■死ねばいいのに
Contents
■オススメ度
奈緒&伊東蒼の演技が好きな人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2026.7.7(アップリンク京都)
■映画情報
情報:2026年、日本、95分、G
ジャンル:絞殺された女性の死の真相を暴くミステリー
監督:金井純一
脚本:喜安浩平
原作:京極夏彦『死ねばいいのに』
キャスト:
奈緒(渡来映子:阿佐美のことを調べる女)
伊東蒼(鹿島亜佐美:殺された女性、小林テクニカルサービスの派遣社員)
(幼少期:小池叶七芽、写真)
田畑智子(鹿島尚子:阿佐美の母、スナックの店員)
前原滉(山崎寛之:阿佐美の上司、システムエンジニア)
高橋ひかる(篠宮佳織:阿佐美の高校時代の先輩、マンションの隣人)
草川拓弥(佐久間雄介:阿佐美の彼氏、天羽組準構成員)
浅野竣哉(倉田崇:阿佐美のストーカー)
カトウシンスケ(高波:佐久間の上の人間)
木原勝利(五條が弁護していた被疑者)
日高七海(警察署の警官)
平原テツ(五條 陸:弁護士)
河野智典
川連廣明(高木:篠崎の上司、公務員)
窪田翔(聞き込みの刑事)
藤原啓児
蓬莱舞(女子高生)
ほんだひまり(女子高生)
奥山静紀(女子社員)
黒永明日美(女子社員)
桒波田聖(警察署の警官)
三宅潤(警察署の警官)
吉成奨人
正殿愛之助(路上の少年)
須藤優維(路上の少年)
■映画の舞台
東京都内のどこか
ロケ地:
静岡県:伊東市
静岡県:東伊豆町
稲取細野高原
https://maps.app.goo.gl/uhQdTxxAsQs52LJo6?g_st=ic
東京都:杉並区西荻窪
物豆奇
https://maps.app.goo.gl/UpT1BXqSBdQrAP1VA?g_st=ic
■簡単なあらすじ
ある日、マンションの屋上で若い女性・鹿島阿佐美の絞殺死体が見つかった
刑事たちは彼女のマンションなどを捜索するものの、いまだに犯人の手掛かりは掴めていなかった
そんな折、女性の関係者の元に、彼女のことを聞きにくる奇妙な女がいた
その女は、阿佐美の知り合いだと言い、不倫相手の上司、恋人、高校の部活の先輩でマンションの隣人などに話を聞いていく
だが、誰に聞いても、女が聞きたいことは聞けなかった
女はそのまま警察署に出向くものの、捜査のことは話せないと拒絶される
そして、彼女は警官にあることを告げ、その結果、ある男と阿佐美について話すことになったのである
テーマ:幸福の維持
裏テーマ:分かり合えない心
■ひとこと感想
阿佐美という女性の死の真相を調べる謎の女、という感じの予告編で、その女の横柄な態度と、相手を煽り散らかす質問攻めなどが極まった作品になっていました
阿佐美の周囲の人に話を聞いていくのですが、当人同士しか知らない領域に踏み込んで、ズバズバと切り捨てていく感じになっています
それが爽快と言えば爽快なのですが、やりすぎだなあと思うところは多くて、いつ殴られるんだろうと思ってしまいました
「部長」から始まって、「恋人」「先輩」などと進んでいく中で、中盤あたりで「誰が犯人なのか」というのはわかってしまいます
それ以降は、「なぜ? 殺すことになったのか」を紐解いていくことになるのですが、阿佐美と犯人の心情を理解するのはかなりハードルが高いように思えます
阿佐美自身は客観的に見ると不幸な女ではありますが、彼女の感じる「幸せ」というものの正体は誰にもわかりません
また、犯人が手を下す理由も「わからなくはないけど」という感じになっていました
共感性の低い人たちがたくさん登場し、その魂を抉り倒して、煽り倒していくので、ある種のコメディのようにも思えます
「うわ~、そこまで言っちゃうんだ」みたいな感じで、タブー無き女の執拗な「攻め」が続いていきました
本音と建前は裏腹で、そりゃあ色々とあるだろうけど、という感じで、人間のドロドロとしたところを「これでもか」という感じで突きつける内容になっていました
阿佐美は弁護士の言うような高度な心理テクニックを使ったとは思いませんが、ある種のマインドコントロールのような状態にはなっていたのでしょう
その正体は明かされないまま終わりますが、阿佐美としては、自身の人生の結末においては、満足していたのかな、と感じました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
映画の中盤ぐらいで転換点があり、そこからは「犯人VS弁護士」と言う構図になり、弁護士は事件の真実を知ろうとし、その目的は「犯人をどの罪で裁くべきか」と言うものを明確にしたかったのだと思います
阿佐美の心理誘導に引っ掛かったから「自殺幇助」だったと言う結論に持っていこうとしますが、犯人自身も弁護士に対して、裁判の客観的な問題点を指摘していくことになります
ほぼほぼ「論破劇」のような感じになっていて、自分の弱さを隠そうつする関係者たちの傷を抉っていくのですが、誰もが阿佐美の死について「悲しむ」と言う感情を持ち合わせていたのかどうかまではわかりません
ある種の「面倒くささ」みたいなものがそこにあって、自分のストレスの原因が勝手にいなくなったけど、それでも「自分が関与しているのではないか」と疑心暗鬼になっていたりします
誰もが犯人ではないと確信しているけど、背景を探られたくないと言うものがあるのですが、そういったものは全て阿佐美に看過されていたように思います
そして、その情報を聞いてしまう立場にあったのが犯人であり、彼女は理解できない阿佐美に対して「死ねばいいのに」と言ってしまいます
それでも、阿佐美は自分で死ぬと言う選択肢はなく、幸せは永遠に続くものだと信じているように思えます
幸せの絶頂期に「死ねばいいのに」と言ってしまうのですが、阿佐美にとっての死というものは、「このまま終わるから幸せ」ではなく、「この人に殺されるから幸せ」という印象が強かったですね
その真相に関しては、文字通り「死んでしまったら、もうわからない」というもので、それがラストの涙につながっているように思えました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
結局のところ、犯人の行動は正しかったのかと言えば、間違っていたのだと思います
「死ねばいいのに」と言ったけど、阿佐美は自分では死のうとしない、だから殺してやった、みたいな感じで犯人は自分の正当性を保とうとします
でも、実際には「自分が到底感じ得ない幸せ」の中で生きている阿佐美のことが心の底から嫌いだったのだと思います
彼女が首を絞めた時、そこにあった感情は「怒り」だと思うし、その感情がなければ締め殺すまではできなかったと考えられます
締める直前の会話は、「私はとっても幸せ。映子ちゃんもきっと幸せに」という阿佐美の言葉を遮る形になっていました
映子から見れば、阿佐美は幸せには見えないけれど、彼女は今この瞬間、「大好きな親友の手で死ねることを最大の幸せだ」という
理解し難いことだけど、その願いを叶えたというよりは、それ以上言わせないという感情の方が勝っていました
その感情が嫉妬なのか怒りなのかはわかりませんが、おそらくは映子自身にもわかっていないでしょう
そして、それが正しかったかどうかも、もうわかることはありません
阿佐美のことを知りたがった映子は、自身の行動によって、それが叶わないことだと気づく
もっと早く気づいていればという印象もありますが、実際にはそう言った構造ではないと思います
映子は阿佐美の関係者の心を抉り倒していくのですが、最終的には弁護士の言葉によって、致命的な抉られ方をして終わります
「あなた自身がわかっているはずだ」と弁護士は断罪し、映子は「わかっていたのに手を止めることができなかった」ことに想いを馳せます
結局は、自分自身も「自分語りの延長線上にいた」ことを知り、阿佐美を道具だと思っていた人たちと変わらなかった
言い換えれば、映子が忌み嫌った阿佐美の関係者と同等の扱いになっていて、それが許せなかったのだと考えられます
弁護士は「あなたは殺人者だ」と断罪しますが、それは映子の肯定を意味しています
そう言った側面を思えば、阿佐美という人物は「不幸というものを食い物にして、それを自身のエネルギーに変えてきた魔物」だったのかな、と感じました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/105796/review/06712662/
公式HP:
https://shinebaiinoni-movie.com/
