■続編ありきだと思うけど、その時に描かれるのは既成事実を覆す新説になるのでしょうか?


■オススメ度

 

ヴァンパイア映画が好きな人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.9.19(MOVIX京都)


■映画情報

 

原題:Abigail

情報:2024年、アメリカ、109分、R15+

ジャンル:訳あり少女を誘拐したグループが未曾有の危機に瀕する様子を描いたスプラッタ・ホラー映画

 

監督:マット・ベティネッリ=オルビン&タイラー・ジレット

脚本:スティーヴン・シールズ&ガイ・ビューシック

 

キャスト:

メリッサ・バレラ/Melissa Barrera(ジョーイ/Joey:麻薬中毒から回復した元陸軍衛生兵、本名はアナ・ルシア・クルス)

ダン・スティーヴンス/Dan Stevens(フランク/Frank:元ニューヨーク市警の刑事、本名はアダム・バレット)

ウィリアム・キャトレット/William Catlett(リックルズ/Rickles:元海兵隊の狙撃兵)

キャスリン・ニュートン/Kathryn Newton(サミー/Sammy:上級育ちのスリルを求めるハッカー、本名はジェシカ・ハニー)

ケヴィン・デュランド/Kevin Durand(ピーター/Peter:ギャングの取締役、本名はテレンス・ラクロワ)

アンガス・クラウド/Angus Cloud(ディーン/Dean:反社会的な資質を抱える運転手)

ジャンカルロ・エスジポート/Giancarlo Esposito(ランバート/Lambert:グループのリーダー)

 

アリーシャ・ウィアー/Alisha Weir(アビゲイル/Abigail:誘拐される裏社会の大物の娘、バレエダンサー)

マシュー・グッド/Matthew Goode(クリストフ・ラザール/Father:アビゲイルの父、裏社会の大物)

 


■映画の舞台

 

不明(劇内で言及なし)

 

ロケ地:

アイルランド:

ダブリン

Sir JohnRogerson‘s Quay

https://maps.app.goo.gl/Ebdu2S9f3F3tFdTeA?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

モルヒネ中毒で家族と疎遠になったジョーイは、元ニューヨーク市警の刑事フランク、海兵隊の狙撃兵のリックルズたちと一緒に、ある計画に加担していた

それは、12歳の少女を誘拐するというもので、その父親は裏社会の有力者だった

バレエの劇場にて彼女を拉致した彼らは、グループのリーダーであるランバートの指示の元、彼女の邸宅へと侵入し、監禁することになった

 

ランバートは、彼らに24時間の監禁を支持し、翌日になれば少女の父親と取引が始まると言う

そこで彼らは少女を寝室に閉じ込めるものの、いつの間にかその屋敷のドアに鉄格子が嵌められていて、さらに窓と言う窓が閉じられてしまった

 

その後、悲鳴と共に運転手のディーンが殺され、屋敷は不穏な空気になる

伝説の殺し屋バルデスを引き合いに出して、屋敷に何者かが侵入しているのではないかと恐れ始める

だが、そんな殺し屋はおらず、ディーンは少女によって殺されていた

そして、リックルズが犠牲になり、少女の正体が判明するのである

 

テーマ:囚われの正体

裏テーマ:残忍なお仕置き

 


■ひとこと感想

 

予告編ですでに少女がヴァンパイアであることがわかっていたので、正体を明かすまでに随分と尺を取るんだなあと思っていました

寄せ集めが誘拐を起こすと言う段階で失敗フラグは立ち込めていたのですが、そこはあっさりと成功していました

これには訳があって、その思惑が後半になってわかる、と言う内容になっていました

 

一応、主人公は麻薬中毒者ジョーイということになるのですが、後半になって彼らの本名が暴露されます

ジョーイという名前も、リーダーのランバートが適当に振り分けたコードネームのようなもので、その偽名にも一応の意味はありました

 

映画は、前半はやや緩めのホラーで、後半は激しいスプラッターホラーに様変わりします

そんな中で「知恵を絞ってヴァンパイアを倒そうとする」のですが、ニンニクを探していたら玉ねぎしかなくて、「料理したことないもん」というのは笑ってしまいましたね

要所要所に軽めのギャグが散りばめられている感じになっていて、大枠ではコメディのように思えました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

6人の訳ありたちが誘拐を目論む中で、実はある理由によって集められていたことがわかります

いわゆる「閉鎖空間パニックホラー」なので、その王道を行く流れになっていましたね

単に金目当てで集まったつもりが、実は少女の父親と関連を持っていたというものですが、とばっちりのような人もいたように思います

 

前半はアビゲイルが遊んでいる感じになっていて、少しずつ戦力を削いでいく流れになっていました

後半になると、VSヴァンパイアという構図になりますが、お約束の「噛まれたらヴァンパイアになる」を踏襲していましたね

さらに杭を心臓に刺すとか、日光を浴びせるという弱点も存在していて、その破裂の仕方が潔いものがありました

 

映画は、なぜかジョーイが解放される流れになっていましたが、その理由はいまいちわかりませんでしたね

アビゲイルの言うことを聞いたと言うことなのかもしれませんが、そもそも操り人形で遊ぶ年齢でもないのかもしれません

ともかくスプラッター祭り

これが好きならOKだと思いますが、ジョーイがそのまま車に乗り込むとか、サミーが死体プールに入った格好のままうろつくなど、そっちの拒否反応が凄いように思えました

昔のパターンあら、サミーがシャワーを浴びて襲われると言うのがデフォだったように思えます

 


アビゲイルとは何か

 

映画のタイトルでもある「アビゲイル」は、元々はヘブライ語の「אֲבִיגָיִל (Avigayil)」が由来となっていて、「神は喜んでいる」という意味になります

旧約聖書に登場する女性でもあり、ここでの意味は「父は喜ぶ」という意味になっています

映画に登場するアビゲイルは、クリストフ・ラザールの娘であり、彼自身もヴァンパイヤでした

 

アビゲイルは常に父(神)が喜ぶことをする存在ですが、今回のアビゲイルは「父が登場するまで楽しもう」という趣旨がありました

自分を誘拐した犯人たちを嬲り殺すのが目的で、父がいたらできないことをやってみた!みたいな楽しみ方をしていました

圧倒的な戦力差と知能の違いがあったので、犯人たちは蹂躙されるより他ありません

アビゲイルが無垢な少女っぽさを出して、相手が非道な人間という設定も、アビゲイルの行動に楽しさをもたらす要因になっていたと思います

 

本作以外にも「アビゲイル」という名前は世界中で使われていて、有名なところだと「アビゲイル・ウィリアムズ」だと思います

セイラムの魔女裁判の告発者の一人であり、魔術師の疑いを持たれた150人の逮捕と投獄に関与した女性でした

本作とは直接関係がないので割愛しますが、悪者を閉じ込めるという意味合いでは似通ったところがありますね

このアビゲイル自身が謎多き人物であり、魔術をかけられたと主張する側の人間でした

被害者っぽいけど実はというところとか、事に対する演技性などに共通点を見出せそうな気がします

 


ヴァンパイア映画の面白さ

 

本作はいわゆるヴァンパイア映画で、よくドラキュラと混同されてしまいがちですね

ヴァンパイア(Vampire)は、英語で「人の生き血を吸う怪物」のことで、ドラキュラとはアイルランド人作家のブラム・ストーカーの小説『吸血鬼ドラキュラ』に登場するキャラクターの名前となっています

なので、ドラキュラはヴァンパイヤ族の一人という意味になりますね

ちなみに、ヴァンパイアの女性形は「ヴァンピレス(Vampiress)」と言いますが、日本ではほとんど浸透していない呼び方だと思います

 

ヴァンパイアには弱点がありますが、身体能力が強過ぎて、それを突かずして人間が戦える相手ではありません

この弱点をいかにして隠すか、いかにして誘導するかという心理戦があって、これがヴァンパイア映画の面白さであると思います

噛まれたら吸血鬼化することで、味方が敵になるということも起き、ゾンビ映画のように「中の人」を知っているゆえに非道になれないなどのジレンマが生じます

本作では、その辺りもうまく演出されていて、急場凌ぎのメンバーだったので、吸血鬼化した相手も容赦なく倒していました

 

太陽光を浴びて爆発するとか、杭が心臓に刺さって爆発するという派手な演出があり、また噛んだ吸血鬼が死んだら吸血鬼化が止まる、みたいな設定もありましたね

これまでにヴァンパイア映画はたくさん作られてきたので、何かしらの新しい要素がないと飽きられてしまいます

そんな中でも、古典っぽさを出しながらも、これまでに無い演出や映像を取り込んでいたので、ヴァンパイア映画フリークにとっても新鮮な劇場体験になったように思えました

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、少女を誘拐したと思ったら、実は逆に監禁されていたというもので、アビゲイルの父の配下だったランバートに騙されていたことがわかります

ランバートは彼らを集めることでラザールへの忠誠を示しますが、父が帰って来るまでの間に、アビゲイルが遊び尽くしてしまっていました

ラザールに関してはヴァンパイアなのかすら明かされていませんが、ランバートの怯えようとか、アビゲイルの暴れた後の惨状を見ても顔色ひとつ変えないので、もっと巨悪な存在なのかもしれません

 

映画は、おそらく続編が作られる内容で、アビゲイルの中の人が成長する前に撮り始めないと厳しいでしょう

ヴァンパイアは人とは成長の速度が違うので、ずっと子どもの容姿のままになるのですが、もしかしたらその既成概念もこのシリーズで覆すかもしれません

人間と同じように成長して見た目が変わるのなら問題なく、むしろ見た目が固定化される瞬間とか、その過程などを明かしていくシリーズになるかもしれません

 

基本的には、ヴァンパイア化した時の姿で固定されると思うのですが、ヴァンパイアから生まれたヴァンパイアならどうなるのかわからないのですね

なので、純正ヴァンパイアのビジュアルが固定される瞬間というものは新しいヴァンパイア像を描くことになるのかもしれません

続編がそんな話になるのかはわかりませんが、期待値も込めて、こんな話だったら面白いなあと思って、ちょっと書いて見ました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/101660/review/04269914/

 

公式HP:

https://www.universalpictures.jp/micro/abigail

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投稿者 Hiroshi_Takata

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