■銃弾だけが恐怖というのバリエーションが少なすぎるような気がしますねえ


■オススメ度

 

ワンシチュエーション・スリラーが好きな人(★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.3.14(アップリンク京都)


■映画情報

 

原題Night of the Hunted(狩られる夜)

情報:2023年、アメリカ&フランス、95分、PG12

ジャンル:あるガソリンスタンドに寄った女性が、意味もわからずに命の危機に遭遇する様子を描いたスリラー映画

 

監督:フランク・カルフン

脚本:グレン・フライヤー&フランク・カルフン

原案:2015年のスペイン映画『シャドウ・スナイパー(La Noche del Ratónm、監督:ダビ・R・ロサダ)』

 

キャスト:

カミーユ・ロウ/Camille Rowe(アリス:製薬会社フィンザーのSNSマーケッティング担当)

スタサ・スタニック/Stasa Stanic(狙撃する男)

 

ジェレミー・シッピオ/Jeremy Scippio(ジョン:アリスの同僚、不倫相手)

Aleksandar Popovic(エリック:アリスの夫)

 

J・ジョン・ビーラー/J. John Bieler(ダグ:ガソスタの店員)

Brenda Nunez(アメリア:狙撃されて殺されるガソスタの店員、ダグの恋人)

 

Abbe Andersen(エレノール:ガソスタを訪れる老夫婦の妻)

Brian Breiter(ボブ:エレノールの夫)

Monaia Abdelrahim(シンディ:エレノールの車に乗っていた少女、孫)

 

Isaiah Reyes(エディ:?)

 


■映画の舞台

 

アメリカ:カリフォルニア州

ソレダット

https://maps.app.goo.gl/gVJzx5reNnDSjTVi7?g_st=ic

 

ロケ地:

アメリカ:カリフォルニア州

Middleton Ranch 6201 Soledad Canyon Rd

https://maps.app.goo.gl/gVJzx5reNnDSjTVi7?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

製薬会社のマーケティング部門で働いているアリスは、同僚で不倫相手のジョンと一緒にいたが、夫エリックには「社内会議が圧していた」と嘯いていた

その後二人は、給油のためにガソリンスタンドに寄るものの、そこでトラブルに巻き込まれてしまう

 

併設のショップで買い物をしていたアリスは店員がいないことを不審に思い、さらにカウンターの奥で血飛沫が壁に張り付いているのを見つけてしまう

慌てて外に出ようとしたアリスだったが、どこからともなく銃弾が飛んで来て、それに腕を撃ち抜かれてしまう

 

助けを呼ぼうにも、ジョンはまったく気づかず、落としたスマホも何者かに狙撃されて壊れてしまう

そんな折、カウンターにあった無線から男の声が漏れ聞こえてくるのである

 

テーマ:因果の檻

裏テーマ:理不尽と理由づけ

 


■ひとこと感想

 

ほとんど情報を仕入れぬまま、とりあえず閉鎖空間ホラーなのかな、と思って鑑賞して参りました

その予想は当たり、まさかのガソスタ併設ショップの中だけで全てが完結するという内容になっていましたね

 

ホラーというよりはスリラーに近い印象で、訳もわからないまま、何者かに狙撃され続けるという展開を迎えます

相手の射撃テクニックがファンタジーレベルですごくて、あんた何者だよという感じになっていました

 

物語というものはほとんどなく、なぜか主人公のことは知られていて、彼女の中で「いろんな狙われる理由」というものが顔を覗かせていきます

通りすがりの人まで犠牲になるのが微妙ですが、舞台装置的な役割だったのかな、と感じました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

基本的に室内&夜のシーンばかりで、思った以上に会話が多い内容になっていました

色んなヒントが会話から隠されているのですが、最後までアリスが狙われる理由というのはわからない感じになっていましたね

候補となるものはたくさん出てくるのですが、これと言ったものがないままに、とりあえずシャッターで挟んじゃうという展開になっていました

 

映画の象徴的なシーンは、アリスが逆襲して犯人をシャッターで殺そうとするところで、少女シンディが怖いもの見たさなのか、一部始終をリアルタイムで見ていたことでしょうか

グシャ!というところまでガン見していたので、トラウマにならないか心配でなりません

 

人間関係はそこまで複雑ではなく、二組の不倫が事件化していて、その関係性も同じになっていましたね

アメリアという女性店員はカウンターの中で死んでいたのですが、彼女を殺す理由があったとしても、なぜ「偶然立ち寄っただけのアリスのこと」をあれだけ詳細に知っているのかは分かりません

てっきり犯人はエリック(夫)なのかなと思いましたが、さすがにその線は否定されていましたね

 


閉鎖空間スリラーのお約束

 

本作は、いわゆる閉鎖空間スリラーで、「ある一定の場所から出られずに命の危険を感じ続けることになる」というジャンルになります

基本的に「理不尽に思える」という導入があり、最終的に「そこに閉じ込められた理由を知る」という流れに落ち着くことになります

映画では、理不尽に思える捕獲に関しては「犯人の周到な用意」によってなされていて、アリスの行動を熟知しているように描かれていました

関係性までははっきりとしませんが、アリスの職場、不倫の事実、その日の行動を知っている人物ということになります

 

アリスが同僚のジョンと「仕事と称した密会」をしていることを知っていて、そして、ジョンの車に乗って向かう先まではわかっているのですね

彼の車のガソリンタンクに穴を開けて、あのガソリンスタンドに来るように仕向けています

そして、彼らの行動パターンを踏まえた上で、あの場所に足止めすることに成功しているのですね

ここからわかるように、かなり用意周到で、しかも店内には「アリスに対する警告(不倫したアメリアの死体)」まで用意していることになります

 

犯人とアリスの関係は明確には描かれませんが、可能性が高いのは夫エリックもしくはエリックが依頼した人物ということになります

夫情報ならかなり正確ですし、不倫による制裁ということを考えると理には叶っています

最終的に犯人が誰かはわかる人にはわかるのでしょうが、マスクから出たのはほんの一瞬なので、誰なのかはわからないのですね

でも、アリスにはそれがわかったような描かれ方(落胆?)をしているようなので、彼女自身はその場所に閉じ込められた理由を知ることになったのだと推測できます

 

映画は、スナイパーがいるのは「GOD IS NO WHERE(神はいない)」と書かれた看板付近で、ある意味「宗教的な側面」というものを感じさせます

アリスの行動は神に見られていて、それによって「神の裁き」であるとも捉えられるように描かれています

不倫に対する報いが「死」というのはやり過ぎのように感じますが、「姦淫は罪悪」とするモーセの十戒では「姦淫は死刑」となっています

それを踏まえると、本作は旧約聖書のモーセの十戒をそのままなぞらえているとも言えるのかもしれません

 


勝手にスクリプトドクター

 

本作は、非常に中途半端な作品になっていて、閉鎖空間の割には「店の外に出て移動」したり、老夫婦はあっさりと殺すのに「子どもには手を出さない」という犯人像がありました

命の取捨選択をしている犯人であり、不倫許さないマンだとしても、老夫婦はまったく関係ありません

彼らが店に来たことでアリスの処刑の邪魔が入ったということは分かりますが、それならば「スタンドの照明を撃ち抜く」などして、「開いているようには見えないようにする」などの方法もあったように思えました

あそこまで射撃が正確だと、軍経験者かその道のプロだと思うので、遠隔の爆弾でブレーカーを壊すなどもできたと思います

 

映画は、そんなことよりも「犯人が誰だったのか」というのがはっきりわからないことと、「アリスが犯人を認知したのかわからない(閉鎖空間に来た理由の発覚)こと」の方が問題なのだと思います(多分理解したとは思いますが材料が弱すぎます)

夫エリックだとベタすぎますが、アリスが相手をちゃんと認識したかどうかぐらいは明確にすべきだと思うのですね

一応はマスクを剥がそうとしますが、そうこうしている間に頭が潰されて、それを確認しないまま終わっているので、「え? 誰?」という感覚が残り続けるのは微妙だと思います

観客が誰かわからなくても、アリスがわかったかどうかが重要なので、相手を見た後に何らかの反応を見せた方が良かったでしょう

映画では、それを見てドッと疲れが出たのか、緊張が途切れて意識を失ったのかわからないのですが、ぶっちゃけ生きているのか死んでいるのかもわからなかったりします

なので、かなりモヤっとしたまま映画が終わってしまったように思いました

 

また、この頭を潰すシーンを少女シンディがガン見するという流れになっていますが、彼女はその後「アリスには目もくれずに」店の外へ出てしまい、そのまま道路を走って去ってしまいました

自分を助けた相手に駆け寄ることもなくというのが微妙で、彼女を使って「アリスの生死」ぐらいは見せることができたと思います

また、彼女は一度も車の祖父母のところを見に行くこともなく、そのまま立ち去ってしまうのも微妙だったですね

あの走り去っていく絵を撮りたかったのかなと思いますが、それで終わるのはどうなのかなあと思いました

 

この辺りを解消するには、走り去るよりも「老父母の死体を見て立ち尽くす」というシーンに、「遠くからサイレンが聴こえる」とかで良かったのかなと思います

誰が呼んだのかという問題はありますが、アリスに連絡がつかなくなった夫が警察に行くというのもありで、「夫が警察を呼ばなければならないことが起きていると知っている」というネタバレが結構生きてくると思うのですね

そして、ラストショットは「犯人のスマホにエリックの着信が入る」で良いと思います

これによって、犯人はエリックではないけれど、エリックが関連していることがわかり、そして「警察を呼んだのは誰か」というものが想像できます

この時点でアリスのスマホはないので、エリックから犯人への着信をアリスが見ることによって、全てを悟るというのでもOKだったように思えました

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、スペイン映画『La Noche del Ratón(邦題:シャドウ・スナイパー)』のリメイクですが、ウェブ上ではほとんど情報が見つかりません

旅行に行こうとした主人公がガソリンスタンドに入ったら襲われるという導入になっていますが、その後のストーリーラインは観ないとわからない感じになっています

本作では、自分の行いの報いを受けるというもので、その罪が不倫だったために「死刑」に処されるという内容になっていました

このあたりは宗教的な側面が強いことが看板によって示されていますが、さすがに強引すぎるし、何度も登場するので悪目立ちしていたように思えました

 

このような自分の罪と向き合うような映画は内省か会話劇になるのですが、本作では会話劇の方にシフトしていましたね

常に緊張感のある中での会話劇ですが、無駄な会話が多くて長いので、単調に感じられるシーンが多かったように思います

そして、眠気が来るたびに銃声が鳴り響くという感じになっていて、そこで展開される恐怖というものも「アリスを本気で殺しに来ていないことがわかる」ので、中盤以降は銃撃シーンでもあまり怖さを感じませんでした

 

会話劇にもいくつかの種類があって、遠回しに気づかせるタイプとはっきりと伝えるタイプに分かれるのですが、本作の場合は前者に近い印象があります

アリスに罪があることを「自分でわからせる」という流れを汲んでいるので、非常に会話劇としては面倒臭い感じになっているのですね

不要な問いかけや会話が募ると「脳が不要だと判断してシャットダウン」してしまうので、それが眠気にも繋がっていくように思えました

犯人が小動物を狙うように狙撃をしていきますが、もっとアリスを怖がらせて、まったく動けなくなるぐらいまで追い込まないとダメなんだと思います

 

アリス自身は傷を負いますが、環境はそこまで変わっていかないのですね

ブレーカーを爆発して店内が真っ暗になるとか、スプリンクラーが作動してびしょ濡れになるとか、跳弾によって思わぬ負傷を負うなどがあった方がバラエティーに富んだように思えます

会話劇として保たせるのも面白いのですが、あれだけ喋ると台無しに思えるので、もっと情報を小出しにして、時には沈黙を混ぜて「アリスに考えさせる時間」を増やした方が良かったように感じました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/100836/review/03600419/

 

公式HP:

https://transformer.co.jp/m/hunted/

アバター

投稿者 Hiroshi_Takata

“【映画感想】ハンテッド 狩られる夜【後半:ネタバレあり】” に1件のフィードバックがあります
  1. つまらなかった。低予算でしょうね。犯人もわからないのを見せられ時間のムダ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA