■主演が置き去りにされるアイドル映画に勝算があると思うのだろうか?
Contents
■オススメ度
ラウールのファンの人(★★★★)
原作ファンの人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2024.8.2(イオンシネマ久御山)
■映画情報
情報:2024年、日本、117分、G
ジャンル:100億の賞金が懸けられた幼馴染を守る高校生を描いた青春ラブコメアクション映画
監督:石川淳一
脚本:八津弘幸
原作:丹月正光『赤羽骨子のボディガード(講談社)』
Amazon Link(原作コミック:Kindle版)→ https://amzn.to/4fwBh16
キャスト:
ラウール(威吹荒邦:赤羽骨子のボディガードを依頼されるヤンキー高校生、骨子の幼馴染)
(幼少期:リンゼイ尊)
出口夏希(赤羽骨子:100億の懸賞金を懸けられた高校生、ダンス部、夢は弁護士)
【錚々児高校 3年4組】
奥平大兼(染島澄彦:司令塔)
高橋ひかる(棘屋寧:空手家、骨子と同じダンス部の親友)
倉悠貴(糸踏忠也:ハッカー)
山本千尋(日暮弥美姫:剣士)
戸塚純貴(迅来風太:忍者)
鳴海唯(湾可世子:拷問)
中田青渚(那木うずめ:調教)
長井短(愛満斗々:罠師)
坂口涼太郎(千坂時規:変装)
木村昴(大叢井巌:柔道家)
芝大輔(海代朱雀:詐欺師、ナンパ男)
詩羽(首藤孔蘭:ギャンブラー)
安斉星来(夏野真凪:新体操)
橘優輝(杜窪章介:医師)
松岡広大(嘉柄譲:ドライバー)
大久保桜子(黒雲字音:スプリンター)
有輝(幡一平:潜水士)
敷本奈々穂(かなで:技師)
工藤美桜(小樽椚:鑑識)
三浦りょう太(天貫与一:スナイパー)
高橋大翔(吉信滝丸:鍵師)
あの(霧宮茶虎:配信)
【骨子を狙う者たち】
谷田歩(鷹見剛己:尽宮と因縁を持つ殺し屋)
堀丞(α:鷹見の右腕)
浅川梨奈(β:鷹見の右腕)
皆川猿時(田中:バウンティハンターの親玉)
【近親者関連】
遠藤憲一(尽宮正人:骨子と正親の父、国家安全保障局の長官)
土屋太鳳(尽宮正親:骨子の義理の姉)
(幼少期:加藤レノン)
安井順平(鍋沢:尽宮の秘書)
津田健次郎(威吹丈夫:荒邦の父、尽宮のボディーガード)
田中柊羽(いじめっ子)
海老原魁星(いじめっ子)
小森亮宙(いじめっ子)
飯山さな(殺し屋)
もりりょう(殺し屋?)
安藤稜(殺し屋?)
上村勇太(殺し屋?)
渡辺裕也(殺し屋?)
廣岡聖(殺し屋?)
柿原桃星(殺し屋?)
山本賢太(ダンス大会の司会者)
■映画の舞台
日本の関東圏のどこか
錚々児高校
ロケ地:
千葉県:市川市
和洋学園
https://maps.app.goo.gl/63JcGJPAvKzPcz4k8?g_st=ic
千葉県:浦安市
浦安ブライダルホテル東京ベイ
https://maps.app.goo.gl/y9X9CNukzMbPnkkA8?g_st=ic
群馬県:桐生市
桐生市市民文化会館
https://maps.app.goo.gl/4afMH3GabVJveBn69?g_st=ic
神奈川県:横浜市
SEA PRADISE
https://maps.app.goo.gl/QA33XjforuE6fUER7?g_st=ic
■簡単なあらすじ
ヤンキー高校生の威吹荒邦は、国家安全保障局の長官・尽宮から「あるお願いごと」をされてしまう
それは、長官の娘で、荒邦の幼馴染の赤羽骨子を護るというもので、彼女には100億円の懸賞金がかけられていると言う
荒邦は骨子と同じクラスに編入することになったが、そのミッションは「骨子にバレないこと」「長官との関係も秘密」というハードルがあった
骨子は高校のダンス部に所属していて、今は県大会の予選を控えていた
クラスメイトの寧とともにダンスに励む骨子は、両親の影響で弁護士を目指していた
当初はダンスを諦めようと思っていたが、そんな彼女を勇気づけたのは荒邦だった
そんな折、骨子の前に奇妙な男が現れた
荒邦は身を挺して骨子を守ったものの、男は再度姿を現し、今度は集団で襲ってくる
多勢に無勢で荒邦は捕まってしまうのだが、彼を助けにやってくる集団があった
それが、荒邦の所属する3年4組の面々で、彼らは全員、骨子を護るためのボディガードだったのである
テーマ:青春の向こう見ず
裏テーマ:護ると言うこと
■ひとこと感想
原作は未読、おそらくラウールを愛でる映画であることは承知の上で鑑賞
公開日の昼間に舞台挨拶のライブビューイングがあったので、朝イチ回は空いているだろうと思って突撃しました
読みが当たったのか、あまりにも朝が早いからかは分かりませんが、ガラッガラの中、ポツンと鑑賞することになりました
映画は、想像通りの内容で、ほぼ予告編で描かれていること以外は起こらない感じでしたね
敵として登場する正親が実はと言うのも織り込み済みのような感じになっていて、予定調和を楽しむ内容になっていたと思います
とにかくキャラが所狭しと出てくるのですが、主要数人以外はほとんどモブに近い感じになっていますね
おそらく、原作ではそれなりに見せ場があると思われるキャラもワンカットで終了に近いようなざく切り感がありました
尺とキャラ人数が合っていないのですが、そこを変えるのも難しいのかなあと思いました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
本作にネタバレがあるのかは微妙ですが、案の定正親は骨子の姉だし、そこから派生するよくわからない三角関係も微妙な感じになっていました
とにかくビジュアルに寄せているような印象があって、漫画っぽいセリフがたくさん登場しました
アクションシーンはラウールと高橋ひかる、土屋太鳳が担っていて、そこまでの激しさは無い感じでした
とにかく23人のクラスメイトそれぞれに見せ場を作らないとダメと言う制約があるので、無理やりぶっ込みました感が凄かったように思います
元々の中の人を知っていれば視認できますが、数人は「この人誰?」という演者さんもいましたね
また、キャラの名前が独特で、ほぼ漢字に変換できないキラキラネームになっていたのはイマドキだったように思います
■キャラ映画の末路
本作は、クラスメートは全員ボディガードということで、それぞれが特殊技能を持っていて鍛えられていた、という設定になっています
その能力は被らないように選抜されていますが、単体で使えるというほどでもなく、司令官にあたる澄彦がコントロールするという組織になっていました
骨子と荒邦以外は全員グルという感じなので、特別なクラスに二人を放り込んだという感じになっています
このあたりの設定は漫画なので気にしても仕方ないのですが、突然クラスが一つ増えたようなものなので、教職員は戸惑ったのではないかと思います
あくまでも漫画的な設定で、連載当時は「一人ずつ」登場していたか、それぞれの見せ場が多かったのだと思います
映画でも、キャラの必殺技披露のようなものがありますが、それでキャラの個性を覚えるのは無理なレベルの瞬間芸でしたね
個々を認知していれば、もっと戦略も練れるように思いますが、そもそもが相手が殺しに来ているのにこっちは殺さないという、意味のわからない暗黙のルールのようなものがありました
このルールに関しては映画で言及していたかどうか覚えていませんが、倒した敵は次から次へと復活する流れになっていました
これらのキャラ映画は、パターン化された属性を振り分けているだけで真新しいキャラというのはありません
わかりやすく澄彦が全部持っていて、それぞれが個々に能力値が高いとかになりそうですが、そのレベルの差はわかりません
あくまでも、澄彦だけはレベルが違うように描かれていますが、その強キャラも味が薄まっているように思えました
結局のところ、2時間で登場させるには多すぎるのですね
でも、原作ファンのことを考えると全員出さなければならない
そんな無理ゲーな要求があったのかな、と感じました
この手の能力者は味方として登場させるとしても4人ぐらいが限度のように思います
■護ることの極意
本作では、相手を殺さず、骨子にもバレずに守り切るというミッションがあって、それは骨子の父が本人に明かされていないから、というものになっていました
それでも、彼女の出場するダンスの大会には毎回観覧していたように、足長おじさん的な立ち位置で見守ることになっています
守るというのは非常に難しいもので、それは何度も立ち上がってくるからなのですね
いっそのこと、一撃でとどめをさせる方が後は楽という感じになっていて、こちらの体力のことを考えると、防戦一方というのは疲労を蓄積させるだけとなります
それでも、防御型の武術であるとか、相手の力を利用する武術などだと勝手が違っていて、相手の攻撃力をいなしていくうちに、相手の疲労が先に来ることがあります
数の勝負になるとそうはいきませんが、相手の攻撃力をそのまま無駄に維持させて疲労を蓄積させることで、有意に戦いを進めることは可能であると言えるでしょう
力と力の勝負になった場合、その気というものは一直線に自分に向かってきます
この流れをうまく相手の疲労蓄積に向かわせることができれば戦いを有利に進めることができます
守ることに徹底すると、こちらの攻撃に転じる力というものを防御に一極集中させることが可能なのですが、ずっと攻撃に晒されていると、それも限界に達してしまうのですね
なので、本来ならば相手の攻撃量を減らすために動けなくなるほどの一撃を見舞うか、トドメを刺すところまで行かないとダメだと思います
映画では、骨子の前では殺しを見せたくないという親のエゴがありますが、そもそも護られていることすら気づかれてはダメなので、トドメを刺した方が安全圏に移れると思います
そのあたりがモヤモヤする感じになっていて、本当に漫画的になっているなあと思いました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、クラスメイトが全員ボディガードで、荒邦よりも凄腕であるという設定がありました
一方で、ラウールのファンムービーでもあり、アクションシーンを売りにしている分、それが期待されていたと思います
原作準拠だとは思いますが、映画の荒邦は強いわけでもなく、肝心なところで胆力を発揮して活躍するということもありません
あくまでも、等身大のキャラとして、この騒動に巻き込まれている存在で留まっていました
この内容でラウールのファンがリピートするかと言えばかなり微妙で、カッコいいところというよりは、ダサいところが満載という感じになっていました
アイドル映画でこの設定は致命的で、かと言って、澄彦のポジションにはなれないのですね
原作をどこまで改変すれば荒邦の活躍が見られるのかはわかりませんが、映画を観る限りだと、ほぼ別物にでもならないとダメなような気がしました
映画は、想定する客層やその後の展開を緻密に考えるものだと思いますが、今回はラウールのファンがいかにリピートしてくれるかが鍵だったように思います
グッズなどは売れるかもしれませんが、映画としては1回観たら十分な内容で、口コミで広がる「映画の素」というものもありません
もっとバイオレンスに振り切って、血生臭いながらもカッコ良いラウールを見せるか、別の要素でカッコよさを見せるしかありません
恋愛パートも骨子との進展はほとんどなく、正親との関係も発展することはありません
原作ファンを惹きつけるにしても、それぞれのキャラの登場は薄めで、自己紹介で終わっているのも難点なのですね
それを考えると、連ドラなどで地道にキャラを増やしていって、相応のエピソードを用意して、荒邦を成長させる以外にありません
でも、映画ではそこまでの尺を取れないし、短期間で荒邦が無双する展開も無理があります
仲間頼りの戦いを傍観しているだけになって、たとえ美味しいとことだけを持っていっても爽快感は得られません
そう言った意味でちょっと残念な映画になってしまったのかな、と感じました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/101350/review/04095933/
公式HP:
https://movies.shochiku.co.jp/akabanehonekomv/
