■しびれ
■オススメ度
ヘビーな話に耐えられる人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2026.9.28(イオンシネマ京都桂川)
■映画情報
情報:2025年、日本、118分、PG12
ジャンル:最悪の家庭環境で育った、声を失った少年を描いたヒューマンドラマ
監督&脚本:内山拓也
キャスト:
北村匠海(大原大地/青年期:ある事件を機に声が出せなくなった青年)
(少年期:榎本司)
(少年期:加藤庵次)
(幼少期:穐本陽月)
永瀬正敏(大原:大地の父)
宮沢りえ(上西亜樹:大地の母)
奥野瑛太(嘉人:亜樹の恋人)
赤間麻里子(上西智子:大地の叔母)
タラセンコ・ロマン(イワン:ロシア人労働者)
赤堀雅秋(建設会社の社長)
成嶋瞳子(野菜を盗む家の女主人)
山田愛奈(ロシア人の隠れ家にいる女)
大西武志(バーの客)
赤枝真琴(バーの女、カウンター)
真織(遅れてくるバーの女)
碧木愛莉
アンネンコフ・アンナ(アンナ:ロシア人街の少女)
ミハイル・ソルンツェフ
川内一子(介護士)
牧田秀行
櫛田遙流
翡翠
■映画の舞台
新潟県某所
ロケ地:
新潟県:新潟市
五ヶ浜
https://maps.app.goo.gl/bgx2oDKWWe1RG5D96?g_st=ic
■簡単なあらすじ
新潟県の港町に住んでいる大地は、母とともに建設会社のビルの上のプレハブを借りていた
母は夜の町に出かけては稼いでいるようだが、大地はスーパーや民家などから物を盗まなければ食べるのにも困るほどだった
幼少期のある出来事が原因で声が出せなくなった大地は、メッセージボードで母とやりとりをしているが、学校にも行けず、ひらがなすらまともに書けなかった
ある日のこと、そのプレハブが燃えてしまい、2人は母の姉・智子の家に転がり込むことになった
母はほとんど家には帰らず、違法滞在しているロシア人のところに身を潜めていて何やら怪しいことをしている
そんな折、母の延命治療に関する資料を見てしまい、姉から「母の肝硬変は治らない」と言われてしまう
それから十数年が経ち、大地はバーで働きながら、闇でドラッグを捌くようになっていた
羽振は良くなってきた頃、母親からの手紙が届き、施設に会いに行くことになった
札束を渡そうとするものの、母は十分なお金をいただいていると、父親から送られてきた封筒を見せた
大地は「まだ生きていたのか」と呟き、その封筒を握りしめて、その地へと向かうことになったのである
テーマ:生き抜くということ
裏テーマ:伝わらない想い
■ひとこと感想
かなりスローなテンポで展開する作品で、BGMはほとんど流れずに、大地が生きている場所の自然音というものが強調されていました
実話ベースということですが、かなり過酷な場所で、ロシア人の不法移民などが住んでいる寂れた町が舞台となっていました
母親はおそらくは夜の仕事をしているのでしょうが、実際に何をしているのかはわかりません
家賃のために大家と寝ていて、その際に小遣いのようなものをもらっていました
そのプレハブも燃えてしまい、頼れるところを頼るという感じになっています
6歳の時の事件にて、大地は声が出せなくなったのですが、それが精神的なものなのか、父親による暴力だったのかはわかりません
おそらくは精神的なものだと思われ、声を出すことが命の危険に近づくという学習をしてしまったように思います
あるいは、自分が声を出すと母親がさらに痛めつけられると思ったのかも知れません
とにかく最後まで重たすぎる展開で、救いがあるとは思えません
父親もどういう経緯であの家に住むことになったのかはわかりませんが、ちゃんと服を畳んだりしているところを見ると、何らかの理由で服役していたのかな、と感じました
母親の名前は上西で、父親の名前は大原なので、結婚自体がどうなっているのかはよくわかりません
そのあたりは気にしても仕方のないところで、それがわかったからと言って、何かが変わるということもないのかな、と感じました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
暴力的な男ばかりを選んでしまうのが亜樹という人物なのですが、どうしてその属性を選んでしまうのかはわかりません
映画は、あくまでも大地目線となっていて、母親が不在の時に何をしているのかは全くわからず、化粧や姿などから、夜の町で働いていることだけはわかります
裕福ではないと思いますが、多くのお金は仕事上で必要な服や化粧品代になっているように思えます
大地に渡すお金は500円くらいだと思いますが、それだと何も買えないので、ある民家から野菜などを盗んだり、成長した後もスーパーで万引きなどを繰り返していました
ある時にロシア人居住区に足を踏み入れ、そこに母親がいることを知ります
彼女が何をしていたのかはわかりませんが、おそらくは声には出せない何かだったりするのでしょう
ロシア人相手だとお金になるのかはわかりませんが、日本人相手よりはお金が落ちやすかったのかも知れません
完全にアウトローの世界で、家庭環境も最悪な中で生きてきたのですが、絆というのは意外と切れないものなんだな、と思わせます
ある意味、死ぬまで繋がれている鎖があって、それを断つのは容易ではないと言えるのでしょう
逃げても追いかけてくる中で、どうやって向き合っていくのか
その答えは「相手にしかない」と言えるし、それを制御することはできないのだと思わされます
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作はかなりヘビーな内容で、さらにセリフが少なくて劇伴もなく、長回しが多いので、精神的に疲れる映画だったと思います
同じような不幸な境遇を描いている映画でもここまで重くのしかかることはなく、それらはラストの解放に向けての布石のようにも思えてきます
母親が亡くなり、刺し殺そうとした父親と再会するラストですが、これで完全に糸が断ち切られたという印象が強かったですね
ある意味、母親の存在というものがとても大きくて、それが叔母や父親と結びつけていたように思えました
血縁が繋がっていても、おそらく会うことはないだろうし、死んだという知らせすら届かないかも知れません
世話になった叔母との関係も残ると思いますが、それは死が2人を分つまで関わらないように感じられます
そう言った意味において、しがらみが消えたこれからというのは、大地にとって本当の人生が始まったと言えるのかも知れません
映画内では、声が出せないことや周囲に女性がいない環境は続いてきましたが、母親の呪縛が消え、父親との関係も解消されたことでガラッと変わってくると思います
そして、封印されていた声を戻してくれるのは、おそらくは彼を支えてくれる女性の存在のように思います
声が出ない大地を受け止めて、そして寄り添ってくれる人
映画内には登場しませんが、今後の人生では必ず現れると思います
その時になって初めて、「しびれ」からも解放されるのかな、と感じました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/104885/review/07020886/
公式HP:
