■きれっぱしの愛
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■オススメ度
パーソナルな家族の物語に興味がある人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2026.7.7(アップリンク京都)
■映画情報
原題:Ástin Sem Eftir Er(残された愛)、英題:The Love That Remains(残された愛)
情報:2025年、アイスランド&デンマーク&スウェーデン&フランス、109分、G
ジャンル:離婚した夫婦とその家族を描いたヒューマンドラマ
監督&脚本:フリーヌル・パルマソン
キャスト:
サーガ・ガルザルドッテイル/Saga Garðarsdóttir(アンナ/Anna:3児を抱える芸術家)
パンダ/Panda(パンダ/Panda:アンナたちの愛犬)
スヴェリル・グドゥナソン/Sverrir Gudnason(マギー/マグヌス/Magnús:アンナの元夫、漁船の船員)
イダ・メッキン・フリンスドッティル/Ída Mekkín Hlynsdóttir(イダ/Ída:夫婦の娘、長女)
グリムール・フリンソン/Grímur Hlynsson(グリムール/Grímur:夫婦の息子、双子の兄)
ソルギス・フリンソン/Þorgils Hlynsson(ソルギス/Þorgils:夫婦の息子、双子の弟)
Kristinn Guðmundsson(アグスト/Ágúst:アンナの弟)
Ingvar Sigurdsson(パルミ/Pálmi:アンナの父)
Katla M. Þorgeirsdóttir(イリス/Íris:アンナの母)
Halldór Laxness Halldórsson(ダニー/ダニエル/Daníel:アンナを慕う切断機械の管理者)
Anders Mossling(マルティン/Martin:ポルトガルの有名な画商)
Stephan Stephensen(フシ/Fúsi:マギーの同僚、船員)
Gavin O’neil(船の写真の女性)
■映画の舞台
アイスランドの田舎町
ロケ地:
アイスランド南東部
ハフナルフィヨルズウル
https://maps.app.goo.gl/kFvUZAHXqKxHuF1K7?g_st=ic
■簡単なあらすじ
アイスランドの港町にて、自身の芸術作品に向き合っているアンナは、別れた夫・マギーとの間にイダ、グリムール、ソルギスという幼い子どもたちがいた
マギーは家を出て一人暮らしをしていて、時折家族の団欒に混じってくる
そこにはアンナの両親もいて、まるで離婚などなかったかのような団欒がそこにはあった
マギーは漁船の乗組員で、漁が始まるとなかなか帰ってくることはできなかった
アンナは彼からの養育費と、自給自足的な生活をしながら、弟のアグストと共に作品に向き合う
鉄板を自在に切って、それを型にして布地に模様を描く作品だったが、なかなか表舞台で評価されることはなかった
画商のマルティンに作品を見てもらっても、彼は作品のことにはふれずに関係ない話で会話を繋いでいった
子どもたちは自由に遊びまわり、牧場の一角に木を立て埋めて、そこにマネキンを模したものを縛り付ける
やがては甲冑などを着させて、それに向かって弓を引いて遊び始めてしまう
そんな折、その遊びの最中で、息子は大怪我をしてしまうのである
テーマ:家族の縁の断ち切り方
裏テーマ:拒絶の先にある未練
■ひとこと感想
アイスランドの優雅な土地を舞台にして、よくわからない芸術作品を作っている妻と、遠洋漁業の乗組員をしている元夫たちが描かれていました
ニワトリを育てたり、ベリーを育てたりする中で、この土地だとこんな感じで自給自足できるものなのかな、と思ったりもしました
彼女が目指しているアート作品の良さはほとんど分からず、てっきり鉄板を組み立てて三次元的なものを作るのかと期待してしまいました
この作品の完成と共に家族の変化が生まれるのかと思いましたが、そんなことはなかったですね
冒頭の一家団欒が「すでに夫婦が離婚している」というミスマッチを表していて、あのシーンだけを見ると「離婚しているように見えない」し、「出稼ぎが多くて、家にあんまりいない父親」なのかな、と思っていました
スキンシップを全力で拒むのに、一緒にピクニックに行ったかと思えば、あんなこともやってしまうし、アンナという女性の考えていることは分かりにくかったりします
彼女を取り巻く男性も弟と父は普通ですが、切断機械のエンジニアらしき男はひたすら「ヤリたい」を連呼しているし、画商は意味不明な行動のまま、強烈な顛末を迎えていました
子どもたちも両親の離婚を受け止めていますが、土地柄なのか性的な話は結構オープンでしたね
思春期の長女は困っていましたが、両親のセックスを見たことがあるという感じで、嬉々として話題にしているのは驚いてしまいます
あの子どもたちは監督の実の子どもなのですが、実の子どもにあのセリフを喋らせるのはなかなか強烈だなあと思ってしまいました
ともかく何も起きない系ではあるのですが、所々で眠気を吹っ飛ばすような出来事が起こります
なんとなくシュールな感じがして、さらに写真家出身ならではの絵作りなども多かったように思いました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
本作にはネタバレっぽいのはなく、この一風変わった家族がどうなるのかを見守る感じに進んでいきます
離婚をしたけれど家族同然の付き合いをしていて、夫には未練があるけど、妻の方は関係を切るべきだと考えています
その理由とか原因はわからないのですが、想像するには夫がいない時間が多いとか、妻の方が成功とほど遠くて温度差があるとかでしょうか
彼女自身が作り上げる芸術に何かありそうに思いますが、幾何学的な感じの模様を布に転写して、その塗料が鉄の錆のように見えていました
冒頭のとある倉庫の屋根だけを外すという映像も関連性がわかりにくく、何かしらの概念を取っ払うと、これまでに見えなかったものが見えるという感じにも思えます
また、後半には「おそらく夫が見ている幻」もしくは「妻の願望」みたいな映像がたくさんあって、半魚人が出てきたり、色々と奇妙なクリーチャーが登場したりしていました
彼らが見ている映画がドキュメンタリー「The Life of Mammals」とか、「Creature From The Black Lagoon(大アマゾンの半魚人)」とかだったりするのですが、このチョイスにも意味があるのかはわかりません
原題も英題も直訳すると「残された愛」ということで、映画の最後にも妻と子どもたちに捧げるみたいな文言があったので、タイトルは夫目線なのだと思います
彼は、もう一度妻とヨリを戻したいという願望があるようですが、それは頑なに拒否され、それでもお金が必要だと頼られるという何とも言えない存在だったりします
いわゆる「週末パパ」という感じで、離婚は夫婦の別離であって、子どもとの別れではないという感覚なのでしょう
それでも、家族の団欒のようなものが必要で、その為ならば海の中で漂うことすら厭わないという感じになっています
ヨナ号は最後まで現れませんでしたが、夫目線だと不条理すぎて悲しくなってしまうなあと思ってしまいました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
結局のところ、何を描こうとしている作品だったのかはよくわからず、ある家庭のひとときを眺めている感じになっていました
アイスランドの約半年間ぐらいという時間の流れで、ポルノカレンダーにはガッツリと2025年8月と書かれていました
遠洋漁業では大量の魚を捕獲していて、それなりの実入はあるようで、妻の家と夫の部屋は対象的な感じに演出されていたと思います
子どもたちも奔放という感じで、母親が使わない材料などを集めて弓矢の的を作っていましたが、あれも動き出していましたねえ
このあたりのファンタジー描写の意図もよくわからないのですが、アンナの価値基準にそぐわない人たちは強烈な顛末を迎えていたように思います
特徴的なのは画商で、ガチョウの卵を盗んだら、乗っていたセスナがバードストライクで墜落するというギャグに使われていました
また、何かの機雷のようなものが爆発するシーンもあったのですが、これまた何でそのシーンなの?と思うところがたくさんありました
写真家出身ということで、映画の中にはポートレイトのような切り抜きがたくさんあって、印象的だったのは「真っ二つに別れた魚を持つ双子」でしたね
この構図の意図とかはよくわかりませんでしたが、冒頭の屋根を取るシーンなども含めると、「分かれたものは元には戻らない」みたいな感じに思えてしまいますね
その分かれた間にはある種の空間があって、そこに見えている景色というものはどこか晴れやかでもある
でも、この隙間の視点は未練のない妻目線に思えるので、「これが君の望んでいるものだったのかい?」みたいな夫目線の問いかけのようにも思えてしまいます
正解が何かはわかりませんが、何となくシュールな「反撃」のような映画だったのかな、と感じましたね
最後の海で放置される夫という終わり方にも、そのような意図が隠されているように思えました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/105012/review/06712660/
公式HP:
https://gaga.ne.jp/kireppashi_ai_NOROSHI/
