■リアル・ペイン 心の旅
Contents
■オススメ度
ルーツを辿る旅に興味のある人(★★★)
困った奴に困っている人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2025.2.(TOHOシネマズくずはモール)
■映画情報
原題:A Real Pain(本当の痛み、困った奴)
情報:2024年、アメリカ、90分、G
ジャンル:祖母の生家を目指すユダヤ人いとこ2人を描いたロードムービー
監督&脚本:ジェシー・アイゼンバーグ
キャスト:
キーラン・カルキン/Kieran Culkin(ベンジー/ベンジャミン・カプラン/Benji Kaplan:半年前に事件を起こしたデヴィッドのいとこ)
ジェシー・アイゼンバーグ/Jesse Eisenberg(デイヴ/デヴィッド・カプラン/David Kaplan:デジタル広告会社で働くベンジーのいとこ)
ウィル・シャープ/Will Sharpe(ジェームズ/James:ホロコースト歴史訪問ツアーのガイド)
ダニエル・オレスケス/Daniel Oreskes(マーク・ビンダー/Mark:ルフリン出身のユダヤ人老夫婦)
ライザ・サドビ/Liza Sadovy(ダイアン・ビンダー/Diane:マークの妻)
カート・エジアイアワン/Kurt Egyiawan(エロージュ/Eloge:ルワンダの虐殺を息抜いた青年、ユダヤ教に改宗)
ジェニファー・グレイ/Jennifer Grey(マーシャ・クレイマー/Marcia:LAからNYに移住した離婚したばかりの女性)
Banner Eisenberg(エイヴ/Abe:ビル好きのデイヴの息子)
Ellora Torchia(プリヤ/Priya:デイヴの妻)
Olha Bosova(客室乗務員)
Jakub Gasowski(ワルシャワのホテルの受付係)
Piotr Czarniecki(車掌)
Krzysztof Jaszczak(レストランのピアニスト)
Marek Kasprzyk(祖母の生家の向かいに住む老人)
Jakub Pruski(老人の息子)
■映画の舞台
アメリカ:ニューヨーク
ポーランド
マイダネク強制収容所
https://maps.app.goo.gl/xCGYPaAA6atc9eqg7?g_st=ic
ワルシャワ~クラシニク~マイダネク
ロケ地:
ポーランド:
マイダネク/Majdanek
https://maps.app.goo.gl/FSq4sabmxVy4wtTC7?g_st=ic
グロツカ/Grodzka
https://maps.app.goo.gl/PhXbdM8Mi8f4vzHdA?g_st=ic
ルブリン/Lublin
https://maps.app.goo.gl/jEFKC7s2LwDscdaT9?g_st=ic
ゲットーの英雄広場
https://maps.app.goo.gl/nAGiQLyBTEdbFpXWA?g_st=ic
クラフク
https://maps.app.goo.gl/7Mez6Uga3RRQuYWK7?g_st=ic
■簡単なあらすじ
ニューヨークでデジタル広告の会社で働いているユダヤ人のデヴィッドは、いとこのベンジーとともに、「ホロコーストツアー」に参加し、そのまま祖母ドリーの生家に立ち寄ろうと考えていた
空路でワルシャワに着いた二人は、ツアーガイドのジェームズ、ルーツを持つ離婚したばかりのマーシャ、ルワンダの虐殺を生き延びたエロージュ、老後を過ごすマークとダイアンの老夫婦と合流することになった
ゲットーの蜂起の場所から開始したツアーは、グロツカ門などを経て、マイダネク強制収容所の向かうプランだった
デヴィッドとベンジーはマイダネクでツアーを終えて、そこから祖母の家へと向かうプランで、当初はそこまでトラブルもなく過ごしていた
だが、ベンジーはずっと違和感を感じていて、それを言わずにいられなかった
ベンジーはジェームズやエロージュの博識さを讃えるものの、事実や統計ばかりで中身がないと言う
ポーランドの歴史を眺めていくだけで、今この地に住んでいる人との交流もない
また、戦地の歴史を辿っているのに、一等席で高級料理を食べると言う行為に違和感を持っていた
ベンジーの言動にデヴィッドは翻弄されるのだが、彼もまたベンジーに複雑な心境を痛いていた
それは、半年前のある出来事が起因だったのである
テーマ:歴史の肌感覚
裏テーマ:過去に対する礼節
■ひとこと感想
まるで兄弟のようないとこ同士が祖母の家に向かうと言うもので、ホロコーストの歴史探訪ツアーにも参加していきます
メンバーはホロコーストの生き残りの子孫が5名、別の虐殺の生き残りでユダヤ教に改宗した青年が1名、そしてツアーガイドと言う構成になっていました
ユダヤ人に対する興味があるジェームズとエロージュの方が博識で、ユダヤ人であるベンジーはその披露に違和感を感じていました
その理由は、歴史と統計で一括りにされていると言うもので、事実ではあるものの、それが過去を遠くに感じさせているように思えていました
自分のルーツを探る時、例えば太平洋戦争にて祖先が空襲に遭っていたとして、その場所に行ったのにも関わらず「歴史や数字の話」をすると、その場で起きたことを感じられなくなります
当時にはその歴史も数字もなく、ただ目の前で起こっていたことに翻弄される日々が続いていて、歴史や統計は遠い未来の総括に過ぎないのですね
でも、その違和感を感じているのがベンジーだけで、その正体は誰にもわかっていないようでした
映画では、その墓地にて「墓参りの印」としての石を置くのですが、それが最後につながっていましたね
来たと言う証明として故人のために置くことになるのですが、それが紆余曲折を経て「行った証」に変わるのは面白いと思います
ともかく、ポーランドとホロコーストについての基礎知識さえあれば問題ないのですが、ベンジーのキャラはかなり不快度があるので、しんどい人にはしんどいかもしれません
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
本作は、祖母の家に向かう旅を描いていますが、その目的はベンジーの心を癒すためのものだったと言えます
でも、デヴィッドは現地でおかしな行動を取る彼に翻弄され続け、自分自身が抱えている葛藤に苛まれてしまいました
最終日前日のレストランにて本音を吐露することになりますが、彼の気持ちよりもベンジーの理解の方が進んだのは残酷なように思えてしまいます
デヴィッドには強迫性障害、ベンジーにはうつ病と言う病気が付随していて、それによって「ややこしさ」と言うものに拍車が掛かっているように思えます
タイトルは「本当の痛み」と言う直訳がある一方で、「面倒くさい」「うざい」などのスラングとしての意味もあります
この旅は「面倒くさいベンジー」が多感になって、周囲の人を振り回していくのですが、その行動原理がわかる人にはわかる、と言う感じになっています
映画では、ショパンの楽曲を中心にして、エンドロールではその最中もずっとベンジーが空港にて変人観察をしている様子(音声)が描かれていました
出発の時も2時間以上早く来て同じことをしていたのですが、これは「ベンジー自身が本当の悲しみにふれた(ふれる)から」であると思います
本作は、「面倒くさいベンジー」が「本当の痛み」に直面する物語であり、その行動によって、「面倒くさいデヴィッド」も「本当の痛み」と言うものと向き合うことになりました
ベンジーがあの場所を動かないのは、日常に戻ることへの準備期間のようなもので、出発時も同じように「非日常に向かうための準備期間だった」のでしょう
それほどに繊細で、隠し事ができないのがベンジーの良いところなのですが、それゆえに彼の起こした自殺騒動というものをデヴィッドは許せなかったのだと思います
■過去を自分に取り込む意味
ただいま、鋭意考察中にて、今しばらくお待ちください
■本当の痛みとは何か
ただいま、鋭意考察中にて、今しばらくお待ちください
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
ただいま、鋭意考察中にて、今しばらくお待ちください
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/102304/review/04739755/
公式HP:
https://www.searchlightpictures.jp/movies/realpain
