■「いつものを!」「はい、毎度」としてはOKだけれども
Contents
■オススメ度
リーアム兄さんが暴れるのを観たい人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2023.3.8(イオンシネマ久御山)
■映画情報
原題:Blacklight
情報:2022年、オーストラリア、104分、G
ジャンル:FBI捜査官を救う「フィクサー」がFBIの陰謀に巻き込まれる様子を描いたアクション映画
監督:マーク・ウィリアムズ
脚本:ニック・メイ&マーク・ウィリアムズ
キャスト:
リーアム・ニーソン/Liam Neeson(トラヴィス・ブロック/フィクサー:FBI長官直属の潜入捜査官)
エミー・レイバー=ランプマン/Emmy Raver-Lampman(ミラ・ジョーンズ:「ワシントン・ニュースサイクル」のジャーナリスト)
テイラー・ジョン・スミス/Taylor John Smith(ダスティ・クレイン:追われるFBI潜入捜査官)
Anita Torrance(デヴィッドソン:盗聴器がバレるFBI潜入捜査官)
エイダイ・クイン/Aidan Quinn(ガブリエル・ロビンソン:FBI長官、トラヴィスの旧友)
Andriana Williams(マーガレット・ロビンソン:ガブリエルの亡き妻)
Claire van der Boom(アマンダ・ブロック:トラヴィスの娘)
Gabriella Sengos(ナタリー・ブロック:トラヴィスの孫、アマンダの娘)
Yael Stone(ヘレン・ダヴィッドソン:ミラの同僚)
Tim Draxl(ドリュー・ホーソーン:ネタを横取りするミラの上司)
Georgia Flood(パール:ミラの同僚、ドーナツ女子)
Caroline Brazier(サラ:ミラの同僚、ドリューに言い寄る女性社員)
Melanie Jarnson(ソフィア・フロレス:殺される政治家)
Andrew Shaw(ジョーダン・ロックハート:轢き逃げ犯)
Zac Lemons(ウォレス:ソフィアの運転手)
Anthony J.Sharpe(人権活動家のリーダー)
Cam Faull(人権活動家)
Jasper Bagg(人権活動家)
Alex Cooke(保安官)
Damien Bodie(保安官)
■映画の舞台
アメリカ:ワシントンD.C.
ロケ地:
オーストラリア:キャンベラ
Australian Captal Territory/オーストラリア首都特別地域
https://maps.app.goo.gl/RFHceFza1KXDNpuJA?g_st=ic
オーストラリア:ヴィクトリア州
メルボルン
Highpoint Shopping Centre/ハイポイント・ショッピング・センター
https://maps.app.goo.gl/iM1M65pnT3Ug2T4fA?g_st=ic
オーストラリア:ヴィクトリア州
サウス・ワーフ
Melbourne Convention Centre/メルボルン会議場と展示場(近代歴史博物館)
https://maps.app.goo.gl/D9S2b18Dv8D6ycXB9?g_st=ic
■簡単なあらすじ
脅迫神経症を患っているベトナム退役軍人のトラヴィスは、今ではFBI長官ロビンソンの直轄の部下として、FBI捜査官を助ける任務に従事していた
彼には娘のアマンダと孫のナタリーがいたが、彼の強迫的な生活に嫌気がさしていて、今は距離を置いていた
トラヴィスの任務は精神的に異常を来した捜査官を助けるというもので、現場から救出するのが主な役割だった
盗聴器を仕掛けたことがバレて住民に追い込まれている捜査員とか、ターゲットの死亡によって精神的に参っている捜査官などを本部に連れ帰っていた
ワシントンD.C.では人権活動が盛んで、時の政権打倒のために政治家がスローガン「GAME OVER」を掲げてホワイトハウス前で該当演説が盛んになっていた
その中心人物である政治家のソフィア・フローレスは民衆の支持も高かった
ある夜、ソフィアは何者かによって轢き殺されてしまう
そして、その事件は普通に報道されるものの、何者かがワシントン・ニュースサイクルのミラ・ジョーンズ記者に情報を流そうとしていた
その男はソフィアの恋人として潜入捜査をしていたダスティで、その動きを察知したFBIは彼の確保に向かう
そして、その役割はトラヴィスに一任されることになったのである
テーマ:仕事を家庭に持ち込むな
裏テーマ:旧友でも許せないラインはある
■ひとこと感想
リーアム兄さんが暴れるということだけ知って参戦
ボディダブルの人がリアリティ出すために演技をしていて泣けてきますね
いつもの感じでFBIが暗躍する話なのですが、退役軍人とFBIを抜いたスパイ系のアクション映画って存在しないんじゃないかと思うぐらいに既視感がありました
でも、戦い方に少しだけ工夫があって、悪用できそうな戦い方を随分と披露してくれています
FBIの闇に切り込むジャーナリスト女子会が奮闘していましたが、編集長の兄ちゃんはとばっちりもいいところでしたね
ミラの強運っぷりが目立ちましたが、敵がしょぼすぎて泣けてきます
映画もどんなに派手に終わるのかなと思ったら、最後の戦いが思いっきり地味で、「ええ、これで終わるの?」という感じになっていましたねえ
全編まさかのメルボルン撮影で、冒頭の演説の背景だけワシントンの映像をパッチワークしていたように思えました
全体的に地味すぎるので、リーアム兄さんのファンか、2時間ちょうどスケジュールが空いてしまった人向けのムービーに仕上がっていましたね
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
使い古され過ぎて既視感満載の、退役軍人のシニア生活はFBIの裏方さんというもので、若者がフィジカルで負けるといういつもの情けない展開が続いていきます
70年代にあったとされるFBIの「極秘任務」がベースになっていて、それを今でも行なっているという描写がありました
FBIの初代長官フーバーの名前が出てきて「ニヤリ」とした人向けかなあと思います
劇中では長期政権と樹立したいみたいな言い方になっていましたが、フーヴァー長官と言えば、1924年のFBIの前身から死去に至る1972年までその座を降りなかった人物として有名でした
この辺りのFBIの闇っぽい話はたくさんあるのですが、要は「FBI胡散臭いよね」っていう黒歴史をそのまま映画にしたという印象になっています
そして、ジャーナリスト女子会の面々が活躍する流れになるのですが、FBIも女子には甘いというかなんというかという感じに仕上がっていましたね
個人的には、トラヴィスの目の前でガブリエルが何者かに殺されるという展開でオチがつくと思っていたのですが、そうではなかったところが残念でなりません
■フーバー長官あれこれ
映画の中でガブリエルが言及する「フーバー」ですが、これはFBI初代長官のジョン・エドガー・フーバー(J Edgar Hoover)のことを意味します
フーバーはFBIの前身である「全国犯罪者識別局」が出自となっていて、その後1908年にBureau of Investigation(BOI)が結成され、その後Directer of Investigation(DOI)と改名されました
ちなみに「FBI」とは、「Federal Bureau of Invenstigation」の略で、「連邦捜査局」という意味になります
フーバーは「FBI」の創設に尽力し、組織を拡大させていきます
就任期間は前進の捜査局次長時代を含めると約31年にも及ぶのですね
フーバーは1895年生まれのワシントン出身のアメリカ人で、1916年にジョージ・ワシントン法律学校にて法学士号を所得しています
その後、LL.M(法律修士号)を所得したフーバーは、司法省に就職を果たします
その後、外国人敵局の局長になり、第一次世界大戦下にて、ウッドロウ・ウィルソン大統領の命令によって、外国人を裁判なしに逮捕、投獄する権限を与えられます
1919年8月、フーバーは捜査局の新しい部署「総合情報部門」の責任者に抜擢されます
この部署は「国内の過激派の活動監視、妨害を目的とする組織」で、過激派部門と呼ばれていました
フーバーの最初の任務は「パーマーレイド(Palmer Raids)」で、社会主義者、アナーリスト、共産主義者を逮捕し、国外追放する役割を担っていました
ちなみに、1920年に彼はフリーメイソンに入会しています
1921年に捜査局の副局長になり、1924年には局長代理に任命されます
フーバーは女性エージェントを全て解雇し、その後も使うことはなかったと言われています
1935年にはFBIに改名され、大規模のリストラが行われました
第二次世界大戦後、フーバーは「ワールド・ワイド・インテリジェンス・サービス」の作成に取り掛かります
ですが、トルーマン政権によって、この計画は頓挫することになりました
反対の理由は「ゲシュタポのアメリカ版になる」と考えたから、とされています
■COINTELPROについて
1956年、フーバーは「FBIへの財政的及び公的支援を確保する」という名目にて、「COINTELPRO」という名前のプログラムを公式化します
「コンテイルプロ(COINTELPRO)」とは、「Counter Intelligence Program」の略で「監視、潜入、信用の失墜などを目的としたFBIの違法プログラム」でした
FBIが破壊的であると見做したグループ、個人を対象としていました
アメリカ共産党、反ベトナム組織、公民権運動家、ブラックパワー活動家、環境保護団体、AIM(アメリカインディアン運動)、動物愛護団体、広範囲な左派、KKK、極右グループなど、様々な組織が対象となっていました
1971年には、サンティエゴにて、ミニットメン反共産主義者の準軍事組織の元メンバーに資金を調達し、反戦運動のために秘密組織(シークレット・アーミー。オーガニゼーション=SAO)などに変えていきます
1969年以降、プラックパンサー党もこのプログラムの対象となっていて、暗殺、投獄、公然の屈辱、虚偽の罪で拘束などが行われていました
フーバーはこの「COINTELPRO」の管理&命令を有していました
これらが発覚したのが、1971年3月8日のことで、FBIを調査する市民委員会がペンシルバニア州の事務所に侵入して見つけたとされています
報道に関しては、ワシントン・ポスト紙以外は即公開を見送っています
ワシントン・ポスト紙は文書の信頼性を確認したのち、司法長官の要求を無視して1面に文書を掲載しました
そして、フーバーは「COINTELPRO」の終了を宣言します
映画では、ここで終わったはずの「COINTELPRO」が継続されていた、というテイストで描かれているのだと思われます
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
映画は、このような背景があるものの、内容はとても地味で「これまでの同系統の映画との差異がない」というものでした
主人公を演じたリーアム・ニーソンさんもこれまでに同じような役を演じていた、全く真新しさを感じないという内容になっています
「退役軍人」「ベトナム戦争」「FBIの闇」これらのキーワードは今ではテンプレというよりは、NGワードに近い感じになっています
物語は「フーバーと同じような長期政権を維持するため」にガブリエルが「オペレーションU」を利用していて、その後始末をトラヴィスにさせていました
冒頭のソフィア議員候補の事件でも、ダスティを恋人として近づけさせ、それによって世論誘導を行おうとしていました
ガブリエルの誤算は、ダスティとソフィアがガチの恋人関係になったことで、オペレーションUの発覚を恐れたからだと言えます
でも、実際にはガブリエルの命令でソフィアを殺したために、ダスティはさらに不安定になって暴露の方に向かおうとしています
この事情を知らないトラヴィスが自分の周りで起こっていることを認知し、そしてジャーナリストのミラと共闘することによって真実へと近づきます
そんな彼らがたどり着いた真相が「ダスティのオペレーションUの内容」とその犠牲になったソフィアの真実でした
ここまでの謎解きは良いのですが、本作はその後のガブリエル逮捕があっさり過ぎるのですね
取り巻きも2名しかいないし、老兵にフィジカルで負けるし、とどうなのよと思ってしまうほどに「やっていることと組織の規模」がミスマッチになっていました
個人的には、ガブリエルは何者かに殺されるというエンドの方が良かったと思います
映画の中だとガブリエルの私欲となりますが、私欲だけでオペレーションを悪用させるのは無理があります
なので、真の黒幕というものを用意して、トラヴィスの前でガブリエルが銃殺されるという展開でも良かったでしょう<
続編云々の話は置いておいて、ガブリエルが逮捕されて真相がわかるというのは安直すぎるのですね
そう言った意味において、嫌ミス的な展開で締めることで、アメリカの闇というものが描けたのではないか、と感じました
■関連リンク
Yahoo!映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://movies.yahoo.co.jp/movie/386220/review/7a22f0c6-b36c-4eda-8323-c91c368b8c37/
公式HP:
https://klockworx-v.com/blacklight/