■神様が銃を手にしたとしたら、誰に銃口を向けるのだろうか
Contents
■オススメ度
ゴア描写が大丈夫な人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2025.1.2(T・JOY京都)
■映画情報
原題:God Is a Bullet(神は銃弾)
情報:2023年、アメリカ、156分、R15+
ジャンル:カルト集団に娘を奪われた父が元カルト信者の助けを借りて奪還に向かう復讐劇
監督&脚本:ニック・カサベテス
原作:ボストン・テラス/Boston Teran『God Is a Bullet (1999年)』
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キャスト:
マイカ・モンロー/Maika Monroe(ヘッドケース/ケース・ハーディン/Case Harden:カルトからの唯一の逃亡者)
(若年期:Elise Guzuowski)
ニコライ・コスター=ワルドー/Nikolaj Coster-Waldau(ボブ・ハイタワー/Bob Hightower:娘のためにカルトと戦う保安官代理)
Chloe Guy(ギャビ・ハイタワー/Gabi Hightower:誘拐されたボブの娘、14歳)
Lindsay Hanzl(サラ・ハイタワー/Sara Hightower:ボブの元妻)
Kola Olasiji(サム/Sam:サラの今の夫)
デヴィッド・トーンソン/David Thornton(アーサー・ナシ/Arthur Naci:サラの父、ボブとジョン・リーの友人、不動産業者)
カール・グルスマン/Karl Glusman(サイラス/Cyrus:カルト「左手の小径」のリーダー)
イーサン・サプリー/Ethan Suplee(ガター/Gutter:サイラスの手下)
(若年期:Dexter Demme)
ブレンダン・セクストン・3世/Brendan Sexton III(グラニー/Granny Boy:サイラスの手下、コブラ仕込み)
Virginia Cassavetes(レナ/Lena:サイラスの手下)
(若年期:Carola Cuarón)
Brandon Thomas Lee(チャド/Choad:サイラスの手下)
Zac La Roc(シットステイン/Shitstain:サイラスの手下)
Rooter Wareing(スナッチ/Snatch:サイラスの手下)
Jonathan Fox(サイナスの手下)
Nico Galán(サイナスの手下)
Danny Minnick(サイラスの手下)
Samantha Lockwood(リサ/Lisa:サイラスの女)
ジョナサン・タッカー/Jonathan Tucker(エロル・グレイ/Errol Grey:バーの経営者)
パール・ヨハンソン/Paul Johansson(ジョン・リー・ベーコン/Sgt John Lee Bacon:保安官、ボブの上司)
ジャニュアリー・ジョーンズ/January Jones(モーリーン・ベーコン/Maureen Bacon:ジョン・リーの妻)
ジェイミー・フォックス/Jamie Foxx(フェリーマン/The Ferryman:「社会の反逆者」のリーダー、ケースの旧友)
ギャレット・ウェアリング/Garrett Wareing(ウッド/Wood:女装したゲイ)
Nancy De Mayo(アン/Anne:ケースのセラピスト)
Robert Craighead(トラッカー/Trucker:ケースを買う男)
Tonya Cornelisse(アンダーソン/Anderson:トラッカーの妻)
Isabel Benet(ノーナ/Nonna:不動産取引をする老女)
Isabel Benet(ハンナ/Hanna;踊る老女、サイナスの母?)
Quinn Johansson(庭で遊ぶ少年、サイナスの少年期?)
Milana Traun(エロルの店のバーテンダー)
Pamela Cortés(エロルのバーの女)
Vitter Leija(バーの強姦魔)
Jennifer Marks(ケースがスーパーで見間違える女)
Erin Guzowski(ケースの母)
Georgia Pina Clark(「Green Valley Park」のウェイトレス)
Garrett Warren(エロスの邸宅のボディガード)
Arnulfo Reyes Sanchez(エロスの邸宅のボディガード)
Andres Dardon(刺された男)
Mario Escalante(首にスクリュードライバー刺される男)
Ivan Lee Holmes(フェリーマンの友人)
Georgia Piña Clark(ヴェノム/Venom:事件現場に連れてくる女性保安官)
Matt Barry(保安官)
Mario Moncada(背が低い男)
■映画の舞台
アメリカ:カルフォニア州
デスバレー
https://maps.app.goo.gl/oHaSpLPEq2XFKcZFA
バーストー
https://maps.app.goo.gl/PzpX7ceDyNBVmn3KA
ソルトン湖
https://maps.app.goo.gl/QdjASj8K6eJdjdTo8
エル・セントロ
https://maps.app.goo.gl/6gUcxstiem7s71BD9
ロケ地:
メキシコ:
メキシコシティ/Mexico City
https://maps.app.goo.gl/c7eDNhQ726UEFhFC6
■簡単なあらすじ
カリフォルニア州の砂漠地帯にて保安官をしているボブは、内勤として勤勉に業務をこなしていた
彼には別れた妻サラと娘のギャビがいて、時折娘との会話を楽しんでいた
クリスマスの夕方、サラと連絡がつかないことを気に掛けたボブは、サラの父のアーサーと共に彼女の家を訪ねた
だが、人の気配がせず、玄関も開いたままだったことを不審に思ったボブは、銃を構えて邸宅へと入り込む
そして、そこには吊るされたサラの夫サムがいて、プールには無惨に殺されたサラの死体が浮かんでいた
一方その頃、そのニュースを知ったケースは、セラピストのアンに「保安官に手紙を書きたい」と言い出した
その手紙を受け取ったボブは、ケースに会って話を聞くことになった
ケースは元カルトの仲間で、手口がそのカルトに似ているという
そこでボブは、ケースを頼りにして、カルトに近づこうと考えるのである
テーマ:信仰の対象
裏テーマ:銃弾が救うもの
■ひとこと感想
原作がミステリーのベストセラーで、実話ベースということですが、思いっきりフィクションっぽさが全開の作品になっていました
テーマは宗教で、キリスト教徒(おそらくプロテスタント)の信仰と、それ以外を信仰している者との対比になっていました
心を病んでいたケースは、救いを求めた先にカルトがあって、最終的には「銃弾」に信仰を求めていました
宗教的な側面の強い作品ですが、そこまで詳しくなくても問題ない感じでしたね
相手はカルトではあるものの、ほとんど半グレジャンキー軍団にしか見えないし、暴力はすごいけど、あまり怖さを感じることはありませんでした
ミステリー部分のネタバレはサラッとしたもので、そこまで驚きの事実が!ということはありません
とにかく、暴力&ゴア表現がOKな人向けで、この手の作品にありがちなエロ要素は皆無という珍しい作品でもあったとお思います
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
本作におけるネタバレは、娘が助かるのかどうかというところと、なぜ娘が狙われたのかというところでしょうか
人間関係がかなりわかりづらく、初見でアーサーが何者かわかる人は皆無のように思います
一応は、ボブの元妻サラの父で、ボブの上司のジョン・リーの友人の不動産業者ということになります
彼がサイナスとつるんで老女を騙していた過去があって、その遠因から弱みを握られていたということになります
それでも、娘を拉致してその筋にプレッシャーをかけることもなく、何をしようとしていたのかはわかりません
ボブが来たことによって、エロルから金を強奪するプランを立てますが、それがなかったら何が目的だったのかはわからないのですね
サラとトムを殺したらお金を要求できないし、アーサーを脅しても大したお金は奪えないと思います
映画は、実話ベースとのことですが、カルトに拉致された以外はフィクションなのかなと思うほどでしたね
おそらくは、不動産詐欺関連も含んでいると思いますが、映画ではそこまで重要なエピソードになっていないと感じました
■信仰の対象
本作では、カルトに娘を攫われる保安官代理のボブに対して、カルトから逃げ出したケースが情報提供をするというもので、それによって娘の救出の手掛かりを得ていくことになります
カルト的な思想は世間でも問題視されますが、レッテル貼りに使われている場合もあります
どことなく怖さというものがありますが、それはどこから来るものなのでしょうか
カルトとは、一般的な宗教や夜会的な価値観から逸脱し、閉鎖的・支配的な特徴を持つ宗教団体や思想グループのことを意味します
語源はラテン語の「Cultus」で「崇拝」という意味があり、本来は「礼拝」「進行形態」のように「中立的な意味」がありました
でも、今では「否定的なニュアンス」で語れることの方が多いと言えます
カルトの特徴として、「絶対的な指導者の存在」があり、教祖やリーダーが神格化されています
また、「教義の絶対化」はあり、それが「唯一の真実である」という概念があります
さらに「外部との隔離」「マインドコントロール」などが行われ、経済的な搾取構造も存在し、脱会が困難という特徴があります
信仰に関しては自由だと思いますが、信者の生命のみならず、他者の信仰に干渉するのはもってのほかだと思います
なので、抜け出すことが容易ではないというところが恐怖の根源にあり、その事例が多く語られてきたことも怖さの要因でしょう
さらに、中が見えないことによる想像が一人歩きする場合もあって、それが排外的な価値観から伝播するということも見受けられるのではないでしょうか
■マグダラのマリアについて
映画にて、ケースがボブに対して語るセリフとして、「I’d play Mary Magdalene just to get you off. And I would. Might even take a little blood. But I’d give you as good, man.(あなたを喜ばせるためにマグダラのマリアを演じてもいい。少しなら血を流してもいい。でも、あなたも同じくらい良いものを与えて)」というものがありました
マグダラのマリアとは、イエス・キリストの忠実な弟子の一人で、過去に罪があったものの、赦され、変化した女性とされています
ケース自身が自分をマグダラのマリアに準えて、ボブを助ける存在になろうとしているのだと思います
このシーンは終盤のシーンにて、娘ギャビを見つけ出したあとのシーンで、サイサイラスとの決戦に向かう前だったと記憶しています
これはケースの冗談のようなもので、ボブに尽くすという意味合いがあり、かつ自身が困難から立ち直った人物であると自負しているのだと思います
かつてケースはカルトに所属し、そこから逃げ出した人物でした
彼女はギャビの事件を知ってボブにコンタクトを取った人間で、自分自身が役に立てると考えています
でも、同時に、この事件でギャビを救うことが真の自立であるとも思っていたのでしょう
それが「マグダラのマリアになっても良い」という発言になっていて、これは彼女がサイラスのカルトから抜け出していることを意味していると言えます
彼女はカルトに洗脳された女性ではありますが、サイラスの教義に反発をした人物でもありました
その後、運よく脱出できたけれども、サイラスへの落とし前はついていないのですね
彼女の信仰はサイラスから銃弾に映っていくのですが、これはサイラスの暴力を打ち破るのは暴力である、と言っているのに等しいと思います
なので、カルトを打ち破るには「さらなるカルト」が必要で、それはキリスト教でもなく、銃弾であるというところに意味があるのかな、と感じました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作では、カルト被害者が共闘する流れを汲んでいますが、カルトというよりもチンピラ集団のような感じがして、想像するようなヤバい教義があるとか、信者に攻撃されるというものはありませんでした
あくまでもサイラスがヤバい奴で、暴力で相手を服従させていたというもので、それを暴力で持って解決するという流れのように見えてしまいます
手下たちを含めて、サイラスのどこにカルト的な魅力があるのかが読めず、恐怖政治を行うとしても、組織的に脆弱で機能していないように思います
なので、戦う相手の規模があまり大きくなくて、あっさりしたものになっていたように感じました
被害的にもそこまで大きく見えない部分があって、映画のカタルシスはボブがギャビを助けることと、ケースがサイラスを倒すことの差がほとんどありません
サイラス一味は元妻のサラを殺しているのですが、やはり元妻というところに越えられない壁があるように思います
現在進行形の夫婦と娘というのと、破綻した夫婦と残された娘では重みが違っていて、ボブの中でもサイラスの処分よりも娘救出の方に優先度があったように思います
そんな中で、ケースはボブを利用する形でサイラスを誘き出し、人生をやり直す道を突き進んでいきます
いわゆる復讐劇として重なる部分が少なく、共闘なのに利用しあっている部分もあるし、ボブとケースの関係が深まるということもありません
それでも、ケースからすればボブは自分を救ってくれる神様のように感じている部分があって、マグダラのマリアの冗談を言ったりします
映画は、半年経ったのちにあらすじを読み返してもほぼ覚えていない感じで、記事を書くのに苦労するタイプのものでしたね
それぐらい「タイトル以外に訴求力がない映画」で、ブログ用のノートにもほとんど何も書いていない作品でした
タイトルの意味を考えると、世界を正すのは神ではなく銃(暴力)というわかりやすい話なのですが、それでは救いも何もないと思います
それでも、カルトに行っても救いはないので、それを訴求する意味はあるのでしょう
自分の人生がうまくいかなくて、何かに縋りたい瞬間はあると思いますが、その解消を他人の思想に委ねるのでは意味がありません
カルトにしろ、古典宗教にしろ、どちらも「他人の考えの集大成」であると言えます
なので、どのような着地点があるかは分からなくても、まずは地道に自分の頭で考えることが必要なのではないかと思います
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/102879/review/04619811/
公式HP:
https://klockworx.com/movies/giab/
 
                                    






