■ハムネット


■オススメ度

 

『ハムレット』制作秘話に興味がある人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2025.4.15(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

原題:Hamnet(ハムネット=息子の名前)

情報:2025年、イギリス、126分、G

ジャンル:シェイクスピアが『ハムネット』を書くに至った経緯を妻目線で描いた伝記映画

 

監督:クロエ・ジャオ

脚本:クロエ・ジャオ&マギー・オファーレル

原作:マギー・オファーレル『Hamnet(2020年)』

 

キャスト:

ジェシー・バックリー/Jessie Buckley(アグネス・シェイクスピア/Agnes:森の魔女と呼ばれている別の土地から来た女性)

  (幼少期:Faith Delaney

ポール・メルカル/Paul Mescal(ウィリアム・シェイクスピア/Will:アグネスと恋仲に落ちるラテン語の教師)

 

デヴィッド・ワイルモット/David Wilmot(ジョン・シェイクスピア/John:ウィリアムの父、皮手袋職人)

エミリー・ワトソン/Emily Watson(メアリー・アーデン/Mary:ウィリアムの母)

Freya Hannan-Mills(イライザ・シェイクスピア/Eliza:ウィリアムの妹)

James Skinner(ギルバート・シェイクスピア/Gilbert:ウィリアムの弟)

Elliot Baxter(リチャード・シェイクスピア/Richard:ウィリアムの弟)

Dainton Anderson(エドモンド・シェイクスピア/Edmond:ウィリアムの末弟)

 

ジャコビ・ジュプ/Jacobi Jupe(ハムネット・シェイクスピア/Hamnet:アグネスとウィリアムの双子、息子)

オリヴィア・ライン/Olivia Lynes(ジュディス・シェイクスピア/Judith:アグネスとウィリアムの双子、娘)

ボディ・レイ・ブレスナック/Bodhi Rae Breathnach(スザンナ/Susanna:アグネスの娘、長女)

 

ジョー・アルウィン/Joe Alwyn(バーソロミュー・ハサウェイ/Bartholomew:アグネスの弟)

   (幼少期:Smylie Bradwell

Justine Mitchell(ジョアン・ハサウェイ/Joan:アグネスの継母)

Louisa Harland(ローワン/Rowan:アグネスの実母)

 

【劇中舞台の演者】

ノア・ジュプ/Noah Jupe(ハムレット/Hamlet:父を亡くした若き汪)

Raphael Goold(ホレイショー/Horatio:ハムレットの友人)

Shaun Mason(クローディス/Claudius:ハムレットの叔父、先代の国王の弟)

Matthew Tennyson(ガートルード/Gertrude:ハムレットの母、女王)

El Simons(オフィーリア/Ophelia:国王の首席顧問ポローニアスの娘)

Clay Milner Russell(レアティーズ/Laertes:ポローニアスの息子)

Sam Woolf(バーナード/Bernardo:将校)

Hera Gibson(フランシスコ/Francisco:兵士)

Jack Shalloo(マーセラス/Marcellus:将校)

Javier Marzan(道化師/Fool)

 

【その他の出演者】

Zac Wishart(ジョアンの長男、アグネスの義弟)

James Lintern(ジョアンの次男、アグネスの義弟)

Eva Wishart(ジョアンの長女、アグネスの義妹)

Effie Linnen(ジョアンの次女、アグネスの義妹)

Laura Guest(助産師)

John Mackay(エドワード・ウールマー:司祭)

Albert McCormick(窓際の少年)

Eliah Arnstjerna(ドラム奏者)

Edward Anderson(フルート奏者)

Neil Dodgson-Hatto(村人)

 


■映画の舞台

 

1580年、

イングランド:ストラトフォード

https://maps.app.goo.gl/spBJfY58hkwYC7y46?g_st=ic

 

イングランド:ロンドン

グローブ座(現在のシェイクスピアズ・グローブ)

https://maps.app.goo.gl/zncfoLbwMmfsx6xv9?g_st=ic

 

ロケ地:

イングランド:ウェールズ

 

イングランド:ヘリフォード

ウェオブリー村

https://maps.app.goo.gl/F8ekiHtuCcXzRPNh7?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

1580年、イギリスのロンドン郊外にある村では、羊皮職人の父の手伝いをしながら、ラテン語の教鞭を執っているウィリアム・シェイクスピアがいた

ある日のこと、教室の外に鷹狩りをしていた女性を見かけたウィルは、興味本位で彼女に声を掛けた

女は名前を教えることも拒むものの、ウィルは「キスをしながら自分の名前を言うよ」と口説いた

 

その後、別の場所で再会を果たした二人は、ウィルの言うようにキスをしながら「アグネス」と言う名前を教えてもらい、そのまま燃え上がってしまう

彼女は「魔女」と呼ばれて村人から爪弾きにされていたが、ウィルにはそんなことは関係なかった

アグネスは早々にウィルの子どもを身ごもり、双方の家族は二人の意思を尊重し、結婚させることになった

 

ウィルは父と疎遠になり、ロンドンに出て、創作活動を加速させる

子どもは無事に生まれるものの、それもつかの間のこと、今度は双子が生まれてしまう

ハムネットは健康的に生まれたものの、ジュディスは出産直後に息をしていなかったこともあって、そのまま病弱なまま年を重ねることになった

そして、イングランドでは流行病のペストが流行し始め、ジュディスは高熱を出して、命の危機に晒されてしまうのである

 

テーマ:妻目線の創作活動

裏テーマ:悲しみを作品に投影させる意味

 


■ひとこと感想

 

ウィリアム・シェイクスピアの有名な戯曲『ハムレット』の誕生秘話を描いた作品で、いわゆる「妻目線」になっているところが本作の新しい角度ということになります

『ハムレット』を知っているかどうかで物語の理解度は変わりますが、全く知らなくても本作の流れは理解できるでしょう

それよりも「シェイクスピアの家族の歴史を知っている」方が、サプライズがなくて退屈に思えるかもしれません

 

映画は、ウィルとアグネスの出会いから子どもを授かるまでをあっさりと描き、長女のスザンナはあっという間に成長していました

時間の流れが瞬間移動するのですが、ハムネットが出てこないと話が始まらないので仕方ないところでしょうか

さすがにスザンナが生まれたところを省略するのも微妙で、それよりは「ウィリアムが言葉巧みな実質ナンパ野郎だった」というくだりを入れるのを重視したようにも思えます

 

物語としては、家族を顧みず、息子の死にも間にあ合わない父親がいて、それでも息子と妻への贖罪を「作品を通じて行う」というウィルが描かれて行きます

これは彼なりのハムネットへの愛情であると思うし、アグネスに対して見せたかった物だったのでしょう

この夫婦はソウルメイトに近い関係に思えますが、ハムネットとジュディスもそのような関係のように思えてしまいます

様々な伏線が張り巡らされていて、何気ない会話も『ハムレット』に通じて行くので、テイストが合う人は感動できるんじゃないかな、と思いました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

本作は、『ハムレット』が製作された過程を妻目線で紐解くという流れになっていて、創作活動そのものの苦悩というものは描かれません

アグネスから見た「創作に没頭する夫」という構図になっていて、子どもが死んだのに仕事に復帰することへの怒りと、その場にいなかったことへの空虚さというものが「あなたはいなかった」という一言で集約されていました

ウィル自身がどのように考えていたかは、ラストの『ハムレット』を見ればわかるのですが、夫の意図を妻が理解するという流れが感動的でした

 

ある意味、内輪のネタを設定に盛り込んでいて、それでいて大衆が感化するためには相当な技量が必要になります

ある王国の跡目争いの中に自身の子どもの喪失を重ねて、さらに彼が生きていたらしたかった事を役に代弁させています

ハムネット自身は「父親に対して役者になりたい」とは言っておらず、その言葉を聞いていたのはアグネスの方でした

そのことをいつの段階でウィルが知ったのかはわかりませんが、劇の中で活躍するシーンを挿入することで、あたかも英雄として戦って死んだという創作と、妹のことを愛して代わりになっても良いと思った気概というものをリンクさせていました

 

家族のことを知らないように見えて、少ない接触の中で全てを知る

これはウィルが創作者であることと、少ない情報からいろんなものを読み取れる想像力があるからだと思います

そう言った素養に対して妻が理解できるかどうかという部分が重要で、これは知的レベルが同等でないと難しかったりします

ウィルは妻の能力を信じて、説明しすぎない劇を完成させていて、ある意味において、夫婦だけがあの物語の中で息子を感じられるように作られているのは凄いことだなあ、と思いました

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、創作者が自身の体験を作品に織り交ぜる様子を描いていて、それに対して、否定的だった妻が理解する、という構図になっています

アグネスの罵倒を一身に受けて、そこで反論することもなく作品を仕上げている

どの時点でハムネットが作品の中に舞い降りてきたのかはわかりませんが、個人的なことを大衆に落とし込んだということに関して言えば、これほどまでに秀逸に組み込まれたものもないと思います

 

大衆が誰かの体験を共有する際、直接描写だと距離を感じるのですが、間接的なものになると解釈が生まれて、それに気づいた人は「自分ごと」のように感じられます

ウィルの劇によって、それを最初に感じることになったのがアグネスで、そこには夫婦間にだけ通じる情報というものが作劇に込められていたことになります

映画では、それが第三者である観客がわかるように提示していて、それゆえに「アグネスが自分の物語を夫が書いている」ということを理解している流れを生み出していました

 

それは同時に夫の愛の深さが現れていて、彼の作品が生き続ける限り、ハムネットも生き続けることになるのですね

ある意味、現代において、母親よりも息子の方が有名という現実が、文化的遺伝子の生存の価値というものを示しているのかもしれません

そう言った意味において、本作はメタ的な要素を含みつつ、シェイクスピア作品の根幹を理解する上では適したシナリオだったのではないか、と感じました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/104631/review/06403243/

 

公式HP:

https://hamnet-movie.jp/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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