■ライオンの世界とかけ離れているのは良いけれど、超実写になったために変に思うところが増えたように感じます


■オススメ度

 

超実写がOKな人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.12.31(TOHOシネマズ二条)


■映画情報

 

原題:Mufasa: The Lion King

情報:2024年、アメリカ、120分、G

ジャンル:ミレーレの王誕生にまつわる過去を描く動物映画

 

監督:バリー・ジェンキンス

脚本:ジェフ・ナサンソン

原作:アイリーン・メッキ&ジョンサン・ロバーツ&リンダ・ウールヴァートン『The Lion King』

 

Amazon Link(前作字幕版)→ https://amzn.to/3DONfVq

 

キャスト:

アーロン・ピエール/Aaron Pierre(ムファサ/Mufasa:両親とはぐれた子ライオン、ブライドランドの未来の王) 

   (幼少期:ブレイリン・ランキンス/Braelyn Rankins

   (幼少期:ブレイリー・ランキンス/Brielle Rankins

 

ケルヴィン・ハリソン・Jr/Kelvin Harrison Jr.(タカ/Taka:ムファサの義理の兄弟、のちのスカー)

   (幼少期:セオ・ソモル/Theo Somolu

 

タンディ・ニュートン/Thandiwe Newton(エシェ/Eshe:タカの母、ムファサの養母)

レニー・ジェームズ/Lennie James(オバシ/Obasi:タカの父、ムファサの養父)

 

アニカ・ノニ・ローズ/Anika Noni Rose(アフィア/Afia:ムファサの実母)

キース・デイヴィッド/Keith David(マセゴ/Masego:ムファサの実父)

 

ティファニー・ブーン/Tiffany Boone(サラビ/Sarabi:ムファサたちの友人、のちのムファサの妻)

 

ドナルド・グローヴァー/Donald Glover(シンバ/Simba:ムファサの息子)

ビヨンセ/Beyoncé(ナラ/Nala:シンバののちの妻、プライドランドの女王)

ドミニク・ジェニングス/Dominique Jennings(サラフィナ/Sarafina:ナラの母、サラビの友人)

 

アブドゥル・サリス/Abdul Salis(チガル/Chigaru:タカの叔父、オバシの兄弟)

 

セス・ローゲン/Seth Rogen(プンヴァ/Pumbaa:シンバの友人、イボイノシシ)

ビリー・アイクナー/Billy Eichner(ティモン/Timon:シンバの友人、ミーアキャット)

ジョン・カニ/John Kani(ラフィキ/Rafiki:プライドランドのシャーマン、マンドリル、物語の語り手)

   (若年期:カギソ・レディガ/Kagiso Lediga

トゥソ・ムベトゥ/Thuso Mbedu(ジュニア/Junia:ラフィキの友人、ヒヒ)

 

プレストン・ナイマン/Preston Nyman(ザズー/Zazu:サラビ偵察隊、のちのプライドランド王の侍従、サイチョウ)

 

ブルー・アイヴィー・カーター/Blue Ivy Carter(キアラ/Kiara:シンバとナラの娘、ムファサとサラビの孫、物語の聞き手)

 

マッツ・ミケルセン/Mads Mikkelsen(キロス/Kiros:ホワイトライオン、「アウトサイダー」のリーダー)

ジョアンナ・ジョーンズ/Joanna Jones(アクア/Akua:アウトサイダーのライオン、キロスの姉妹)

フォラケ・オロワフォイェク/Folake Olowofoyeku(アマラ/Amara:アウトサイダーのライオン、キロスの姉妹)

A.J. Beckles(アジボ/Azibo:アウトサイダーズから追われたホワイトライオン)

 

Sheila Atim(アジャリー/Ajarry:メスのキリン)

Derrick L. McMillon(モシ/Mosi:はぐれのライオン)

 

Maestro Harrell(イナキ/Inaki:ラフィキを追放するオスのヒヒ)

David S. Lee(モーボ/Mobo:ラフィキを追放するオスのヒヒ)

 

【日本語吹替版】

尾上右近(ムファサ:成人期)

平賀晴(ムファサ:幼少期)

松田元太(タカ:成人期)

竹下天馬(タカ:幼少期)

駒谷昌男(ラフィキ:老齢期)

松島昭浩(ラフィキ:若年期)

佐藤二朗(プンバァ)

三木(ティモン)

MARIA-E(サラビ)

賀来賢人(シンバ)

渡辺謙(キロス)

塩田朋子(エシェ)

ふくまつ進紗(オバシ)

御園紬(キアラ)

門山葉子(ナラ)

越後屋コースケ(ザズー)

和音美桜(アフィア)

吉原光夫(マセゴ)

悠木碧(アクア)

織部ゆかり(アマラ)

 


■映画の舞台

 

タンザニア:

プライド・ランド

 

ロケ地:

南アフリカ


■簡単なあらすじ

 

前作『ライオン・キング』の後の舞台にて、マンドリルのラフィキは、シンバの娘キアラに「祖父ムファサ」についての話を聞かせることになった

ムファサは元々プライド・ランドの住人ではなく、ミレーレという場所を探し求めていたライオン一家の息子だった

ある日のこと、川に落ちたムファサは、そのまま急流に押し流されて両親とはぐれてしまった

 

そんなムファサを見つけたのが王オバシの息子タカで、競走で腕試しをした上で、群れに入ることを許されるようになっていた

ムファサには特別な嗅覚があり、風下にホワイトライオンの群れを感知する

ホワイトライオンの王キロスはオバシの油断を突いて接近し、軍隊を構えるほどの存在になっていた

 

オバシはムファサの助言を聞き入れて、タカと共に逃げるように指示をする

だが、キロスの一団は執拗にムファサたちを追うことになった

その逃走の最中、二人は逸れのメスライオン・サラビと出会う

三人は雪山でうまくキロスの一団を撒くことに成功し、ひと時の安息を手に入れるのだった

 

テーマ:王の資格

裏テーマ:愛憎が壊す友情

 


■ひとこと感想

 

前作『ライオン・キング』の事をほとんど覚えていませんが、過去譚ということもあっておさらいなしで鑑賞

映画はシンバの娘キアラに対して、マンドリルのラフィキが祖父ムファサの話をするという内容になっていました

 

ムファサがタカと出会い、プライド・ランドに来るまでの経緯となっていて、両親とはぐれたところをタカに助けられることになりました

そこから兄弟のように成長した二人は、やがて彼らを脅かす影と対峙することになります

そこで、若い二人は新しい群れを作るために逃げることになるのですが、そこにメスライオンのサラビが加わってしまうのですね

なので、逃避行中に三角関係になって、それが拗れて闇堕ちするという展開になっていて、果たしてライオンキングの話なのか、よくわからない感じになっていました

 

超実写なので映像は凄いのですが、字幕版でも人が声を当てているので、映像に集中するなら吹替版でも良いのだと思います

英語吹替で鑑賞しましたが、あのビジュアルで人間の声が聞こえてくるのは違和感ありありでしたね

おそらく日本語になっても変わらないと思うので、字幕がない分マシなのかなとも思いました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

過去譚になるので何がネタバレかわかりませんが、あえて挙げるなら「タカ(スカー)の闇落ちの理由は恋愛に負けたから」みたいなところでしょうか

タカ目線だと散々な物語になっていて、父の歪んだ愛情もタカを歪める一因になっていましたね

ムファサの実力を見込んで、王の忠実なる臣下という立ち位置にしておけば、まだマシだったようにも思えてしまいます

結局のところ、メスは強いライオンを欲するので、優しいだけのタカでは物足りないところがあるのでしょう

さらに、サラビは普通のメスではないので、彼女が一目置く存在というのは相当なものがあると思います

 

映画は、超実写なので、その映像体験を第一に考えた方が良いでしょう

IMAX字幕版を観ましたが、字幕無い方が良いと思いますし、人間の声が聞こえる時点でどっちでも一緒のように思えます

物語としては特筆することもなく、スカーの闇落ちの原因がアレで良いのかはなんとも言えません

わかりやすい獣の世界ではありますが、ちゃんとフラれた方が良かったんだろうなあと思ってしまいました

 

超実写に関しては慣れてきたのもありますが、ここまで来るとセリフなしの映画の方が良さそうに思うのですね

それぐらい表情や仕草で多くのことが表現できる技術が追いついてきているように思えました

 


弱肉強食の世界ではあるものの

 

映画の世界は野生の世界なので、弱肉強食の真っ只中にあると言えます

とは言え、世界はそれだけでは成り立たず、強いライオンですらいつかは死んでしまい、土へと還っていきます

これが「サークル・オブ・ライフ(生命の輪)」という概念に繋がり、どんな生物であっても、地球上にいる限りはその輪の中にいると言えます

 

とは言え、ライオンという種族の中では弱肉強食は当たり前の話であり、群れのリーダーが優秀でないと、種族全体が危険に晒されてしまいます

ムファサとスカーの関係も「種族を守るためのリーダー」として対立しているわけであり、その根底が違うと言えます

スカーの方は恐怖政治のような側面があり、それが種族全体の隠された不和というものを生み出していました

これによって、種族は団結ではなく、水面下で相反が起こっている状態となっていました

 

スカーは弱肉強食の世界を肯定しますが、それを理由に行動の自由を持ち込もうとしています

これが弱者の乱獲を生むことになっていて、それが自然の輪というものを乱してしまいます

それに対するムファサは「力は責任である」と考え、支配構造に強さを持ちこもうとは考えていないと思います

それを用いない種族の強さとは何かを考えたとき、ムファサは構造を構成する根幹に対する責任を明確にしようと考えていたように思いました

 

 


勝手にスクリプトドクター

 

本作は、ムファサの過去譚を描いていますが、彼の宿敵となるスカー(タカ)との因縁がどう言ったものかに言及しています

ムファサは彼を群から追い出さずに管理下に置いているのですが、そこに至るまでの経緯として「旅で出会った異性が原因」というのは安直なように思います

また、ムファサは群れの一員ではなく、外から来た勢力ということもあり、いわゆる歌舞伎の世界の部屋子のような立ち位置になるでしょう

そんな彼が一族の血縁とは違っていたという過去譚で良かったのかもわかりません

 

サラビ自身も群れの外にいた異性であり、ムファサとサラビが関係を結ぶというのは一族からすれば「もともと外部の存在同士の婚姻」となり、それが一族の中心になるというのは違和感でしかないように思います

せめて、タカとサラビが幼少期から恋人関係で、それを外部から来たムファサに奪われたというのなら憎しみを持つのもわかりますが、そうではないところに一族がムファサを敵視する理由に繋がらないと思います

一族の勢力を拡大させるためには外部から取り込むことも必要ですが、その戦いに負けた(というか敵前逃亡に近いかも)上に、一族を危険に晒したことは万死に値する愚行なのですね

なので、ムファサへの個人的な感情から危険を持ち込んだというのがタカを一方的な悪に仕立て上げていたりします

 

原作ありきの前日譚において、ムファサとタカの関係がこれで良いのかはわかりませんが、辻褄を合わせるためのシナリオとしても弱いと思います

一族の繁栄と言っても、そこには受け継がれる血縁というものが必要なので、それが完全に分断された瞬間を描いているのですね

なので、ムファサとサラビが来るまでと来てからの血縁的なものは一切繋がっていないことになります

それゆえに、ムファサを外部にするならサラビは血縁内にいる雌にしておいた方が批判は少なかったように思えました

ライオンにおける血縁内婚姻を人間の世界に持ってくるとややこしいのですが、通常のライオンの世界では近親交配は普通にあることなので、そちらを優先すればタカがムファサとサラビを奪い合う展開になってもおかしくはなかったと思いました

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

映画は、ライオンの世界を描いているのですが、実際のライオンの世界とはほど遠いように思います

ある種の擬人化をしていることによって、人間らしい関係を描くことになっていて、それがリアルとは乖離しすぎていることが問題のように思います

ライオンの社会では、群れ(プライド)の構成は「雌ライオンが中心」で、姉妹や母娘などは一生同じ群れにいることが多いとされています

一方で、成熟した雄ライオンは「群れを追い出される」ので、その後「他の群れに侵入して新たなリーダーになることを目指す」のですね

なので、映画の世界だとタカは一族の中での覇権を争いますが、実際には彼が成熟した段階で群れの外に追い出されることになり、ムファサのような外から来た雄ライオンがこの群れのリーダーになる戦いが始まってしまいます

 

群れを支配しているリーダーの雄は「群れのすべての雌と交尾をする」ので、雌同士が血縁関係であっても、交尾する雄は1頭なので、結果として近親交配が発生することになります

新しい雄が群れを奪わなかった場合、そのまま父親と娘が後尾をすることもあるとされています

これだと遺伝的なリスクがありそうに思いますが、野生の環境では「雄が定期的に入れ替わる」ので、完全に同一の遺伝子で世代が続くことは少ないと言えます

 

このライオンの世界をそのまま描くとなると、ムファサとタカは成人となったのちにオバシ(タカの父)の群れから離れて、自分の群れを作る旅に出ることになります

とは言え、人間社会をライオンというビジュアルに変えているだけなので仕方ない部分はありますね

でも、ここまで超実写とまでなると、ライオンの世界もこうなのかな?と思ってしまう人がいてもおかしくないのかもしれません

なので、アニメ版の方がライオンの世界に人間社会の構図を投影させている感があったので、リアルにすればするほどに違和感が増すのかな、と思いました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

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投稿者 Hiroshi_Takata

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