■意外なほどに、上層部への不満が募っているのかな、と思ったり思わなかったり
Contents
■オススメ度
前作のファンの人(★★★)
ディズニー映画が好きな人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2024.12.6(イオンシネマ京都桂川)
■映画情報
原題:Moana 2
情報:2024年、アメリカ、100分、G
ジャンル:人類にかかった呪いを解くために旅に出る一行を描いたアドベンチャー映画
監督:ディップ・デリク・Jr
脚本:ジャレッド・ブッシュ
前作『モアナと伝説の海』
Amazon Link(Amazon Prime Video 字幕版)→ https://amzn.to/3OFpzFt
キャスト:
アウリィ・クラヴァーリョ/Auli’i Cravalho(モアナ/Moana:旅に出る村長の娘)
ドウェイン・ジョンソン/Dwayne Johnson(マウイ/Maui:変身能力を持つ半神)
フアラーライ・チョン/Hualalai Chung(モニ/Moni:マウイの大ファンの航海メンバー)
ローズ・マタフェオ/Rose Matafeo(ロト/Loto:頭脳派メカニックの航海メンバー)
ダヴィット・フェイン/David Fane(ケレ/Kele:気難しい農夫の航海メンバー)
アフィマイ・フレイザー/:Awhimai Fraser(マタンギ/Matangi:貝に閉じ込められているナロの手下)
Tofiga Fepulea’i(ナロ/Nalo:人類を分断している神様)
Jemaine Clement(タマトア/Tamatoa:巨大ヤシガニ)
カリーシ・ランバート=ツダ/Khaleesi Lambert-Tsuda(シメア/Simea:モアナの妹)
テムエラ・モリソン/Temuera Morrison(トゥイ族長/Chief Tui:モアナの父、モトゥヌイ島の村長)
ニコール・シャージンガー/Nicole Scherzinger(シナ/Sina:モアナの母)
レイチェル・ハウス/Rachel House(グランマ・タラ/Gramma Tala:モアナの祖母、精霊)
Gerald Faitala Ramsey(タウタイ・ヴァサ/Tautai Vasa:モアナたちの先祖、伝説の冒険家、精霊)
アラン・テュディック/Alan Tudyk(ヘイヘイ/Heihei:モアナのペットのニワトリ)
演者なし(カカモラ:ココナツ族のリーダー)
演者なし(プア:モアナのペットの豚)
演者なし(ブア:「Moana‘s BE‘s」のメンバーに可愛がられる豚)
Jasmine Johnson(「Moana‘s BE‘s」のメンバー)
Tiana Johnson(「Moana‘s BE‘s」のメンバー)
Ata Johnson(村人/Villager)
Bryson Chun(その他の声)
Noemi Josefina Flores(その他の声)
Setarosa Tuitasi-Ledoux(その他の声)
Bentley Pupuhi-Fernandez(その他の声)
【日本語吹替版】
尾比久知奈(モアナ)
尾上松也(マウイ)
鈴木梨央(ロト)
山路和弘(ケレ)
小関裕太(モニ)
ソニン(マタンギ)
増留優梨愛(シメア)
■映画の舞台
モトゥヌイ島(故郷)
モトゥフェトウ島(目指す場所)
■簡単なあらすじ
前作にて、半神のマウイと島の女神テ・ファティを救ったモアナは、近くの島を散策する旅に出ていた
他の民族がいる証拠を探ろうとするものの有効な手がかりは掴めなかった
ある日のこと、モアナは先祖のタウタイ・ヴァサのビジョンを見て、人々がつながっていない理由を知る
嵐の神ナロは伝説の島モトゥフェトゥ島を海の底に沈めて呪いをかけてしまっていた
ヴァサはモアナにタウタイの称号を譲り、父も娘に島の未来を託すことになった
モアナは、マウイ好きのモニ、職人のロト、気難しい老人ケレたちと共に、伝説の島を目指して航海を始める
一方その頃、マウイもモトゥフェトウを探していたが、ナロの配下であるマタンギに捕まっていた
マウイはモアナを巻き込みたくないと考えていたが、二人の運命はナロによって、再び紐づけられることとなってしまったのである
テーマ:伝説の正体
裏テーマ:伝説の継承
■ひとこと感想
前作の記憶がほとんどないまま初日に鑑賞
体調が芳しくなかったのか、そこまで面白くなかったのかわかりませんが、少しうとうとしてしまいました
キャラがたくさん出てきて、一応見せ場はありますが、必要だったのかわからないシーンがたくさんありました
モアナとマウイの二人だけでも良い作品で、島探しの危険に彼らを連れて行く理由もあまり感じませんでした
マウイとモアナの目的は同じだけど、別行動になっているところがあって、それでも肝心なところでは無理やり交わるのですね
かなり結論ありきのシナリオになっていて、さながら同乗者たちは伝説の証人になるために存在した、ぐらいの意味合いになっていました
映画は、とにかく海のCGがえげつなく、シナリオそっちのけで体験する作品のように思います
字幕版しか観ていないので吹替版の評価はできませんが、4DXなどのアトラクション系がフィットする作品のように思います
キャラは可愛いので良いのですが、毒とか敵キャラがキモいので、あれをキモ可愛いと言える層だとOKなのかなあと思いました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
前作は、島を守るという話で、今回は見知らぬ島を探すというものになっていました
海の底に沈められた伝説の島を探すというもので、この島を引き上げたからと言って、世界の人との交流が再開するというのは意味がわからんロジックだなあと思って観ていました
村長はタウタイを継承しないけど、娘には継承させる意味がわからなかったですね
神様に選ばれたというよりは、先祖が選んだというものですが、父とモアナにある絶対的な違いというものはよくわかりませんでした
一緒に旅をするキャラは個性的なのですが、旅に即したメンバーではないのが微妙でしたね
マウイ好きとメカ女子はわかるけど、老人と豚と鶏は違うだろうと思ってしまいましたね
ミュージカル映画なのですが、一曲も記憶に残らない感じで、とにかく映像に全振りしている印象がありました
前作のテーマソングも同じ系統で、妙なメロディーラインが微妙な長さで続く節回しなので、カラオケで歌うの大変だろうなあと思ってしまいました
■伝説を受け継ぐために必要なもの
本作は、モアナが先祖たちからタウタイを継承する物語で、最終的には世界のつながりを復活させるために尽力したことで、半神として蘇ることになりました
その試練として、海に沈んだモトゥフェトゥを引き上げることになり、それは神様の力に守られている存在のように思います
半神のマウイでもダメで、彼を助けるためにモアナが海に飛び込みますが、そこで雷に打たれてしまいます
モアナを復活させるためにマウイが祈り、モアナの先祖たちも力を貸すことによって蘇るのですが、モトゥフェトゥを引き上げるには、半神2人(モアナとマウイ)の力が必要だった、ということになります
人が半神となることで伝説になるのですが、そのために必要だったのは「献身」と「愛」だったと言えます
映画には恋愛要素は全くありませんが、モアナとマウイはソウルメイト的な部分もあるので、このような人間愛というものが必要なのかもしれません
人類が存続するためには、細かなところでは個人的な愛の集合になりますが、大極的な観点だと、人類そのものや自然に対する愛というものが不可欠なのですね
モアナは元々利他的な人物ではありますが、今回のエピソードでは「自分の島以外のすべての人」をも対象にしていたので、それによって島だけではない伝説になっていくと思います
映画では、なぜ人類は分断されているのかという疑問を持つところから始まり、それが物理的な隔離ではないところに言及していると言えます
彼らは物理的な隔離を超える能力を有しており、海の向こうに行くかどうかは彼らの意思次第でした
そんな中、実は海の底に眠るモトゥフェトゥの存在によって人類は引き裂かれていたみたいな感じになるので、それを正そうと努力をしていきます
一見して物理的な隔離に見えたものの奥底には、それを引き起こした要因というものがあって、それを根本から解決しようとするモアナは、先人たちが成し得なかったことをした人物、と言えるのかもしれません
■モアナの未来はどこにある?
本作にて、半神となったモアナですが、続編があるとしたら、二つのパターンに分かれると思います
一つは半神から全神、すなわち神様になってしまうパターンと、半神の力を失って人間に戻るパターンでしょう
どちらにせよ、マウイの半神の力と融合するか、マウイを半神もしくは神様に戻すためにモアナが犠牲になるかのどちらかのように思います
彼女自身がどうなりたいかというよりは、そこには神様の理というものがあるでしょう
そして、運命論的にモアナは選択を迫られることになり、決定論的にその方向に向いていくと思われます
おそらくは、先人たちが残したもの(遺跡や文書)によって、その道に導かれると思われ、今回も先人たちのビジョンによってモアナは動いていきました
その延長線上に彼女の運命はあるので、今回の半神となるということも既定路線のように思えます
モアナ(Moana)という言葉は、ポリネシアの言葉で「海」を意味する言葉で、文化的には「命の源、祖先の通り道、神聖な存在」という意味があります
彼女がモアナと名付けられたのも、海の神様と意思疎通できる存在であるという意味になるので、神様との対話、引いては預言者的な役割を持っていると考えられます
海の神の言葉を理解するためには半神になる必要があり、今回はそのためのエピソードであると思います
今後は、海の神様との対話を行う中で、人類が海に対して行ったこととその結果について、板挟みになってしまう可能性もありますね
その時にモアナは人類の味方になるのか、神様の代弁者となるのか、そういった未来があるのかな、と感じました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、モアナとマウイが別のストーリーラインを刻んでいて、そこから合流するという流れになっていました
モアナ側はモン、ロト、ケレという仲間を引き連れることになり、その中のモンはマウイのファンという設定になっています
この3人の仲間はキャラが立っていますが、難しい航海をともにする仲間としては不安しかないようなキャラたちでした
マウイは嵐の神ナロの策略によってマタンギに捕まっていて、そのナロはモトゥフェトゥを海底に沈めた張本人でした
ナロの思惑が人類の分断を生んでいたのですが、ナロの配下であるマタンギは主人のことを良くは思っていませんでした
それが転機となって、マウイやモアナの役に立つキャラへと変わっていきました
ナロはマタンギを二枚貝の中に幽閉していて、それがマタンギの不満になっていたのですが、この構図は部下をどのように扱うかという現代社会に対する皮肉にも思えますね
要は、完全トップダウンの組織において、部下の発言、行動に制限を与えている状態になっていて、そこに不満があって、反抗心が生まれているという構図になります
服従しているように見えて服従していない組織ということになり、それを探知できていないことがナロの敗因のように思えます
部下の管理とケアという観点において、ナロは前時代的な価値観にあるようにも思えます
結局のところ、部下は自分の幽閉を壊してくれる存在を作るために状況を利用することになり、それがナロの誤算になっているのですね
表立って反旗は翻さないけど、自分の地位は確保しつつ、状況が変わるのを待っていると言えます
俯瞰すれば裏切り行為だけど、ナロに対しては「能力不足」をアピールするだけになっているのですね
使えない部下は自分以上の策略家で、それを看過できなかったことで、足元から崩れるというのは笑い話のように思えます
映画は、人間の分断が神様によって行われていたというテイストで進むのですが、その神様側のいざこざで人間に幸運が舞い落ちるという内容になっています
それらも含めて、神様のいたずらみたいなものなのですが、結局のところ、人類ってそういうものだよなあと思わされます
映画では神様ということになっていますが、現代社会だと一部の人間のいざこざが多くの人に影響を与えています
そう言った部分も踏まえると、現代社会の縮図みたいなものが作品には含まれているのかな、と思ってしまいました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/101237/review/04536812/
公式HP:
https://www.disney.co.jp/movie/moana2
