■ヴィットリア 抱きしめて
Contents
■オススメ度
養子縁組のリアルを体感したい人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2026.4.14(アップリンク京都)
■映画情報
原題:Vittoria(ヴィットリア)
情報:2024年、イタリア、84分、G
ジャンル:女の子を欲しがる三児の母とその家族を描いたヒューマンドラマ
監督&脚本:アレッサンドロ・カッシゴリ&ケイシー・カウフマン
キャスト:
マリレーナ・アマート/Marilena Amato(ジャスミン/Jasmine:3人の息子を育てる母、ヘアサロンの経営者)
ニーナ・ロレンツァ・チャーノ/Nina Lorenza Ciano(ヴィットリア/Vittoria:養子縁組に選ばれる少女)
ジェナロ・スカリーカ/Gennaro Scarica(リーノ/Rino:ジャスミンの夫、木工職人)
ヴィンチェンツィオ・スカリーカ/Vincenzo Scarica(ヴィンチェンツォ:ジャスミンの息子、長男、22歳)
エマニュエル・スカリーカ/Emmanuel Scarica(マヌエル:ジャスミンの息子、中学生)
ルカ・ヴェルヴェディーレ/Luca Belvedere(ルカ:ジャスミンの息子、末っ子)
アニタ・アマート/Anita Amato(アニタ:ジャスミンの姉)
【その他の出演者】
Anna Patierno(カルロ:ジャスミンの同僚、養子縁組の経験のある工場の作業員)
Valentina Cirillo(チリッロ:社会福祉士)
Ioulia Lagatskaia(イリーナ:仲介人、スマホで対話)
Fulvia Orifici(フルヴィア:仲介団体のスタッフ)
Romeo Simonetti(精神科医)
Natliia Siviakova
Maryia Lialiuk
Daniela Troncato
Nicola Verde
Ivan Kalashnykoy
【演者不明の登場人物】
(タロット占い師)
(弁護士、父親のアスベルト被害の代理人)
(ジュージ:新婦)
(ジュージの夫)
(マリア:ヴィンチェンツォの恋人、会話に登場)
(ローザ:施設の介護士)
(アンナ:施設の利用者)
(アンブロシオ夫人:和解に応じる友人、会話に登場)
(ベラルーシの通訳)
(ベラルーシの児童施設の施設長)
(施設職員)
(サッカーボールの少年)
(マリナ:施設職員)
■映画の舞台
2016年、
イタリア:
トッレ・アンヌンツィアータ
https://maps.app.goo.gl/KFyHJNwLA6FoEC4v5?g_st=ic
ナポリ
ローマ
ベラルーシ
ロケ地:
イタリア:
トッレ・アンヌンツィアータ
■簡単なあらすじ
イタリア・ナポリ南部のトッレ・アンヌンツィアータに住んでいる美容師のジャスミンは、木工職人の夫リーノとともに3人の息子を育てていた
長男のヴィンチェンツォはジャスミンの経営する美容室で修行中で、次男マヌエルはスマホに夢中な中学生、末っ子のルカは大人しくて手がかからない子だった
夫は資金を貯めて、カプリに工場を進出させて事業を拡大させたいと考えていた
ある日のこと、ジャスミンはしきりに「夢でみた女の子のことが忘れられない」と言い出し、長男に「妹ができたらどうする?」と疑問を投げかけた
長男は「夫婦で決めたら良い」と言い、「どっちでもいい」とはぐらかした
ジャスミンは夫に相談する前に方々から情報を集め始めていて、姉のアニタや養子縁組の経験のある友人たちから話を聞くことになった
それからしばらく経った日のこと、ジャスミンは長男の23歳の誕生パーティーの場にて、「養子を取る」と宣言してしまう
夫は別室にジャスミンを連れ出して「相談も無しに発表するな」と怒り出す
それでもジャスミンは頑なに「女の子の養子を取ること」を考えていたのだが、そのためには「ある問題」が立ちはだかってしまうのである
テーマ:個人のエゴと家族の愛
裏テーマ:執着と決意
■ひとこと感想
国際養子縁組を行った実際の夫婦の物語を、まさかの本人で再現映画を作るという斜め上の作品となっています
演技素人とは思えないのですが、家族が全員そのままなので、そこまで演技をしていないのかもしれません
それでも、内容を考えると、仮名とは言え、家族総出で出演するのは凄いなあと思いました
実際の職業もそのままなので、実録に近い感じで、2016年の出来事なので、ヴィットリアだけは演者さんが演じているようですね
それでも、ラストの本人映像をみると、ものすごく良く似たお嬢さんを見つけたなあと思ってしまいました
国によっては色んな規制があるようですが、養子縁組で「性別を選べない」というのは驚きでしたね
国籍などを選べても、性別だけがタブーなのは意味不明だし、言葉が遅れているという情報が実は、というのもなかなか強烈な展開で、映画のように困惑したんだろうなあと思いました
映画として観るか、ドキュメンタリーとして観るかはなんとも言えない部分がありますが、いろんな脚色は入っているようで、ラストに物語を象徴するようなエピソードがありました
あの出来事が実際のことなのか演出なのかはわかりませんが、養子を持つということは、どこか感覚的な部分が強いのかな、と思いました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
本作は実話ベースなのでネタバレもないと思うのですが、イタリアとベラルーシの養子縁組の実情が良くわかる内容となっていました
国によって取り組み方は違うと思いますが、思った以上に費用がかかるのは驚きました
アスベスト被害の裁判も同時に行われていて、その和解金を資金に充てるというのもリアルな流れだったと思います
養子縁組では「性別を選べない」のですが、それ以上に「障がいのある子どもなら待機が少ない」というのもリアルすぎて驚きましたね
言われてみればそりゃそうだと思うのですが、そう言えば「祖母のサイン偽造問題」は映画にして大丈夫だったのか、心配になってしまいますね
この子の親になれるかどうかというのは、覚悟の問題だと思うのですが、欲しがっていたジャスミンが「知的障がい」を心配しているのとは対象的に、リーノが痺れを切らしてヴィットリアを抱きかかえたのは胸に来るものがありました
映画では、経済的にそこまで裕福ではないけれど、人一倍に「娘を欲しがる母」が描かれていて、その夢をどうして見始めたのかというのがラストで明かされます
それは占い師の結果とは真逆のもので、いわゆる父の遺言なのだと思いますが、それがどうして彼の口から出たのかはわからないと思います
それでも、父親は「娘を育てることで本当の親としての責務がわかる」ということを伝えたかったのでしょう
それは「娘を育てた父からの忠告」のようなものだったのかもしれません
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
映画では、娘を渇望する母親が執着を持っていることが描かれますが、世の中の多くの養子縁組を考える人は、不妊治療などの結果として考えることが多いように思います
出産して子どもを生む場合は無論性別は選べないし、それは神様の授かりものとしての側面が強いように思います
それでも、性別を選べる養子縁組が正しいのかは難しいところがあるように思います
それでも、世の中の親がいない子どもをを減らそうとしたら、選べないということで躊躇する層を取り込む必要があるのかもしれません
その姿勢で親として他人の子どもを育てる資格があるのかはなんとも言えない部分がありますが、逆説的に考えれば「選んだ事で責務がより重たくなる」とも言えます
個人的には子どものいない夫婦でしたが、そこまで強烈に欲しいという願望が双方になく、どちらかと言えば「親としての適格があるか不安」とか、「今の国の情勢と未来において出産は正しいのか」などの思考が渦巻いていましたね
結局のところ、その議論が尽くされぬまま、妻に病気が発覚してそれどころではなくなったのですが、健康な夫婦が機会を持てるとしたら、その可能性を広げることはとても大事なことだと思います
世の中には「産んだけど育てられない」という流れから育児放棄なども普通に起こっているし、無計画の末に出産を取りやめるということも起こっています
それぞれの価値観によって様々な問題が起こるのは仕方のないことですが、どこまで親のエゴが通るのかというのは、この映画のテーマだったように思います
国際養子縁組を組んでまで望みを叶えたことが美談なのか、それとも結局のところは自然的なものに逆らってまでエゴを通しているようにも思えるのかなど、様々な感情が渦巻く内容となっていました
それでも、ジャスミンを否定することはないし、結果として、決断と自責を自らで負って行くという覚悟があったので、それはそれで良かったのかな、と感じました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/105119/review/06396464/
公式HP:
https://cinema.starcat.co.jp/vittoria/
