■「アイミタガイ」を体感できる人生には、生きた言葉を発する瞬間が多いように感じました


■オススメ度

 

「相身互い」という言葉に惹かれる人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.11.5(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

情報:2024年、日本、105分、G

ジャンル:友人の死によって、人生の縁を再確認する女性を描いたヒューマンドラマ

 

監督:草野翔吾

脚本:市井昌秀&佐々部清&草野翔吾

原作:中條てい『アイミタガイ(幻冬舎文庫)』

Amazon Link(Kindle版)→ https://amzn.to/4fx16gX

 

キャスト:

黒木華(秋村梓:友人を亡くしたウェディングプランナー)

   (中学時代:近藤華

中村蒼(小山澄人:梓の交際相手、会社員)

 

藤間爽子(郷田叶海:梓の亡き親友、写真家、ボランティア)

   (中学時代:白鳥玉季

 

西田尚美(郷田朋子:叶海の母)

田口トモロヲ(郷田優作:叶海の父、図書館司書)

 

安藤玉恵(稲垣範子:ホームヘルパー、梓の叔母)

風吹ジュン(綾子:梓の義母)

 

吉岡睦雄(車屋典明:タクシー運転手)

 

松本利夫(羽星勝:孤児院の施設長)

 

升毅(福永:宝飾店の店主)

 

草笛光子(小倉こみち:範子の利用者)

 

三浦䝤太(梓の同窓生)

金澤美穂(梓の同窓生)

 

大方斐紗子(ヨシエ:ボヤ騒ぎを起こす老人)

ケン(ヨシエの息子)

 

外波山文明(金婚式を挙げる夫婦)

大澤洋子(金婚式を挙げる夫婦)

 

桜葉美雅(公園の女子高生?)

加藤凪海(公園の女子高生?)

本井めぐみ(?)

畑中翔惺(八百屋でごねる子ども?)

山内麗愛(?)

谷田ラナ(梓の中学時代のクラスメイト)

北野心絆(?)

岩田清楓(?)

山本美紀(?)

吉野晶(意地悪そうな姑)

緒方りょう(新郎)

東ひかり(新婦?)

 

飯島みなみ(結婚している梓の同僚)

小西千晶(梓の同僚?)

小池まり(福永の娘)

平山正剛(福永の孫)

御子柴彩里(取材のアシスタント?)

山本栄司(取材カメラマン?)

池田有沙(取材のアシスタント?)

河口晃大(取材スタッフ?)

髙橋嵐(桜の下の新郎)

石川晴那(桜の下の新婦?)

 


■映画の舞台

 

三重県:桑名市&津市

滋賀県:近江八幡市

 

ロケ地:

三重県:桑名市

歴史を語る公園

https://maps.app.goo.gl/wo7LMJc5AeNhJAA57?g_st=ic

 

レストランROCCA

https://maps.app.goo.gl/q45ZjhuwBtd1EncZ7?g_st=ic

 

六華苑

https://maps.app.goo.gl/agwGpkxiU23jcecK7?g_st=ic

 

三重県:四日市市

三重うまし国横丁

https://maps.app.goo.gl/1c7XWrQ81gDnd14T9?g_st=ic

 

三重県:津市

津図書館

https://maps.app.goo.gl/guXpGNJMej4orNDz8?g_st=ic

 

愛知県:名古屋市

ELOISE‘S Café

https://maps.app.goo.gl/PKjLi7js6bNQoK6dA?g_st=ic

 

東京都:武蔵野市

福永宝飾店

https://maps.app.goo.gl/hzgpBvZiqKEjdomG9?g_st=ic

 

千葉県:木更津市

菓匠 梅月庭

https://maps.app.goo.gl/JiXtXrJVxeEnCvVz5?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

ウェディングプランナーとして働いている梓は、自身には結婚願望がなく、この職種が合っているのか悩んでいた

彼女には恋人の澄人がいたが、彼にも結婚はしないという約束を取り付けていた

 

ある日、親友の叶海と会うことになった梓は、彼女から南国へボランティアに行くと聞かされる

彼女とは中学校からの唯一無二の親友で、彼女は写真を撮るのが趣味だった

 

それから数日後、梓の元に叶海の訃報の知らせが届く

それを受け入れられない梓は、それからも毎日のように、彼女へとメッセージを送り続ける

そして、49日が過ぎた頃、叶海の母・朋子は、娘へのメッセージを見つけてしまうのである

 

テーマ:巡り来るもの

裏テーマ:優しさの連鎖

 


■ひとこと感想

 

「アイミタガイ」って何だろうというわかりやすい興味本位で鑑賞

原作の存在は知らなかったのですが、悪人が出てこない系のヒューマンドラマになっていました

人の優しさというものが連鎖していく流れを描いていて、伏線回収系が好きな人向けの作品となっています

 

映画は、親友を亡くした女性が前へ進む様子が描かれていて、そのそばには頼りない草食系男子がいるという感じになっています

彼らの出会いに関しては描かれませんが、結婚はしないという梓の覚悟を知った上での交際となっていました

そんな中で、親友の死に直面していて、その立ち直りのために一歩前に踏み出す必要があるのではと苦悩するに至っています

 

物語は、何気ないことの連続が自分に巡ってくる様子を描いていて、些細な出来事が自分に巡ってくる過程が綿密に描かれていました

そこにいる人がそうするであろうという自然な行動が起点となっているので、伏線回収系の無理矢理感はなかったりします

このあたりの過剰で劇的過ぎないところが、物語に説得力を与えているように感じました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

「相身互い」は劇中でも示されるように、自分の些細な行動は自分に戻ってくるというもので、映画の場合は「良き行い」が自分を助けるという意味合いになっていました

自分自身は見返りを求めているわけではないし、そこまでたいそうなことをしたわけではないけれどという行動が起点となって、様々な縁を気づいていくことになります

 

その行動の中には、自分がやりたいからやるというものがあって、ヘルパーのやり過ぎ感とか、澄人の猿芝居などは、それぞれの人生観みたいなものが理性を越えて行動になっているというところがありました

その行動を取らないと、なぜか後悔とか罪悪感を感じるというもので、言われたことだけをしている人生だと、こういった連鎖にはハマらないように思います

 

行動の中にある思いは、どちらかと言えば「相手のため」ではなく、「自分の心を落ち着かせるためのもの」なのですね

なので、そういった自分の中にあるやましさというものを無くそうとするが故に起こる行動の方が、やがて自分に戻ってくる、という印象があるように思いました

そして、このような場合に「一瞬でも見返りを求めたり、気分がプラスになるという感じになる」と、その行動は逆の感情を引き起こす、とも言えるのではないでしょうか

 


自分の行動の先を読む意味

 

「アイミタガイ」とは、自分自身の行動が巡って自分に返ってくるというもので、それは予期できぬことのように思えます

でも、実際には、行動の質によって連鎖の質が決まり、同質のものが帰ってくると考えるのが自然であるように思います

この場合に重要なポイントとして、「自分が考える質」ではなく、「相手が捉える質」とは何かを考える必要があります

自分としては良い行動だと思ったけど、帰ってきたものはそうではなかった、それはなぜだろうかと深掘りすることが大事なのですね

 

自分の行動が相手にどのような感情を与えるかを読むことはできませんが、ある程度の察しがつくということはあります

それは、自分がしてもらったら嬉しいことと、自分がされたら嫌なことを区別できている場合に見えてきます

この際に、自分がして欲しいことをするのがNGで、されたくないことの真逆の質のことをすればOKというイメージで良いと思います

自分がされたいこと=相手がして欲しいことではない場合が多く、されたくないことが共通している場合が多いのですね

なので、自分が他人にされたくないことをイメージして、その逆の行動を取るというのが最適解に近いかもしれません

 

とは言え、そう言った思考の先にあるものは思考したことが見え透いているので、実際には「感覚に沿った行動」になると思います

その上で、先ほどの行動はどのような質のものだったかを考えることで、その後の行動に対するアップグレードにつながると言えます

感覚的に咄嗟に動くものは、過去の行動と思考の蓄積の結果なので、頭で考えるよりは正しい場合が多いでしょう

あとは、その感情にどれだけ素直になれるのかが鍵なのかな、と考えています

 


衝動を抑え込む「相身互い」の精神

 

「相身互い」とは、「相身互い身」を省略した言葉で、「同じ境遇の身分の者同士は、互いに同情し助け合うべきである」という意味になります

「武士は相身互い」という諺があって、これはもともと武士同士は同じ立場なので、お互いに理解しあって支え合うべきだ、という考えから来ています

映画内では、梓の近所に住む祖母・綾子が教えてくれた言葉として登場していました

その時のセリフで、「お互いを助け合って生きようみたいな意味」「人は1人では生きられない。みんな誰かに救われて生きている」「気づいていないだけで、いろんな思いが巡って、自分のところに届いている」というものがありました

 

映画は、この巡り巡るというものを強調していて、これでもかというぐらいに些細な因果が繋がっていく様子を描いていました

人生の巡り合わせというものが理解できると、自分の些細なことが何らかの影響を与えると自覚することができます

意図しないことや、正負の感情に囚われた行動など、自分が予期せぬものを誰かが受け取ることになるので、あまり悪影響を与えないようにと配慮したくもなってきます

でも、正負どちらの感情に囚われた行動だとしても、正は正として受け取られるとは限らず、逆も然りと言えます

 

そんな中で、後悔を残す可能性が高い行動というのは、瞬間的な感情に囚われてしまった「強い言葉や行動」であると思います

何かしらうまく行かずに思ってもいないことを言ってしまったとして、相手は「思ってもいない」とは捉えません

また、そう言った行動が誰かに見られていたら、そういう人なんだと「一面が全て」のように受け止められてしまいます

その場では何の影響がないと思ったものも、知らないうちに伝播していくもので、そう言ったリスクは「言動の強さ」に比例すると思います

なので、そう言った影響のことを念頭に置いて、自分から出るものに慎重になることで、ある程度の負の連鎖を引き起こす可能性を減らせるのではないでしょうか

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作にはたくさんのキャラクターが登場し、それが面白いように繋がっていく様子が描かれています

いささかやりすぎかなと思わなくもありませんが、人生の縁を繋いでいくと映画ほどではないにしても、その輪というものを感じられると思います

人生でそれを感じづらいのは、自分と隣接している関係だけが見えていて、それ以外のものが見えないからなのですね

その繋がりをわざわざ追う人もいないので、映画のように全ての人間関係を神様視点で見ることはできません

 

人間関係のその先を知りたくなりますが、あまり他人の関係性に首を突っ込むと煙たがられてしまいます

そう言った抵抗があるから連鎖を見ることができないのですが、稀に飲み会などで連鎖の暴露が発覚することがあります

また、人を観察することで意外な人間関係を見つけることもありますが、あまり他人の人生を凝視するのもどうかなあと思ってしまいます

それよりも、自分の影響をどのように考えていくかの方が大切のように思います

 

とは言え、自分の影響というものは予期できるものではなく、意図した方向に「あえて行かないもの」であると思います

家庭教師をしたことがある人ならわかりますが、勉強を教える前に捉えておくべきことがあって、それを怠ると進むものも進まないことがわかります

教わる側のマインドの位置であるとか、共通される認識であるとか、事前に必要なのは、双方の人間関係を構築する上で大切なものとなっています

そういったものをおざなりにして、いきなり授業に入ると失敗する確率が高く、それを取り戻す労力は相当な苦労を伴います

 

共通認識というのはわかりやすい地図のようなもので、教える側と教えられる側のスタートラインの認識というのは重要になってきます

相手がどこに向かいたいのかも重要ですが、クライアント(子どもの親)が到達してほしいゴール地点の把握も必要ですし、本人がそのゴールを望んでいるかということも重要になります

行きたくないゴールには誰も行きたくないもので、そう言った本心というものが見えてきた時にどうするかというのはとても重要であるように思います

このような時に、双方の立場に立ちつつ、現在地が本人にどんな影響を与えるかを共通認識として持っておくと良いのかな、と考えています

 

こう言った事象をわかってもらうために、映画のような「巡り合わせの妙」というものを例題に出すのは良いと思います

人生というものがどのように結びついていて、今現在の自分の行動がどのような未来を描いてきたのか

幸いなことに人生の先輩であるあなたなら、その因果を知っているし、その体験を話すことがその人の何らかの動きを生むと知っていると思います

自分の人生を動かした瞬間とは何か?

そう言った生きた言葉の連鎖こそが、相身互いの精神を強くしていくのではないでしょうか

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/101990/review/04442492/

 

公式HP:

https://aimitagai.jp/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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