■行先がわかっているのを流転とは言わないが、そういうところはツッコんではいけない映画でしたね
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■オススメ度
破天荒なSF映画が観たい人(★★★)
■公式予告編
https://youtu.be/Wuq7agdf0Go?si=UT23Y7E__k9IuAI_
鑑賞日:2024.3.27(TOHOシネマズ二条)
■映画情報
原題: 流浪地球 2(さまよう地球 2)、英題: The Wandering Earth 2(さまよう地球 2)
情報:2023年、中国、125分、G
ジャンル:太陽系からの脱出を試みる人類を描いたSF映画
監督:グオ・フォン
脚本:王紅衛&楊治学&龔格爾&郭帆&葉濡暢
原作:リウ・ツーシン/劉慈欣『流浪地球(邦題:さまよえる地球/流浪地球、2000年)』
Amazon Link(原作小説)→ https://amzn.to/3xcZVlR
キャスト:(わかった分だけ)
ウー・ジン/吴京(リウ・ペイチアン/劉培強:国際宇宙ステーションの宇宙飛行士)
アンディ・ラウ/刘德华(トウ・ホンユー/图恒宇:北京デジタル研究所、北京宇宙センターの量子科学研究者)
【中国大使関連】
リー・シュエチェン/李雪健(ジョウ・ジョウジー/周喆直:駐地球連合政府の中国大使、中国代表)
シュ・ヤンマンツー/朱颜曼滋(ハオ・シャンシー/郝晓晞:地球統一政府の外交官、周喆直の部下)
フー・シャンユー/胡先煦(ジャン/章:青年外交官、郝晓晞の部下)
マイケル・リュー/刘寅(周喆直の秘書)
【北京デジタルチーム関連】
ニン・リー/宁理(マー・ジャオ/马兆:北京デジタルライフ研究所の所長、北京宇宙センターの主任)
ワン・ルオシー/王若熹(トゥ・ヤーヤー/图丫丫:デジタル生命体としてアップロードされた图恒宇の娘)
トン・リーアー/佟丽娅(图恒宇の妻)
【劉の交友・家族関係】
シャー・イー/沙溢(シャオ・ポン/张鹏:ペイチアンの恩師、UEG空軍の中国人パイロット)
ワン・ジー/王智(ハン・ドゥオドゥオ/韩朵朵:UEGの軍医、劉培強の妻)
リウ・ジャンエン/劉佳源(リウ・チー/劉啓:劉培強の息子)
リー・イーラン/李一冉(劉培強の母)
シュー・クアン/周强(劉培強の父)
【世界政府関連・要職・司令部】
アンディ・フレンド/Andy Friend(マイク:地球連合政府のアメリカ代表、周の友人)
フー・チン/霍青(中国軍の総司令官)
スコッティ・コックス/Scotty Cox(宇宙管制塔の司令官)
Frank Abel(司令官)
Khalid Ghanem(アメリカ人の管制塔司令官)
【諸外国のパイロット関連】
ヴァティリ・マカチェフ/Vatilli Makarychev(ノフ/アンドレイ・ゴラシノフ:UEG空軍のロシア人パイロット、张鹏の友人)
Valentin Volobuev(マカロフ:ロシア人パイロット、決死隊志願)
フー・ジアハオ/付嘉灏(若い中国人パイロット、決死隊志願)
ダシャン・コン/孔大山(中国人宇宙飛行士)
レン・リー/李仁(韓国人宇宙飛行士)
アンシン/洪真(カンプロム:タイ人の宇宙飛行士)
Daniela Tassy(エミリア:ブラジルの宇宙飛行士、张鹏と同乗する女性パイロット)
Kawawa Kadichi(ハーバート・コプリー:劉と同じチームのパイロット実習生)
Kenton Van Dunk(ジェフ:劉と同じチームのパイロット実習生、ナンパ男)
【その他】
クララ・リー/克拉拉(テロリスト)
Vladimir Ershov(テロリスト)
Tony Nicholson(テロリスト)
ディン・ヤンライ/丁燕来(地球エンジンの建設作業員)
アン・ガオ/郜昂(地球エンジンの建設作業員)
フア・ヤン/严华(地球エンジンの建設作業員)
ワン・ロイ/王一通(AIデジタル生命体科学者の助手)
チョウ・イェスオ/赵叶索(同時通訳)
フアン・ジュアン/黄纪渊(ダイビングの専門家)
ツェン・チュウイ/郑楚一(電気の専門家)
ウー・ジンイー/吴静一(中国地下都市の母)
ヘ・ジンヘロン/何金和龙(中国地下都市の少年)
ヘ・ジヘジン/何金和金(中国地下都市の少女)
Jessica Baird(タイムズスクエアの母)
Alysa Finnegan(アイルランド人の女性)
グォオ・イーシェン/郭宜謙(結婚式の司会者)
ゴー・エンシェン/呉恩軒(ニュースのホスト)
■映画の舞台
2044年~2058年
地球&月
ロケ地:
不明
■簡単なあらすじ
地球は太陽ヘリウムの放出まであと34年を迎え、人類は電気信号の集まりと称して、人工デジタル生命体の研究が行われていたが、理由もなく禁止されてしまった
地球から宇宙エレベーターの建設が終わり、月でも同じようにエンジンが設備され、計画のための実験が行われていた
だが、宇宙エレベーターが突如テロリストに占拠され、それによって人類は宇宙ステーションを失ってしまった
移山計画を頓挫させるわけにいかない世界政府は、月面でのエンジンの実験を強行する
実験に成功した世界政府は、中国の発案にて「移山計画」という「地球エンジン」を作り、それで止まった地球を動かそうという計画が立てられていた
宇宙エレベーターのテロで活躍したパイロットのペイチアンは、北京宇宙センターの正式なパイロットとなり、その時に出会ったドゥオドゥオとの結婚も果たす
だが、宇宙線の影響で人類の癌の罹患率が格段に上がってしまい、妻も癌に蝕まれてしまっていた
地球をエンジンで動かし、月の軌道を変えようと考える人類は、残りの住人を地下へと避難させることを考える
地下都市の建設も始まり、選ばれた人々が避難する中、ペイチアンは月を破壊するための核爆弾の設置のために旅立つことになったのである
テーマ:人類のいない地球
裏テーマ:次世代を信頼するということ
■ひとこと感想
中国初のSF小説が原作となっていて、『流転地球』の続編かつ前日譚として公開されています
前作はNetflixで観られるようですが、加入していないので断念
前日譚なので、どのように繋がるかというだけなので、本作を観てから他の配信が始まればそれでも良いのかな、と思いました
映画は、とにかくスケールだけはデカくて、地球の危機に対して人類が結束する様子が描かれています
さすがに中国がメインなので良いところは全部持っていく感じですが、これはお約束というものでしょう
アメリカが中央司令になっていますが、実質的には中国とロシアが主導している感じになっていましたね
主人公はペイチアンなのですが、トウ・ホンユーを含めた二人の物語という感じになっていました
それゆえに、月と上海に分かれてしまい、そこでそれぞれのミッションを行うという流れになっています
エンドロール後(ポストクレジット)にも映像があり、この映画全体がどんなものなのかのネタバラシがあるので、最後まで席を立たない方が良いかもしれません
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
太陽の影響で太陽系自体がヤバいので何とかしようという感じのSFですが、まさかの「地球にエンジンつけて軌道変える」というのは強烈なインパクトがありましたね
できるかどうかとか、SF的な考察は無視して観ていた方が楽しめる内容で、地球の自転が止まっているのに影響が少ないなあなんて思ったりもしてしまいました
自転が止まっているためか、宇宙エレベーターが建設されていて、物凄いスピードで上下していました
気絶しているパイロット多数という感じですが、テロリストは大丈夫という感じになっていました
映像のインパクトは結構あって、宇宙ステーションが墜落する時とか、ドローンの大群と戦闘機のバトルなどは凄かったですね
どう考えても負け戦でしたが、システムを再起動したら元に戻るという、いつものパターンがありました
新型コンピューターはすっごくコンパクトで、すんごい処理能力見たいですが、科学技術が進歩すれば持ち運べる「京」みたいなことになるのでしょうか
とにかく、現実的かどうかは置いておいて、どっぷりとトンデモSFの世界を楽しむのが良いと思います
■地球を動かすことは可能なのか
地球の重さは「5.792*10の24乗Kg」で、5976垓(兆の1万倍が京、京の1万倍が垓)ということで、これを動かすには相当な力が必要になります
色々ググって見たけれど、実際にどれぐらいの力をかければ良いのかはわかりませんでした
映画では、初動を地球エンジンで動かし、月の引力圏から脱出しようと考えていました
そこからは木星の引力を利用して速度を上げて、そのまま太陽系を抜けようという作戦になっています
映画の話だと、地球を少し動かすことができれば惰性で動くという感じになっていて、この初動というものが一番大変なんだと思います
設定では1億個?ぐらいの地球エンジンを同時に点火してという感じで、クレーター並みの大きさのエンジンを作っていました
あれで動くのかはわかりませんが、地球の反面の地上部分に等間隔に置くことはできないので、偏りなどがあるし、地表が一番多い面を選ばないとダメだったりします
設置するのにかかる時間もそうですが、あのエンジンの設計、部品調達、輸送などを考えると、数年規模の計画になっていると思います
映画では、月面に作った同じものを動かして、本当に機能するかを実験していて、その実験の結果を待つことなく、同じものを作り出していることになります
計画的なのかどうかわからない感じになっていて、でもリミットがあるので、無茶でもやらなきゃだめだという感じに描かれていました
普通に考えると動きそうにありませんが、今から数十年後の未来かつ、宇宙エレベーターを作れる技術があるので大丈夫な世界線なんだと思います
どうしても、技術よりも材料の方が気になってしまいますが、それを考えても意味はないのでしょう
地球に起きていることも簡単に説明はされていますが、その影響もざっくりとしたものばかりでしたね
太陽フレアの影響で地球がヤバいということになっていて、デジタル生命体とどっちを進めるかみたいな極端な話になっていたのも驚きました
■デジタル生命体の可能性について
本作の冒頭では、デジタル生命体の研究がされていて、それがある理由で中止になるという流れになっていました
その時に研究をしていたのが、ホンユーとマージャオで、その研究がのちに彼らを助けることになっていました
デジタル生命体は「生体データ」「記憶」「思考回路」などの人間の様々な感覚をデータにして保存し、それらをデバイス内で復元させようと考えていました
イメージとしては、コンピューターの性能が良ければデバイス上に再現された自分自身が長く生きられるという感じになっています
この研究が本当に可能なのかは何とも言えない部分がありますが、全てをデータ化できて、それを人間と同じように連結できれば可能だと思います
そのためには、人間の中の神経回路などを解明しないとダメで、その回路の中を神経データがどのように動いて結合して、さらに分裂してというような作用を全て解明しなければなりません
それが可能になって、ようやく再現ということになるので、ぶっちゃけると「脳神経を全て解明する」というところまで行けば可能性はあります
映画の世界では、生体データをデジタル化するというところまではできていたので、ある程度の解明はできていて、再現に対するデータ処理の負荷に耐えられていない、という感じになっていたと思います
問題は、技術的に可能だとして、それを人間と呼ぶのかどうか、ということになるのでしょう
記憶のデジタル化のみにとどまらず、感情表現や反応をプログラム化しているのですが、実際に人間の中で起こっていることも、ある種の命令に対して信号を送っていたりします
なので、それを再現することは現時点でもそこそこ可能で、それが自分の意思で動くことができるかどうかというところにかかっていると言えます
それをAIでできるのかはわかりませんが、人間の動きや思考を学習していくことで、行動や反応のパターンを増やしていくことができれば、おおよその行動というものを再現できるようになるのかもしれません
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、主に二つの物語が並行に描かれていて、ペイチアン家族と友人たちのパートと、ホンユーとマージャオのパートがありました
絡みそうで最後まで絡まないのですが、地球を救うためのミッションを、月と地球で同時に行わなければならないという設定があったからなのですね
月と地球を同時に動かすことで、動力を少なくすることができるという感じになっていて、それはこの世界の理屈ではありなんだと思います
最終的に北京に向かう組は犠牲になるのですが、こちらは肉体の死を人間の死と捉えていないグループでしたね
なので、デジタル生命体を利用することへの戸惑いがなく、それを切り札として実行できる立場にありました
エンディングでは、ホンユーがデジタル生命体となり、娘のヤーヤーと出会うことになるのですが、実は全ての出来事がプログラム上の出来事のようなポストクレジットがありました
あのエンディングは、幾多にも存在する並行世界を描いているように見えるし、その全てが神様の実験のようにも思えます
あの時点でホンユーがデジタルの世界にいくことによって、世界のカラクリというものに気づいたのかもしれません
いくつもの並行世界があるとして、そこに繋がるルートがデジタルの世界だったということなのでしょう
この展開から前作『流転の地球』に続くとは思えないのですが、とにかくサイコロは振ってしまったので、無理やり繋げるために『流転の地球3』を作ることになるのかな、と思ってしまいました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/98873/review/03652205/
公式HP: