■脱力系を愉しむために、あまり動かないペットを飼ってみるといいかもしれない


■オススメ度

 

前作を鑑賞した人(★★★)

脱力日常系が好きな人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2023.3.29(MOVIX京都)


■映画情報

 

情報:2023年、日本、101分、G

ジャンル:社会生活を始める殺し屋2人のゆるーい日常を切り取った脱力系アクション映画

 

監督&脚本:坂元裕吾

 

キャスト:

高石あかり(杉本ちさと:まひろのルームメイト、殺し屋)

伊澤彩織(深川まひろ:ちさとのルームメイト、コミュ障の殺し屋)

 

丞威(神村ゆうり:殺し屋協会のアルバイト)

濱田龍臣(神村まこと:ゆうりの弟)

橋野純平(赤木:神村兄弟のエージェント)

 

水石亜飛夢(田坂:死体処理班)

中井友望(宮内茉奈:死体処理班)

飛永翼(須佐野:ちさととまひろのエージェント)

 

安部乙(向井さくら:食堂のお姉さん)

江藤あや(さくらの母?)

 

渡辺哲(松本さん:商店街のおじいさん)

 

藤井陽人(麻雀賭博のヤーさん?)

木下朝実(銀行員?)

 

新しい学校のリーダーズ(商店街のパフォーマー)

 


■映画の舞台

 

都内のどこか

 

ロケ地:

東京都:墨田区

下総屋食堂(しもふさやしょくどう)

https://maps.app.goo.gl/AGZ59BZLQqWoeZzu6?g_st=ic

 

キラキラ橘商店街

https://maps.app.goo.gl/ZwVeVubV4cDpWvoA6?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

殺し屋協会に所属するちさととまひろは、協会の指示によりルームメイトとして一緒に暮らすことになった

ある日、彼女らの元に一通の封筒が届き、それは一日だけ行ったジムの会費支払いの督促状だった

金額にして400万近くあり、週末までに振り込まなければ、さらなる損害金が発生すると言う

 

仕方なく銀行に向かった2人だったが、事もあろうに、銀行強盗襲撃に遭遇してしまう

タイムリミットまであと数分、2人は銀行強盗を倒すことに成功したが、協会から謹慎処分が下され、振り込みにも間に合わなかった

 

一方その頃、派遣殺し屋の兄弟はエージェントとつるんで「殺し屋の席を開けよう」と目論む

万年バイトではままならず、殺し屋を殺せば空きができて、そこに入れると考えたのである

そして、その末席にちさととまひろがいたのであった

 

テーマ:信頼

裏テーマ:楽しく殺る

 


■ひとこと感想

 

脱力系の日常とスタントマンをアクターにしたアクションが売りの本作は、日常パートが合わないとキツい映画だと思います

のんびりと眺めている分には良いのですが、あまりにも緩すぎるので、少しばかり退屈に感じました

エンドロール後にも脱力系が延々と続く特典付きでしたが、「もう少し観たい」と「はよ、終われ」が混じる微妙な感じになっていましたね

 

映画は、社会生活を営む中で邪魔が入ると言うもので、下剋上を狙う殺し屋兄弟との対決がメインになっています

まるで体育会系のノリで戦う兄弟と、趣味は殺し屋です♡みたいな姉妹との戦いになっていて、微笑ましいのかどうなのかわからなくなってしまいます

接近戦で銃弾が当たらない問題はまだしも、「跳弾は無視かい!」と言うツッコミが心の中で連呼してしまいます

 

とは言うものの、飽きずに観られる展開になっていて、高速スライダーとちぇんじあっぷ(あえて平仮名)の落差が激しくて、周囲を固めるラバーガール(相方は全開瞬殺)風のテイストが楽しめればOKかなと思いました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

本作のどこにネタバレ要素があるのかは謎ですが、ノリだけで戦っているので、行き着く先というものが「あるようでない」感じに仕上がっています

一応は兄弟との決戦がメインですが、彼女らからすれば、それは必然ではないのですね

一応は、死体処理の田坂の敵討ちというところはありますが、そこまでの濃いメンタルではありません

 

この映画の注目点は、他の作品でスタントマンをしている伊澤彩織さんとダンサー&アクション俳優の丞威さんにタイマンをさせるというところでしょう

なので、ちさとと弟を戦線離脱させる必要があるのですが、本当に退場させてはいけないという制約がありました

致命傷っぽいもので動けないという感じになっていますが、このあたりの流れがもう少しわかりやすければなあとは思います

 

物語は「ジム会費支払い問題」がどうなったのかよくわからないまま終わってしまいましたが、そのあたりは物語のきっかけなのでスルーで良いのかな

最後の脱力シーンで郵便が届くみたいなオチがあるのかなと期待していましたが、本当に何もなかったですねえ

チラチラとまひろの脇が見えるサービスショットがありましたが、あれは狙ったのか偶然なのか微妙な感じになっていましたね

 


殺し屋協会のヒエラルキー

 

映画の設定では「殺し屋協会」というものがあって、そこに所属していると「仕事が舞い込んでくる」という感じになっていました

冒頭では神村兄弟がエージェントの赤木から依頼されて「賭け麻雀やくざ」に突入しますが、それが「伝達ミス」で「余計な仕事をした」という感じになっていました

また、まひろとちさともそこに所属して、エージェントの須佐野が協会からの伝達事項を伝えていました

彼女たちが「協会の末席」のようで、2人を殺せば空きができる、というのが赤木の作戦になっています

 

今回は「ひたすら巻き込まれるだけ」という内容になっていて、銀行強盗も神村兄弟も彼女たちの生活や仕事の延長線上で出会うものではありません

あくまでも、社会に出ると自分の思う通りにはいかないよ、というのと、郵便はちゃんと読もうねという「社会生活入門編」のようなテイストになっていました

鑑賞前に前作を見直したのですが、あまりの眠気と脱力日常シーンでこっちも寝てしまいました

2回観て、2回寝たのですが、睡眠鑑賞でなんとなくは覚えていました

でも、前作を観ていなくても問題ない感じで、ともかくめっちゃ強い殺し屋女の子二人組がいる、という認識ができればOKでしょう

 

協会の中の構造は本作でも言及されず、どこかの「派遣会社のようなノリ」に近いものがあります

このあたりが『ジョン・ウィック』をモチーフにしていて、シリーズが続けば「協会から狙われるのかな」と思ってしまいますね

派遣会社でも「本部社員と下請けでは待遇が違う」みたいなノリになっていましたが、彼女らの受け取る報酬みたいなものの額がわからないので、その悲哀が掴みづらいかなあと思いました

でも、一仕事でジムの滞納金はなんとかなるのかな、というイメージになっていましたね

(あれ、結局どうなったんだろう)

 


脱力系の楽しみ方

 

映画は、完全脱力系で、彼女らの日常のアホっぽいシーンが予想以上に多い作品になっています

まひろはほぼスマホをいじっていて、その内容が今回で「パズドラだった」ことが判明していましたね

ちさとの方はノートパソコンで何かをしているようですが、基本的に何をしているのかよくわかりません

いつも、充電コードの絡み合いで一悶着ある、みたいな感じになっていました

 

このような脱力系の楽しみ方は、ぶっちゃけると「ハムスターを眺める」というスタンスになると思います

いわゆる「生態を楽しむ」というもので、一時期流行った「ウーパールーパーをひたすら眺める」みたいなものだと思います

2人は基本的に会話をほとんどしないので、そこで起きていることに「心の中でアドリブの会話を入れてみる」みたいな遊びの時間になっていて、本来なら自宅のソファで同じようにごろ寝しながら観るのがあっていると思います

 

前作は「脱力パートにも台本があった」そうですが、今回はアドリブが多いと言われています

なので、前回より脱力の幅が広くて、完全に2人のペースでシーンが進んでいくという感じになっていました

彼女らが観ているものが設定なのかまでは分かりませんが、想像するには「そのまま」持ち込んでいるのかなと思いました

 

エンドロール後にもこの脱力シーンが延々と続いていて、そこではまひろの脇下サービスショットが何回も登場していましたね

おそらくは副産物的なものだと思うのですが、普段は見せないエロい部分がそこはかともなく漂っていましたね

もしパート3があるなら、お色気路線に踏み切ると、もっとブレイクしちゃうのではないかなと思ってしまいました

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は可愛い女の子が殺し屋で、その日常を切り取っているという趣旨になっていて、20歳前後のゆるーくて、ちょっと頭が足りない系の設定になっています

前作は女子高生でしたが、今回は社会人に入ったとのことで、殺し屋意外の顔を持つことを推奨されていました

でも、結局のところ、グダグダな日常を過ごすプータローのような感じになっています

 

社会生活には色んなハードルがあって、自分で口座を持ったり、家賃を払ったり、契約というものが付随してきます

本作でも、ジムの会費不払い&督促無視というものに脅かされていて、でも金銭感覚は一般とは違う感じになっていました

社会不適合というレッテルを貼られている彼女たちですが、一芸があるので食いっぱぐれることはないでしょう

とは言え、永遠に続けられる仕事ではなく、引退もしくは退場という世界に生きているのですね

 

社会への適合というのは、参加する組織への適合と、住居地のコミュニティへの適合、ひいては住む国のルールへの適合へと繋がっていきます

彼女たちが住む世界は、法治国家の外側にありますが、彼女たちの社会的立ち位置を守るためには「協会への服従」というものが必要になっています

わかりやすいのが「死体の処理」で、協会の依頼による殺人は協会主導のもと、完全になかったことにできます

でも、協会の掟を破ること=死体の処理も自己責任という世界なので、いずれは社会に認知されてしまいます

 

銀行強盗を倒しても、メディアに抜かれたり、警察の世話になることで「協会の存在認知」にもつながるので、このあたりのルールが一番厳しいのかなと思いました

それでも、自分らしく生きている2人は、社会に適合しようがしまいがあのまんま生きていくのかなと思わせます

緩急の激しい映画ではありますが、普通の人でもオンオフの切り替えに関しては、彼女たちぐらいグダグダになった方が、精神衛生上は良いかもしれませんね

 


■関連リンク

Yahoo!映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://movies.yahoo.co.jp/movie/385533/review/73619c33-64c7-4913-b165-fa82c5c7f9fc/

 

公式HP:

https://babywalkure.com/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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