■ライスボーイ/Rice Boy
Contents
■オススメ度
シングスマザーの苦悩を描いた作品に興味のある人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2026.4.16(アップリンク京都)
■映画情報
原題:Riceboy Sleeps(ライスボーイは眠っている)
情報:2022年、カナダ、117分、PG12
ジャンル:カナダに移住した韓国人母子を描いたヒューマンドラマ
監督&脚本:アンソニー・シム
キャスト:
チェ・スンユン/Choi Seung-yoon(キム・ソヨン/So-Young:カナダに息子を連れて移住したシングルマザー)
イーサン・ファン/Ethan Hwang(キム・ドンヒョン/Dong-Hyun:ソヨンの息子、小学生、カナダでの名前はデービッド)
(青年期:ドノヒョン・ノエル・ファン/Dohyun Noel Hwang)
カン・インソン/Kang In Sung(ウォンシク/Won-Shik:ソヨンの元夫)
カン・インソン/Kang In Sung(インシク/In-Shik:ウォンシクの弟)
ジェリナ・ソン/Jerina Son(ミソン/Mi-Sun:ソヨンの工場の同僚)
ハンター・ディロン/Hunter Dillon(ハリー/Harry:ドンヒョンの高校時代の悪友)
アンソニー・シム/Anthony Shim(サイモン/Simon:ソヨンと恋仲になる工場の取引先の社員)
【その他の出演者(登場順)】
Kendra Anderson(ジェーン先生/Miss Jane:担任の先生、小学校)
Elizabeth Wainwright(アシュリー・デイヴィス/Ashley:ドンヒョンのクラスメイト)
(高校時代:Vanessa Przada)
Sawyer Proulx(スチュワート・プルークス/Stewart Proulx:ドンヒョンのクラスメイト)
Sawyer Fraser(ジミー/Jimmy:「ライスボーイ」と名付けるドンヒョンのクラスメイト)
Sara Halliburton(ニコール・ブリッジス/Nicole:ドンヒョンのクラスメイト)
Pavlina Kaye Hladik(サラ・ジェームス/Sarah:ドンヒョンのクラスメイト)
Leslie Parmar(サンディープ/Sundeep:ミソンの同僚)
Gabriela Reynoso(ローザ/Rosa:ミソンの同僚)
Bryce Hodgson(ラリー/Larry:ミソンの上司、品質管理者)
Roman Podhora(マニング/Manning:ミソンの同僚、セクハラ野郎)
Juan Riedinger(ドイル/Doyle:ミソンを呼ぶ社員)
Sean Poague(デイヴィス先生/Mr. Davis:喧嘩を止める小学校の先生)
Eric Keenleyside(ラファティ/Lafferty:校長先生)
Naomi Simpson(ギャロウェイ先生/Mrs. Galloway:職員室の小学校の先生)
Nancy Kerr(ロバートソン先生/Mrs. Robertson:職員室の小学校の先生)
Ryann Sheridan(ステフ/Steph:ドンヒョンのクラスメイト、高校)
Lucy G. Layton(リンゼイ/Lindsay:ドンヒョンのクラスメイト、高校)
Aiden Finn(エガーズ/Eggers:ドンヒョンのクラスメイト、高校)
Tristan Ranger(ジャクソン/Jackson:ドンヒョンのクラスメイト、高校、喧嘩の相手)
Ryan Robbins(ムライ先生/Mr. Murray:高校の先生)
Brianna Kim(ヒョンソン/Hyun-Sun:ドンヒョンの同級生、パーティー)
Joshua Morettin(ピート/Pete:ドンヒョンの同級生、パーティー)
Cassandra Sawtell(シャイラ/Shayla:ドンヒョンの同級生、パーティー)
Emily Lê(リン/Linh:ドンヒョンの同級生、パーティー)
Wanda Ayala(ソフィア/Sofia:ドンヒョンの同級生、パーティー)
Gage Marsh(トロイ/Troy:ドンヒョンの同級生、パーティー)
Adrian Petriw(マイロン/Myron:ドンヒョンの同級生、パーティー)
Jessica Marie Ocampo(ゴメス/Gomez:看護師)
John Cassini(リンデル先生/Dr. Rydell:ミソンの主治医)
イ・ヨンニョ/Lee Yong-nyeo(祖母/Grandma:ドンヒョンの祖母)
チェ・ジョンリョル/Choi Jong-ryul(ハン・ヨンチョル/祖父/Grandpa:ドンジョンの祖父)
パク・ラグジュン/Lag Jun Park(床屋/Barber)
■映画の舞台
オーストラリア:バンクーバー
ロケ地:
カナダ:ブリテイッシュコロンビア州
メイプルリッジ/Maple Ridge
https://maps.app.goo.gl/r2b8FUPCVpsH5H7s6?g_st=ic
ピット・メドウズ/Pitt Meadows
https://maps.app.goo.gl/bKFFEuNUUafKAhuk9?g_st=ic
韓国:
江原特別自治道/Ganqwon-Do
https://maps.app.goo.gl/Lrg9GDBv9cBKyTsf9?g_st=ic
■簡単なあらすじ
1960年、韓国にてウォンシクという青年と出会ったミソンは恋に落ち、それから数十年後にドンヒョンという息子を授かった
だがその後、ウォンシクは体調を崩し気味になり、やがて入院先にて自殺をしてしまう
婚外子だったドンヒョンはウォンシク一家に拒絶され、ミソンは息子を連れてカナダへと渡ることになった
1990年、ドンヒョンは小学校に通う年になり、カナダの小学校に入ることになった
だが、言葉が通じず、お米を食べていた事から「ライスボーイ」というあだ名をつけられて疎外されてしまう
ミソンは「テコンドーを教えてやると言えばいい」と言い、ドンヒョンはその通りに言って、相手を怪我させてしまった
1999年、ドンヒョンは高校生になり、ピアスやネックレスをつけたり、髪を金色に染めたりしていた
ミソンとの会話も減るものの、ミソンには新しい出会いとしてサイモンという男性と良い関係になってしまう
ミソンはドンヒョンに相談するものの「自分で決めたら良い」と答えることに反発していた
そんな折、兼ねてから痛みがあった箇所を診てもらうことになったミソンは、そこである現実を突きつけられることになったのである
テーマ:母の深すぎる愛
裏テーマ:引きずる人生と割り切る人生
■ひとこと感想
「ライスボーイ」がアジア圏に対する差別語とは知らなかったのですが、そう言った文化の違いでいじめがあるというのは小学校あるあるのように思います
高校になったドンヒョンが髪を染めるのも、みんなと合わせようとするからだと思うし、出自が韓国であることを隠したいのかも知れません
そんな青春期を過ごしたドンヒョンは、高校の授業によって、自分の家系図を書くことを迫られます
父のことを聞いても母は何も教えてくれず、さらにミソンの病気の発覚によって、それを告げる機会すら失うことになりました
サイモンとの出会いもあって、幸せになれそうになった矢先に起こった出来事は、彼女たちの人生を根本から変えることになりました
これが良かったのかどうかはわかりませんが、取れる最善の手段だったように思えました
サイモンのような出来すぎた人はなかなか現れないと思いますが、それでも背負わせるには重すぎるように思えてしまいます
ミソンは劇中で「老いた母を背負う息子のおとぎ話」をするのですが、後半のあるシーンではドキッとしてしまいますね
さすがにそんなことはないだろうと思っていましたが、あの場所にはどうしても連れて行きたかったのでしょう
ミソンが心変わりをする理由は切なくもありますが、どうしてもそうせざるを得なかったと思います
それは、やはりドンヒョンは韓国の地で生きてほしいという願いがどこかにあったからなのかな、と感じました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
映画は、亡くなった父親の視点で語られていて、冒頭のモノローグもそれに準じていました
てっきり息子が母親を回顧しているのかと思いましたが、彼女の人生の前半を知るという意味では、ウォンシクが見ていればという視点になったのだと考えられます
また、恋仲になるサイモン役を監督自身が演じていることもあって、自身の回想の中で生まれたものというものが、より鮮明になって行ったように思えました
映画内ではあまり多くが語られませんが、サイモンもカナダを訪れることになった韓国人で、彼自身は施設育ちという設定がありました
両親がいない(あるいは知らない)という点でドンヒョンと同じ目線で世界を見ることができるように思えますが、それは似て非なるものののように思えます
ドンヒョン自身は早く自立したいと思う一方で、些細なことで泣いてしまう自分がいて、それはまだまだ子どもだということなのでしょう
そんなドンヒョンを誰に託すのかという側面において、同じ韓国ルーツとしてもサイモンではない、というところにミソンの韓国に対する想いがあるのでしょう
ラストではウォンシクの弟インソクを兄のように慕うドンヒョンが描かれ、祖母の意思とは反した生活が動いて行くのだと思います
ミソンのことを許せないのは仕方のないことですが、それでも嫁と孫を異国の地に放り出すことになってしまったことは様々な後悔の念を産んでいるのかな、と感じました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、自殺をした父親の目線でカメラワークがされていて、それでもウォンシク自身が彼らに関わることはできません
そこで起こっていることを眺めるしかないのですが、それでもウォンシク自身の何かは二人の中に残っていたりします
ドンヒョンは幼少期に父親のことを母に尋ねますが、母親は答えをはぐらかしてしまいます
亡くなったことは伝えるし、もう帰ってこないことは伝えるのだけど、自殺をした事だけは伝えられない
これは祖父が感じている「今もなぜかわからない」という言葉に集約されているのでしょう
いずれあの地で生きていく上で、自分の父が精神疾患から自殺をしたということをドンヒョンは知ることになります
ある意味、サイモンと一緒にバンクーバーで生きていけば、ドンヒョンは知らぬまま暮らせていたかも知れません
それでも、やはり避けては通れない問題で、そこにサイモンを巻き込むことを良しとはしなかったのでしょう
彼の性格ならば、ウォンシクのことを知ればドンヒョンを連れて韓国に帰るだろうし、彼自身の生活を根底から変えてしまう
彼が優しいからこそ、そこまでやってしまうことに対する罪悪感のようなものがあって、愛されているということ以上のものを受け取れなかったのだと思います
昨今では強烈な親子関係というものが色々とニュースになったりもしますが、それぐらいルーツが関わってくるとさらに根深い問題が浮き彫りになってしまうのかな、と感じました
それぐらい、自分が関わってこなかった子どもとの関係を構築するのは難しく、ドンヒョンもサイモンが悪い人ではないとわかっていても、父親とは思えないでしょう
ある意味、母の恋人というポジションのままで家族となると思うのですが、それ以上踏み込むと不幸な未来しかないと思います
社会的に、法的に父と息子の関係になったとしても、精神的な父性には勝てないのですね
なので、父ではなく「兄的な存在」としてインシクと関係を持てることはドンヒョンにとっては良かったのだと思います
そして、いずれは兄のような存在から、父のような存在へとなっていくと思うのですが、それはインシクがドンヒョンと家族としての時間を過ごしていく末にひょっとしたら起こることなのでしょう
その関係が一歩踏み込めるかはわかりませんが、その必要もないのかも知れません
そう言った意味において、サイモンではダメだったと言えるのかな、と感じました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/105457/review/06402092/
公式HP:
https://culturallife.co.jp/riceboy/
