)

ベイレン・D・ピエリッツ/Baylen D. Bielitz(マックス/Max:セリーヌの息子)

 

【その他の出演者】

Steve Routman(検視官)

Keeley Miller(妊婦のママ友)

Joel Nagle(後見人選定の弁護士)

T.L. Flint(役員)

Alexander Blaise(ウォレス医師/Dr. Wallace:解剖医)

Scott Robertson(裁判官)

Larry Petersen(牧師)

Gavin Cox(歌うクラスメイト)

Arlo Smith(歌うクラスメイト)

Gina Guzzi Francia(入院担当看護師)

Michelle Santiago(ママ友)

Lauren Yaffe(弔問客)

 


■映画の舞台

 

1960年代、

アメリカ:大都市の郊外

 

ロケ地:

アメリカ:ニュージャージー州

ユニオンカントリー

クランフォード

 


■簡単なあらすじ

 

1960年代のアメリカの大都市郊外では、ジェニングス一家とブラッドフォード一家が仲良く過ごしていた

隣人同士である彼らは、合鍵を持ち合っている仲で、ふた家族の幼い子どもマックスとテオも仲良く過ごしていた

テオにはピーナッツアレルギーがあって、それは母アリスも、マックスの母セリーヌと周知のことで、事故が起こらないように気を配っていた

テオの父サイモン、彼の母ジーンとマックスの父ダミアンたちも仲が良く、家族ぐるみの付き合いをしていた

 

ある日のこと、アリスはベランダで遊んでいるマックスを見つけ、それを知らせようとセリーヌのもとへと駆けつけた

だが、掃除機をかけていて気づかず、その間にマックスはベランダから転落して亡くなってしまう

セリーヌは塞ぎ込むようになるものの、テオと接する機会が増え、アリスは奇妙な感覚に囚われ始めてしまう

 

サイモンは塞ぎ込むようになり、両家は距離を置くようになるものの、テオの誕生日会が催されることになり、セリーヌを招くことになった

だが、ジーンは彼女に対して、家族ぐるみとは言え場を弁えて辞退すべきだったと告げた

セリーヌはその言葉を受けて自宅に戻るものの、その傍でジーンは持病の心臓発作を起こして亡くなってしまう

 

両家が悲しみに暮れる中、アリスは何を思ったのか、司法解剖をするように検視官に告げる

そして、その結果、ジーンは処方されていた薬を飲んでいないことがわかる

さらに、庭で見つけたジーンの薬箱が何者かによって盗まれ、家から忽然と姿を消してしまうのである

 

テーマ:疑念が増幅させるもの

裏テーマ:母の覚悟が試される時

 


■ひとこと感想

 

めっちゃ仲の良い両家が「事件」によって対立する様子を描き、さらにヤバいことが重なっていく、という内容になていました

ポスタービジュアルからして不穏さ全開なのですが、鑑賞特典は幸せいっぱいの両家が映し出されていましたね

鑑賞後に見ると、それはそれで不穏な感じに思えてしまいますね

母親の愛が妙な衝突を起こし、「考えすぎなのか、どうなのか」という感じの出来事が続き、アリスは「虚実混同するようなもの」を見ていくことになりました

 

実際に起こったことは推測の域を過ぎないのですが、ラストを見ると「本当だったのかな」と思わされますね

でも、度重なるアリスの言動によって、セリーヌの心が決まっていったようにも見えるので、アリスが何もしなければ何も起こらなかったようにも思えます

秘密のトンネルはキーポイントでありますが、あそこを抜けられたかどうかをセリーヌがそこまで気にするかはなんとも言えない部分がありますね

 

映画では、とにかく「どうなってしまうんだろう」という連続で、ようやく平和が訪れると思った矢先に悲劇的なことが起きてしまいます

良かれと思った言動が裏目に出ているという感じで、余計な一言というものが事態を転がしていったように見えます

口は災いの元といいますが、その根幹には「思想」というものがあるので、それが悪い方向に露出してしまったのかな、と感じました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

映画は、ルーズベルト大統領時代の出来事で、隣合う高級住宅街に住む二つの家族が描かれていました

どちらも夫が高級取りなので裕福な生活をしていますが、一方は不妊治療の末の「最後の子ども」であり、もう一方は「2人目よりも仕事を選ぶ妻」がいる家庭でもありました

アリスから見れば、セリーヌがマックスを溺愛する理由もわかるし、マックス亡き後にテオに執着することも想像できたのでしょう

一方のセリーヌからすれば、「もう1人を産めるのに産まない選択ができる」という状況が彼女を苦しめますが、それはアリスが何とかできる問題ではないと言えます

 

マックスの不注意の事故によって不穏なムードが漂ってくるのですが、あの場面だと、秘密のトンネルを抜けたとしても助けられなかったでしょう

それでも、テオの時には通れたこともあって、アリスの仲で「罪悪感」というものが生まれてしまいます

そして、それを口にしたことで、セリーヌの中になかったものも呼び起こしてしまっているのですね

これは、ジーン自身も同じ過ちをしていて、どうしてそれを口にしてしまうのか、と思わざるを得ないのですね

 

結局のところ、アリスもジーンもセリーヌを下に見ているところがあって、それは無意識に漂っているものなのでしょう

アリスが感じている優越感と、ジーンが感じている女性の完成度的な観点は、その思想自体は自由だとしても、それは口外してはならないもののように思います

彼女たちがそれを口にしてしまうのは、自分の仲で抱えることが辛いこともありますが、相手に知らせることでさらにその思想を強固にしてしまうことが「わかっていたから」というふうにも見えなくはないと思いました

 


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本作を見ていて思うのは、女性はマウントを取り合わないと生きていけないのかということと、そのマウントの取り方にも様々な観点があるんだなあと感じてしまいました

彼女たちは決して優越感に浸りたいからマウントをとってるのではなく、生きながらにしてそう言う生き方になっていると言う感じで、それがあの時代の女性的な生き方だったようにも思えてしまいます

女性が多い職場の人はわかると思いますが、どうしてそこまで「その場にいない人を悪く言えるのか」と言うシーンが多く、その共通認識的なものがグループを変えて縦横無尽に存在する怖さと言うものがありました

 

映画では、現代的なマウント合戦はなく、価値観の違いから目指すものが違い、それが自分にないものだと劣等感を感じる、と言うように描かれていました

記者出身のアリスは、子どもを産んだことで社会復帰を果たそうと考えていて、セリーヌとは根本的に考え方も違うし、子どもとの接し方も違うと思います

アリスが2人目を欲しがらないのはテオのような病弱な子どもが生まれるのではないかと言う怖さと、彼女自身が抱えてきた精神疾患に付随するものがあったのでしょう

でも、セリーヌはようやく授かったのに「最後の子どもです」と言われ、2人目を産み育てることはできません

 

この2人の違いがその後の行動に現れていて、セリーヌの子どもへの執着の強さと言うものをアリスは警戒していました

自分よりも子どもへの接し方が上手いと言うこともあり、アリスとテオの距離感とは違ったものを構築していきます

これによって、テオを奪われるのでは?と感じる部分があって、これはセリーヌが意図しないものだとしても、アリスのその恐怖心を感じることで、それを実行に移そうと考えてしまいます

結局のところ、アリスが感じていた恐怖というものが現実になったとも言え、それはセリーヌの完全犯罪を生み出したのかは何とも言えない部分があります

 

セリーヌをここまで駆り立てたものはアリスの思想ではあるものの、実際にはダミアンの行動も起点の一つなのでしょう

それは、とあるシーンでアリスの並びに座り、セリーヌと向かい合う構図になっていました

その後も、アリスと身体的な接触を行うなど、セリーヌがダミアンを拒絶したことが仄めかされています

この一連のダミアンの変化もアリスの行動の引き金になっていて、それが自殺に見せかける殺人へと発展していきました

 

セリーヌを取り巻く人々が無意識に行なっていた行動がやがて彼女をそうさせたと言えるので、これを踏まえるとジーンも日常の言動の仲でセリーヌに何かを決意させるものがあったのでしょう

ジーンの薬入れ替え問題に関しては真相は闇ですが、もし本当に入れ替えていたとしたら、これはある種の計画的なものだったことになります

これに関しては推測の域を出ないし、アリスの思考のような突飛なものになるので意味はないと言えます

それでも、セリーヌ自身が常に感じていたジーンの視線というものはあったと思うので、それは無言の圧として、彼女自身をある方向へと向かわせるには十分だったのかな、と感じました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/105907/review/06783952/

 

公式HP:

https://gaga.ne.jp/rinjin/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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