■ナギダイアリー
■オススメ度
ふとした休息が必要だと感じている人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2026.9.28(イオンシネマ京都桂川)
■映画情報
英題:Nagi Note(ナギの日記)
情報:2026年、日本&フランス&シンガポール&フィリピン、110分、G
ジャンル:東京から田舎町に来た2人の女性を描いたヒューマンドラマ
監督&脚本:深田晃司
キャスト:
松たか子(遠藤寄子:牧場で過ごす元東京人、酪農家&彫刻家
石橋静河(坂下友梨:建築家、寄子の弟・雅人の元妻)
藤原聖(東圭太:春樹の親友)
水間ロン(東太一:圭太の父、自衛官)
川口和空(井口春樹:好浩の息子)
松山ケンイチ(井口好浩:寄子の幼馴染、役場の職員)
藤間爽子(井口早苗:好浩の亡き妻、寄子の同級生)
申瑞季(歌見:学芸員、ワークショップの講師)
矢野裕美(ピアニスト)
ナウモフ・ドミトリー(バラライカ弾き)
■映画の舞台
2025年3月13日~3月21日、
岡山県:奈義町
ロケ地:
岡山県:勝田郡
横仙歌神社
https://maps.app.goo.gl/uP2yVvEbXDjKDgCR6
菩提寺 大イチョウ
https://maps.app.goo.gl/9ES7HZVBFK8ULFhi7
蛇淵の滝
https://maps.app.goo.gl/mxnANU2jsskMt2aA6
日本原駐屯地
https://maps.app.goo.gl/aDaRhZhYnhg4wJjw5
奈義町現代美術館
https://maps.app.goo.gl/JCoVUzFhiHsxnLqP9
ナギテラス
https://maps.app.goo.gl/z9JgA66A333GFWHe8
なぎチャイルドホーム
https://maps.app.goo.gl/PZEGQ55EQnov68uy9
■簡単なあらすじ
東京で建築家として働いている友梨は、離婚した夫・雅人の姉の寄子の家へと赴いた
寄子は彫刻家として作品を手がけていて、友梨をモデルにした作品を作ろうとしていた
雅人は台湾の高雄にて建築の仕事をしていて、実家に戻ることはなかった
その村に着いた友梨を案内したのは、かつて友梨をモデルにしてスケッチを描いたことがあった圭太で、彼は駐屯地に赴任している自衛官の息子だった
村の中学校には馴染めなかったが、町役場で働いている寄子の幼馴染の好浩の息子・春樹とは仲良くできていた
好浩には他界した妻・早苗がいて、彼女と寄子も幼馴染として仲良く青春時代を過ごしてきた
寄子は数年寝かせたクスノキを使って友梨の彫像を作ろうとしていて、その手始めにスケッチと粘土像を作り始める
彼女は酪農家として乳牛を育てていて、時折、美術館のワークショップの手伝いなどもしていた
春樹も圭太も友梨と交流を深めるようになり、一緒にイベントに参加するようになった
そんな折、春樹に呼び出された友梨は、そこで彼らの秘密を知ってしまうのである
テーマ:孤独と孤立
裏テーマ:伝わる関係性
■ひとこと感想
岡山県の山奥の実在する村が舞台で、そこで酪農をしながら彫刻をしている寄子と、彼女のモデルになるために訪れる友梨が描かれていました
彼女らの関係は、寄子の弟の元妻というもので「元姉妹」ということになります
2人とも東京にいた時期があり、寄子は美大を出てから適当な仕事を転々として、両親の介護のために帰ってきたと言います
友梨は元夫と共に台湾で仕事をしたりしていましたが、いろんなものが重なって離婚することになっていました
友梨はかつてこの村を訪れたことがあり、彼女をモデルとした絵というものが存在しています
その絵は後半のキーポイントとなるものですが、本作では男女の関係性の難しさというものを描いていました
前半にて、圭太が「寄子と友梨は恋人同士なのか」と訊く場面があるのですが、このセリフで「いろんなものが察せる」という感じになっていました
ああ、こっちもあっちもそうなのか、というところがあって、予告編などではそこはシークレットになっていましたね
この手の流れに拒否反応を示す人もいると思いますが、劇中で描かれるのはそこまでディープなものではありません
あくまでも心が惹かれ合うレベルでもあり、特に子どもたちが感じているものは永続的なものなのかはわからないようになっています
そもそも、15歳だとそこまで衝動があるというものではなく、性的指向も明確には定まっていないように思えます
それでも、衝動的に感じるものは確かにあって、それに素直になれる人たちだったのかな、と感じました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
映画では、相手のことはよくわかるけど、自分のことはよくわからないという本質を描いていきます
寄子は友梨が仕事で悩んでいることを察するし、でも本当の理由までは感じられていない
あくまでも、雰囲気として発しているオーラの色のようなものが見えるのでしょう
最初に作った粘土像を壊してしまうのも、そこには寄子はいないと感じていて、心のベールのようなものに包まれていたままだったということになるのだと思います
少年2人の指向に関しては「告白と受容」という関係になっていて、まだまだそういった本質があるとまでは言えないのでしょう
でも寄子の性的な指向はすでに固まっているようで、幼馴染の早苗にそれがなかったことから、関係が成就することはありませんでした
春樹は自分の父が寄子のことを好きだと思っていましたが、実際には真逆で、肖像画の友梨に恋をしていたことがわかります
春樹にそれがわからないのは、まだまだ未熟だということもあると思いますが、外野の声が混じっているからのように思えます
映画は、わずか1週間ほどの友梨の滞在を描き、そこで起きた些細なことが描かれていました
それでも結構色々なことが起きていて、駐屯地ならではのエピソードなども登場します
防災無線を好浩が行っていて、友梨に対して「彼の声はどう?」と寄子が訊くのですが、おそらくは「外野の声がうるさいので」というものが背景にあるように思います
でも、彼女が知らないところで彼の恋は存在していて、それが今後、どのような展開になって行くのかはわかりません
友梨がもう少し滞在することになった理由は別のもので、それは寄子の目を通じた自分自身というものを最後まで確かめたかったのだと感じました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
同性愛が結構シナリオの根幹になっていて、春樹と圭太の関係性のみならず、寄子と早苗というものも過去の幻影として残り続けています
好浩が寄子の気持ちを知っていたのかはわかりませんが、それは最後まで隠し通してきたものなのでしょう
彼女はそういった気質があるからこそ、春樹と圭太のことを支えるのですが、手順というものがあるのだと思います
圭太の父もそのことよりも「寄子の行動」の方を責めていて、それは軽率で無責任な行動だったことは間違いないと言えるでしょう
友梨は春樹に対して、「親に話してもいないのに、どうして拒絶されると思うのか」ということを訊きますが、春樹は「普段の言動を聞いていて」というふうに思い込んでいる節があります
そこに寄子の属性が関連しているのかはわからず、それでもそれを知らないまま早苗と結婚したことで、寄子から何かしらのものを感じてきたのかもしれません
それが「幼馴染の関係性を違った意味で壊してしまった」というものになっていて、また早苗が早逝した理由に繋がっているのかもしれません
映画内では、早苗がどうして亡くなったのかは誰もふれず、幻影として登場する姿を見ると、かなりの若さで亡くなっていることがわかります
寄子は「好浩が怒っている」と感じていて、その感情の元となるのは「死因」に起因するようにも思います
ここから先のことは「見えているもの」に対する想像でしかないので、鑑賞する人によっては違ったものが見えるかもしれません
物語のキーとなるのは「孤独でもいいけど孤立はしないで」というもので、この言葉にはハッとさせられましたね
孤独は内なる問題だけれど、孤立は周囲との関係性になるので、孤独が孤立を生むような事態を引き起こしてはいけないと感じているのでしょう
あの瞬間にその言葉が出るのは、友梨の仕事上のこだわりが孤立を生んでいるのかも、と感じたからであり、それはかつて寄子が東京で感じてきたものなのでしょう
その正体はその人にしかわからないけど、その瞬間にその言葉が出たことは友梨にとっては大きなことだったと言えます
それがラストの選択に繋がっているのですが、そこに少年たちの言動が寄与しているというのは面白い構成だなあ、と感じました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/105726/review/07031658/
公式HP:
https://starsands.com/nagidiary/
