■雰囲気で包括する好きと、個別化で抽出する嫌いの違いを知ろう


■オススメ度

 

結婚にまつわるコメディが好きな人(★★★)

舞台劇が好きな人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日2024.3.9(MOVIX京都)


■映画情報

 

原題:Maybe I Do(おそらく、するかも)

情報2023年、アメリカ、95分、G

ジャンル:子どもたちの結婚を機に会うことになったW不倫カップルを描いたコメディ映画

 

監督脚本マイケル・ジェイコブス

原案:マイケル・ジェイコブスの舞台『Cheaters』

 

キャスト:

ダイアン・キートン/Diane Keaton(グレース:映画館に男を気にかけるハワードの妻)

ウィリアム・H・メイシー/William H. Macy(サム:映画館でひとり咽び泣くモニカの夫)

 

リチャード・ギア/Richard Gere(ハワード:色仕掛けにハマるグレースの夫)

スーザン・サランドン/Susan Sarandon(モニカ:肉体的関係を求めるサムの妻)

 

エマ・ロバーツ/Emma Roberts(ミシェル:結婚に前向きなグレースとハワードの娘)

ルーク・ブレイシー/Luke Bracey(アレン:結婚に消極的なモニカとサムの息子)

 

DazMann Still(ジョナ:アレンの親友、新婦)

Azriél Patricia(オーロラ:ジョナの妻、グレースの友人)

 

Michael Kostroff(マニー:安モーテルの受付)

John Rothman(アレンの部屋の隣人の声)

Natalie Ortega(ソフィア:高級ホテルの受付嬢)

 

Adrienne Acevedo Lovette(ダイナーのウェイトレス)

Kirk Kelly(レストランのウェイター)

 

James Earl Jones II(結婚式の司会者)

James Monroe Iglehart(司祭)

 

Victoria Beltran(花嫁の介添人)

Kevin D. Benton(結婚式のゲスト)

Joshua Jacobs(結婚式のゲスト)

Haley Handson(結婚式のゲスト)

Nicole Izanec(ミシェルの友人)

Gina Jun(ミシェルの友人)

 

Setty Brosevelt(映画館の客)

 


■映画の舞台

 

アメリカ:ニュージャージー州

モントクレア/Montclair

 

ロケ地:

アメリカ:ニュージャージー州

モントクレア/Montclair

https://maps.app.goo.gl/X1dh7PvbbdLHJj927?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

長年妻モニカと連れ添ってきたサムは、映画館に一人でやってきて、感涙の涙をこぼしていた

その様子を気に掛けた老女グレースは彼に声を掛け、そのまま喫茶店で話し込むことになった

 

その頃、サムの妻モニカは、体の関係を求めて老紳士ハワードと共に高級ホテルの一室に泊まっていた

ハワードはモニカの誘惑を跳ね除けながら、ただ一緒にいることを望む

だが、モニカは体が満たされないことに憤慨し、ハワードはやむを得ず帰宅することに決めた

 

一方その頃、サムとモニカの息子アレンは、恋人のミシェルと共に友人ジョナの結婚パーティーに参加していた

ジョナは妻オーロラがミシェルにブーケを投げると言い、覚悟を決めろと仄めかす

結婚に前向きになれないアレンは、投げられた花束を無理やり奪い取り、それによって、ミシェルと大喧嘩になってしまう

 

ミシェルとアランは口論の末に、お互いの両親を含めて食事会を開くことを決める

お互いの両親たちは未だに会ったことはなかったが、それぞれの夫婦には問題があって、人前に出られる状態ではなかったのである

 

テーマ:続く愛、続かない愛

裏テーマ:結婚に向かう決意の正体

 


■ひとこと感想

 

若いカップルの両親がW不倫状態にあるというコメディで、舞台が原作となっています

そのためか、舞台っぽい感じの台詞回しが多く、それを字幕で追うのは相当疲れてしまいます

しかも、映画のあらすじで「両方の両親が会う」というところまでネタバレしている状態なので、そこに向かうまでに結構な尺があるのが難点だったように思います

 

言葉(会話)によって精神的に満たされたい人と、体も含めて欲望を満たしたい人というのがテレンコになっているような感じで、終わってみれば「この親にして、この子あり」という感じになっています

夫婦になることよりも、子どもを持って「一瞬で人生が終わること」に危機感を抱いているアランがいて、それに対するミシェルには覚悟がある、という状況になっていました

 

結婚に向かう中で、その結婚観は自分の親を見て熟成されている感じになっていて、アランの両親は仮面夫婦に見えるので否定的、ミシェルの両親は円満に見えるので肯定的という感じになっています

それが本当なのか、というところが前半のシークエンスになっていて、この属性の違いから起こるすれ違いをかなりコミカルに描いているように思えました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

結婚観は自分の両親が作るという感じになっていて、でもそれが「嘘だった」というテイストになっているのが面白かったと思います

それぞれの両親が出会ってからが本番なのですが、およそ半分の時間まで会わないので、展開の遅さにびっくりしてしまいます

 

それぞれのカップルの顛末と関係性が描かれ、それが全部で5つあるので、それを網羅してからでないと会わせられないのですね

その段取りが順を追ってという感じになっているので、もどかしさMAXという感じになっていました

それでいて、面白そうな後半がやや物足りない感じで進んでいくので、期待値を越えてくるという感じには仕上がっていないように思えました

 

あとは、とにかく全てセリフで説明するという物語なので、字幕量が思った以上に多くて、映像にも集中できなかったですね

登場人物が少なくてキャラが立っているので、いっそのこと映像は捨てて字幕に集中するというのもありかもしれません

とにかく、それぞれのキャラが哲学を語り出す感じになっているので、一言一句を見逃せない感じに思えてしまうのですね

前目の席だったので、結構疲れたなあというのが率直な感想でした

 


結婚観の熟成

 

本作は、若いカップルが結婚に向かうかどうかを悩んでいるというものがあって、その結婚観の違いが如実に現れていました

ミシェルが肯定的なのは両親が円満であると信じているからで、自分が歳を重ねた時のビジョンというものがそこにありました

対して、アレンは結婚に否定的で、それは両親が仮面夫婦状態であることを知っていたからなのですね

愛はいつか冷め、夫婦のフリをしなければならないと考えていて、それが彼の動きを妨げていました

 

夫婦とは社会的な契約であり、公然と関係性を公表するという意味合いがあります

同棲と結婚の違いは法的な関係を得ることによって、様々な社会的なサービスの対象となるかどうかというところなのですね

今ではLGBTQ+問題において、社会的な関係であること、社会サービスを同等に受けられることを目標とした動きがあって、彼らが拘っている部分はそこになると思います

アレンはそこまで社会的なサービスには興味がなく、一緒にいられたら良いだろうという観点で物事を見ていました

でも、ミシェルはアレンの子どもが欲しいし、その子どもの将来のことを考えているので、二人の違いは「将来設計の違い」でもあったように思えます

 

子育てに関しても両親の影響が大きくて、ミシェルは自分の存在を肯定しているけど、アレンはそこまでではないという感覚がありました

自分の存在を卑下しているわけではありませんが、夫婦仲の悪さの原因の一つに自分の存在を考えてしまうのが子どもだとも言えます

それによって、アレンは「子育て」に関しても悪いイメージを持っていて、それも枷の一つになっていたように思えました

実際には両親がどのような子育てをしようが、どんな環境であろうが、子どもは勝手に育っていくものだったりします

倣う子どももいれば、反発する子どももいるわけで、それは個別の生まれ持った資質の違いであると言えるのかもしれません

 

彼らのように、頭で考えたことで一杯になってしまうと、人は動けなくなってしまいます

そんな時に有効なのが「心の声を聞く」ということでしょう

ミシェルは自分の中にある声に従順で、それはアレンとの子どもが欲しいというその感情一点だったように思えます

彼女は愛の果てにある結実を愛せる存在なので、それを共有できれば怖いものはないと言えるのではないでしょうか

 


夫婦が長続きできる理由

 

夫婦円満の秘訣というのはたくさんありますが、どれもがケースバイケースであると思います

うまく言っている夫婦の特徴を考えると、いくつかのポイントがあるように思います

ひとつめは「お互いのプライバシーを尊重している」というもので、「お互いが大事にしている趣味などに口を出さない」というものでしょう

ふたつめは「常に笑顔でいる」というもので、関係性の良い老夫婦などは、どこにいても、何をしても笑顔が絶えないイメージがあります

みっつめは「役割分担と共有のバランスを考えること」で、子育てから家事に至るまで、様々な家庭内業務をうまく配分することだと思います

 

現在の家族形態は夫婦共働きというのが主体で、家事や育児は分担しなければなりません

そのバランスが偏ると不和が生じ、ストレスというものが溜まってしまいます

でも、このバランスの根幹にあるものは「お互いの譲れない価値観」だったりするのですね

例えば食器を洗うことひとつでもそれぞれにこだわりがあって、それを満たせないと「やったことにはならない」みたいな衝突が起こるという感じですね

このような価値観は恐ろしい数あるように見えるのですが、実際にはひとつかふたつの核たるものの派生であったりします

 

食器洗いに関しても「次に使うために洗う」という考え方と、「当面の汚れを取るために洗う」のでは、まったく違ったりするのですね

また生活の動線の違いによって、ものを置く場所へのこだわりというものが生まれてきます

話し合いが必要なのは、このような根っこの部分であり、その細かな所作をお互いが見ていくことができれば良いと思います

理にかなっていたり、その考え方が素晴らしければ真似れば良いわけで、そこで自分のやり方を押し付けるということをしてしまうと、あまりうまくはいかないような気がします

 

長く続く夫婦というのは、お互いを知ることに億劫にならず、相手の価値観の源泉に敬意を示し、その領域を侵さないことが重要であると知っているのですね

簡単に言えば「相手が嫌がることをしない」ということになるのですが、「相手が嫌がることを知る」というのは意外と難しいものだと思います

この許せないポイントというものを踏まえて地雷を踏まなければ問題はないのですが、地雷を避けることに気を取られすぎてストレスが溜まるということもあります

ストレスは冷静な目を曇らせる効果があるので、相手を知ることをストレスに感じないような工夫が必要になると言えるのではないでしょうか

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

個人的な話になってしまいますが、7年前に亡くなった妻との関係は世間的にも良好な関係であったと思います

妻方の両親は裏表がなく良好で、私の方は破綻しまくっていた両親でした

この関係性だと、妻が肯定的で、夫が否定的になりそうなものですが、私たちの場合は「中庸」という感じになっていて、自然の流れに従う、という気質を共有していました

同棲7年、結婚7年という短い生活なので、一般的な夫婦関係へのアドバイスなどは役に立たないのですが、本当にケンカというものをしなかったのですね

14年間一緒にいて、喧嘩したのはわずかに1回だけで、お互いがその1回の喧嘩から多くのことを学んで、「相手が嫌がることをせずにストレスを溜め込まない」という生活を実践してきました

 

当時の趣味はバラバラで、お互いがそれに没頭していることに対して何も言及はしませんでした

相手の趣味は美術館巡りと骨董で、私の趣味は当時は競馬でした

この1ミリも重ならない趣味が共存することはなく、それでも余暇があると一緒に行動をしたりもします

相手の趣味に付き合うこともあり、何度か美術館に行ったりもしましたが、そこで注目して見るものがまったく違ったりもしました

 

美術館巡りひとつ取っても嗜好が違うことがわかり、絵画を見ても「全体像、雰囲気を重視する妻」に対し、「作品の背景、技術を重視する私」という感じに正反対だったりします

それでも、全体像を見て居心地の良い作品を見ることを否定もしないし、視野が広がると思って、その見方を真似ることもあります

そう言った何気ない積み重ねというものが蓄積されていって、お互いを知っていったのだと思います

 

結婚生活の秘訣というわけではありませんが、経験則として「嫌いなもの、許せないものが同じだと長続きしやすい」という持論を持っています

それは、自分がされたら嫌なことは相手にしないという前提が必要ですが、このマインドが近いほど、自然と相手が嫌がることをしなくなります

相手と自分が怒りを感じる場所がどこなのかとか、許せないところはどこなのかを面と向かって聞くのは難しいのですが、それらは相手の言葉をちゃんと聞いていけば、その属性を知ることができます

 

「好きなものが一緒」というカップルもうまく行くように思えるのですが、実際には「好きなポイントは曖昧な場合が多い」と感じられるのですね

ざっくりとした雰囲気であったり、詳細を詰めていくと細分化されていくのもので、根幹部分まで同じというのは稀だったりします

全体としての雰囲気の好みを言語化せずに共有するとうまくいくと思いますが、細分化に入るとあまり良くないイメージがあります

一言でまとめると、好きが同じだと包括的に、嫌いが同じだと個別的というのがしっくり来るのではないでしょうか

自分自身がどんな属性なのかを知り、その「許せない部分」を共有できる人を探してみる、というのもひとつのポイントになるかもしれません

出会いがないと嘆いている人は、これまでにあまり注視してこなかった部分に注目すると、良き出会いを見つけることができるのではないでしょうか

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/100981/review/03579778/

 

公式HP:

https://aboutlife-movie.jp/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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