■バズる仕組みを理解できても、完全犯罪をする知能までは有していなかったようですね


■オススメ度

 

SNSを駆使したミステリーが好きな人(★★)

インフルエンサーの闇を描く作品に興味のある人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.8.13(アップリンク京都)


■映画情報

 

原題:Susie Searches(主人公のポッドキャストのサイト名)

情報:2022年、アメリカ、105分、G

ジャンル:SNSでバズるために失踪した同級生を探す大学生を描いたミステリー映画

 

監督:ソフィー・カーグマン

脚本:ウィリアム・デイ・フランク

 

キャスト:

カーシー・クレモンズ/Kiersey Clemons(スージー・ウィリス:ポッドキャストでバズりたい大学生)

   (幼少期:Ellie Reine

 

アレックス・ウルフ/Alex Wolff(ジェシー・ウィルコックス:失踪するインフルエンサー)

Ryland Blackinton(ローレンス・ウィルコックス:ジェシー誘拐容疑をかけられるジェシーの叔父)

 

ジム・ガフィガン/Jim Gaffigan(ロギンズ:スージーが入り浸る保安官事務所のの保安官)

David Walton(グラハム:スージーが入り浸る保安官事務所の保安官代理)

 

ケン・マリーノ/Ken Marino(エドガー・キャボット:スージーのアルバイト先「ギャボット食堂」の店長)

Rachel Sennott(ジリアン:スージーのバイト先の同僚)

 

アイザック・パウエル/Isaac Powell(レイ・ガルシア:ジェシーの友人)

 

Geoffrey Owens(アンドリュース:大学の学長)

Dolly Wells(ギャラガー教授)

Colby Lewis(ビッグ・マイク:大学のセキュリティ)

Jared Gilman(ジェド:スージーの同級生)

 

Kat Foster(ダイアン・セレック:テレビ番組のインタビュアー)

 

Aaron Costa Ganis(タッド・ビケル:「Misty&Tad」のホスト)

Ana Cruz Kayne(ミスティ・コンスエロス:「Misty&Tad」のホスト)

 

Alex Moffat(ヘイデン・パワーズ:トーク番組のホスト)

Neal Bledsoe(ブレイディ・レン:新聞記者)

 

P.J. Bracco(ジェシーの父)

Lisa Tirone King(ジェシーの母)

Lily Brody(ジェシーの友だち)

Cameron Pillitteri(ジェシーの友だち)

 

Jammie Patton(アン・ウォリス:スージーの母)

 

McKenna Quigley Harrington(エイミー:ジリアンの友人)

 

Presciliana Esparolini(ルシンダ:インタビューに答えるエドガーの隣人)

Spencer Moss(ルイーズ:ブロガーのファン)

Chris Sheffield(エンリケ:ゴミを捨てられるトレーナー)

Jesy Mckinney(マリファナでハイになった男)

 

Juliette Goglia(ライアン・シムズ:ニュースアンカー、ジェシーのニュース)

Neagheen Homaifar(女性のニュースアンカー)

Julian Silver(男性のニュースアンカー)

 

Tim Rock(神父)

 


■映画の舞台

 

アメリカ:オクラホマ州

ウェイド群

https://maps.app.goo.gl/E87ja61g1edTJoEt6?g_st=ic

 

ロケ地:

上に同じ

 


■簡単なあらすじ

 

ポッドキャストでインフルエンサーになることを夢見ているスージーは、幼少期の頃に母に褒められたことをきっかけにして、未解決事件を解明するサイトを立ち上げていた

だが、ほとんどアクセスはなく、投稿の反応もほとんどない始末

学内でも友だちと呼べる人はおらず、病気療養中の母の介護に明け暮れていた

 

彼女は群の保安官事務所に行くのが日課になっていて、そこで自称見習いとして、保安官のロギンズや保安官代理のグラハムに近づいていた

だが、多忙を極める保安官事務所は彼女の相手をしている暇はなかった

 

ある日、彼女が保安官室を訪れた時、そこで同級生でインフルエンサーのジェシーが行方不明になっていることを知る

スージーはこの事件を解決できれば有名になれると考え、独自の調査を始める

 

彼女はジェシーの叔父ローレンスが怪しいと考えていて、彼が所有する不動産などを調べ上げていく

そして、未登録になっている物件をひとつずつ当たり、そこに監禁されていないかを探ることになったのである

 

テーマ:バズりの呪縛

裏テーマ:油断と慢心

 


■ひとこと感想

 

ポッドキャストという日本では馴染みのないSNS配信サイトを舞台に、インフルエンサーになろうと考える大学生が描かれていました

幼少期に「推理小説の犯人を当てるのが速い」という特技があり、それを褒められたことで、それを武器に配信を始めます

 

未解決事件を取り扱っていくものの、そこまで大した実績を上げることもできず、それでも人気者になりたいという訳のわからない承認欲求を拗らせていきました

そんな時に「現在進行形の事件」が起こり、これを解決できれば人気者になれるのではないかと考えます

 

短絡的な彼女が「なぜか」事件を解決してしまうのですが、勘の鋭い人はこの時点でその後の顛末が読めてしまいます

映画はネタバレ状態のまま突き進み、その後のスージーの「嘘」いうものを塗り重ねさせていきますが、それもうまくかわしていく様子が描かれていました

でも、ラストのある言葉が全てをひっくり返すことになっていて、このオチに関しては良かったのではないでしょうか

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

映画の前半で肝心のネタバレは暴露されていて、後半はスージーがどのような結末に至るのかを眺めていく内容になっていました

事件はでっち上げで、自作自演だったことがわかるのですが、映画は「どうやってそれを成し遂げたか」というものを無視した状態で進んでいきます

用意された道具はあっても、それを使ってどうやって監禁劇を行ったのか?

それを放置したまま、次から次へと展開していくので、映画の進行方向と違う方向に思考が追いやられている感覚がありましたね

 

物語は、インフルエンサーを目指そうとした人の悲しい顛末を描いていて、嘘は死ぬまで突き通せないという感じになっています

あれだけ犯行の時に冷静でいることを貫いているのに、いざ自分が有名人になったら浮かれてボロを出す

それがどうやって行われるのかというのが物語のメインになっていますが、どうしても犯行実現性に疑問が残ったままで、ご都合主義なシナリオと言われても仕方ないように思いました

 

おそらくは、キャラ設定の段階から間違えていて、どのように展開し、どのように欺くのかというところの造り込みが弱すぎるように思いました

いっそのこと、共犯者がいた方がスッキリする内容で、それでもシナリオとエンディングを破綻させないものは作れると思いました

 


インフルエンサーの毒

 

本作は、インフルエンサーになりたい若者が自作自演をすると言うお話で、それによって別の騒動に巻き込まれる様子が描かれていました

少し素行の悪い親族を見つけて、彼が所有している物件を調べ上げるなど、今風の犯罪を普通に行なっていましたね

それでも詰めが甘くて、自らが犯行を告白すると言う事態に発展していきました

 

頭が良いのか悪いのかわからない感じになっていますが、目的のために視野狭窄を起こしていて、自分に都合の良いことばかり考えて、その情報だけを調べているのですね

ありがちな罠にハマっていて、あらゆる想定をしているとまではいきません

あそこまで他人を巻き込むのであれば、叔父も何らかの方法で拉致・監禁をしないと完全犯罪にはならないと思います

 

インフルエンサーになりたがる人の気持ちは分かりませんが、その承認欲求の強さが引き起こす事例としてはありがちな内容になっていました

そこから先とか、リアルだとどうなのかと言う作り込みが弱すぎるのは難点ですが、社会情勢を軽く捉えようと考えたのでしょう

映画は、スージーの計画と同じレベルで杜撰なものになっていて、これが作品の質を下げる要因になっていたと思います

 


勝手にスクリプトドクター

 

本作は、華奢な女性が同年代の男性を薬か何かで眠らせて拉致すると言うもので、それを自分で発見して、その対応すらも事前に用意していたものになっています

相変わらずこの手の映画の弱点をカバーできておらず、スージーがどうやって彼をあの場所まで持ち込んだのか、と言う犯行実行可能性を埋めることができていません

単なる納屋のどこかに放り込んだとかなら許容範囲かもしれませんが、隠し扉のような地下室に監禁しているのですね(実際には別の入り口があったけど)

あの穴から放り込んだと言うことなら、相当の怪我をしていると思うので、違う意味で無事ではなかったと思います(怪我の状況から疑われるよね)

監禁場所を発見困難に設定していることが要因で、それで発見者としての能力を見せつけたつもりなのでしょうが、説得力というものが皆無になっています

 

この犯行には男性の介入もしくは複数人の女性が必要なのですが、シナリオを改変するとしたら、ジェシーの友人レイが共犯者だったという風に持っていくのが自然だと思います

ジェシーとレイは恋人関係もしくは、レイの片想い状態になっていて、その想いが伝わらないために「お仕置きをする」という動機を利用するのが良いでしょう

インフルエンサーであるジェシーをターゲットにした時にリサーチをすれば、彼の交友関係というものはわかります

なので、そこで最も近しい人をもサーチし、そこで関係性を見つけるというのはアリでしょう

それをレイが隠したがっているのか、ジェシーが隠したがっているのかはどちらでも良いのですが、彼らは関係性を公表したくないという思惑で一致しているという設定は生きると考えられます

 

そのネタを掴んだスージーがレイをこちら側に引き込むことで犯行を容易にし、そして、発見者をレイにするのですね

この際に、レイに「スージーのおかげで発見することができた」ということをメディアで公言して貰えばOKで、それによって、二人の思惑というものは結託できると考えられます

 

スージーを疑う近しい人も必要になりますが、この場合はジェシーの女友達が適任だと考えられます

この人物がスージーに対して疑問を提示し、後の流れはレイと同じ行動で良いでしょう

また、警察もスージーを怪しいと考えてマークすることもそのままでOK

警察が無防備すぎるところはありますが、そこは設定として「家族が保安官関係の職種で幼少期から馴染みが深い」というものがあればより入り込みやすい環境を作ることができるのではないでしょうか

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、バズりたい承認欲求モンスターが自作自演をする物語で、想定すべき事柄が甘すぎて、思わぬ方向に向かっていく様子を描いていきます

犯人としてでっち上げたい人物がいても、彼の行動日程まで把握できておらず、それによって犯人探しが再開されていました

この時に、叔父を貶めたい人がいるのでは?という方向に向けば捜査は長期化され、事件が風化する状態に持って行けたかもしれません

ネットで得た情報だけでは叔父とトラブルになっている人間を導き出すのは不可能なので、安直に叔父と結びつけない方が良かったと思います

 

完全犯罪を考える場ではありませんが、「見つけること」を前提とするならば、スージーが簡単に見つけられそうで、警察が見つけにくい場所をもっと精査する必要があったでしょう

また、スージーがそこに運び込むことが不可能という思い込みを利用してあの場所を選んでいますが、警察が調べれば別の入り口などすぐに見つかるので、そちらから運び込んだと思われないように細工をする必要があります

スージーはジェシーを傷つけたくないばかりに彼を落ち着かせる行動を取りますが、プライベートで使うような言葉をチョイスするのはアホとしか思えません

ボイスチェンジャーを使っても、その言葉の由来というものは気になるものなので、いずれがボロが出たと思います

あくまでも「無言」、これ以外に方法はありません

 

あとは、スージーがジェシーと二人きりになって、どのような方法で彼を眠らせて運んだか、というところはきちんと描くべきだったと思います

女性が一人で犯行を行ったということを観客が納得できなければ意味がないわけで、そう言った道具であるとか、移動手段であるとか、あの場所に誘い出すなどの何かしらの方法が必要になってくると思います

彼一人を呼び出すわけにはいかないので、集団で会うことになったけど、その中で姿を消させるという必要があるので、本来ならば共犯者がいた方が楽だと思います

それでも単独犯にこだわるならば、一人になったところを襲うしかないのですが、見られず、気づかれずに知人が行うというのは無理があると思います

 

本作は映画なので、あくまでも実行可能な模範にならないように作られていると思いますが、本当に出来そうだけど実は不可能というトリックを考えない限り、このタイプの映画は失敗すると思います

その不可能である部分をいかに隠すかというのがメインであって、それが映画を観ている段階では気づかれないというのが必要になります

真似をされると困るので具体的な方法は書きませんが、女性が成人男性に気づかれずに襲い、それを目的の場所に持っていく方法は限られていると思います

そのためには用意が必要で、そのトリックが暴かれた瞬間に「その道具を購入した違和感のある人物、もしくは盗難品」というものを追うことで、スージーにたどり着くというのがミステリーの王道パターンでしょう

本作では、そこまで綿密な推理ものにはしておらず、単にバズりたい人のアホな行動の1例を揶揄しているだけなので、それでは意味がないんじゃないかな、と感じました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/101482/review/04132368/

 

公式HP:

https://sundae-films.com/susie/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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