■動物にだけ見える人の優しさって、どんな色をしているのでしょうか
Contents
■オススメ度
犬映画が大好きな人(辛いシーンもあるけど★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2024.11.5(イオンシネマ京都桂川)
■映画情報
原題:도그데이즈(Dog Days)、英題:Dog Days
情報:2024年、韓国、120分、G
ジャンル:犬を介して出会う人々を描いたハートフルコメディ
監督:キム・ドクミン
脚本:ユ・ヨンア
キャスト:
ユ・ヘジン/유해진(ミンサン/민상:動物病院「DOG DAYS」が入っているビルのオーナー)
ユン・ヨジョン/윤여정(チュ・ミンソ/민서:ワンダと一緒に住む世界的な建築家)
パク・インファン/박인환(ミンソの夫)
ワンダ(ワンダ:ミンソの愛犬、フレンチブルドッグ)
キム・ユンジン/김윤진(ジョンア/정아:養子縁組を組む母親、ソニョンの妻)
チョン・ソンファ/정성화(ソニョン/선용:ジョンアの夫、音楽プロデューサー)
ユン・チェナ/윤채나(ジユ/지유:ソニョンとジョンアの家に来る孤児)
キム・ソヒョン/김서형(ジニョン/진영:動物病院「DOG DAYS」の獣医)
ワワ(シャジャニ:チワワ、ジニョンが気にかける野良犬)
ダニエル・ヘニー(ダニエル:スティングに会いに来るスジョンの元カレ)
イ・ヒョヌ/이현우(ヒョン/현:スティングを預かったスジョンの恋人、バンドマン)
キム・ゴウン/김고은(スジョン/수정:ヒョンの恋人)
フロイド(スティング:ヒョンの愛犬、ゴールデンレトリバー)
タン・ジュンサン/탕준상(ジヌ/진우:ウーバーの配達員)
リュ・ヘリン/류혜린(動物病院の看護師)
パク・ヨンス/박연수(動物病院の看護師)
ユン・ドンソン/윤돈선(パク・サンム/박상무:ミンサンの上司、常務)
パク・ウンソク/박은석(キム・チャジャン/김차장:ミンサンの同僚、次長)
ド・ヨン/도용구(ダヨン会長:ミンサンの会社の社長)
ヘンリー(ココ:ガンを患う犬)
チョン・ソイン/정서인(ココの飼い主)
キム・ヒョンテ/김현태(ヒョンのバンドメンバー、キーボード)
パク・ジウォン/박리원(ヒョンのバンドメンバー、ベース)
チョ・ハンジュン/조한준(ヒョンのバンドメンバー、ドラム)
ジン・ヨンウク/진용욱(キム/김:運転手)
キム・スラン/김수란(保育所の所長)
ユン・ヨンギョン/윤영균(木工職人、ミンソの弟子)
ムン・ジョンデ/문정대(会社の役員)
リュ・ジュビ/류주비(質問される女性社員)
ハ・ヨンソ/하연서(ジョンアの友人)
チュ・へウォン/주혜원(ジョンアの友人)
イ・ドンヨン/이동용(カフェの店長)
キム・ギョンジュン/김경준(カフェの店員)
チャン・ジョンシク/장정식(イベント司会者)
ジ・セヒョン/지세현 (イベントのAD)
チャン・チュンヨル/전충열(救命医)
ハン・サラ/한새라(救急の看護師)
ナム・ジョンウ/남정우(警察)
イ・ジャヨン/이자겸(警察)
■映画の舞台
韓国:ソウル
ロケ地:
韓国:ソウル
■簡単なあらすじ
建設デベロッパーで働いているミンサンは、自己所有のビルを動物病院に貸していた
だが、ミンサンは極度な犬嫌いで、いつも動物病院の獣医ジニョンと言い争いをしていた
ミンサンは会社のリゾートプロジェクトを手掛けていたが、常務からのお達しで、プレゼンは同僚のキム次長が行うことに決まってしまった
そんな折、ミンサンは大病を患った子犬を持ち込んだ女性と事故を起こしてしまう
女は事故は保険金で何とかすると言って立ち去るものの、ミンサンはその行動に怒りを隠せない
だが、病院に愛犬ワンダを連れてきていた老女ミンソは、ミンサンに対して苦言を呈する
さらに彼がリゾート開発をしていることを知り、「あなたの計画には足りないものがある」と切って捨ててしまう
ミンサンは彼女が有名な建築家であることを思い出し、プロジェクトの助けをしてもらおうと考える
そこで、犬猿の仲だったジニョンに取り入ることになる
その頃、ミンソは持病が悪化し、道端で倒れてしまう
偶然通りかかった配達員に助けられたミンソだったが、その騒ぎの中、ワンダはどこかに行ってしまうのである
テーマ:愛着と奉仕
裏テーマ:癒しと共感
■ひとこと感想
思いっきりイヌ映画ということで、主に3匹のイヌを中心としたヒューマンドラマが展開していきます
主人公は犬嫌いですが、自分のマンションの1階を動物病院に貸していて、ちょっと歪んだ感じの「?」で始まる物語になっていました
ミンサンは建設デベロッパーの勤務のようで、リゾート計画を立てますが、まさかの「人相が悪い」で他の人がプレゼンを任されたりします
でも、プロジェクトに詳しくない者が会長の心を動かすこともなく、そこでついた嘘が思わぬ展開を迎えることになりました
動物病院の利用者に稀代の建築家がいるというご縁ですが、そこには犬猿の仲の獣医がいて、どうやって頭を下げようかという展開になっていきます
その中で、二人の動物愛のようなものが語られるのですが、予後不良後の飲み屋の一幕は普通のイヌ映画ではスルーするところのように思いました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
本作は、いわゆる群像劇のような形になっていて、ミンサンとジニョンの物語の他に、ウーバー青年とミンソの物語、バンドマンの恋愛と夢、そして、孤児ジユを引き取った夫婦の物語がありました
それぞれは独立しているように思えますが、犬たちがそれぞれを引き合わせていきます
人間関係が結構複雑で、ほぼ全てのキャラが何かしらの縁で誰かと結ばれているという感じになっていましたね
無関係に思える人同士の関係性の暴露が面白い作品でもあり、そこで繋がるのねという感じに展開して行きましたね
動物愛らしい系の映画ではあるものの、問題的はちゃんと行われていました
人間のエゴと感情の境目にある安楽死についても描かれ、そこでミンサンとジニョンが対立する場面もありました
ミンソンはかつて犬を飼っていたけど、彼は死の間際にどこかに行ってしまったという過去があります
そう言った過去が価値観を作り出し、そしてその価値観だけが膨張していたことを思い出していきます
犬は人よりも寿命が短いので、その死を看取ることが多いのですが、それが情操教育に役立つ反面、自然死を迎えることの難しさというものも、改めて浮き彫りになっているように思えました
■韓国のペット事情
韓国ではペットを飼う人の数が増えていて、今では4人に1人が飼っているという状態になっています
犬の飼育には登録が必要で、現時点で3割程度、猫に関しては登録が必要ないとされています
また、韓国では「ペット」とは呼ばずに「伴侶動物(Companion Animal)」という呼び方をしています
この呼称は1970年代から広がりを見せていて、1983年には英語圏で定着していました
それでも、ペットという呼称は根強く続いていると言われています
伴侶動物を飼う際には、トレーニングの義務化とか、経済力の有無、移動手段の確保など様々なものが必要になってきます
動物が起こしたことは飼い主が法的責任を負うため、そう言った面も考慮する必要があります
また、韓国では伴侶動物は私有財産であり、虐待を受けている動物の保護目的でも、同意なく連れ去ると窃盗罪になります
このため、動物愛護団体では、主人に先に連絡をして、動物の処遇改善を要求したのちに、治療目的として連れていくという流れを汲んでいるとされています
この観点から、家出したと思われる動物を返還せずに育てることは占有離脱物横領罪に該当するとされています
■ペットの未来
個人的にはペットを飼った経験はありませんが、責任をきちんと果たすのであれば飼うこと自体は良いと思います
でも、ひとりでも責任を果たさない人がいると何らかの問題が生じるのですが、連帯責任を持つということも難しいと思います
相互監視社会になっても抜け道を探す人はいるし、飼育登録3割という時点で問題が起こるのは必然でしょう
この制度の認知が進んでいないのか、モラルが低下しているのかはわかりませんが、行為に対する責任と義務が徹底されていないが問題なのだと思います
ペットに関するトラブルがニュースで取り沙汰されることがありますが、一番のネックになるのは健康被害が出る可能性がある、というところだと思います
そのためにエリア分けをする必要があって、それが飼い主を保護することにも繋がります
それでも、権利の拡大を主張する傾向はあって、そのせめぎ合いが起きている渦中のように思います
いずれは完全なる分離状態になっていくと思いますが、そのパワーバランスは利用者の非利用者の割合によって決まってくるのではないでしょうか
ペットそのものに癒しの効果などはあると思いますが、現実的に飼うとなった時に見えてくるものに対して、どこまで責任を持てるかは想像力とリサーチによると考えられます
それらを踏まえた上で、他人に迷惑をかけず、動物が何か起こした時には責任を取るということさえしっかりしていれば問題はないのでしょう
でも、動物の権利を主張しつつ、その責務から逃げようとする人もいるのが現実で、それによって被害者が増えて肩身が狭くなるという流れは止められそうにないと思います
そう言った観点も踏まえると、最終的にはエリアを分けるという話に行き着くのではないでしょうか
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、犬嫌いの家主がペットショップにテナントを貸しているという設定で、元々は家主も動物好きのところがありました
それが拗れて今のような感じになっていますが、そもそも動物好きというところが根底にあったので、口では厳しいことを言いますが、心の中ではそこまでは思っていないという感じになっていました
映画では、たくさんの犬と飼い主が描かれ、意図せずに飼うことになったというキャラが多かったですね
姉と恋人が愛していたペットとか、行く宛のない動物を保護したりするのですが、過ごす時間を長くなればなるほどに、愛着が湧いてくるのだと思います
家主は建設デベロッパーの社員という側面もあって、新しく作るリゾートに関与することになります
社長にGOサインをもらおうと上司が奮闘する中で、受け売りの言葉を羅列するのですが、このあたりのコメディセンスも抜群でしたね
それまで反対の立場だった家主が、かつての自分を思い出していくのですが、それを引き起こしたのがペットというところに本作のテーマがあるのだと思います
ペットは接する人の素の感情を引き出すことにができて、それが客観視できるのが良いと思うのですね
動物と接している時に優しく接する人が、人に優しいとは限りませんが、無垢なるものとそうではないものの間にあるものが「その人そのもの」であるように思います
なので、動物になくて、人間にあるものが、その人を優しさから遠ざけているのかもしれません
動物は人を癒しますが、その対象は意外と限られているようにも思います
動物が寄ってくる人もいれば、あからさまに避けられる人もいます
私はどちらかと言えば寄られる方ではありますが、飼い主の責任を果たせないので、今のライフワークの間は飼うことはないでしょう
むやみに寄られても困るのでNOという雰囲気を出していますが、最近は三毛猫が随分と寄ってきますねえ
どうしたものか困っている次第ですが、これ以上関わるとどちらにも良くないので、当面は無視するしかないかな、と思っています
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/102240/review/04442493/
公式HP:
https://www.rakuten-ipcontent.com/dogdays/