■最後の言葉の「我々」の意味は、とてつもなく深い


■オススメ度

 

原爆誕生の物語に興味がある人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.3.28(イオンシネマ久御山)


■映画情報

 

原題:Oppenheimer

情報:2023年、アメリカ、180分、R15+

ジャンル:オッペンハイマーが数々の科学者と交流を持ち、マンハッタン計画にて原子爆弾の製造に至った経緯を描く伝記映画

 

監督&脚本:クリストファー・ノーラン

原作:カイ・バード&マーティン・J・シャーウィン『American Prometheus: The Triumph and Tragedy of J. Robert Oppenheimer』

Amazon Link(原作:洋書)→ https://amzn.to/4a9marF

 

キャスト:

キリアン・マーフィー/Cillian MurphyJ・ロバート・オッペンハイマー/J. Robert Oppenheimer:アメリカの理論物理学者、ロスアラモス研究所の初代所長)

 

【親類・交友関連】

エミリー・ブラント/Emily Blunt(キティ/キャサリン・オッペンハイマー/Kitty Oppenheimer:アメリカの生物学者、オッペンハイマーの妻)

Alan Duncan(リチャード・ハリソン/Richard Harrison:キティの前夫)

 

フローレンス・ピュー/Florence Pugh(ジーン・タートロック/Jean Tatlock:アメリカの精神科医、オッペンハイマーの恋人)

 

ディラン・アーノルド/Dylan Arnold( フランク・オッペンハイマー/Frank Oppenheimer:オッペンハイマーの弟、コロラド大学の物理学者)

Emma Dumont(ジャッキー・オッペンハイマー/Jackie Oppenheimer:フランクの妻)

Brendan McManus(ピーター・オッペンハイマー/Peter Oppenheimer:オッペンハイマーの息子)

   (8歳時:Grayson Eddey

 

ジェファーソン・ホール/Jefferson Hall(ホーコン・シュヴァリエ/Haakon Chevalier:バークレーのアメリカ人作家、オッペンハイマーの友人でピーターを預かる)

Britt Kyle(バーバラ・シュヴァリエ/Barbara Chevalier:ホーコンの妻)

 

Sadie Stratton(メアリー・ウォッシュバーン/Mary Washburn:オッペンハイマーの家主、オッペンハイマーとジーンを引き合わせた人物、スペイン人民戦線のパーティー主宰)

 

Guy Burnet(ジョージ・C・エルテントン/George Eltenton:イギリスの物理学者、学外活動FAECTに傾倒)

 

【軍事関連】

ロバート・ダウニー・Jr/Robert Downey Jr.(ルイス・ストローズ/Lewis Strauss:アメリカ海軍士官、兵器局、アメリカ原子力委員会の委員長)

 

マット・デイモン/Matt Damonレスリー・グローヴス/Leslie Groves:アメリカの軍人、マンハッタン計画を指揮した中将)

デイン・デハーン/Dane DeHaanケネス・ニコラス/Kenneth Nichols:アメリカの陸軍士官、レズリーの側近)

Tom Jenkinsリチャード・トルマン/Richard Tolman:アメリカの数理物理学者、グローヴスの主席科学顧問)

Louise Lombard(ルース・シャーマン・トールマン/Ruth Tolman:アメリカの心理学者、リチャードの妻)

 

ケイシー・アフレック/Casey Affleckボリス・バッシュ/Boris Pash:アメリカ陸軍情報将校、ナチスドイツの核開発調査)

Matthew Modineヴァネヴァー・ブッシュ/Vannevar Bush:アメリカの科学技術管理者)

 

James Remarヘンリー・スティムソン/Henry Stimson:アメリカ陸軍の長官)

Will Robertsジョージ・マーシャル/George C. Marshall:アメリカ軍の陸軍参謀長)

Ross Buran(ルイス・ストローズ・ジュニア/Lewis Strauss Jr.:アメリカ軍の海軍士官、ストローズの息子)

Susan Elizabeth Shaw(ジュニアの婚約者)

 

Jeremy John Wells(AAFの大尉)

Adam Kroeger(陸軍大尉)

Drew Kenney(兵士)

Bryce Johnson(アメリカ軍の兵士)

John A. Bauer(アメリカ海軍の提督)

Joseph Ortega(陸軍支援兵士)

Hunter Avant(陸軍支援兵士)

 

【事務局・関与者関連】

デビッド・ダストマルチャン/David Dastmalchian(ウィリアム・ボーデン/William Borden:アメリカの原子力合同委員会の事務局長)

 

ジョシュ・ハーネット/Josh Hartnettアーネスト・ローレンス/Ernest Lawrence:アメリカの物理学者、バークレー放射線研究所の設立者&所長、オッペンハイマーの同僚、隣の研究室)

 

レミ・マレック/Rami Malek(デヴィッド・L・ヒル/David Hill:マンハッタン計画に参加するアメリカの核物理学者、原爆使用反対者、シカゴ大学)

Danny Deferrariエンリコ・フェルミ/Enrico Fermi:ローマ出身の物理学者、ヒルの共同研究者、シカゴ大学)

Máté Haumannレオ・シラード/Leo Szilard:ユダヤ系物理学者、分子生物学、シカゴ大学)

Josh Peckケネス・ベインブリッジ/Kenneth Bainbridge:アメリカの実験物理学者、トリニティ責任者)

 

デヴィッド・クラムホルツ/David Krumholtzイジドール・イザーク・ラビ/Isidor Rabi:アメリカの物理学者、核磁気共鳴の発見者、トリニティ実験に参加、オッペンハイマーのオランダ時代の旧友)

Alex Wolffルイス・ウォルター・アルヴァレズ/Luis Alvarez:アメリカの物理学者、オッペンハイマーの友人)

 

Josh Zuckerman(ジョヴァンニ・ロッシ・ロマニッツ/Rossi Lomanitz:アメリカの物理学者、オッペンハイマーの最初の生徒)

Rory Keane(ハートランド・スナイダー/Hartland Snyder:アメリカの物理学者、オッペンハイマーの生徒)

 

Troy Bronson(ジョセフ・W・ケネディ/Joseph W. Kennedy:プルトニウムの共同開発者、ロスアラモス研究所の責任者)

Michael Angarano(ロバート・サーバー/Robert Serber:アメリカの理論物理学者)

Olli Haaskivi(エドワード・U・コンドン/Edward Condon:アメリカの核物理学者、レーダー開発)

David Rysdahl(ドナルド・ホーニッグ/Donald Hornig:アメリカの科学者、爆発物の専門家)

 

Jack Quaidリチャード・P・ファインマン/Richard Feynman:アメリカの物理学者)

Gustaf Skarsgårdハンス・ベーテ/Hans Bethe:アメリカの物理学者)

Trond Fausa(ジョージ・キスチャイコフスキー/George Kistiakowsky:ハーバード大学のウクライナ系の物理学者、アイゼンハワーの科学顧問)

Devon Bostickセス・ネッダーマイヤー/Seth Neddermeyer:アメリカの物理学者、μ粒子の発見)

Ronald Auguste(ジェシー・アーネスト/J. Ernest Wilkins:アメリカの核科学者)

Olivia Thirlby(リリ・ホーニグ/Lilli Hornig:チェコ系アメリカ人の物理学者)

Harrison Gilbertsonフィリップ・モリソン/Philip Morrison:物理学者)

Steve Coulterジェームズ・コナント/James Conant:アメリカの科学者)

 

Jessica Erin Martin(シャーロット・サーバー/Charlotte Serber:ロスアラモス研究所の司書、女性のグループリーダー)

 

Christopher Denhamクラウス・フックス/Klaus Fuchs:ドイツ生まれの理論物理学者、ソ連のスパイ)

 

ベニー・サフディ/Benny Safdieエドワード・テラー/Edward Teller:ユダヤ人理論物理学者、オッペンハイマーと対立、水爆の父)

 

【その他の科学者】

ケネス・ブラナー/Kenneth Branaghニールス・ボーア/Niels Bohr:オッペンハイマーが影響を受けるデンマークの理論物理学者、ノーベル物理学賞受賞、ケンブリッジ時代に講演で出会う)

トム・コンティ/Tom Contiアルベルト・アインシュタイン/Albert Einstein:ユダヤ人の理論物理学者、相対性理論の発見、オッペンハイマーと旧知の仲)

 

James Urbaniakクルト・ゲーデル/Kurt Gödel:オーストリア・ハンガリー帝国出身の数学者)

Kurt Koehlerトーマス・ハント・モルガン/Thomas Hunt Morgan:アメリカの遺伝学者)

James D’Arcyパトリック・ブラケット/Patrick Blackett:イギリス人実験物理学者、ケンブリッジ時代のオッペンハイマーの恩師)

Ryan Stuboポール・ディラック/Paul Dirac:イギリスの物理学者)

Brett DelBuono憂慮する科学者同盟/Concerned Scientistの科学者)

 

Matthias Schweighöferヴェルナー・ハイゼンバーグ/Werner Heisenberg:ドイツの理論物理学者、ドイツの核開発の中心)

 

Steven Bullard(科学者)

Dirk Kingston(科学者)

 

【1954年:秘密保安聴聞会関連】

ジェイソン・クラーク/Jason Clarke(ロジャー・ロブ/Roger Robb:アメリカの裁判官、原子力委員会の特別顧問)

トニー・ゴールドウィン/Tony Goldwyn(ゴードン・グレイ/Gordon Gray:国家安全保障問題担当大統領補佐官)

Greg D. Johnson(オッペンハイマーの弁護士)

Macon Blair(ロイド・K・ギャリソン/Lloyd Garrison:全米戦時労働委員会(NWLB)の委員)

Jack Cutmore-Scott(ライアル・ジョンソン/Lyall Johnson:FBIの捜査員)

Scott Grimes(ストラーズの顧問弁護士)

カート・ケーラー/Kurt Koehler(トーマス・A・モーガン/Thomas・A・Morgan:スペリー社の元取締役)

John Gowans(ウォード・エヴァンス/Ward Evans:アメリカの化学者、委員会のメンバー)

 

【政治関連】

Gary Oldmanハリー・S・トールマン/Harry Truman:第33代アメリカ大統領、原爆投下を支持)

Hap Lawrenceリンドン・ジョンソン/Lyndon Johnson:第36代アメリカ大統領、オッペンハイマーに勲章を渡す)

Christine Heneiseレディ・バード・ジョンソン/Lady Bird Johnson:リンドン・ジョンソンの妻、ファーストレディ)

Kate French(大統領補佐官)

 

Pat Skipperジェームズ・F・バーンズ/James Byrnes:アメリカの国務長官)

 

【1959年:上院承認公聴会関連】

ハリー・グローナー/Harry Groener(ゲイル・W・マギー/Gale W. McGee:上院議員)

Gregory Jbara(ワレン・マグヌソン/Warren Magnuson:議長、上院商業委員会委員長)

テッド・キング/Ted King(バートレット:上院議員)

Tim DeKay(ジョン・パストーレ/John Pastore:上院議員)

Steven Houska(スコット:上院議員)

Jeff Hephner(議員)

David Phyfer(ストロム・サーモンド/ Strom Thurmond上院議員)

Meg Schimelpfenig(上院議員補佐官)

Kaleb Clifton(議員)

 

オールデン・エアエンライク/Alden Ehrenreich(ストローズの上級補佐官)

 

Michael Andrew Baker(ジョー・ボルペ/Joe Volpe:カナダの下院議員)

 

【成功記念パーティー】

Flora Nolan(やけどする女、オッペンハイマーの脳内イメージ)

Kerry Westcott(笑う女)

Christina Hogue(キスをする女)

Clay Bunker(キスをする男)

Tyler Beardsley(泣く男)

Maria Teresa Zuppetta(慰める女)

 

Michael DeBartolo(オッペンハイマーのパーティのゲスト)

Kash Hovey(オッペンハイマーのパーティのゲスト)

Allan Wayne Anderson(記者会見のカメラマン)

 

【カリフォルニア大学バークレー校の学生他】

John T. Hillman(教授)

Benjamin Levine

Michaela Rances

Skyler Pierce

Jason Pfister

Braden Forrest Gile

James Paul Gregory

Courtney Carl

 

【ケンブリッジ大学の学生】

Aamir Yusuf

Jack Wang

Connor Mendenhall

Michelle Ghatan

Jeff Jocoy

Ben Holmquist

Russel Donahue

Ryan Cho

 

【その他】

Sean Avery(天気予報士)

David Bertucci(清掃員)

Samantha Christine(科学者の妻)

Doug Friedman(コミッション)

Brian Glassner(バーテンダー)

 

Aevrey Balin(講演会受講者)

Ryan Rathbun(講演会受講者)

Kevin Berndt(教授)

Samuel Code(講師)

Petrie Willink(オランダの学生)

Andrew Bursiaga(男子学生)

Elijah Dierking(生徒)

Adam Walker Federman(MITの生徒)

Katherine Anne Hogan(女学生)

Ansa Woo(女学生)

Jacquie Kachmann(生徒)

Asher Kaplan(生徒)

Emily Joy Lemus(生徒)

Elise Newman(学生)

Paolo Saglietto(学生)

Kyle Williams(ラボの学生)

Jacob Taylor(ラボの学生)

 

Gabriel Mora(ニュースレポーター)

Macy Muxlow(連盟会員)

Sam Russell(廊下にいるスタッフ)

Jason Shepard(ホワイトハウスのカメラマン)

Luke Matheis(ホワイトハウスのゲスト)

Danielle Swanson(ホワイトハウスのゲスト)

Travis Siemon(ホールの記者)

Sam Tankersley(ワシントンの歩行者)

Scott Valentine(法廷の傍聴者)

 


■映画の舞台

 

アメリカ:ニューメキシコ州

ロスアラモス

https://maps.app.goo.gl/iBJEChRpEaAzgzMJ8?g_st=ic

 

ロケ地:

アメリカ:ニューメキシコ州

ロスアラモス

https://maps.app.goo.gl/iBJEChRpEaAzgzMJ8?g_st=ic

 

スイス:チューリッヒ

グロスミュンスター•Grossmünster

https://maps.app.goo.gl/owEzXUHB2dttpoHv5?g_st=ic

 

チューリッヒ大学/University of Zurich

https://maps.app.goo.gl/m9DVgLDGXuSptnre9?g_st=ic

 

アメリカ:ニューメキシコ州

ゴースト・ランチ/Ghost Ranch

https://maps.app.goo.gl/C1DSKRYZR7vBR7Sc9?g_st=ic

 

ベレン/Belen

https://maps.app.goo.gl/LniUr2gSfztXenbYA?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

第二次世界大戦に入り、アメリカでは核開発を進めるドイツに対抗するために、科学者たちを集める計画を企てた

マンハッタン計画と称されたそのプロジェクトの責任者に、米軍中尉のグローヴスは、原子力委員会の委員長ストローズの勧めもあって、オッペンハイマーに白羽の矢を立てた

 

オッペンハイマーは、ケンブリッジで学び、そこでニールス・ボーアと出会う

そして、彼の紹介でマックス・ボルンと出会ったが、彼はボルンの誘いを断って、アメリカで物理学を極めたいと考えていた

 

帰国したオッペンハイマーは、アーネスト・ローレンスに出会い、科学論議を展開していく

そんな折、グローヴスは彼らの元に訪れて、計画の責任者として打診をするのである

 

テーマ:科学者の業

裏テーマ:褒賞の代償

 


■ひとこと感想

 

昨年あたりに「バーベンハイマー」という言葉が踊り、内容が原爆を肯定しているのではないかという憶測が流れました

それによって、日本での公開が遅れ、アカデミー賞の後に公開されることになりました

これが奏功という感じで、受賞によって動員が伸びる可能性があり、初日のIMAXはほとんど満員という感じになっていました

 

やむを得ずに近場の音響の良いところを探したら軒並みレイトショー

昼の会は小さめの箱で半分ぐらい埋まっていたので、家族連れで番組構成をしている映画館に出向きました

その為か、あまり観客もおらず、地域の年配の方々が参戦しているという感じになっていました

 

映画は、事前予習をしていないと地獄のような映画で、いきなり「聴聞会」と「公聴会」でカラー&モノクロ演出が入り乱れるという感じになっています

聴聞会はオッペンハイマーが赤(共産党)ではないかを調べるというもので、特に関係を持っていたジーンとの絡みがメインになっています

公聴会の方は、オッペンハイマーを推薦したストローズが槍玉に挙げられる展開になっていて、このシーンの時系列がわからないところからハードルが高くなっていました

 

パンフレットは主要な15人ほどの説明があるくらいで、時代背景とあらすじが詳しいぐらいでしょうか

セリフ付きの主要キャストで50人、ウィキがある有名人がさらに30人、そして周囲を彩るモブの人たちが50人ぐらいいる映画になっています

頑張ってキャスト欄を埋めましたが、これを作ってから観に行くぐらいでないと厳しい感じになっていましたね

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

史実ベースなので、どこまでがネタバレになるかは何とも言えないのですが、映画は「核開発」を描いているというよりは、オッペンハイマーの人となりと、彼を抜擢したことで窮地に立たされるストローズの因縁を描いていると言えるでしょう

「あの時、悪口言い合っていたんだろう?」と思い込んでいるストローズが、あの手この手を使ってオッペンハイマーを陥れようとしているという感じになっています

 

物語自体はそこまで難解ではありませんし、難しい理論で字幕が埋め尽くされるということはありません

でも、人間関係と時系列が全くわからない感じになっていて、前日にブログの下記事にて、キャスト欄を調べるだけで2時間以上を要してしまいました

それでも、わからん人は多く、どの人とどの人がどう繋がっているのかは、事前に相関関係図を見ないとわからないと思います

 

映画の本質は、アインシュタインとの秘密の会話に集約されていて、そこでは「賞は本人のためのものではない」という話題になります

経験者としての言葉で、これからはオッペンハイマーの時代が来るけど、この業績に対するバッシングと褒賞というものはタイムラグがある、というものでした

 

オッペンハイマーが危惧していたことは起こりませんでしたが、この技術の確立こそが、新たなる戦争への導火線になっていることを悟っているのですね

それが端的に示されたOPとEDはしっかりと観ておいた方が良いと思います

 


オッペンハイマーについて

 

映画の主人公、ジュリアス・ロバート・オッペンハイマー(J. Robert Oppenheimer)は、1904年生まれのアメリカの理論物理学者で、第二次世界大戦中のマンハッタン計画において、ロスアラモス研究所の初代所長を務めた人物でした

「原爆の父」と呼ばれ、ハーバード大学で化学の学士を取得後、1927年にドイツのゲッティンゲン大学にて物理学の博士号を取得しています

その後、カリフォルニア大学バークレー校の物理学科に移り、1936年に正教授に就任しています

量子力学、核物理学(ボルン・オッペンハイマー理論)などの業績を上げ、理論物理学に多大なる貢献をしています

 

1942年、オッペンハイマーはマンハッタン計画に採用され、1943年にニューメキシコ州に建設されたロスアラモス研究所の所長に任命されます

1945年7月16日、トリニティ実験(原爆実験)に立ち会い、これによって1945年の広島と長崎への原爆投下につながっていきます

現時点では、武力紛争による唯一の核兵器の使用となっています

 

その後、オッペンハイマーはニュージャージー州プリンストンの高等研究所の所長に就任し、アメリカの原子力委員会の総合諮問委員会の委員長を務めることになりました

オッペンハイマーは、核拡散への懸念と、ソ連との核軍拡競争を回避する立場に立ち、原子力の国際管理を求める行動に出ます

この時の行動が「政府による水爆開発への反対」という立場になり、政府と軍部と対立を深めることになりました

1954年、赤狩りの一環として行われた安全保障公聴会にて、彼の共産党との関わりが疑われ、結果として「安全保障へのアクセス不許可」となってしまいます

その後、1963年に政治的復興の一環として、エンリコ・フェルミ賞を受賞することになりました

 

映画では、時系列シャッフルになっていて、モノクロとカラーに分かれていました

カラーで表記される「FISSION(核分裂)」と、モノクロで表記される「FUSION(核分裂)」に分かれていて、モノクロはストローズ視点、カラーがオッペンハイマーの視点となっています

また、オッペンハイマーのパートから入る回想は「主に科学者としての人脈の広がり」になっていて、ストローズのパートから入る回想(カラー)は「主に交友関係の深掘り」となっていました

 

時系列としては、「1927年ロンドン学生時代」「1936年バークレー校教職時代」「1942年マンハッタン計画時代」「1945年トリニティ実験」「1947年プリンストン高等研究所(モノクロあり)」「1954年密室の公聴会(赤狩り)」「1957年上院での公聴会(モノクロ)」「1963年エンリコフェルミ賞受賞」という流れになっています

観終わると繋がるのですが、観ている最中に頭の中で組み替えるのはなかなか難しいですね

何せ、一番現代寄りがモノクロという悪戯仕様になっていて、それが一番古いと思ってしまうからだと思います

 


マンハッタン計画について

 

 劇中で登場する「マンハッタン計画Manhattan Project)」は、第二次世界大戦にて「核兵器を製造するために行われたプログラム」のことで、アメリカ主導のもと、イギリスとカナダと協力して行われました

1942年から1946年までで、アメリカ軍工兵隊のレスリー・グローヴスの指揮下で行われ、オッペンハイマーはロスアラモスの初代研究所所長でした

マンハッタンという名前がついたのは、陸軍の司令室がマンハッタンにあったからで、のちに「Development of Substitute Materials」という正式名称で統一されるようになりました

 

ピーク時には13万人が参加し、現在の270億ドルほどの費用がかかりました

その80%以上が核分裂性物質を生産するプランドの建設と運営費だと言われています

これらの研究と生産はアメリカ、イギリス、カナダの30以上の拠点で行われました

 

このプロジェクトによって、2種類の原子爆弾が誕生します

ひとつは「銃型核分裂兵器」、もうひとつは「爆縮型核兵器」と言います

ウランの濃縮には、電磁的、ガス的、熱的の3つの方法が採用されています

また、ウランと並行して、プルトニウムを生産する取り組みも行われていました

 

このプロジェクトでは、ドイツの核兵器プロジェクトに関する情報収集の任務も負っていて、ヨーロッパにて「アルソス作戦(Alsos Mission)」が展開されます

敵の近くで活動し、核物質や文書の収集なども行われました

それでも、ソ連のスパイの侵入を防ぐことができず、情報が漏洩する事態に発展しています

 

トリニティ実験の成功により、爆縮型が完成し、それがリトルボーイと名付けられて広島に投下され、ファットマンと名付けられたものが長崎に投下されることになりました

戦後は、クロスロード作戦の一環として、ビキニ環礁での兵器実験なども行い、原子力海軍の基礎を築くことになりました

そして、1947年に米国原子力安全委員会が設立され、管理を移行するという流れになっています

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、史実系作品の中では群を抜くほどに実在の人物が登場する作品になっていました

この手の作品だとひとり二人は主人公に近いところに架空のキャラがいたりしますが、本作は隅々まで実在のキャラで埋め尽くされているように思えました

IMDBのフルキャストを何気なく眺めていて、フルネームのキャラが異様に多くて、このようなフルネームキャラの大半は実在した人物であることの方が多いのですね

まれに、実在だけどファーストネームだけ、みたいな人がいたりするのですが、本作の場合はそのような省略になっているキャラはほとんどいませんでした

 

とは言え、全ての人物にウィキがあるかというとそうでもなくて、とりあえずは英語版ウィキがあった人はキャスト欄にてリンクを貼っています

それ以外にもウィキ欄に名前が出ているけど、ウィキページのない人物というのも多数いて、それらは名前でググると、色んな情報が出てきたりするので、気になる人はダブルタップで範囲指定してググってみても良いと思います

この記事を作る際に人物相関図を作ってみましたが、あまりにも入り乱れまくっていて、時間が経って見返すと関係性を覚えていないというものも多数ありました

残念ながら、スケジュールの都合上、IMAXレーザーGTで観に行くことができないまま記事投稿になっていますが、近場でスケジュールが合いそうなら行ってみても良いと思います

 

映画は、マンハッタン計画に関わったオッペンハイマーとはどのような人物だったかを掘り下げていく内容で、共産党(赤)疑惑のパートがメインになっています

それは「原爆を推進したのに水爆に反対するのは何故か」という疑問と、「上から目線でバカにされたことに対するストローズの復讐」みたいなものが重なっていました

議員に呼び出されているパート(モノクロ)にて、「なんであんな奴を高等研究所に抜擢したんだ?」というところから入り、「マンハッタン計画成功させましたやん」と言い訳をしているシーンから入ります

でも、この時点で「5年前の赤狩り公聴会」を画策していて、議員には「オッペンハイマーは赤い」という印象をつけていたのですね

なので、官僚に昇進する際の審問会では、ストローズは勝てると思い込んでいました

でも、それが打ち砕かれることになったのが、擁護派たちの言葉で、映画ではその筆頭として、デヴィッド・ヒルが言葉を紡いでいました

 

官僚になれるかどうかの審議の際に、側近に見立てを聞きますが、この段階ではかなり厳しいものがあったと思います

ストローズは「オッペンハイマーとアインシュタインのヒソヒソ話」をずっと気にしていて、あれは自分の悪口だと思っていたのですが、実際には「原爆を完成させたことで、世界を破滅させる導火線に火をつけたこと」を話していたのですね

アインシュタインは「賞は自分のためではなく、周りの人のためである」と言い、さらに「十分な罰を受けたら、すべて許されると肩を叩くだろう」と言っていました

そして、「その称賛は君のためじゃなく、支えた彼らのためである」と付け加えています

 

ラストでは、オッペンハイマーを告発したエドワード・テラーと握手を交わし、キティは睨みつけるという構図になっていましたね

科学者として、偉業を成し得たことと、個人的な感情を切り分けていたのですが、あの時の握手は「破滅へと導いた者は私だけではない」という意味があるのかな、と感じました

賞賛は自分のものではなく、彼らのものであるというのは、裏を返せば、業もまた自分だけのものではないという意味になります

この握手の後に、アインシュタインとの会話があり、そこでオッペンハイマーのセリフ「我々は破壊した」という言葉で締め括られます

ここで言う「我々」とは、アインシュタインの「彼ら」に対する言葉であり、それゆえに「私は破壊した」ではなく、アインシュタインも含めた「我々が破壊した」と言っているのですね

それが彼の険しい表情になっていて、それが誤解を生むことになっているというのは衝撃的なことだったように思えました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/99887/review/03657777/

 

公式HP:

https://www.oppenheimermovie.jp/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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