■誰も傷つかない嘘なんてないけど、誰かを守る嘘は存在すると思います


■オススメ度

 

男女の性質によるスリラーに興味がある人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.7.5(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

情報:2024年、日本、116分、R15+

ジャンル:親友の婚約者に振り回される孤独な女教師を描いたスリラー映画

 

監督:三木康一郎

脚本:安達奈緒子

原作:鳥飼茜『先生の白い嘘(講談社)』

Amazon Link(原作コミックKindle版)→ https://amzn.to/4cyp9ef

 

キャスト:

奈緒(原美鈴:性的トラウマを抱える高校教師)

 

猪狩蒼弥(新妻祐希:美鈴のクラスの生徒)

 

三吉彩花(渕野美奈子:美鈴の親友)

風間俊介(早藤雅巳:美奈子の婚約者)

岩井拳士朗(早藤の同僚)

 

田辺桃子(三郷佳奈:男子生徒を挑発する新妻のクラスメイト)

井上想良(和田島直人:新妻を揶揄うクラスメイト)

菊池銀河(クラスメイト)

薮内大河(クラスメイト)

内海誠子(スカート覗かれるクラスメイト)

小林聖(クラスメイト?)

 

小林涼子(美鈴の担当看護師)

森レイ子(青田有美子:新妻に関係を迫る主婦)

 

吉田宗洋(美鈴の同僚の先生)

後藤ユウミ(美鈴の同僚の女教師)

?(美鈴の上司、校長先生)

 

板谷由夏(清田恵理:美鈴の主治医、心療内科医)

 

ベンガル(池松和男:新妻の祖父、植木屋)

保坂直希(池松の後継の植木屋)

 

片岡礼子(早藤の母)

 

阿部朋子(美奈子の母)

平井寅(美奈子の父)

 


■映画の舞台

 

日本のどこかの地方都市

 

ロケ地:

富山県:富山市

サンコレクトGEAR(心療内科)

https://maps.app.goo.gl/fSRDLnqPTDxyAVXB8?g_st=ic

 

D&DEPARTMENT TOYAMA

https://maps.app.goo.gl/DbmyQ5nxYpuFbb4f9?g_st=ic

 

富山県:黒部市

黒部市民病院

https://maps.app.goo.gl/fW7fmLjxcqY6DQWAA?g_st=ic

 

旧鷹施中学校(中庭)

https://maps.app.goo.gl/V2XLMqV3gQqAYP627?g_st=ic

 

旧宇奈月中学校(校内)

https://maps.app.goo.gl/8PjzkDC1GEhiMzzq8?g_st=ic

 

富山県:小矢部市

日本料理 越前

https://maps.app.goo.gl/JHVoqZx7W1GkHsWX7?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

高校教師として働いている美鈴は、女であることの不平等さを嘆いていて、その一因は早藤という男性との関係によるものだった

美奈子から婚約を聞かされた美鈴は、その相手が早藤だと知って驚きを隠せず、それと同時にある感情が芽生え始める

 

その頃、生徒の新妻があらぬ噂でクラスからハブられていることを知った美鈴は、彼から噂の真相について聴取をすることになった

新妻は噂を認めるものの、美鈴は「否定して欲しかった」と本音を語ってしまう

 

新妻はバイト先の人妻から言い寄られていて、性的な関係を強要され、それによって女性不審に陥っていた

美鈴は、新妻に自分が抱えている葛藤について話し、次第に二人の中にある感情が芽生え始めてしまうのである

 

テーマ:男女間における不条理

裏テーマ:肯定されるべき本質

 


■ひとこと感想

 

原作のことは全く知らず、映画の予告編だけの情報で鑑賞

男女の性がテーマになっているので、どこまで攻めるのかと思いましたが、性的描写に関しての直接的なものは控え気味になっています

それでも、内容が内容なので、R15+になるのはやむなしという感じに思えます

 

男女間の不平等さを抱えている美鈴が主人公で、彼女の親友・美奈子は真逆の性質をしているのですが、彼女もその不平等を感じている存在でしたね

そこから逃げようとして抗えないのが美鈴で、真正面から利用するのが美奈子という存在だったと思います

 

この二人の間に挟まる早藤はいわゆるクズ男なのですが、その徹底したクズっぷりはなかなか見応えがありました

本質を知ると途端に弱くなるのは、男性が暴力性を表面化させる要因のようにも思えてしまいます

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

本作は、映画のパンフレットは発売中止になっていて、さらに鑑賞した映画館では90分くらいのところで火災報知器によって中断するハプニングがありました

いろんな意味で不穏な映画になっていて、その内容も衝撃的なものでした

 

男女間の不平等をどう捉えるかという内容で、それを容認してうまく生きていく女性もいれば、それに苦しめられる女性もいるという感じですね

新妻の存在によって、美鈴の中で変化が起こるのですが、これは女性がどのような男性と関わりを持つかによって大きな影響を受けるという感じに描かれています

同時に、新妻自身もどのような女性と出会うかによって、女性というものがどんなものかを理解していくところにも通じていきます

 

映画は、女性視点になっていますが、男性側にも男女間の不平等というものは存在します

映画の中でも言及されていますが、基本的には美鈴の視点でモノローグ付きなので、そちらの方が優先されているように思います

色んなところで物議を醸しそうな内容でしたので、後学の意味も込めて鑑賞しても問題ないかなと感じました

 


男女間の不平等とは

 

映画では、男性と女性の間にある不平等について、美鈴が多くを語るシーンがありました

前半におけるその概念は美鈴の思い込みのようなもので、新妻との関わり、美奈子との対話によって変化していくように思います

男女の間には暴力と性愛があり、自由意志はそれらを跳ね除けることができるはずです

でも、それに抗うことなく、自分の意思で選んでその場にいる、もしくは居させているという観念になっていました

 

美鈴は男が性暴力を振るうのは女性が女性だからと規定しますが、実際にはそんなことはないと思います

性的興奮、もしくは性行為を誘発することと、暴力で服従させて行為を行うことには隔たりがあるでしょう

美鈴の周囲には早藤という美鈴の概念を肯定する存在がいましたが、それで全ての男性を括ることには無理があります

事実、新妻の存在によって彼女の概念は揺らぎ、男性に対する思い込みというものも変わったように思いました

 

美鈴がこのように思い込むのは、言うなれば最初に出会った男性が早藤だったからで、彼としては自身の行動を肯定する理屈を並べていきます

それを否定できない部分があって、美鈴の中でもその概念が浸透していきます

でも、これらの根底にある感情というのは、美奈子の存在だと思うのですね

美鈴は、どこかで夫を満足させられない美奈子を下に見ている部分があり、この快楽はさらに強固なプライドによって凝り固まっていったのではないでしょうか

 


インティマシー・コーディネーターについて

 

本作は、外野の部分で大きな話題となり、その話題に対する監督の発言によって、パンフレットが事実上の販売中止になってしまいました

公開3週目が終わろうとしている段階でも発売の目処は立たず、シネコンでは1日1回の上映になっています

おそらくは、あと数週間で公開は終了となり、これからパンフレットを販売しても、さほど売れないと思います

むしろ、問題発言のページをそのままにして販売した方が売上が上がったのではないかと邪推しています

 

本作は、インティマシー・コーディネーターを導入するかどうかで揉めた経緯があるようで、それを介さなかったことが監督の判断として発言されています

このインティマシー・コーディネーターという聞き慣れない言葉はなんぞや?と思って調べましたが、映画やテレビ、舞台などの視覚芸術に対する「俳優たちの身体接触やヌードなどの演出を必要とする際に、演出側と演者の意向を調整する役割を担う」のだそうです

演者の尊厳を守りつつ、効果的な演出に繋げる職種とされていて、これは2017年のアメリカで起きた性犯罪が発端とされています

映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインによる長期間の性加害事件が起き、性的シーンの撮影における安全性の確保を求める声が上がるようになりました

 

新人女優などが撮影現場での弱い立場にある場合に、意に沿わない形で撮影を強要するというケースもあり、これが「MeToo運動」と連動していきます

そして、2017年にイギリスのタレント・エージェンシーが撮影・演出のコーディネーターだったイタ・オブライエンの助言を受けながら、性的場面(インティマシー・シーン)の撮影に対する最初のガイドラインを作成するに至ります

この動きがイギリスとアメリカで短期間に拡大し、2018年にアメリカのHBOが調整する職種を導入し、これがインティマシー・コーディネーターと呼ばれることになりました

さらに2019年にはイギリスのBBC制作のドラマにおいて、オブライエンをインティマシー・コーディネーターとして採用し、現在に至るとされています

 

その後、映画俳優の労働組合「SAG-AFTRA」もガイドラインの作成に乗り出し、組合員を対象にして、インティマシー・コーディネーターの利用を積極的に行うことになりました

日本の制作作品としては、2021年のNetflixのドラマ『彼女(監督:廣木隆一)』にて初めて導入されるようになりました

ちなみに、2024年4月現在にて、日本には浅田智穂と西山ももこの二人しかいないそうですね

本作にて主演の奈緒が導入を要望するものの、三木監督と稲垣プロデューサーなどと協議した結果、「間に人を入れたくなかった」という理由で拒否した、とされています

これが騒動となったのですが、導入しなかったことに対する理由が不十分と見做されていて、さらにこの導入に関するインタビューがパンフレットに掲載されたことで販売中止になったと言われています

実際にどのようなインタビューが掲載されていたのかは確認のしようがありませんが、不適切だったということなのでしょう

その不適切がどのようなものかわからないのですが、誤解を招くとかそう言ったこととは別の印象があって、ある意味インティマシー・コーディネーターを導入する流れに逆らう感じの趣旨が汲み取られてしまうのかな、と感じました

導入の見送りに対して問題がないと考えた以上、その意見もそのまま表に出して、その是非を問うということが必要だったのではないかと思います

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、パンフレットが制作されなかったことと、騒動の余波も相まって、ネット上では出演者が出演したことを表明しないという状況になっています

公開3週間もすれば、情報解禁ということで、多くのSNSで出演しました!系の情報が流れるのですが、出たことが黒歴史になっているかのような扱いになっています

本ブログのキャスト欄も、通常ならパンフレットに掲載されているエンドロールの文字起こしからググり倒して調べていくのですが、本作の場合はそれがない状態なので、出演者をメモに書き留めるという方法を取りました

解禁されている情報は、エンドロールのキャストブロックの上位に表示され、その後「セリフの多い演者(単独表示もしくは1列表示)」「セリフありの演者(1列表示)」「セリフがあっても一言もしくはなしの演者(2列表示)」というふうになっています

 

エンドクレジットに関しては日本はやや独特で、演じたキャラクターの名前が添えられないことが一般的で、稀に併記している場合があります

併記していてパンフレットに書いてあれば特定は楽ですが、書いてない場合はかなり苦労することになります

パンフレットでも、エンドロールが載っているものと載っていないものがあって、後者の場合は非常に苦労する場合が多いですね

特に邦画の場合は日本の公開が最初なので、IMDBのようなサイトに頼ることもできないのは難点だと思います

 

本作の場合は、パンフレットがなかったので、事前情報の演者を頭に入れて鑑賞、メモに関しては「登場した順番」を記号で書いていきました

英語のシナリオでは「屋外=OUT」「屋内=IN」と表示し、これを応用してメモには「I、S=WMM」というふうに書きます

「I=屋内=教室」「S=生徒(Student)」「W=Women(女生徒=パンツ)」「M=Men(男子生徒)」みたいな感じですね

主要キャラはすでにわかっているので、モブとシーン展開だけをメモるのですが、本作の場合は場面転換がほとんどなかったので楽でした

 

その後は、エンドロールが始まって「事前情報にない演者の名前をチェック」するのですが、これが一番キツい作業になります

本作のエンドロールは遅めだったので、鑑賞2回目に何とか1列表記と2列表記をいくつかまでは記録できましたが、全部はさすがに無理でしたね

 

パンフレットが発売されたら穴埋めをしたいと思いますが、発売されるかはわからないので、これ以上は無理かなあと思っています

まあ、年間に邦画だけでも200本近く観てきて、その作業をひたすら繰り返してきたので、かなりの人数の演者が頭に入っていますが、さすがに戦国武将のようなコスプレ&化粧をしたらわかりませんねえ

あとはググって「若い時の写真しかない女優さん」とか、SNSをしていない演者さんなどは「存在を確認できない」のが辛いですね

他にも色々と探す手段があるのですが、SNSの相互フォロー(演者さんは映画公式をフォローしていることが多い)とか、制作サイドのブログ(制作秘話)などをひたすら漁って、できるだけ情報を集めるようにしています

それでも本作のようにみんながダンマリだとどうしようもないと思うので、どんな映画だろうが、出演したことを誇りに思って発信してほしいと思います

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/101283/review/04005093/

 

公式HP:

https://senseino-shiroiuso.jp/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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