■知恵と勇気と心があれば、竜巻にだって立ち向かえるものさ
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■オススメ度
気象現象パニックが好きな人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2024.8.1(T・JOY京都)
■映画情報
原題:Twisters
情報:2024年、アメリカ、122分、G
ジャンル:竜巻をコントロールしようと考える気象学チームを描いた自然災害パニックムービー
監督:リー・アイザック・チョン
脚本:マーク・L・スミス
キャスト:
デイジー・エドガー=ジョーンズ/Daisy Edgar-Jones(ケイト・クーパー:竜巻を研究する国家気象庁の局員)
グレン・パウエル/Glen Powell(タイラー・オーウェンズ:「竜巻カウボーイ」の気象系ユーチューバー)
アンソニー・ラモス/Anthony Ramos(ハビ・リベラ:ケイトの大学時代の友人、Storm Parの責任者)
【竜巻カウボーイのメンバー】
ブランドン・ペレア/Brandon Perea(ブーン:撮影係)
サッシャ・レイン/Sasha Lane(リリー:ドローン操縦士)
ツゥンデ・アデビンデ/Tunde Adebimpe(デクスター:車両班)
ケイティ・オブライエン/Katy O’Brian(ダーニ:車両班)
ハリー・ハッデン=パットンHarry Hadden-Paton(ベン:竜巻カウボーイを取材する記者)
【Storm Parのメンバー】
デビッド・コレンスウェット/David Corenswet(スコット:ハビの相棒、MIT出身)
Stephen Oyoung(マイク:Storm Parのメンバー)
Chris Adrien(アンディ:Storm Parのメンバー)
Joseph Hoffman(「Storm Par」のメンバー)
デヴィッド・バーン/David Born(リッグス:出資者)
【ケイトの大学時代の研究仲間】
ダリル・マコーマック/Daryl McCormack(ジェブ:ケイトの彼氏)
キーナン・シプカ/Kiernan Shipka(アディ:ケイトの幼馴染)
ニック・ドダーニ/Nik Dodani(プラビーン:ケイトの同級生)
モーラ・ティレニー/Maura Tierney(キャシー・クーパー:ケイトの母、農場主)
Paul Scheer(空港の交通警察)
Laura Poe(デブラ:国立気象庁の職員、ケイトの上司)
Laurie Frost(国立気象局の職員)
Austin Bullock(マニー:国立気象局の職員)
Alex Kingi(ピーター:国立気象局の職員)
James Paxton(コーディ:竜巻から逃げるカップル)
Lily Smith(ケイリー:竜巻から逃げるカップル)
Chris Zurcher(デレク:?)
Capri O’Neill(テッサ・エレイン/Tessa Elaine:?)
Ashley Moss(「Crystal Springs」のレポーター)
Julie Oliver-Touchstone(「Crystal Springs」の現地記者)
Jennifer Rader(「Crystal Springs」の警官)
Mike Morgan(OKCの気象学者)
Emily Sutton(OKCの気象学者)
Ashley Jay Sandberg(OKCの空港の客)
Jeff Swearingen(モーテルのフロント係)
Maxim Helmerich(「Medford Motel」のミュージシャン)
Ken Pomeroy(「Medford Motel」のミュージシャン)
James McAlister(「Medford Motel」のミュージシャン)
Elizabeth Ann Townsend(NWSの天気ガイド)
Damien Lodes(タルサの気象学者)
Douglas Seok(「ヤバい」を連呼するストームチェイサー)
Joseph Boehm(ストームチェイサーのメンバー)
Jennifer Brindley(ストームチェイサーのメンバー)
Rusty Collins(ストームチェイサーのメンバー)
Gabriel Richardson(ストームチェイサーのメンバー)
Bob Pack(ストームチェイサーの車両係)
Shaun Maher(ロデオ会場のアナウンサー)
Randy Ballard(ロデオ会場の警備員)
Costas Goldstone(ロデオのファン)
Logan Smith(ロデオのファン)
David Taylor(ロデオのファン)
James Frederick Spake(ロデオのファン)
John Holmes(ロデオの常連客)
April Warren(ロデオの客)
Daniel Fortman(カウボーイ)
Gordon Butler(NYCのコーヒーショップの客)
Scott Downs(NYCのコーヒーショプの客)
Vu Ha(NYCのコーヒーショップの客)
Ben Scott(NYCのイエローキャブの運転手)
Nelson J. Flowers(空港利用客)
Austin Brooks(警官)
Darryl Cox(トレイラーの販売員)
Ben Snow(オーストラリア人観光客)
Samantha Ireland(プールに逃げる母)
Aila Grey(プールに逃げる幼い少女)
Livia Chung(叫ぶ子ども)
Clay E Jones(嵐の生存者)
Victoria Angelina Cruz(嵐の生存者)
Tyler Kijac(劇場のアナウンサー)
Ashley Gorley(劇場の生存者)
Valerie Jenkins(マーケットの店主)
Kevin Kelleher(キャンディ売り)
Cody Pennington(販売業者)
Tony Sellars(トロリーバスの乗客)
David C Tam(カブの運転手)
Curtis D. Tucker(レスキュー隊)
■映画の舞台
アメリカ:オクラホマ州
ロケ地:
アメリカ:オクラホマ州
エル・リーノ/El Reno
https://maps.app.goo.gl/VJQeFwrthYCsiQ8y7?g_st=ic
■簡単なあらすじ
気象学を専攻しているケイトは、仲間たちと一緒に竜巻の解明のための実験を行なっていた
だが、予測以上に大きくなった竜巻は彼らを襲い、多くの仲間が犠牲になってしまった
それから数年後、ケイトは国立気象局の職員として働いていたが、ある日、生き残った仲間のハビが彼女の元を訪れた
ハビは会社を立ち上げて、竜巻のデータを出資者に売るというビジネスを立ち上げていた
だが、竜巻の予測に関してはケイトの右に出るものはおらず、ハビは1週間だけ力を貸してくれと懇願する
やむを得ず、ハビに力を貸すことになったケイトだったが、竜巻発生地帯にはユーチューバーを始め、危険を省みないストームチェイサーたちでごった返していた
彼らは配信をしてファンを獲得し、オリジナルグッズを売るということをしていて、その中心人物であるタイラーは絶大な人気を誇っていた
ケイトは彼らに呆れながら、ハビのデータ収集のために、竜巻の進路を予想することになったのである
テーマ:災害ビジネス
裏テーマ:被災者に必要なこと
■ひとこと感想
かなり昔のパニック映画で『ツイスター』というのがあったのですが、今回はその映画との世界線が繋がっている続編のような立ち位置になっていました
前作とのキャラの関連はなく、観測機の名前が「ドロシー」であるぐらいの共通点だったように思います
映画は、とにかく臨場感重視なら4DXやScreen Xなどの特殊空間の方が良いと思います
2D字幕で観ましたが、この映像体験はアトラクションに振り切っているんだなあと思わされました
おそらく4DXなどではかなり揺れると思うので、飲み物は控えた方が良いかもしれません
物語は至ってシンプルで、自分の欲望に仲間と恋人を巻き込んでしまい、その古傷をずっと背負っているというものになります
唯一生き残ったハビも災害をなんとかしたいとは思いますが、何とかなるようなものでも無いのですね
彼なりの視点で動いてはいるものの、対処療法にもなっていないところが心苦しくもあったのだと思います
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
映画は、非常にわかりやすい作りになっていて、それでもトンデモ科学で立ち向かうというほどおバカ映画にはなっていませんでした
理論上は可能だけど、あの竜巻の中にどうやって薬剤をぶち込むかというのが命題になっていて、その結末はややファンタジックなものになっています
過去のトラウマを払拭するために何かをしたいという思いはあるものの、現場の怖さは十分にわかっていて、でもその強さに惹かれている自分がいることを否定できません
おそらくは、ケイトもタイラーも同じ価値観を持っていましたが、最後はケイトの行動力が優った感じになっています
ここでタイラーと一緒に行くというベタな展開ではなく、ケイトが単独行動に出るというのが本作の特徴ですね
それによって、単純なラブロマンスものになることもなく、人間の尊厳を讃えあう展開になっていたのは良かったと思いました
■オズの魔法使いとの関連性
映画は、前作同様に『オズの魔法使い(The Wonderful Wizard of Oz)』に関連するものが登場しています
この児童文学は1900年に刊行されたもので、ミュージカルや映画にもなっています
「マザー・グース」をヒットさせた童話作家のライマン・フランク・ボーム(Lyman Frannk Baum)が「自らが子どもたちに語った物語を元に執筆した」とされています
内容は、アメリカのカンザス州の農場に暮らす少女ドロシーが主人公で、竜巻に巻き込まれて、愛犬のトトと一緒に不思議な「オズの国」に飛ばされる、というものでした
この作品には、カカシ、ブリキの木こりなどが登場し、映画内の竜巻3Dビジョン撮影の機器の名前に使われていました
アメリカでは、竜巻と言えば「オズの魔法使い」と言われるように密接な関係になっていて、日本でいうカメを助けたら竜宮城に連れて行かれたというものに近いと思います
作品の中で、カカシは「脳」を求めていましたが、行動する中で「知恵」を振り絞ることを学びます
また、「心」を求めていたブリキのきこりは涙を流すことになるし、「勇気」を求めていたライオンは勇敢な姿を見せていきます
彼らの行動が子どもたちに様々なものを教えていて、そのマインドが本作の主人公たちにも通じている部分がありました
この3人のキャラを体現しているのがケイトというキャラクターで、竜巻に対抗するための知恵を絞り、勇敢な行動を見せていきます
そして、彼女の中に「心」をもたらしたのがタイラーの存在なのですね
彼は竜巻を商売にしている気楽な人間だと思われていましたが、実際には竜巻の被害者のために何ができるかを考えてきた人間でもありました
そのギャップというものが、ケイトの中で「竜巻に対してすべきことは何か」というものを変えていったようにも思えました
■アメリカの竜巻事情について
日本では、平均して年間に25個程度発生する竜巻ですが、アメリカでは年間に1300個もの竜巻が確認されていると言われています
竜巻のレベルは「Fスケール」で表示されますが、日本だとF3クラスが最大で、アメリカでは10年に一度の割合でF5クラスが発生するとされています
アメリカでは主にフロリダ半島、アメリカ中南部あたりに竜巻の発生が集中していて、西海岸はそれほど発生はしていません
竜巻が頻繁に発生するアメリカ中西部(オクラホマ州近辺)では、北極からの寒気団とカリブ海からの暖気団が衝突する場所になっていて、その気団の衝突によって大気が不安定になった時に竜巻の発生が起こりやすくなると言われています
この地域の上空にはロッキー山脈を越えてきた偏西風が流れていて、上空に行くに従って風向は時計回りに変化していきます
この条件によって、積乱雲が回転するという現象が起き、それが竜巻の誘因となっていると考えられています
アメリカでは、1年間あたり平均で54.6人が竜巻の犠牲になっていて、最大の被害は「1925年のミズーリ州、イリノイ州、インディアナ州の3州を移動したF5クラスの竜巻」で、死者695名という記録があります
対する日本では、1年間で平均0.58人が犠牲になっていて、日本での最大の被害は2006年に起きた北海道佐呂間町の死者9名となっています
ちなみに、映画でも言及される「竜巻街道(Tornado Alley)」は、ロッキー山脈とアパラチア山脈との間にある地域のことを言います
地図上だとちょうどアメリカのど真ん中あたりに南北に渡ってその通り道があります
竜巻時代はアメリカの中部から東部にかけて多く出現しますが、その中でも東海岸側を除いた地域に強力な竜巻が発生する傾向があります
この竜巻街道という言葉はメディアが作ったもので、アメリカ国立気象局は公式の定義には用いていません
これは、竜巻発生多発地域を定義するための基準が異なるから、とされています
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、前作にあたる『ツイスター』という作品がありますが、観測装置がドロシーという名前以外にはほぼ共通点はありません
登場するキャラクターも縁があるものではなく、前作の子孫ということもないのですね
なので、続編かと言われれば微妙な感じで、いわゆる「世界線が同じ」という感覚に近い印象がありました
前作では、ストームチェイサーの夫婦(ビル&ジョー)とビルの婚約者メリッサが登場します
彼らの研究をパクっているジョーナスもいて、彼らが異常発生している竜巻に巻き込まれるというものになっていました
1969年の幼少期、その27年後の成人期がメインの物語ですが、竜巻に取り憑かれているというところは共通していましたね
ジョーの父親が竜巻被害に遭っていて、彼女はそれが原因で執念を燃やしていました
本作では、竜巻に魅了されている理由が知的好奇心になっていたのは印象的でした
魅了されたものを分析したいという学業的な部分が強く、それが大学での事故につながっていました
ケイトは自分の研究で何を為すべきかというところが欠けていたのですが、タイラーの行動、ハビの転身などを経て、自分の能力の必要性というものを感じるようになっていきました
ラストのエンドロールではケイトたちの非公式な活動が記録されていましたが、本来は国家的なプロジェクトとして取り組むべきだと思います
今はその準備の段階にあたると思うのですが、その有効性が世間に認められれば、国も動かざるを得なくなるのかな、と感じました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/101637/review/04093121/
公式HP:
https://wwws.warnerbros.co.jp/twisters/