■ジェニー・ペンはご機嫌ななめ
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■オススメ度
閉鎖空間スリラーが好きな人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2026.6.16(アップリンク京都)
■映画情報
原題:The Rule of Jenny Pen(ジョニー・ペンのルール)
情報:2024年、ニュージーランド、104分、G
ジャンル:老人福祉施設に入った判事と老いたサイコパスの確執を描いたスリラー映画
監督:ジェームズ・アッシュクロフト
脚本:ジェームズ・アッシュクロフト&エリ・ケント
原作:オーウェン・マーシャル
キャスト:
ジェフリー・ラッシュ/Geoffrey Rush(ステファン・モーテンセン/Stefan Mortensen:正義感の強い元判事)
ジョン・リスゴー/John Lithgow(デヴィッド/デイヴ・クリーリー/Dave Crealy:「ジェニー・ペン」と名付けたドールセラピーでケアハウスを支配する利用者)
マーカ・ポハトゥ/Maaka Pohatu(ニールズ医師/Dr. Neels:ステファンの主治医)
ホリー・シャナハン/Holly Shanahan(マデリン・シェパード/Madeline Shepard:ケアハウス「Royal Pine Mews」の施設長)
ジョージ・ハナレ/George Henare(トニー・ガーフィールド/Tony Garfield:元ラグビー選手の利用者、ステファンのルームメイト)
イアン・ミューン/Ian Mune(ホーウィー・ウィッカー/Howie Wicker:誤って火をつけてしまう利用者)
Bruce Phillips(ピーター・ルウィン/Peter Llewyn:猫から逃げる利用者)
Irene Wood(オリーヴ・ショウ/Olive Shaw:長髪の認知症の老女)
Annie Ruth(モイラ・スペンサー/Moira Spender:貴族風の老女)
Nick Blake(トバイアス・ポパノヴィッチ/Tobias Popanovich:ノロマと揶揄される利用者)
ナサニエル・リーズ/Nathaniel Lees(ソニー・オーセージ/Sonny Ausage:盲目の利用者、コンフリーに「ジョージィー」と間違えられている老人)
Hilary Norris(ユニス・ジョイス/Eunice Joyce:失踪する老女)
Lutz Halbhubner(ショーン・ダン/Sean Dunn:脳梗塞で身動き取れない利用者)
Ginette McDonald(サリー・パイル/Sally Pile:編み物をしている老女)
Jane Waddell(コンフリー・ヘイルズ/Comfrey Hails:ソニーを元夫と勘違いしている老女)
Fiona Collins(グレース/Grace:介護士)
Yvette Parsons(タニア/Tania:介護士)
Ariadne Baltazar(メイ/May:介護士)
アナペラ・ポンタイバオ/Anapela Polataivao(ジャスミン/Jasmine:ステファンの入浴介助の介護士)
トーマス・セインズベリー/Thomas Sainsbury(マイク/Mike:受付で雑談している介護士)
Hannah Lynch(ジョイ/Joy:受付にいる介護士)
Catie Noble(理学療法士)
パオロ・ロトンド/Paolo Rotondo(臨床心理士)
Pilapitiya Rashmi(アニタ/Anita:看護師)
Marbles(プルート/Pluto:施設にいる猫)
Richard Chapman(仮装するミュージシャン)
Semu Filipo(ラグビーのコーチ)
Sylvie Ashcroft(トニーの孫娘)
Celia Griffiths(カルテット)
Hijiri Yamamoto(カルテット)
Jack Moyer(カルテット)
Taliesin Amoore(カルテット)
Harper Ashcroft(来訪者)
India Ashcroft(来訪者)
Nina Williams(来訪者)
Stella Williams(来訪者)
Mandy Thomas(来訪者)
Kurt Johnson(警官)
Lovely Gomonit(警官)
Jacqueline Later(葬儀屋/Undertaker)
Ryshon Te Fono(庭園の管理人/Groundsman)
【Resident(入居者)】
Mary Andrews
Rangi Andrews
Doreen Beer
Trevor Beer
Margaret Blake
Adrienne Gordon
Wendy Green
Winston Gurnell
Lynn Harriman
Vivienne Hutchison
Barbara Iles
Peter Judge
Janice Kosterman
Daphne Lecouteur
Christine Lester
Stephen Lester
Isobel McAlpine
Judi McGreevy
Kevin McPake
Jean Mills
Connie Mitchell
Faye Moore
Robin Moore
Adrienne Nairn
Tim Norman
Karl Periera
Lorraine Philbey
Steve Punter
Sarah Simmonds
Audrey Swann
Deborah Taylor
John Wakelin
Pearl Wakelin
Michael Ward
Wayne Wilson
【Carer(介護士)】
Vee Hodgson
Melissa Isaacson
Lormar Karauti
Huirangi Law
Anna Lopez
Charlotte Mann
Dervla Murtagh
Jessica Ruck-Nu’u
Lindsey Seaton
Lian Song
【Teen Rugby Player(10代のラグビー選手)】
Bayley Rakei
David Lewai
Jed Walker
Kane Mason
Oscar McDougall
Riley Williams
Romeo McIlvride
Sasha Parize-Baker
Tomas Green Camargo
Tawhiri Wanoa
Zach Harrison
【法廷パート】
Nikki MacDonnell(裁判所の母親、被害者遺族)
Orlando Stewart(グラント・ホロウェイ/Holloway:事件の加害者)
Natasha Kenyon(検察官側の弁護士)
Raz Yusoff(検察官側の弁護士)
Wendy Griffiths(加害者側の弁護士)
Fergus Aitken(加害者側の弁護士)
Sue Bridgen(被害者の家族)
Brendon Hannah(被害者の家族)
Chris Hewer(被害者の家族)
Helena Sharples(被害者の家族)
Jason Noble(法廷の警官)
Peter Hewitt(法廷の警官)
Tim Foley(看守)
Wayne Carter(看守)
Max Makheri(ジャーナリスト)
Mini Samuels(ジャーナリスト)
Elizabeth Marshall(裁判所の書記官)
Samantha Chilman(執行官)
【Public Gallery(裁判の傍聴人)】
Jo Carter
Yvette Cottam
Susan Holt
Jayasudhasri Jaiganesh
Jacqueline Jones
Helena Mahn
Leanne Turrell
Jack Carter
Sam Carter
David Dahya
Tony Hopkins
Ben Johnson-Frow
Owen Jones
Robert Thynne
Michael Waris
Callum Scott(時刻を読み上げる時計の音声)
■映画の舞台
ニュージーランドの郊外のケアハウス
Royal Pine Mews
ロケ地:
ニュージーランド
タウポ/Taupō
https://maps.app.goo.gl/R63FE1bkJuemgAZb8?g_st=ic
ワイラケイ・リゾート/Wairakei Resort
https://maps.app.goo.gl/F3q52VyT3ffizxW46?g_st=ic
Wellington and Lower Hutt
https://maps.app.goo.gl/wyA9tLAtpA2cDYy3A?g_st=ic
■簡単なあらすじ
ニュージーランドの判事として活躍してきたステファン・モーテンセンは、ある事件の裁判中に脳卒中で倒れてしまう
半身に麻痺が残り、郊外にある「Royal Pine Mews」というケアハウスに入ることになった
個室を希望していたものの、隣には元ラグビー選手のトニーがいて、施設長のマデリンに苦言を呈するものの、聞き入れられることはなかった
ある日のこと、ステファンの元にドールセラピーの人形を常に持ち歩いているデイヴがやってきた
彼は自身の尿瓶をステファンにぶちまけて去って行ってしまう
そのことを申し立てても受け入れられず、その行為を見ていたはずのトニーも知らぬ存ぜぬで通していた
ステファンがデイヴを観察し、利用者の誰もがデイヴを恐れて避けていることがわかった
ステファンはデイヴから数々の嫌がらせをされても動じず、しまいには彼の喘息の吸入器に細工をして報復を始める
だが、デイヴはステファンよりも自由に動け、さらに執拗な嫌がらせをしてきた
そして、とうとうステファンの病状は悪化し、そこにデイヴが最終通告に訪れる
彼はステファンとの間に確執を感じていたが、ステファンには身に覚えのないことだったのである
テーマ:怒りの行き着く先
裏テーマ:流されていく死
■ひとこと感想
著名な判事が脳卒中によってケアハウスに入るという物語で、そこには訳ありの利用者がいた、という流れになっています
比較的自由に動けるデイヴは、ある意味でやりたい放題なのですが、それができる理由が徐々に明かされていきます
施設側もデイヴに強く出ないのですが、そこには様々な描かれていないことが隠れているように思えました
冒頭の法廷にて異変を感じるステファンとか、デイヴが呼吸困難に陥る状態とか、演技とは思えないほどのクオリティで、実際に起こったことのように見えてきます
その他の利用者もその場がケアハウスであるかのように錯覚してしまうほど役作りが凄かったですね
炎上案件、失踪など様々なことが起こりますが、全ての死が施設によって流されているようにも思えてきますね
映画では、デイヴの暴走に立ち向かうステファンが描かれるのですが、これが正義の執行なのかは何とも言えない部分がありました
正義の執行官として、連続殺人犯(少なくとも5人の子どもの命を奪った)に対して情状の酌量の余地もなく断罪し、さらに被害者の母親にも「予期できたことだった」と思いっきりキレていましたね
どんな事件だったのかはわかりませんが、判事があそこまで言うと言うことは、被害者遺族側にも何らかの落ち度があったように感じられます
その事件の本当のところは描かれませんが、この一連の最後の裁判はケアハウスでのステファンの生活を真っ向から否定していくようにも見えます
あの言動があるからこそステファンの本質も見えるのですが、それに感化された人物のある行動と言うのは、なかなか興味深いものがあったように思えました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
映画内でヘミングウェイの『武器よさらば』が引用されたり、推理小説を小馬鹿にしたようなセリフが出てきますが、それらはステファンの人生哲学のようでいて、最終決断の布石になっているように思えました
利用者が何人いるのかわからないケアハウスですが、いくつかのエリアに分かれているようで、ステファンたちがいたのは「TOTARA WING」と言う場所になっていました
この「TOTARA」とはマキ科の植物の名前で、「WING」と言うのは本館から伸びる「翼棟」と言う意味があります
これらはニュージーランドの高齢者施設でよく使われる名称とされています
施設の一角で行われた犯罪なのですが、これらが全て有耶無耶になっていることの方が怖いですね
利用者が施設外に出て死体で発見とか、施設内でタバコ&アルコールで炎上して亡くなるとか、最終的にはどう転んでも殺人事件ですやんと言うものが行われます
それでも、施設内は何もなかったかのように穏やかで、ステファンがデイヴをやっつけたみたいに思っているのでしょう
これが正義の執行なのかは何とも言えませんが、元職員がそのままある程度健康なのに利用者となっている環境は歪なものだったと言えるのだと思います
映画では、ドールセラピーに傾倒するデイヴがいて、ジェニー・ペンと言う名の人形が起こしているみたいな感じでいじめていましたね
人形に服従させると言う屈辱を味合わせる趣味を持っているサイコパスなのですが、実際には「成功者を妬んでいただけの凡人だった」と言う帰結になっています
それでも、介護施設に入ると社会的立場なないようなもので、そこでは「健康さ」と言うものが最も力を持っているように描かれています
若い頃には当たり前にあったものがそこにはないと言う世界で、ステファンの場合だと「法と正義」すら手元から消えてしまっているようにも思えました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
このケアハウスでは、短期間の間に3人もの死者が出ていて、その全てに事件性があるように見えます
炎上案件は自業自得の部分がありますが、それ以外の不審死が放置されているように思えるのも怖さを倍増させています
ある意味、いつ死んでもおかしくない人たちがたくさんいる環境で、スタッフの死が日常になっていたりします
そこで何が起こってもごまかせたりするのですが、実際に起きると、これだけスルーされることはないでしょう
ステファンは体は不自由だけど、頭はきちんと回る男で、彼の証言が正当だとしても、施設側がまともに取り扱わないと言うことが続きます
挙句の果てには「認知機能の低下では?」と認知症のテストをしたりしていて、そこで「そんなわけないだろう」的な全問正解を連発していたのはギャグのようにも思えます
デイヴは体は自由に動くし、ダンスも踊れるのですが、彼自身があの施設に入れる理由は分かりません
元々清掃員として働いていて、そこで多くのこと(利用者虐待)などを見てきたのでしょう
そして、高級なケアハウスに入ってくる人々は自分よりも裕福な存在だけど、相手を支配下に置けると言う快感を得ていました
そんな彼のところに、かつて勝手に因縁を感じていた相手が入居することになり、ステファンにとっては身に覚えのないことでひたすら逆恨みを買っている状態になっていました
清廉潔白で、正義の執行人だとしても、その存在だけで誰かの感情を逆撫でしていると言う怖さがあり、それを阻止することは不可能に近いでしょう
デイヴがステファンに抱えていた感情はデイヴ自身の問題なのですが、それでも立場上スルーできないと言う環境がありました
これまで自分を馬鹿にしてきただろう人種に対して好き勝手できる場所
それに気づいても、実行するかどうかは別の話なのですが、それを平気で行えるのがデイヴと言う人間でした
彼が若ければ「無敵の人」と呼ばれたのでしょうが、彼自身も「場所を限定すれば無敵の人になれる」のですね
何かが起こっても、誰もが自然と自分を守る行動をするのですが、その最前線に施設があるように思えます
実際には何の埃も出てこない状態なのですが、あの施設が変わらずに存在続けていること自体がホラーだと言えます
何かしらの問題があった場合に集中砲火を浴びる世界ではありますが、それにも関わらず、警察が介入しても何も起こらない
その存在そのものが恐怖の対象であり、これから先に入るかもしれない世界は「法と正義の存在しない世界」である可能性があるのですね
そこで通用するのは、明晰な頭脳でもなく、相手を言い負かせる話術でもありません
それを考えると、今すぐジョギングでもしたくなるものではありますが、付け焼き刃で何とかならないのが「健康」だったりします
人生は何が起こるか分かりませんが、高度な医療のもとで生かされると言うのが最も過酷のように思います
それが凝縮しているのがケアハウスを含めた介護老人福祉施設なのですが、そこには自身のこれまでも凝縮されてしまうと言えます
そう言ったことも踏まえて、ある程度の人生の軟着陸ができるように努めることができれば幸せと言えるのでしょう
そして、それが叶わぬことの方が多いのが現代と言うステージのように思えてしまいますね
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/105609/review/06638395/
公式HP:
