■本当に深夜にプールに入った方が怖さを感じられるくらいライトな出来になっていましたねえ
Contents
■オススメ度
閉鎖空間系ホラー映画が好きな人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2024.6.11(イオンシネマ京都桂川)
■映画情報
原題:Night Swim
情報:2024年、アメリカ、98分、G
ジャンル:あるプール付きの邸宅に越してきた家族を描いたホラー映画
監督&脚本:ブライス・マクガイア
キャスト:
ワイアット・ラッセル/Wyatt Russell(レイ・ウォーラー:難病にて引退を余儀なくされたメジャーリーガー)
ケリー・コンドン/Kerry Condon(イヴ・ウォーラー:レイの妻)
アメリ・ホーファーレ/Amélie Hoeferle(イジー・ウォーラー:レイの娘)
ギャビン・ウォーレン/Gavin Warren(エリオット・ウォーラー:レイの息子)
Alex&Belle(サイダー:ウォーラー家の猫)
Jodi Long(ルーシー・サマーズ:邸宅にかつて住んでいた女性)
Ayazhan(レベッカ:ルーシーの亡き娘)
Joziah Lagonoy(トーマス:ルーシーの息子)
John Peters II(フィル:ルーシーの夫?)
Nancy Lenehan(ケイト:不動産屋)
Eddie Martinez(野球チームのコーチ)
Aivan Uttapa(タイ:コーチの息子)
Elijah J. Roberts(ローニン:イジーを勧誘する水泳部の先輩)
Ellie Araiza(エンジェル:イヴの友人)
Liz Parkinson(骨ぼった女性)
Mike Avery(太った男)
Rahnuma Panthaky(スリダール先生:レイの主治医)
Ben Sinclair(プール業者)
Eleanor T. Threatt(看護師)
Bianca Diezmo(イジーの友人)
Paige Van Conant(イジーの友人)
Alton Williams(巨漢男の息子)
Dave Reaves(巨漢男)
Grey Walker(ニワトリのおもちゃで遊ぶ少年)
Mark Healey(ニワトリのおもちゃで遊ぶ少年の父)
Maetrix Fitten(警察官)
Teddy Moutinho(プールパーティーのゲスト)
Evan Shafran(プールパーティーのゲスト)
■映画の舞台
アメリカのどこかの郊外の住宅地
ロケ地:
アメリカ:カリフォルニア州
アルタデナ/Altadena
1814 Midlothian Dr
https://maps.app.goo.gl/RwhaH4ygnCAWBBcB6?g_st=ic
■簡単なあらすじ
あるプール付きの邸宅に住んでいたサマーズ一家は、ある日、娘のレベッカが行方不明になってしまい、その家を明け渡すことになった
それが数十年が過ぎ、次々と入居しては出ていくを繰り返してきた
ある日、足の怪我で引退目前のメジャーリーガーのレイ・ウォーラー一家が不動産屋のケイトと共に物件の内観をしていた
ある邸宅を気に入っていたものの、見学からの帰りに、レイはある邸宅を見つける
そこはプール付きの豪邸で、理学療法士から「プールでの運動は良い」と聞かされていたこともあり、レイはその物件を購入することになった
家族みんなで家を掃除して、プールも使えるようにするものの、排水管の中に何かが詰まっていることが発覚する
そこで業者を呼んで調べてもらうと、このプールは地下水を汲み上げているものだとわかった
それから、楽しい日々が始まると思われたのだが、そのプールはサマーズ家の娘が失踪したプールだったのである
テーマ:夜のプールは危険がいっぱい
裏テーマ:負の連鎖の根治方法
■ひとこと感想
ブラムハウスが制作したホラー映画ということで、絵面よりは怖いんだろうなあと思っていました
排水管に腕を突っ込んで怪我をするとか、ベタなシーンも痛さが満開で、プールの住人たちも良い味を出していましたね
いわくつきのプールに引っ越してきたことがわかる観客と、それを知らない家族という構図で、何かがおかしいと感じていく様子がリアルに描かれていきます
レイが硬化症を患っているという設定もある場面では活きてきますが、プールの力で治癒しているんじゃないかと思わせるあたりも「何かある」感があってよかったと思います
とは言え、全ての元凶である不動産屋がしれっとプールパーティーに参加しているのはビックリしましたね
そこで真相を妻に語ることになるのですが、それ以前に「真実を知った段階」で何かしらの警告を発するべきだったように思います
それでも、レイはプールの効果を疑っていないという流れになるとは思いますが、妻だけじゃなくて、別の誰かから聞いても意固地になる、というシーンがあってもよかったように思えました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
ネタバレというほどのものはありませんが、プールの気持ち悪さがうまく表現されていて、ホラーというよりはスリラーに近い印象があります
プールに引っ込まれたであろう人々のゴーストっぽさが本領発揮の部分だと思いますが、それよりも排水溝に手を突っ込むシーンとかの方がリアルに怖かったですね
映画は、いわゆる呪い系の系譜になると思いますが、アメリカでこのような作品を作ると、こっち方面に行かざるを得ないのでしょうか
単純に人が入れるようなスペースがかつてあって、そこに小さい子どもだけが飲み込まれて死んだ、というのでも良かったように思えます
物語性はほぼなく、復調を目指すメジャーリーガーが「魔法の水」で調子が良くなって手放せなくなるというところは良かったのですが、それと同じように「妻もデトックスで若返ったので手放せない」というものを加味しても良かったでしょう
そんな中、水の影響を受けない子どもたちだけはプールを怖がって、という感じに「大人と子どもを分断させる」というドラマがあった方が良かったように思いました
■自然由来のプールについて
映画に登場するプールは「天然プール(Natural Pool)」と言い、Swimming Pondとも呼ばれる「自然でエコロジカルなスイミングプール」と呼ばれるもにになっています
これは、天然素材を利用し、生物学的な水浄化を促し、庭に完璧にフィットした雰囲気を作ることができる、とされています
このプールには自然水を取り込んでいるので、塩素を含まないプールになります
浄化作用については、不純物が植物によって栄養素として吸収され、有害なバクテリアは天然の水性生物によって破壊されることになります
一般的な天然プールは、水泳ゾーンと再生ゾーンは1対1の比率で、水深は2メートル前後とされています
映画では再生ゾーンにあたる部分は登場しておらず、自然水が流れる大元にそのような環境があると考えられます
水は循環して再生されるので、時折水質検査をして、泳ぐのに適しているかを確認することになっていました
映画とは違いますが、ガチの天然プールを作るには結構な費用が掛かります
システムを作るには、水中ポンプ室(重力によって水を流入させるなどして、再生エリアに水を流し込む部屋)、浮遊物の除去装置、再生エリアの水槽に二酸化炭素を供給するシステム、微生物などを除去するフィルターなども必要になってきます
映画は、温泉が流入しているかのようなプールになっていて、脇の溝から排水される仕組みになっていました
このようなプールを作ることができる場所は稀で、きちんと稼動するならば年中水を張りっぱなしにしていてもOKでしょう
濾過循環を助ける意味で使用しない間はテントのようなものを張って雨水の流入を防ぐことになりますが、それらの設備を整えるだけでも相当な費用が掛かることが伺えると思います
■勝手にスクリプトドクター
本作は、怪我にてリタイアしたスポーツ選手が療養の意味も込めて訳あり物件に住む様子を描いていきます
かつてそのプールで何があったかを見せてから本編の導入に至るのですが、この事故物件になった経緯はミステリーとして、最後まで隠しておいても良かったように思います
天然由来であることがわかり、夫は体力が回復し傷は癒えてきて、妻の方が肌が若返って活力が漲ってくる
でも、子どもだけはその恩恵を受けていないので、プールに潜んでいる不気味さを感じ取っている、という流れの方が良かったように思いました
この手の閉鎖空間系ホラーというのは、どのように誰と誰を分断させるかというのが命題で、本作は夫とそれ以外という構図になっていました
四面楚歌を選んでいるのですが、本作の場合はプールの効能を理由に分断させる方が良いので、年齢で分断させる方が筋が通っているように思えます
老化の影響を受ける世代とそうではない世代に分けることで、これまでの歴史でもプールを守りたい側とその犠牲になった側というものに分かれてきたと考えられます
この家族でも、その前提を覆すことなく、ここまで奇妙なプールが壊されずに来た理由というものも必要になってくると感じました
恩恵を受ける大人と、犠牲になる子どもという構図は、言い換えると犠牲者のエネルギーを何らかの形で受け取っているというものになります
これまでに犠牲になった子どもたちの成長エキスのようなモノが蓄積され、それが加齢や怪我の回復に繋がるので、このサイクルも天然的なものに分類することができます
わかりやすく子どもが風邪をひきやすくなったけど父親の怪我はみるみる治るとか、娘の性徴が加速するけど母親は若返りをしていくなどを描いていくことになります
そんな中、異変を感じる子どもたちがプールの秘密に気づくという感じになっていて、いわゆる再生プールには夥しい数の子どもの遺体があった、というネタバレになると思います
最終的にめっちゃ怖い話にするならば、境界線になっている部品が壊れるなどして、天然プールの方にこれまでの夥しい死体が流入してパニックになるというものでしょう
ここまでグロいと映像化できるかはわかりませんが、死体と同じ水に浸かっていたという事実だけで母親あたりは発狂すると思うので、そこまで描いても良かったように思いました
映画では、そんなことにはならず、単純にプールを埋め立てて終わりますが、いっそのこと慰霊碑を設置して、鎮魂の場所にするぐらいのエンディングがあった方がインパクトがあったように思います
おそらくプールに入れなくなる人が多発しそうな内容ですが、ブラムハウスならこれぐらい攻めることができたんじゃないか、と感じました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
映画のタイトルは「ナイトスイム」なのですが、夜のプールというのはそれだけっで何かが起こりそうな雰囲気があるように思います
先ほどのシナリオプランを採択するなら、はっきりと見せるとグロすぎるので、夜のプールに流入するという絵にすれば、影が漂っているだけに見えるかもしれません
マネキンかスタントマンが流入遺体を演じることになると思いますが、生きている演者は本当に怖いと思うのですね
これを予告なしにやって、そのシーンを撮ればものすごいシーンが撮れるのになあなんて、人ごとのように思ってしまいました
個人的には泳がなくなって久しいのですが、小学校の頃にスイミングクラブに通っていたこともあって、水泳には抵抗がないのですね
でも、今では思いっきり中年太りの体型になっているので、人前で醜悪を晒そうとは思えなくなっています
こんなプールがあれば最高ですが、日本で作るのには無理があるように思えますね
映画は、最近流行りなのかわからないのですが、あんまり怖くないつくりになっていました
プールの溝の向こうに少女の死体があるシーンよりも、排水溝に手を突っ込んで怪我するシーンの方が怖いのですが、日常の動作に近ければ近いほど、恐怖を身近に感じられるように思います
これらの日常動作にホラー要素を組み込むのは定番中の定番なのですが、本作では前半にちょこっとあるだけで、後半には全くないのは不満でしたね
痙攣発作で溺死しそうになるとかは緊迫感がありましたが、水による怖さもその程度だったように思います
本作は、天然プールによって怪我が回復するというくだりがあるのですが、そこから精力がビンビンになってという下世話な展開にはなりませんでしたね
てっきりそっちの方も回復して、子どもには見せられないシーンで盛り上がるのかと思いましたが、そんなことはありませんでした
プールの中で回復したところで、みたいな展開だと、映倫をクリアできる映像が撮れそうでしたが、今はそういったものが求められていない時代なのかもしれません
どのような効果があるのかはわかりませんが、『オールド』の天然プール版のような要素もあったと思うので、もう少し捻ったシナリオがあった方が良かったように思えました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/101019/review/03919856/
公式HP:
https://www.universalpictures.jp/micro/night-swim
