■時系列的に見直しても、わからないことが多すぎるような気がしますね
Contents
■オススメ度
過去作のファンの人(★★★)
閉鎖空間ホラーが好きな人(★★)
■公式予告編
鑑賞日:2024.9.6(イオンシネマ久御山)
■映画情報
原題:Alien: Romulus
情報:2024年、アメリカ、119分、PG12
ジャンル:訳あり宇宙船に潜む謎の存在に命を狙われるクルーを描いたSFホラーパニック映画
監督:フェデ・アルバレス
脚本:フェデ・アルバレス&ロド・サヤゲス
キャスト:
ケイリー・スピーニー/Cailee Spaeny(レイン・キャラダイン/Rain:コロニー「ジャクソンズ星」のクルー)
デビッド・ジョンソン/David Jonsson(アンディ/Andy:レインの義弟を元に作られたアンドロイド)
アーチー・ルノー/Archie Renaux(タイラー/Tyler:レインの元恋人、ケイの兄)
イザベラ・メルセド/Isabela Merced(ケイ/Kay:タイラーの妹、妊婦)
スパイク・ファーン/Spike Fearn(ビヨン/Bjorn:タイラーとケイのいとこ)
エイリーン・ウー/Aileen Wu(ナヴァロ/Navarro:ビヨンの義妹、パイロット)
イアン・ホルム/Ian Holm(ルークの外見/Rook:宇宙船のアンドロイド)
ダニエル・ベッツ/Daniel Betts(ルークの声/Rook:宇宙船のアンドロイド)
トレヴァー・ニューリン/Trevor Newlin(ゼノモーフ/Xenomorph:ロムルスを襲うエイリアン)
ロバート・ボブロツキー/Robert Bobroczkyi(オフスプリング/Offspring:人間とゼノモーフのハイブリッド)
Rosie Ede(ジャクソン星採掘植民地の従業員)
Soma Simon(10代の若者)
Bence Okeke(10代の若者)
Viktor Orizu(10代の若者)
Elemer Szatmari(淫らな男)
Annemarie Griggs(ナビゲーターの声)
■映画の舞台
2142年、
ジャクソン星採掘植民地
ジャクソン星を周回する謎の宇宙船
ロケ地:
ハンガリー:ブダペスト
■簡単なあらすじ
オリジナルの『エイリアン』は世代が違うので観ていないと思うのですが、その後のスピンオフなどはいくつか鑑賞していた状態で突撃しました
ある宇宙船に辿り着いた若者たちが、そこで謎の生命体に襲われるというもので、いわゆる閉鎖空間パニックホラーとなっています
斬新なのは、仲間であるはずのアンディが「司令と関係性」で右往左往するところのように思います
映画は、人間関係がかなりわかりにくい感じになっていて、レインの義理の弟をモチーフに作ったのがアンディという感じになっています
さらにタイラーが元カレで、妊娠しているケイはタイラーの妹で、他のメンバーもタイラーから見ていとこのような関係になっていました
物語はあって無いようなもので、いかにしてエイリアンから逃げるかという力技の内容になっていました
相変わらず、逼迫しているのにのんびり会話をしているとか、主人公の身体能力が高すぎるなどのご都合的なところはありますが、お化け屋敷を楽しむ映画なので、深く考えては負けという感じになっていましたね
テーマ:感情と命令
裏テーマ:アンドロイドが渡る海
■ひとこと感想
『エイリアン』シリーズはかいつまんで観てきたという感じで、とりあえず鑑賞というテイストで行ってきました
いつもの造形のエイリアン登場で「虫系嫌いだからなあ」と思いつつ、後半に出てくる巨神兵もどきで笑ってはいけないホラーなのかなと思ってしまいました
おそらくこれまでのシリーズとの繋がりがあると思いますが、ほとんど覚えていませんでしたね
映画は、かなり登場人物が少ない映画で、会話のあるモブキャラが会社の受付のおばちゃんらしき人ぐらいでしたね
あとは、その辺にいた作業員らしき人たちがクレジットされている感じで、それだけ観ても「どこに出てた?」みたいな感じになっていました
ロムルスに向かった6人(1人はアンドロイド)がどのように襲われるかという内容で、主人公補正がありつつも、レインが無敵すぎて笑ってしまいました
アンディはアンドロイドなのですが、演技だけでアンドロイド感を出すのは無理だと思います
モードが変わってもそこまで変化が無いように見えたので、そのあたりがもっとわかりやすければなあと思いました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
どこからか得た情報で植民地を抜け出す6人の若者が襲われるという話なのですが、彼らの関係性がほぼ会話で一瞬で説明という、もう少し何とかならんかったのかな、と思うレベルでしたね
アンディの秘密がわかるのも序盤でいきなりフリーズみたいな感じになるからですが、さすがに説明不足すぎないかと思ってしまいます
本題に入るのがめっちゃ早いのは良いのですが、6人の日常がないので、彼らが襲われてもそこまで感情移入がなかったりします
エイリアンの造形はいつものラバーゴキちゃんですが、明るいシーンではほとんど登場しないので気持ち悪さは半減という感じですね
目的の宇宙船がほぼ廃艦で、わずかな光源しかないので、視界の悪いお化け屋敷に入っているという感覚になります
巣のようなところに行っても、画面が暗すぎて怖さが伝わらず、なんとなくいっぱいおるんやろうなあという感じで脳内補正をする感じになっていましたね
おそらくIMAXとかで観るともっと気持ち悪いのだと思いますが、通常スクリーンだと最前列でもあまり怖さは伝わってきませんでした
てっきり、あの薬?を打ったままジャクソン星に戻って、そこでケイに異変が起きてエンドなのかなと思っていましたが、ちゃんとケリをつけていたのは批判を恐れてのものかな、と感じました
■ロムルスとレムスについて
映画のタイトルにある「ロムルス」は、ローマの建国神話に登場する双子の兄弟の「ロムルスとレムス」が由来となっています
ローマ市の建設に携わった人物で、紀元前753年4月21日が建設日となっています
この双子は、軍神マルスとレア・シルウィアの間に生まれたとされていて、王位継承のいざこざで川に捨てられてしまい、狼によって助けられました
その後、羊飼い夫婦によって育てられることになりました
双子は、反逆者を始末し、自分の祖父を復位させることに成功し、捨てられた土地に都市を建設しようと考えます
兄弟のうち、どちらが建設者となるかを鳥占いで決めることになり、これによって兄のロムルスが建設者となりました
でも、この時に弟のレムスが兄を嘲ったために殺されてしまいます
この名前が引用されている理由は、2012年の『プロメテウス』のような神話由来のものと、『エイリアン:コヴェナント』のような登場する宇宙船の名前由来が合体したようなものだと考えられます
ロムレスは主人公たちがたどり着いた研究所の名前で、ここで登場する2つの研究所の名前が「ロムレスとレムス」になっていました
その中で、おそらくは「ロムレス」にあった研究物が取り出され、これが神話における「生き残った兄」と合致しているのでしょう
また、兄弟に関することとすれば、レインとアンディの関係も姉と義理の弟をベースに作られたアンドロイドという設定になっていました
「義理」という設定が実はそうではないと意味もあるかと思いますし、それに関しては今後の続編で描かれるのかもしれません
本作に関しては、アンディがすでに死んでいるために再度死ぬということはなかったりするのですが、実はレインもなんて展開もあったりするのかなとか、余計なことを考えてしまいました
■勝手にスクリプトドクター
本作は、スペースコロニーの労働者たちが「どこからか得た情報」を元にして抜け出すというもので、彼らの関係性は濃いにも関わらず、さらっと説明されるだけでした
レインとアンディは「姉と義理の弟を模したアンドロイド」
レインとタイラーは「元恋人同士」
ケイはタイラーの妹で妊婦だけど、ケイの夫は誰かわかりません
ビヨンはタイラーとケイのいとこで、ナヴァロはビヨンの義理の妹、という設定になっています
血縁的な繋がりと、人間関係の繋がりがある若者グループですが、彼らの親がどうしているかとか、どうしてそこで働いているかなどはほとんど読み取れませんでした
この人間関係の説明が冒頭にあって、そこでいきなり計画の話が持ち上がります
あの場所が搾取の場所で、低賃金で働かされる奴隷扱いということはわかりますが、そこを脱出してどこに向かえば希望があるのかというものはわからなかったりします
うろ覚えですが、話を持ちかけたのがタイラーで、彼はアンディをそこに連れていけば使えると思っていて、そこで「レインも来たければどうぞ」という感じになっていました
レインとタイラーがどんな感じの恋人同士で、どうして別れたのかなどは本作では描かれず、とりあえずに「義理の弟が心配だから、元カレは嫌なやつだけどついていく」という感じになっていました
この手のサバイバルものは「知っている者同士の絆が試されるパターン」と「知らない者同士が疑心暗鬼になるパターン」があって、本作では「絆試されパターン」が採用されていました
この場合、絆の深さや強さというものを示す必要があるのですが、映画ではセリフで関係性だけを説明しているのですね
なので、義理の妹とかいとことか言われても、その関係性の深さはわかりません
何らかの借金のようなものを背負わされている背景も意味不明で、それが彼らが作ったものか、先祖代々のものなのか、単に組織に騙されているだけなのかはわかりませんでした
その後、彼らは情報を基にして宇宙ステーションのようなところに向かい、アンディの力によって、それを動かすことに成功します
このステーションは長らく使用されていないのですが、管理が私営企業なのか、国策的なものなのかはわからないのですね
企業ならば潰れたら放置はわかりますが、そうでなければ宇宙ステーションの起動信号のようなものがどこかに流れていてもおかしくはありません
そう言ったものの接近というタイムリミットも発生するはずなのですが、映画では完全にスルーになっていましたね
ジャクソン星とステーションの関係性もほとんど謎のままで、あの地上からステーションの位置を正確に探知できていたのは不思議でしたが、そのあたりは「都合」なのかな、と感じました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、これまでにたくさん作られてきたエイリアン映画の最新作で、どこまで過去作と関連があるのかはわかりません
全シリーズを観ている人にだけわかる設定の共通点とかがあるのだと思いますが、そのあたりは詳しい人のブログなどを読んでいただければ良いと思います
シリーズはこれまでに本作を含めて7作作られていて、時系列的には『プロメテウス』は1番古い話(2089年)となります
1番新しいのが『エイリアン4』の2470年で、実に380年くらいの時間の流れが存在することになっています
本作『エイリアン:ロムレス』は2142年ということで、時系列的には『エイリアン』の2122年の20年後となっていて、2179年の『エイリアン2』までの期間をこれからの作品で埋めることになるのだと考えられます
『エイリアン』シリーズの原点となる『プロメテウス』では、科学者のエリザベスが古代遺跡を見つけるために「宇宙船プロメテウス号」で出発するというものになっています
そこでは、エイリアンの起源となるものを見つけるという展開になっていましたね
その後、『エイリアン:コヴェナント』が続編となり、こちらも「宇宙船コヴェナント号」にて、新たな入植地を目指すという物語になっていました
そして、『エイリアン』では、「宇宙船ノストロモ号」に謎の異星人が侵入するという物語になっていて、この宇宙船が「ジャクソン星の周回にあった宇宙船」ということになっていました
ノストロモ号は生命体の存在の知らせを受けて惑星に到着するのですが、そこにはエイリアンがいた、という流れになっています
何とかエイリアンから逃げ延びたという感じの結末になっていますが、実はそこはエイリアンの研究をした挙句に失敗していて、あるブロックはエイリアンの巣になっていた、みたいな感じになっていました
この間の話はルークというアンドロイドがさらっと説明していましたが、ノストロモ号に乗っていたアンドロイドはアッシュという名前だったと思います
なので、かなり解明されていない部分があって、それらは今後の展開で描かれるものなのかもしれません
『エイリアン』から本作までの20年の間に起きたことが空白地帯になっているので、そこを先に埋めて欲しいなあと思ってしまいました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/101684/review/04217661/
公式HP:
https://www.20thcenturystudios.jp/movies/alien-romulus