■億万長者の不都合な終末


■オススメ度

 

一風変わったパニック映画に興味がある人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2026.6.19(イオンシネマ久御山)


■映画情報

 

原題:Rich Flu(上級階級だけが罹患する謎の奇病)

情報:2024年、スペイン&チリ&アメリカ、107分、G

ジャンル:富裕層だけが罹患する奇病が蔓延する世界にて、生存を賭けて彷徨う人々を描いたパニック映画

 

監督:ガルデル・ガステル=ウルティア

脚本:ペドロ・リベロ&アルベルト・ソレル・クィヤス&ガルデル・ガステル=ウルティア&サム・スタイナー ダビド・デソーラ

 

キャスト:

メアリー・エリザベス・ウィンステッド/Mary Elizabeth Winstead(インディア/ローラ・パルマー/Laura Palmer:ストリーミング・プラットフォーム「ネットシネマ」の重役、プロデューサー)

 

レイフ・スポール/Rafe Spall(トニー/Toni:ローラの離婚協議中の夫)

ロレイン・ブランコ/Lorraine Bracco(マーサ/Martha:ローラの母)

ディキシー・エジャリック/Dixie Egerickx(アナ/Anna:ローラとトニーの娘)

 

セザール・ドムボイ/César Domboy(クリスチャン/Christian:ローラの秘書)

 

ティモシー・スポール/Timothy Spall(セバスチャン・スネイル・シニア/Sebastian Snail Sr.:「ネットシネマ」のCEO、ローラの雇い主)

Jonah Hauer-King(セバスチャン・スネイル・ジュニア/Sebastian Snail Jr.:シニアの息子)

Richard Sammel(フォン・ヴィレブランド/Von Willebrand:シニアの部下、弁護士)

 

ダイアナ・エセベ/Dayana Esebe(ヨリーン/Yoleen:逃亡中に合流する黒人の少女)

 

Astrid Jones(アルバ/Alba:ローラのライバルプロデューサー)

Lobo Chan(イー/Yi:ローラの部下、アジア系社員、難民キャンプの調査員)

Emilio Buale(パブロ/Pablo:ローラの地元の友人)

 

【その他の出演者】

Colin Morgan(プロデューサー)

Philip Schurer(映画監督)

Peter MacQueen(脚本家)

Michael T. Dozie(映画監督)

Sindhu Priya(女性脚本家)

Keith Kan(映画制作者)

Christian Stamm(有名な映画監督)

Marius Praniauskas(映画監督)

Tina Jin(人権派の映画制作者)

Bruin Chan(映画制作者)

Oliver Ritchie(アルバのアシスタント)

Bastien Ughetto(映画フェスのプレゼンテーター)

 

Camille Glémet(プライベートジェットの客室乗務員)

Erdenebayar Odkhuu(プライベートジェットの客室乗務員)

José Luís Madariaga(マティアス/Matías:プライベートジェットの富裕層)

 

Nick Devlin(オークションの競売人)

James Nield(バッキンガム宮殿のオークション参加者)

Manuel Ortega Romero(バッキンガム宮殿のオークション参加者)

Greg Orvis(ドイツの首相)

 

Toby Harper(タクシー運転手)

Nick Dutton(タクシー運転手)

 

Michael John Treanor(ジェームズ/James:一等兵)

Ivan de Lucas(イタリアの役人)

Manuel Soro(イタリアの役人)

Paola Tarantino(イタリア兵)

 

Zorion Eguileor(トーマス/Tomás:コミューンの迫害者)

 

Adrian Randle(病気の専門家)

Anarosa Butler(病気の専門家)

Yelena Molina(病気の専門家)

Xavier Mestres(ネット配信者)

Dana Carbonell(ネット配信者)

Tim Nicholson(TVの司会者)

Eric Goode(WHOの代表)

Beth Cohen(TV番組の参加者/ニュースアンカー/討論番組のゲスト)

Holly Renaut(TV番組の参加者)

Bernard Bullen(TV番組の参加者)

Karina Matas Piper(TV番組の参加者)

Maarten Swaan(TV番組の参加者)

Elena Sanz(TV番組の参加者)

Robert Bishop(TV番組の参加者)

Matilda Antonovich(IMPのディレクター)

 

Michael Garvey(ロンドンのヘリコプターのパイロット)

Mark Kitto(ヘリ内の口髭を生やした男)

Colin McLeod(ヘリ内の男のたくましい男)

Derek Horsham(ヘリ内のスマートな服装の男性)

Ana Caleya(ファウスティナ/Faustina:ヘリ内の女)

 

Iván Ros(バルセロナの保健担当の役人)

Oriol Ruiz(バルセロナの警官)

Iris Escudero(バルセロナの警官)

 

Charif Ghattas(リビア軍の将軍)

 

Daddy M. Mansaray Sylva(民兵)

Toni Engonga(民兵)

 

Clara Ingold(セレマ/Mother Thelema:カメルーンの島の住民のまとめ役)

 

Alexandra Masangkay(ミハル/Miharu:?)

Diogo Sales(サウロ/Saulo:?)

Brian Lehane(ジョン/John:?)

Einar Haraldsson(カール/Carl:?)

 

Luke Adlam(赤毛の双子)

Solomon Adlam(赤毛の双子)

Sue Flack(老女)

Jane Murphy(ビジネスウーマン)

Dani Rodríguez Prieto(ビジネスマン)

Inge Ladd(メガネをかけた女性)

Brendan McNamee(髭を生やした男)

Andreu Rico(老人)

James Giblin(ジャージを着た男)

Tania Watson(イギリス人の母親)

Geraldine Guinard(若い女)

Emmanuel Daizo(難民)

 


■映画の舞台

 

フランス:カンヌ国際映画祭

アラスカ

イタリア:バルセロナ

イタリア:ランペトゥーザ島

カメルーン

 

ロケ地:

フランス:カタルーニャ地方

ペネデス

 

スペイン:

フェルテベントゥーラ島

 

セネガル

カップスキリング・ビーチ

 


■簡単なあらすじ

 

映画プロデュース会社の重役のローラは、次に出資すべき映画の原石を探すべく、数多くの監督や脚本家と会合を重ねていた

彼女は関わった映画が賞を獲り、その表彰のためにカンヌ国際映画祭に招かれていた

だが、登壇するのはライバルのアルバだと言われ、そこにCEOのジュニアの圧力がかかったことを理解した

 

その後、CEOのシニアからの命令を受けたローラは、指定されたアラスカの金鉱発掘エリアに足を運んだ

そこでストックオプションを提示され、その発掘権を得たローラは、結果によっては巨大な富を得る可能性があった

契約書にサインをしたローラは、シニアからバッキンガム宮殿でのオークションで目当てのものを落札し、慈善事業への関わりなどをアピールするように命じた

 

それらはうまく行くものの、世界ではある異変が起きていた

長者番付に乗るような富裕層の連続死が報道され、その兆候として、歯が真っ白になると言うものがあった

やがて、各方面でパニックが起き、その現象は「リッチ・フルエンザ」と呼ばれるようになったのである

 

テーマ:プルートフォビアの行き着く先

裏テーマ:貨幣制度の成れの果て

 


■ひとこと感想

 

金持ちが次々に謎の病気に罹って死んでしまうと言うプロットは面白く、主人公はその渦中で金持ち側になってしまうと言うジレンマがありました

家庭を顧みずに崩壊寸前になっていて、ソリの合わない実母がいたりするのですが、ビジネスの場でも金持ちの息子に冷遇されていたかと思えば、その父親からは巨大なプロジェクトを任されたりします

とにかくシリアステイストで物語は進んでいくのですが、現実的に考えるとおかしなことばかり起こる映画となっています

 

この映画における「金持ちの定義」と言うのは結構曖昧で、基準点がわからないまま、「自分の命のために財産を捨てる」という行為を繰り返して行きます

それで助かった富裕層がどれぐらいいるのかわからず、またその方法が正しいのかすらわかりません

あの世界線になった場合に「貨幣」に何の価値があるのかわからず、ローラが大金を得たとしても、それには何の意味もないと思います

 

細かいところが気になると乗れない映画ではありますが、どうなってしまうんだろうと言う先の見えなさは良かったと思います

「THE OLD WORLD」で始まったからには「THE NEW WORLD」で終わるのだと思っていましたが、このラストが物語を締めているのかは何とも言えません

金持ちというのが資産的な優位性を保っている人を指すのならば、時代とともに指標は移ってしまうわけで、貨幣以上に価値のあるものが生まれた瞬間、それを一番持っている人物は死んでしまうと思います

 

映画では「独占」という状態が金持ちの定義のように見え、それをシェアもしくは手放すことが解決策のように提示されています

それらを誰がジャッジするのかはわからない世界で、偶然起きた高齢の富裕層の連続死がミーム的に扱われて、陰謀論が広まっているだけのようにも見えます

それを確かめる術をローラは持っていないのですが、映画はそれを俯瞰では描かずに終わるのですね

あくまでも、ローラのサバイバルはどのようなもので、そして新たな価値を生み出すものは何かということが描かれていて、人の歴史は繰り返すというのを地で行っているような内容になっていたように思えました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

真面目に考えるとダメなタイプの作品で、それは彼らが持っている「豊かさ」の基準と罹患する相関関係が「かもしれないレベル」で留まっているからなのですね

なので、「リッチフルエンザ」が確定事項ではなく、そうかもしれないというものに右往左往している姿を眺めることになっています

このパニックとなる根幹を「かもしれない」で押し通している潔さがあるので、そこに気づいてしまうと「この人たちは何を恐れているのだろう」と俯瞰してしまうことになります

ある意味、デマに踊らされて右往左往していて、それでいて生き残りのために滑稽な行動を繰り返しているように見えます

 

富裕層が先に死んでいくという発想で、そのためにリッチフルエンザという病を設定しているのですが、その影響は最終的には一般市民に及んでいきます

真っ先に死ぬのはグローバル企業のCEOなどでしょうが、決定権のある人間からどんどん死んでいくことになり、企業の末端はとりあえず現状維持で現場を回していくことになります

これが社会的なインフラを支えていて、富裕層なんでいなくても経済が回っているように見えます

実質的にも、動き出したものを止めるリスクの方が高いので、それぞれの現場はトップがいなくても、その歯車を止めようとはしません

 

そう言った惰性で動くのがどれぐらいの期間なのかはわかりませんが、ぶっちゃけると給料が滞ると泊まっていくと思うのですね

なので、そういった給与支払いに決裁が必要な企業は活動が止まり、どこかひとつが止まると連鎖的に止まっていくことになると言えます

また、この段階に入った際に、富裕層が獲得している富とは何なのかというフェーズに入るのですが、実際に彼らが所有しているものの多くは「デジタルデータ」だったりするし、それは世界が共通認識として担保しているものとなります

なので、ローラが契約して高額の資産をもらったとしても、データ上の数字が変わっただけだし、それを実際に使えるかどうかはわかりません

 

このフェーズに入った段階で、ローラが罹患する可能性は低く、さらにそれを受け取って犠牲になったトニーにも何も起こらないと考えられます

なので、このあたりの自己犠牲パートが「それはもう起こらない杞憂」のように見えます

むしろ、ここで「トニーが受け取ったけど何も起こらない」となった方が良くて、それでも「通貨世界から脱却すべきかどうか」という「揺らぎ」に移った方が良かったように思います

最終的には物々交換、シェア文化などが生まれ、富を共有するという世界に入りますが、その瞬間の世界において、「リッチフルエンザ」が止まらないのならば、全ての人間が罹患することになるのではないかと思ってしまいました

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

全員が富を手放すことで生き延びられる世界に移行していくのですが、ラストでは「価値を生み出す」というフェーズに戻り、自分自身が徳をするために磨いた石で買収するというラストになっていました

これは人間の業は深いという意味になると言え、この段階で全ての人間が富の共有に行き着いていれば、ローラだけが富を得た状態になります

なので、あのシーンがあっても良いのですが、世界で唯一の富を得た人間として死んでしまう方が合理的のように思えました

 

彼女が死ぬことで、世界の富は均衡にしなければならないという強いメッセージが生まれ、そこに競争が起きることを禁忌とするようになるでしょう

でも、人は誰しもが同じ能力を有しているわけではなく、それぞれが得意なことをやっていく作業分担の中で、その比重によって報酬というものが生まれる世界がやってきます

誰もがコミュニティ存続のために犠牲になるとしても、何もせずに富を享受する人間と言うのは現れるので、そこで起きることがあるとすれば「働かざるもの食うべからず」のフェーズに入ってしまうと思います

富を持っている人が死んでいく世界の次に起こるのは、富を発生させない人間が殺される世界で、それは自然現象ではなく、人為的に起こってしまうことのように考えられます

そこまで物語が派生すると深みがあるのですが、本作の場合は「富裕層がバタバタ死んでいくのが面白い」レベルで止まっていて、そのステージに上がってしまってパニックになっている人々を描写しているだけに過ぎなかったりします

 

これ自体はアイデアとして面白いのですが、そこから一歩先に行って、「富」とは何か、「豊かさ」とは何かというところに進んでいけば、貨幣経済が壊れた段階で病巣は消えてなくなってしまうようにも思えます

結局のところ、原因不明の病が流行って、それを仮説的なものを断定してパニックが起きている状態なので、それがその思惑のまま進んでいくことに違和感があります

なので、富裕層が罹るから富を捨てようというフェーズに入った段階で、それを裏切る展開が必要だったように思います

それを一言で表すなら「搾取率の高い人間から死んでいく病だった」みたいな展開になることでしょう

そうなると、富裕層でも死ぬ人と死なない人が出てきて、それがパニックを助長させます

こうかも知れないで突き進んだ社会が一変する展開ほど興味深いものがなく、この展開を産んでいれば『ミスト』のような名作になれたように思います

『ミスト』を見たことがない人がいると思うのでこれ以上は書きませんが、見たことがある人ならば、何を言おうとしているかはわかるのではないかと思います

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/105932/review/06644025/

 

公式HP:

https://synca.jp/richflu/

アバター

投稿者 Hiroshi_Takata

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA