■さよなら、僕の英雄


■オススメ度

 

兄弟の絆系の映画に興味がある人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2026.6.25(アップリンク京都)


■映画情報

 

原題:Den sidste viking(最後のバイキング)、英題:The Last Viking(最後のバイキング)

情報:2025年、デンマーク&スウェーデン、116分、PG12

ジャンル:15年ぶりに再開した姉兄弟を描いたクライムスリラー

 

監督&脚本:アナス・トマス・イェンセン

 

キャスト:

マッツ・ミケルセン/Mads Mikkelsen(マンフレル・アナスン/Manfred:自分をジョンレノンだと思い込んでいる男)

(幼少期:Joel Hesse Johansen

ニコライ・リー・コス/Nikolaj Lie Kaas(アンカー・アナスン/Anker:15年ぶりに出所してきたマンフレルの弟)

   (幼少期:Alfred Røssel Læsø

 

Lars Ranthe(兄弟の父)

Rikke Louise Andersson(兄弟の母)

Bodil Jørgensen(フレイヤ/Freja:兄弟の姉)

   (幼少期:Nomi Bodnia

 

ニコラス・ブロ/Nicolas Bro(フレミング/Flemming:アンカーの犯罪仲間)

 

ソーレン・マリン/Søren Malling(ヴェアナ/Werner:民泊を営む夫婦、元ファッションデザイナーの絵本作家)

ソフィー・グロベル/Sofie Gråbøl(マグレーデ/Margrethe:民泊を営む夫婦、元モデル)

 

ラーシュ・ブリグマン/Lars Brygmann(ローター/Lothar:ビートルズ再結成に命を賭ける精神科医)

カルド・ラザーディ/Kardo Razzazi(ハムダン・F・シューベリ/Hamdan:自称「ポール・マッカートニー」「ジョージ・ハリスン」の男、デンマークの北ストックホルム入院中の精神病患者)

ピーター・デュリング/Peter Düring(アントン・W・エルパスン/Anton:自称「リンゴ・スター」の男、スウェーデンの精神病院入院中の精神病患者)

 

Anette Støvelbæk(ハルバーグ/Halberg:精神科の女医)

 

ジョン・レノン/John Lennon(本人役、アーカイブ)

オノ・ヨーコ/Yoko Ono(本人役、アーカイブ)

Mark David Chapman(本人役)

Susanne Breuning(犬を連れた女性)

Lila Nobel(女性警官)

Bue Wandahl(警官)

Kenneth Broendum(警官)

Torben Svendsen(ウェイター)

Asta Höxenholt Skov(クラスメイト)

Klaus Søndergaard(タレントフェアの司会者/Konferencier)

 


■映画の舞台

 

デンマークのどこか

 

ロケ地:

デンマーク:

フュン島/Funen

https://maps.app.goo.gl/8XTCpqt2EZcJHJ2t8?g_st=ic

 

スウェーデン:

トッレド/Tollered

https://maps.app.goo.gl/S33qrU5wem4kL7yw9?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

デンマーク在住のアンカーは、フレミングと共に強盗を行なって大金をせしめたが、あっさりと警察に包囲されて逮捕されてしまった

アンカーは兄のマンフレルに「ロッカーの鍵」を託し、ほとぼりが覚めた頃に、その中にあるバッグを実家の近くに埋めるように伝えた

 

それから15年後、模範囚として仮出所することになったアンカーは、マンフレルと姉フレイヤと再会を果たした

だが、マンフレルはある時から「自分のことをジョン・レノンだ」と言い出していて、決して「マンフレル」とは呼ばないようにと言われてしまう

意味がわからないまま、マンフレルと共に実家を目指すことになったがアンカーだったが、忠告を無視して「マンフレル」と読んでしまい、彼は走っている車から飛び降りてしまった

 

幸い軽傷だったものの、救急医は精神病を含めた観察入院が必要だと言う

そんなことをしている暇のないアンカーは、策を練ろうとバーに向かったところ、そこで精神科医を名乗るローターと言う男で出会った

弟の話をしながら盛り上がったものの、アンカーは泥酔して、彼の家で目を覚ますことになった

 

ローターはマンフレルを治すには本当にビートルズを復活させるしかないと言い、スウェーデンとデンマークにメンバーを自称するものたちがいると言う

だが、アンカーはその申し出を無視して、ローターを置き去りにして実家に戻ることになった

実家は別の所有者に渡っていて、そこではマグレーデとヴェアナと言う夫婦が民泊に改造していた

アンカーはそれらをも無視し、実家の裏山を隅から隅まで探し始めるのである

 

テーマ:記憶の底に封印したもの

裏テーマ:思い出の地が蘇らせたもの

 


■ひとこと感想

 

映画は、あるバイキングのアニメーションにて始まり、そこではバイキングの王が息子可愛さのあまりに無茶な行動を起こす様子が描かれていました

息子が左腕を失って肩身の狭い思いをしていると、バイキング全員の左上で切断すると言った感じで、その世界では誰しもが「平等」に扱われると言うものでした

本編との関連性がよくわからないまま始まったのですが、この寓話が何なのかが最後にわかるようになっていましたね

 

物語は、弟が出所してきて金を探そうとしたら、兄は解離性同一性障害になっていて、自分をジョン・レノンだと言い出していて困惑する様子が描かれていきます

本名と呼ぶと場所を問わずに窓から飛び出すと言う反応を見せていて、これによってアンカーの計画は根底から覆ってしまいます

その後も、なんとか実家にたどり着いたかと思えば、その家は売却されて、知らない夫婦が民泊を経営したりしていました

 

この二人もかなりの変わり者で、アンカーは構うことなく宝探しを始めるものの、どこを探しても見つからないのですね

さらに、途中の酒場で出会った自称精神科医の変な男が「ビートルズを再結成するために自称する他の男たちを連れてくる」と言うカオスな状態になっていました

どこに向かうかわからない中で、後半には強盗仲間のフレミングも姉もやってきてしまって、さらにカオスな状態になっていきました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

本作のネタバレと言えば、冒頭のバイキングアニメはなんだったのかと言うもので、最終的には民泊経営者の男がマンフレルの行動にインスピレーションを抱いて書き上げた絵本だった、と言うことになります

バイキングの王は最後に自分の首を撥ねさせるのですが、この世界は「欠損を共有する」と言うかなり歪な世界になっていました

ヴェアナはマンフレルたちを見てこの物語を思いついているのですが、ここで描かれる王(親)と言うのはマンフレルたちの親とは真逆の存在のように思えます

 

最後の一人であるバイキングは、一族の全てを終わらせる存在ではあるのですが、それが一族の幸福だと疑っていないようのですね

この部分に関しては、マンフレルたちの親と同じマインドで、自分の行動が家族の幸福を維持していると言うふうに勘違いしている愚か者のようにも見えてきます

この寓話を読んだ時、この世界は間違っていると思うのが一般的な感覚だと思いますが、まさに「間違った価値観であると認知させるための寓話」として機能していると言えるのでしょう

 

ヴェアナは、自身のイラストにバイキングの角を書き足し、そこに魅力的なキャラクターを生み出します

それは、仲間たちと一緒にバンドを結成しているマンフレルを見たからであり、ある意味、同じような目的や価値観を持った人たちの集まりには愛を感じると言う部分もあるのでしょう

マンフレルは仲間たちと一緒に演奏することで自身を肯定することになるのですが、彼が自身をジョン・レノンだと思い込むきっかけはかなり悲劇的なシチュエーションであると言えます

弟が自分のために父を殺した瞬間に、ファンによって殺害されたジョン・レノンを見てしまう

この歴史を知っている人には、ジョン・レノンになりきることが決して喜ばしいことのようには見えないでしょう

それでも、ラストのバンドは「Flying Beavers」なので、彼ら自身はビートルズの楽曲を演奏しているけど、自分たちをビートルズだとは思っていないようにも思えます

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作はカテゴライズの難しい作品で、いわゆるブラックコメディに近いのかなと思います

強盗で得た報償を得ようとしたら、封印していた過去を掘り起こしてしまうと言うもので、そこには兄弟だけが知る秘密というものが隠されていました

兄弟はそれを忘れて育ったのではなく、ずっとそのことを覚えていて、それが人生の足枷にもなっていたと思います

回想シーンを見るからには、妹と母が不在の時に事に及んでいて、そのまま隠蔽して「失踪した」という嘘をつき続けてきたのでしょう

 

その事件の時にニュースに流れていたのがジョン・レノンの訃報であり、少年だったマンフレルがどこまでその事件のことを理解していたのかは分かりません

彼自身がジョン・レノンだと言い始めたのはアンカーが刑務所に入ってからのことで、それがどうして起こったのかは映画では明示されません

姉はその妄想のようなものに付き合わされてきたのだと思いますが、彼女は「ジョンと呼ばなかった時のマンフレルの異常行動」の方にリスクを感じているので、ジョンと呼ぶようになっていました

アンカーは頑なにジョンとは呼ばないのですが、そう呼ぶことで兄弟の絆が絶たれてしまうと感じていたのかもしれません

 

兄弟を結んでいるものは「約束」であり、現在進行形では「強盗後の指示」のことですが、それ以前に「誓いを破らない」という意味の方が強いと思うのですね

そうした中で、アンカーは忘却のようなフリをするし、マンフレルは自身の人格をどこかに隠すという行動をしていました

その根底にあるものが「どちらも傷つかないように」という思いになっていて、それを突き崩そうとしていたのが「フレミングとの強盗」だったようにも思えました

この計画がマンフレルにとってどのような意味をもたらしたかと言えば、それは自分を助けてくれた兄の喪失だったと言えます

それを考えると、兄のいない人生を歩んでいく中で、帰ってくるまでは別人でいようと思ったのかもしれません

でも、15年という月日が偽りが本物を追いやってしまうには十分だったちいうことで、このような歪な関係性が生まれてしまったのかな、と感じました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/105852/review/06673404/

 

公式HP:

https://cinema.starcat.co.jp/goodbye-myhero/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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