【映画感想】ヒトラーの毒見役【後半:ネタバレあり】

■ヒトラーの毒見役


■オススメ度

 

ナチス系の映画に興味がある人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2026.8.6(アップリンク京都)


■映画情報

 

原題:Le assaggiatrici(毒見役の女性たち)、英題:The Taster(味見をする人)

情報:2025年、ドイツ&ベルギー&スイス、123分、PG12

ジャンル:東プロイセンにてヒトラーの毒見役に従事した女性たちを描いた伝記映画

 

監督:シルヴィオ・ソルディーニ

脚本:ドリアーナ・レオンデフ&シルヴィオ・ソルディーニ&ルチオ・リッカ&クリスチナ・コメンチーニ&ジュリア・カレンダ&イラリア・マッキア

原作:ロッセラ・ポストリーノ『Le assaggiatrici』

 

キャスト:

エリーザ・シュロット/Elisa Schlott(ローザ・ザウアー/Rosa Sauer:東プロイセンに身を隠したドイツ人)

Nicolas Handwerker(グレゴール/Gregor:ロシア遠征中のローザの夫、声)

 

マックス・リーメルト/Max Riemelt(アルベルト・ツィーグラー/Albert Ziegler:SSの将校、特殊部隊/ゾンダーコマンドの中尉)

 

アルマ・ハスーン/Alma Hasun(エルフリード・クーン/Elfriede:ローザを気遣う元看護師の毒見役、本名はエドナ・コプシュタイン)

エマ・ファルク/Emma Falck(レニ・ブルナー/Leni:おしゃべりな毒見役)

オルガ・フォン・ラックバルト/Olga von Luckwald(ハイケ・ノイマン/Heike:体調不良を起こす毒見役)

 

ベリット・バンダー/Berit Vander(ウルラ・リヒター/Ulla:自由気ままな毒見役、タロット占い)

クリームヒルト・ハーマン/Kriemhild Hamann(サビーネ・グロース/Sabine:ヒトラーを心酔している毒見役)

テア・ラッシェ/Thea Rasche(アウグスティーヌ・ポーラー/Augustine:ローザを気に入らない毒見役、未亡人)

 

Esther Gemsch(ヘルタ/Herta:グレゴールの母)

Jürgen Wink(ヨセフ/Joseph:グレゴールの父)

 

Nicolo Pasetti(ギュンター・ハルダー/Gunther Halder:親衛隊、移送&監視)

Peter Schorn(クラウス/Klaus:親衛隊、移送)

Gabriele Mazzoni(フランツ/Franz:親衛隊、監視)

Paolo Grossi(オスカー/Oscar:親衛隊、中尉の側近)

 

Boris Aljinovic(クルメル:料理人)

 

Marco Boriero(駅の医師)

Lukas Zingerle(医務室の医師)

Alessandro Passi(負傷した兵士を診る列車の医師)

 

Philipp Seppi(エルンスト/Ernst:ハイケの子どもの面倒を見る青年)

 


■映画の舞台

 

1943年、

東プロイセン:パルチュ

 

ポーランド:グロス・パルチュ村

ヴォルフスシャンツェ/Wolfsschanze(狼の巣)

https://maps.app.goo.gl/sDXyfmH7nzdeHRTz5?g_st=ic

 

ロケ地:

ベルギー

イタリア

 


■簡単なあらすじ

 

1943年11月、ロシア出征中の夫グレゴールを待つローザは、夫からの手紙を受けて、彼の両親の住む東プロイセンのパルチュに向かっていた

列車を乗り継いだあとは、荷馬車に揺られてきたローザは、そこで夫の父ヨセフと母ヘルタの世話になることになった

道中にて、森の中に有刺鉄線などを見てきたローザは、そこにヒトラーの大本営があると聞かされた

 

翌日のこと、ヒトラーの親衛隊が家に押しかけ、理由も告げぬまま、その大本営の一角の建物に押し込まれることになった

そこには豪華な食事が並んでいて、彼女たちは身体検査の後に指定されたものを食べるように言われた

食糧難に喘ぐ東プロイセンにて、これほどの食事にありつけると思わなかったローザを含めた7人の女性は食事を楽しんだ

だが、食事が終わっても席を立つことが許されず、料理人のクルメルは「毒が入っていないか確かめるためだ」と告げた

 

ローザたちは、ヒトラーに出される食事の毒見役をさせられることになり、健康なドイツ人女性でないと資格がないと言われる

そして、月に200マルクの給料も出て、毒が入る確率は「ドイツが戦争に負ける確率に近い」とまで言われてしまう

そこで彼女たちは、昼食と夕食の毒見役をすることになり、それ以外の時間は自由に過ごすことができた

 

ローザ以外の人たちはこの地方出身ということで仲が良く、ベルリンから移住してきたローザを快く思わない者もいた

だが、ローザを好意的に思う人もいて、ある種の女子会のような関係性が出来上がっていく

それでも、日々の食事は命懸けで、彼女たちは指定されたものを食べ続けることになった

そんな折、特殊部隊の将校であるアルベルト・ツィーグラーが赴任することになり、さらに親戚を通じてドイツの戦争の行方などの情報が入るようになった

そして、ある日のこと、ヒトラーのいる屋敷で爆発が起き、それを機にローザたちは自宅に帰ることも許されなくなってしまうのである

 

テーマ:欲望と生存本能

裏テーマ:史実に隠された背徳

 


■ひとこと感想

 

実際に生き残った毒見役の人の告白を元に書かれたノンフィクションが原作となっていて、その告白は彼女が死ぬ直前の2012年だったとされています

東プロイセンのパルチュというだけでわかる人にはわかる内容で、そこにはヒトラーの大本営とされる場所がありました

そこでヒトラーに提供される食事の「毒見」をしていた女性がいて、それは長らくの間、公にはされていないものでした

 

ウィキによれば、毒見役に選ばれたのは15人の女性で、第二次世界大戦を生き延びたのは告白を行ったマーゴット・ヴェルクだけだったとされています

2012年の12月、彼女が95歳の誕生日に受けた新聞のインタビューで初めて明らかにされたと言われています

東プロイセン(現在のポーランド)に義父母が住んでいて、連合軍の爆撃でベルリンのアパートが壊され、そのために義父母の家に世話になっています

そこにはヴォルフスシャンツェ(Wilfs Lair)と呼ばれる複合施設があり、この場所はバルバロッサ作戦(ソ連侵攻)のための前線基地だったとされています

 

映画内でヒトラー未遂事件が起きたのも史実ベースであり、これは1944年の7月20日に起きたものでした

犯人のクラウスは「ローザたちをヴォルフスシャンツェに連れてきた将校のクラウス」で、その後は監視役として何度となく登場していましたね

実際に将校と不倫関係にあったのかなどはわかりませんが、そこにいた中尉によってベルリン行きの列車に乗せられたのは事実だとされています

それでも、彼女の証言に懐疑的な風潮もあり、それはあの当時のヒトラーは胃腸が悪く、特別な食事が用意されていて、毒見役は主に親衛隊などが行ったと言われているからなのですね

裏付けるものは何もないとされていますが、その告白を元に小説が2冊出版され、さらに戯曲になって演じられるようになったとも言われています

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

本作は、毒見役のシーンはあるものの、全体的な骨子は「ローザとツィーグラーの逢瀬」という感じになっています

中尉によって逃げることができたという史実があり、そこで関係性を持った人物がいたのも確かなのでしょう

そして、その恋愛模様(不倫)が劇的に描かれ、物語の骨子になっていると言えます

それでも、納屋であれこれしていることは、義母にはバレているという感じでしたね

それとなく「この家を去れ」というニュアンスの言葉があり、それが「匿っているユダヤ人のエドナのこと」ではないように思えました

 

夫がロシアで行方不明になったことを受け、おそらくは死んでいるのだろうと感じたと思います

義父母も帰らぬものと思っていたのですが、マーゴットのウィキによると、夫カール(映画ではグレゴール)と再会し、1980年に彼が亡くなるまで一緒にいたとされています

その後、2012年に告白をすることになるのですが、中尉と何かあったということまで話したのかはわからないのですね

原作となるロッセラ・ポストリノの小説は架空の人物が登場するフィクションであり、新聞記事に着想を得たものとされています

ロッセラは直接マーゴットと会うことはできず、そのエピソードから「いかにして生き残ったのか」を描いていたのですが、このテイストだとこのような映画になるのは必然のように思いました

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

映画では、特殊部隊のツィーグラー中尉と体の関係を持つ毒見役が描かれていました

気の強いローザをツィーグラーが気に入ったという感じになっていて、彼の視線を感じる中で「女」が顔を出し始めていきます

納屋での性交はどう考えてもバレるだろうと思いましたが、決定的にバレたというふうには描かれていませんでしたね

それでも義母はそれとなく気づいていて、それは夫が行方不明になったというのに、日に日に生気が戻ってくるローザを見てきたからのように思います

 

結局のところ、毒が入っていたことはなく、デザートのハチミツが悪さをしたというだけで、リスクに関してはかなり低かったように見えました

それでも、暗殺未遂事件が起こるということが身近で起きていて、さらにツィーグラーが強制連行に参加させられていたこともわかります

2人が本気で愛し合っていたのかはわかりませんが、どちらかと言えば吊り橋効果がそうさせたようにも思えますし、将校と関係を築けば安全圏にいられるのではという打算もあったのかもしれません

実際には、飢餓との戦いもあったと思うので、命と引き換えにする価値はあったと考えたとしても不思議はありません

 

映画は、ざっくりと言えば「メロドラマ」なので、史実ベースの「毒見役の苦悩」みたいなシリアス展開を想像していたら肩透かしを喰らう感じでしたね

緊張感があると言えばありますが、ラストも「そこで終わり?」というもので、他の5人がどうなったのかもわからなかったりします

女性同士のドロドロとしたものも意外とあっさり風味で、キャットファイトが1回あるだけというのは平和的でしたね

ローザがエルフリードに「原因はハチミツ」と言った際にもっと不穏なことが起こるかと思いましたが、何も起こりませんでしたね

エルフリードのことを告発(ユダヤ人ではなく堕胎幇助)したのはザビーネ・グロースだと思いますが、そのあたりもめっちゃわかりにくかったですね

最後までどうなるのかな、という緊張感はあったと思いますが、フィクションに全振りしているのなら、もっと効果的なエピソードを組み込めたんじゃないかな、と思いました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/106108/review/06810740/

 

公式HP:

https://unpfilm.com/dokumi/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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