■劇場派と配信派をうまく取り込める展開ができるのかを注視していく作品になりそうですね


■オススメ度

 

原作ファンの人(★★★)

キャストのファンの人(★★★)

アイヌ文化に興味のある人(★★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.1.19(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

情報:2024年、日本、129分、PG12

ジャンル:アイヌの隠し財産を巡って、軍部、元軍人、脱獄囚などが暗躍する様子を描いたアクション映画

 

監督:久保茂昭

脚本:黒岩勉

原作:野田サトル『ゴールデンカムイ(集英社)』

→ Amazon Link(Kindle版 第1巻) https://amzn.to/3SojLTb

 

キャスト:(わかった分だけ)

山﨑賢人(杉元佐一:不死身の杉元と呼ばれる元海軍兵)

山田杏奈(アシㇼパ :杉元を助けるアイヌの少女)

   (幼少期:浅田芭路

 

矢本悠馬(白石由竹:脱獄王と呼ばれる男)

 

玉木宏(鶴見篤四郎:陸軍第七師団の中尉)

工藤阿須加(月島基:第七師団の軍曹、鶴見中尉の側近)

大谷亮平(谷垣源次郎:第七師団の一等卒)

眞栄田郷敦(尾形百之助:第七師団の上等兵、スナイパー)

栁俊太郎(二階堂浩平/洋平:第七師団の一等卒、双子の軍人)

   (浩平/洋平のボディダブル:八木拓海

 

堀部圭亮(和田光示:第七師団の大尉)

山内圭哉(玉井芳蔵:第七師団の伍長)

 

泉澤祐希(寅次:杉元の幼馴染)

高畑充希(梅子:杉元の幼馴染)

 

舘ひろし(土方歳三:金塊を狙う元新撰組の鬼の副長)

木場勝己(永倉新八:元新撰組の2番隊隊長)

勝矢(牛山辰馬:不敗の牛山と呼ばれる柔道の達人)

 

大方斐紗子(フチ:アシㇼパ の祖母)

秋辺デボ(アシㇼパ の大叔父)

井浦新(アチャ/ウイルク:アシㇼパ の父)

永尾柚乃(オソマ:アシㇼパ の従妹)

 

マキタスポーツ(後藤竹千代:杉元にアイヌの金塊の話をする酔っぱらい)

 

島津健太郎(笠原勘次郎:刺青の脱獄囚の一人)

 

津田健次郎(ナレーション)

 

成松修(岡田文夫:第七師団)

青木健(野間直明:第七師団)

松嶋健太(前山一夫:第七師団)

兼松若人(第七師団?)

野崎亨類(塩谷武郎:第七師団)

高野光希(第七師団?)

竜二(菊池清高:第七師団)

金山拓矢(?)

榎木智一(土方の部下)

小林峻(?)

金城茉里奈(アイヌの村人)

宮崎歩夢(アイヌの少女)

野原壱太(アイヌの少年)

鈴木かつき(アイヌの少年)

二ノ宮隆登(アイヌの少年)

秋場千鶴子(梅子の母)

塚尾桜雅(寅太郎:梅子の息子)

鈴木武(小樽の憲兵?)

西本銀二郎(小樽の憲兵?)

金田誠一郎(小樽の住人、風呂屋の客)

佐伯紅緒(小樽の町人、遊女)

伊藤優(情報を漏らす遊女?)

下総源太朗(?)

福永武史(?)

ボブ鈴木(妓夫太郎:小樽の町人、遊女の斡旋人)

隈部洋平(?)

金谷真由美(?)

ドン・ジョンソン(トーマス:金塊を知る外人)

 

【エンドロール後に登場】

池内博之(キロランケ:アシㇼパ の父の友人)

櫻井ユキ(家長カノ:殺人ホテルの支配人)

高橋メアリージュン(インカラマッ:コタンに居着く謎の占い師)

小澤征悦(二瓶鉄造:恐れられる初老の漁師)

萩原聖人(辺見和雄:連続殺人犯)

 


■映画の舞台

 

明治末期(1904年、明治37年)

中国:遼東半島南端

二百三高地(爾霊山)

https://maps.app.goo.gl/1jPYeSfMvqB25s3U9?g_st=ic

 

北海道:小樽

 

ロケ地:

北海道:勇払郡

占冠村鈴木牧場

https://maps.app.goo.gl/FedKgV9PzroqemnB8?g_st=ic

 

北海道:勇払郡

むかわ町

https://maps.app.goo.gl/s36WENcgZpkQEAdX6?g_st=ic

 

岐阜県:高山市

奥飛騨クマ牧場

https://maps.app.goo.gl/Bj7u3rpi3i1voJFA6?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

明治37年、中国の二百三高地では、日本軍とロシア軍が壮絶な戦いを繰り広げていた

5年後、生き残った杉元佐一は、北海道を彷徨っていた

 

ある時、酔っ払いの与太話を聞かされた杉元は、その話に真実味を感じ、アイヌが残した金塊に興味を抱く

アイヌが残した莫大な資産はある男によって強奪され、それはどこかに隠されていた

そして、それを示す地図は、網走監獄から脱獄した囚人の背中に掘られた刺青にヒントが隠されていた

 

その後、その酔っ払いが脱獄囚の一人だと判明し、杉元は刺青の一反を手に入れることになった

そんな折、凶暴化したヒグマに襲われた杉元だったが、彼を助けたのはアイヌの少女アシㇼパ だった

彼女は、家族を何者かに殺されていて、その真相を探っていたのである

 

テーマ:目的と孤独

裏テーマ:生かされる意味

 


■ひとこと感想

 

原作は未読、ファンの人には申し訳ないが、「また山﨑賢人なのか〜」と思っていました

原作のイメージはないので特段問題はなかったのですが、この手のアクション映画のほとんどに出ているような気がします

 

映画は、第1章という感じで、原作全31巻ならば2時間でまとまるはずもありません

どこまでやるかはそこまで気にしていませんでしたが、ともかくは杉元がどんな人物で、旅の目的、アイヌ民族との関わりなどを説明して終わったように思います

 

冒頭の日露戦争のシーンでかなり激しい戦闘が展開され、ヒグマとのバトルがメインになっていました

後半になって、アイヌの金塊を狙っている面々が登場し、ようやく舞台役者が揃ったという感じになっていました

エンドロール後にも映像があって、それはこれから登場するキャラクターのようでしたが、原作未読なのでまったくわかりませんでした

ファン向けの予告編と言ったところではないでしょうか

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

『ゴールデンカムイ』という漫画があることは知っていましたが、話の内容はほとんど知らず、予告編を見て「そういう話だったのかあ」と思った記憶があります

「カムイ」と言われると『カムイ伝』の方を思い出す年代なので、その続編か何かかと勘違いしていましたね

金塊奪い合うガチバトルだったことに驚いてしまいます

 

北海道が舞台で、アイヌが登場するのですが、そのあたりの関係はサラッとしていましたね

冒頭でアチャ(アシㇼパ の父)の言葉が引用されていて、それが物語の核となっていました

いわゆる「生きている限りは何らかの役目がある」というもので、それを運命と言えば漫画的なのかもしれません

 


アイヌ文化について

 

アイヌ(Aynu)とは、樺太から千島列島、カムチャッカ半島、北海道、本州北部またがる地域に居住していた民族のことを言います

2019年5月に施行された「アイヌ施策推進法」では、「日本列島北部周辺、とりわけ北海道の先住民族」と規定されています

2018年の段階で人口13118人、ロシアにも105人いるとされていて、日本語、アイヌ語、ロシア語を使用しています

2007年に国際連合にて「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が採択されると、日本でも2018年に「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が採択されました

さらに、2019年に「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律(アイヌ施作推進法)」が制定され、法律の中に初めて「先住民族」と明記されることになりました

 

アイヌとは、アイヌ語で「人間」を意味する言葉で、元々は「カムイ(自然界全てのものに心があると言う精神に基づいて自然を指す呼称)」に対する概念としての「人間」と言う意味だったとされています

蝦夷地が北海道と呼称変更されたのが1869年(明治2年)のことで、それと同時に開拓が本格化することになります

屯田兵、農民の大量流入により、和人の人口が増え、旧土人学校(アイヌ学校)が各地に設置されることになります

アイヌ語の禁止はなかったものの、教育は日本語で行われることになりました

 

映画では多くのアイヌ語が登場し、それは丁寧に説明されていきます

杉元がアイヌ文化を知らないために、アシㇼパ が案内人として紹介していきますが、その後の会話に登場しそうなキーワードに限定されていましたね

また、アシㇼパ とフチの間で交わされていた会話をアシㇼパ が通訳することになっていますが、都合の悪いところはスルーしていました

アイヌの平均結婚年齢はわかりませんが、15歳設定のアシㇼパ は適齢期扱いになるのかなと思いました

 


長期連載の映画化の難しさ

 

本作は、全31巻の長編で、映画一本で5巻分ぐらいだとしても、最低6作品が必要になってくるボリュームがあります

6作を見越してプロジェクトを組まれることはなく、できても3部作ぐらいが限度だと思います

本作も次作までは同時に撮っているようで、エンドロール後にほぼ予告編が挿入される形になっていました

 

大型のプロジェクトを組んだ方が一気に撮ることができて、役者の加齢というものをさほど考えなくて良くなります

でも、資金調達が現実的ではなく、1作目がうまく行けば投入という感じになっていると言えます

製作委員会方式で資金を集めても、映画興収はリスクをどれだけ取れるかにかかっているので、原作でヒットがあったとしても、それだけでは不十分だと言えます

本作の累計発行部数は2700万部ですが、1巻あたりの平均値だと87万部ぐらいなのですね

仮に87万人のファンが全員観に来たら17億円の大ヒット!ということになりますが、実際にはそんなことは起こらないので、「原作ファン」以外の色んな要素を取り込む必要があります

 

キャストのファン、アニメのファンなどのわかりやすい数字を上積みしていって概算を立てると思いますが、この計算式でうまく行っているイメージがなかったりします

原作ファンとアニメファンは敵対することになるし、今では「キャストのファン」というだけで数字を上げられる俳優は皆無に近いと思います

ジャニーズなどのアイドル系を配しても、最初だけ勢いはありますが、その後終息していく傾向にあります

それは、アイドルなどのファン層の資金力というものが圧倒的に低い経済状態があるからでしょう

 

結局のところ、観客側に財力がないと、それを支える下地というものはできません

それゆえに、若者だけでバズっても先細りで、ファミリー層に訴えるという方策に出ることになります

でも、ファミリー向けになると、途端に映像表現のハードルが上がってしまうので、この場合は作品選びの段階で失敗するというものが目に見えてわかってきてしまうものなのかなと思いました

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、これまでにあまり描かれなかったアイヌを題材にした作品で、その血筋を持つ人たちによって監修がなされています

アイヌ少女のアシㇼパ が和人の文化にふれていくというもので、アイヌに関する入門編のような感じにもなっていました

アイヌの歴史を知らなくても大丈夫な内容で、五稜郭で死んだはずの土方歳三が登場するのも漫画ならではの設定だと思います

 

映画は、アイヌの金塊の信憑性、それを狙う面々を登場させる序章ではありますが、敵味方の線引きをきちんと描きつつ、それぞれの陣営の色がきちんと説明されています

金塊を狙う理由も説明されていて、それぞれの大義のもとで次作以降へと突入する流れになっていました

キャラクターも個性的な面々になっていて、シリアス度が低めになっていたのも見やすかったかなと思いました

 

映画単体での評価というのは難しいのですが、シリーズの序章としての役割は十分に果たせていると思います

問題は、今後どのような媒体で話が進んでいくのかというところで、WOWOW資本ゆえにドラマでの展開になっていく可能性が高いのですね

少し前に公開された『沈黙の艦隊』も続編はAmazon Primeのドラマになっていそうですし、その流れで会員数を増やそうと考えていると思いますが、映画館に行く層とは根本的に違っている部分があるので、どこまで観客を連れて行けるかはわからない部分はあります

 

今週公開された『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』の逆パターンになると思いますが、私の場合、ドラマ版の続きは基本的に観ないので、本作もWOWOドラマを観ていることが前提の続編だと観に行かないかもしれません

いずれは配信へと向かっていくのだと思いますが、配信が見えてくると「待つ」という現象が起きるので、ディズニープラスになってからのMCUと同じような末路を辿るかもしれません

本作がどのようなメディア展開になるかはわかりませんが、劇場ファンを単純に有料コンテンツに引き入れるためだけの序章だとしたら、次作以降は瀕死になるのではないでしょうか

なので、WOWOWドラマで展開するにしても、次作との間に当たるドラマ部分を編集して劇場公開をするなどに移行しないと、その先は無いように思えてきます

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/97036/review/03386494/

 

公式HP:

https://kamuy-movie.com/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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